【対魔忍RPG】まりの大冒険 ふたたび   作:unko☆star

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その③

「ああ、そりゃあオソメ・ブラザーズの兄貴のほうだろ…。星のチャームね、うん。アイツしかいねえわ…」

 

――センザキの一角にある安酒場。

そのカウンターに紅、まり、そして傭兵らしき姿のオークが腰かけていた。

 

「オソメ・ブラザーズ?」

「港の倉庫街を根城にしてる半グレ兄弟だよ…ゲスな商売で稼いでるクソ野郎さ…本名は染谷(そめや)って言うらしいがな…」

「お前にそこまで言われるということは、よほどの悪党らしいな」

 

「ガハハ!ひでーな紅よお、俺はお前に言われて以来、ちゃーんと週に1回風呂に入ってるんだぜ!」

「自慢するな。そもそも風呂は毎日入るものだ」

「ククク酷い言われようだな…まあ事実だからしょうがないけど」

 

紅と軽口を叩きあうこのオークは、傭兵稼業のなかで紅と知り合い、たまに顔を合わせれば一緒に酒を飲む間柄になった。

紅が魔のモノの血を引いていること――長くなるためここでは詳しく触れないが――そのこともあり、もともと紅は人外の存在に対しても偏見無く接する。

 

「なら生活習慣を改めろ。今だって匂うぞ。不潔な連中とばかり付き合ってるから気にならんのだろうがな」

 

 

――もっとも、少々言葉遣いは悪くなるが。

 

 

「しかしまりちゃんも久しぶりだよなあ!連絡先も聞けないうちに帰っちまったから、俺あ寂しかったぜえ…?」

「あうう、すみません…。ちゃんとお礼をしなきゃとは思ってたんですが…。なかなか時間がなくて…」

「ガハハハハ!謝ることじゃねえよ!今日またこうして会えたんだからな!」

 

“本の魔人事件”で紅とまりの窮地を救ってくれたこともあり、かつては異種族に対して恐怖心を抱いていたまりも、このオークにはすっかり心を許している。

 

 

 

「話を戻すぞ。そのオソメ・ブラザーズとかいう連中についてもっと詳しく教えてくれ」

「…ん?ああ、別にいいけどよ…」

ふいに、オークはきょろきょろと店内を見まわした。

 

傭兵やならず者が集うこの酒場は、明るいうちからぞろぞろと客が押し寄せ、夜更けまで下卑た会話と笑い声でいっぱいになる。

しかし、今日は比較的人が少なく、店の入り口から一番離れた奥の席が空いていた。

 

「…奥、行かねえか?別に変なことはしねえからよ」

「万一そんなことをしたら酔い覚ましをプレゼントしてやろう。強烈なやつをな。もっとも二度と銃が握れなくなるかもしれんが」

「ガハハ!こわいねえ~」

 

3人はカウンターから奥の席に移動し、オークが新しい酒を注文した。

「悪いな。どうせみんな酔っぱらって俺たちの話なんか聞こえねえと思うが…それでも、な。楽しく酒飲んでるときに聞きたい話じゃねえんだわ…あの兄弟については…」

「さっき言っていた“ゲスな商売”というやつか」

「そう。あいつらはな…兄弟でスナッフ・ビデオを作って売りさばいてるんだよ」

 

「すなっふ…?」

まりがきょとんとした顔で尋ねる。

 

「なんだ、対魔忍の学校じゃそんなことも教えてくれねえのか」

「そんなことを授業で教える学校があるわけないだろう」

「対魔忍なら知っといたほうがいいと思うがなあ…スナッフ・ビデオってのは、人を殺したり、バラしたりする様子を撮影したビデオだよ」

 

「ひっ…!」

さあっ…とまりの顔が青ざめる。

「いるんだよ、そういうのを観て興奮したり、オナニーしたりするヘンタイが…とくにこういうガラの悪い街ではな…」

 

ジョッキの酒をがぶ飲みしながらオークが続ける。

 

「まず、弟の『狂二(きょうじ)』…ムカつくことに結構なイケメンなんだが…そいつが女をひっかけてくる。で、兄貴の『狂一(きょういち)』…こいつは飲んだくれのクソ野郎でな…女をレイプするなりバラすなりして…その様子を映像に収めて、闇のルートで売りさばくんだよ」

 

「ひっかけてくる女は、奴隷娼婦だったり、戦争難民だったり、家出少女だったり…まあ、身寄りがなかったり、突然いなくなっても騒がれないようなのを選んでるらしいぜ。おまけに奴らのビデオはお偉いさん…政治家だとか、ヤクザの親分にもファンがいるらしくてな。多少のことはもみ消されちまうんだと」

 

「その狂一というのが、私たちが探している男だと?」

「ああ、星形のチャームをジャラジャラ着けてたんだろ?それは()()()()()()()()をアクセサリーにしてるんだよ。小さい星が1人、大きい星が10人。最近50人を超えたから、全部大きいチャームに変えるとかなんとか…」

 

「ゲスが」

ギリ、と歯ぎしりをして紅は吐き捨てた。

「ああ、ゲス野郎だよ。すっかり酒がまずくなっちまった」

飲みかけたジョッキをテーブルに戻し、オークがため息をつく。

 

紅がポケットから小さな包みを取り出し、オークの前に置いた。

「それで飲みなおしてくれ。あと、その兄弟が根城にしてる場所を教えてくれ」

「いいけどよ…やっぱ乗り込むのか?下手に関わらないほうがいいと思うがなあ」

「私が半グレ風情にどうこうされるとでも思うのか?」

「ま、確かにそうか…。だが気をつけろよ。弟はともかく兄貴の方はかなり腕っぷしが強いらしいからな」

 

 

――――――

 

――――

 

――

 

 

「行こう。急いだほうが良さそうだ」

「はい…」

不安げな表情のまりが紅に続いて店を出る。

 

(嫌な予感がする…たぶん、紅さんも同じことを…)

 

しかし、前を歩く紅の足取りはぶれない。

(ううん、余計なことは考えないようにしなきゃ…紅さんの足手まといにならないように…)

 

(どうか…どうか、間に合ってくださいっ!)

祈るような気持ちで、まりは紅の後を追いかけた。

 

 

 




今週のプレイ・ボーイ買ったけどやっぱり猿先生は天才なんだ
還暦過ぎてなおライブ感溢れるストーリーを圧倒的な画力で描き続ける超人を超えた超人なんだ

まあライブすぎて物語の着地点はまったく見えないんやけどなブヘヘへ


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