太陽のように笑う   作:のののひーもん

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こんにちは、今回から本編スタートです!
しばらくはほのぼのとしたのが続きますので楽しんでいただければ幸いです!


1話

桜の花びらが舞う4月の朝、陽向は通学路を………

 

……走っていた。

 

 

 

「おぉ~、桜がきれいだな~。」

 

 

………………走りながら、桜を眺めていた………。

 

今日は花咲川学園の入学式が行われる日であり、陽向はその花咲川学園に今年から通うことになっている。また、入学式は9時から行われるため、新入生たちはそれまでに自分のクラスを確認して教室にて待機しておかなければならない。しかし、現在の時間は9時10分。

 

 

…………………完全な遅刻であった。

 

 

 

~~~~数十分後~~~~~

 

 

 

「ふぅ…、やっと着いた…けどもう終わっちゃったなぁ。」

 

 

結局、陽向が学校についたのは10時、入学式が終わったあとだった。

 

 

「仕方ない、直接教室にいって先生に謝ろう。」

 

 

幸いなことにクラス分け表は貼りだされたままだったので陽向は自分のクラスを問題なく確認すことができそのまま教室へ向かうことにした。

 

 

「1-Cか、どんな人がいるか楽しみだなぁ。」

 


 

(はぁ~、やっと終わった。)

 

 

入学式の窮屈な空間から解放され、美咲は教室にてほかのクラスメイトによる自己紹介を聞き流していた。もともとよく言えば落ち着いた、悪く言えば覇気に欠ける性格の彼女だが、入学式の疲れもあって普段よりも一層覇気がないように見える。

 

 

「じゃあ、次は弦巻さんお願いね。」

 

 

そうして気を休ませている間に自己紹介はクラスの半分くらいまで進んでいたようだ。次に立ち上がった弦巻と呼ばれた少女は少し小柄な体型に金色の髪と目を持つ少女で、同性である美咲の目から見ても十分に美少女だと言える容姿をしていた。(ちなみに、かくいう美咲も十分に美少女なのだが、本人は気づくどころか指摘されても否定しかねない。)そんな輝かんばかりの魅力を放つ彼女は、ひまわりのような笑顔を咲かせながら元気よく言い放った。

 

 

「みんな!あたしの名前は弦巻こころよ!あたしは楽しいことが大好きで、いつも楽しいことを探しているわ!もし何か楽しいことを見つけたらぜひあたしに教えてちょうだい!」

 

 

未だ笑顔を崩さないこころの自己紹介は見ている人を笑顔にさせるようなそんな不思議な魅力があった。しかし、クラスのほぼ全員がこころに好印象を抱いたのにも関わらず、美咲はたった1人全く違う心象を抱いていた。

 

 

(……なんだろう、かかわらないほうがいい気がする。)

 

 

『何事もほどほどに』を地で行く美咲にはこころのあまりにもアグレッシブな姿勢についていけないと思ったのか、それともこれから何か起こる(巻き込まれる)ことを予感していたのか定かではないが、何はともあれ美咲は『弦巻こころ』という存在に極力近づかないことに決めた。

 


 

その後もつつがなく自己紹介は進み、ついに最後の自己紹介…になるはずっだったのだが…

 

 

「では次は、夕崎くん…は遅刻しているのでしたね。連絡が何も無いので心配ですが、仕方ありませんね。ではこれから連絡とプリントの配布が済みましたら今日は終わりとなります。」

 

 

どういう訳か入学式の初日から遅刻をかました生徒がいること、加えて担任の呼び方から推測するに共学化してまもないこの学校には珍しい男子であることに多少興味を引かれた美咲が担任の視線の先を見ると廊下側の1番後ろの席が確かに空席であった。とは言っても、特にそれ以上その男子生徒に興味がある訳でもなく、すぐに視線を黒板の方へ向けようとするが、

 

ーーーー美咲が視線を戻そうとしたその瞬間に教室の扉が開いた。

 

 

「すみません、遅くなりました。」

 

 

入ってきたのは、黒髪に紅い瞳を持つ背の高い男子生徒だった。先程の発言からしても彼が件の生徒だろうと、美咲を含めた全員が理解した。

 

 

「おはようございます。遅刻してきて早々ですが、自己紹介をお願いします。ついでに遅刻の理由も今ここで説明をお願いします。」

 

「分かりました。初めまして、夕崎陽向です。趣味や特技は特にありませんが、…強いて言うならよくマイペースだと言われます。実は今朝もそのせいで寝坊してしまいました。アハハハ」

 

 

自己紹介にしては何とものんびりとしたものだったが、彼は指示通りに遅刻の理由も添えて話した。しかし、マイペースが原因で寝坊して遅刻とは、本当に高校生か疑いたくなるものだが、陽向はそんなこと気にする素振りもなく柔らかく笑って見せた。

 

「アハハハって……。はぁ、次からは気をつけてくださいね。それでは席に着いてください。」

 

(いや、そんな簡単に許しちゃっていいの?)

 

 

美咲の心の中のツッコミはもっともなものだが、担任もそんな理由でそうそうに許すつもりはなかった。しかし、屈託なく笑う陽向を見てそんな気も削がれてしまったようだ。というのも陽向の容姿は大変に整っており、既に教室の中の何人かは陽向に熱い視線を送っている。美咲は元の性質もあってそれほどでは無いが、それでも現役女子高生であるために多少は視線を持っていかれていた。しかし…、

 

 

(ま、あたしには関係ないか。)

 

 

などと、早々に自分には関係の無いこと、として処理してしまった。また、視線を受けている当の本人はにこにことしながら壇上黒板の方を見ており、全く気づく様子がない。というより、視線には気づいているのだが陽向は『男子がよほど珍しいんだなぁ』とそこに含まれる感情を大きく読み違えていた。

そして…、美咲と陽向は気づくことがなかったが、その熱い視線をの主には弦巻こころも含まれていたのである。

 


 

「では今日はこれで終わりますので、気をつけて帰ってください。」

 

 

担任のその言葉を皮切りに教室内の生徒たちがそれぞれ帰り支度を始めたり友人と話し始めたりと、各々の行動に移ったところで陽向もまた帰り支度を始めた。しかし、そんな陽向に1人の少女が近づいていった。

 

 

「陽向!さがしたわよ!」

 

 

金髪金眼の美少女、弦巻こころである。彼女は陽向の登場からずっと熱い視線を送っていたがそれに気づているものは居らず、またいきなり名指しのさがした発言によりクラスから動揺の声が上がる。そしてその動揺の中の陽向は

 

 

「えっと…、ごめん誰だったかな…?」

 

 

案の定周りを気にしない通常運転だった。だが、ここから事態はさらに大きく動く。

 

 

「あら、忘れたのかしら?前に『今度会ったら付き合う』って言ってくれたのに。あたしあれからずっとあなたの事を探していたのよ!」

 

 

その刹那、教室中が凍りつき、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「ええぇぇぇぇ!!!??」」」」」」

 

 

そしてすぐさま狂乱の渦へと変貌した。

 

 

「うーん…、あっ思い出した。あの時商店街で会った楽しそうな人だ。」

 

 

そして、どんな状況になっても陽向はマイペースであった。

 

 

「そうよ!やっと思い出してくれたのね!あたしは弦巻こころよ!こころって呼んでちょうだい!」

 

「わかったよ、こころ」

 

 

教室内がお祭り騒ぎになっているにも関わらず当の二人は全く気にする様子はなく普通に会話を続けている。こんな状況でたった1人美咲は思った。

 

 

(え…、なにこれ。)

 

 

否、唖然としていた。しかし、このままでは事態が収まらないと判断した女生徒が勇気をもって2人に近づいた。(ちなみに陽向に熱い視線を送っていたうちの一人だったりする。)

 

 

「あ…、あのっ」

 

「うん?なぁに?」

 

「その、夕崎くんって弦巻さんと知り合いだったの?」

 

 

意を決した女生徒の行動に再度教室内が静まり、陽向たち3人に注目があつまる。

 

 

「うん、この前商店街で歩いていたらこころから声をかけてもらったんだ。そうだったよね?」

 

「えぇ!あまりにも素敵な笑顔だったからつい声をかけてしまいたくなったの!」

 

 

こころのその一言により、周囲は騒がしさを取り戻していく。

 

 

「じゃあ、付き合うって言うのは…?」

 

 

そしてついに女生徒が核心部分にせまる。周りは固唾を飲んでその状況を見守り……、

 

 

「あぁ、その時にこころに頼まれたんだよ。楽しいこと探し(・・・・・・・)に付き合って、てさ」

 

 

 

 

「………え?」

 

「「「「「………え?」」」」」

 

 

再び凍りついた。

 

 

「…?あ、でもこころ。今日はこれからバイトがあるから行けないんだ。ごめんね。」

 

「そうなの?残念ね…」

 

 

二度も周りを凍りつかせたにもかかわらず相変わらずマイペースを貫く2人だが、陽向に用事があると分かると途端に寂しそうな表情をするこころ。

 

 

「そんなに悲しそうな顔しないで?明日は空いてるから明日の放課後一緒に行くのでもいいかな?」

 

「…っ!?…わかったわ、やくそくよ!」

 

「うん、約束するね」

 

 

あまりにもしおらしいこころの様子が見ていられなかったのか、陽向はまるで子どもをあやすようにこころの頭を撫でながら言った。こころも最初は驚いたようだったがすぐに受け入れ、気持ちよさそうに撫でられていた。そんなこころをみて陽向は安心したように頷いた。

 

また、その様子を見ていた(見せられていた)周りの生徒たちには、2人が仲の良い兄妹に見えたそうだ。

 

 

 

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