この素晴らしい装者に祝福を!   作:クロウド、

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この少女に覚醒を!

「HRは以上だ、気をつけて帰れよ」

 

 今日も教師としての仕事を終えて教室をあとにする。

 

 ったく、キャロルの奴が台所めちゃくちゃにしてくれたせいで遅刻ギリギリだったじゃねぇか……。しかも床にいくつか穴で来てたし、こりゃ休日にホームセンター行かなきゃなぁ……。

 

「はぁ、不幸だ……。」

 

 どっかの幻想殺しさんみたいなことを言いながら廊下を歩く。

 

 ……さて、そろそろあっちの方の仕事にも行かないとな、昨日ノイズが現れなかったからって今日も出ないとはかぎらないし。

 

「「先生」」

 

 俺が廊下を歩いていると、後ろからせわしない足跡が聞こえてきた。振り返ってみるとそこには響と彼女の幼馴染の黒髪の小日向未来が立っていた。

 

「そんなに急いでどうした?」

 

「今日はツヴァイウィングの新作CDの発売日なんです!」

 

「なのに、響ったら予約を忘れたらしくて……。」

 

「えへへ〜」

 

 未来の呆れたような言葉に困ったような笑みを漏らす響。この二人の中で俺はきっと、面倒見のいい兄的な存在なのだろう……こんなところ見られたら名前で呼び合わなくて大して意味がないじゃないか。

 

「だから売り切れるまでに急いで買いに行かないと、それじゃあ先生また明日ッ!」

 

「あっ、待ってよ響!」

 

 また走り出す響を未来が追いかけていく、本当にせわしなやつだな。まぁ、アイツのこういう元気なところも美点の一つと思えばいいか……。そう思っていたとき、俺の口が自然に動き二人を呼び止めた。

 

「響、未来」

 

「「え?」」

 

 俺に名前を呼ばれ呆けたように俺の方を向く。当然か、高校に入ってからほとんど下の名前で呼んだことないからな。二人の視線がむず痒くて背中を向けてわざとらしく後頭部をかく。

 

「……気をつけて帰れよ」

 

 そう言ってその場をあとにした。

 

 後ろから響と未来の「はいっ!」という元気の良い返事が聞こえてきた。

 

 ったく、翼と奏にあんなこと言っといて未練タラタラじゃねぇか。相変わらずカッコつかねぇ……。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 特異災害起動部2課。

 

 私立リディアン学院の地下に本拠を構えている現在の俺が所属している組織だ。その主な仕事はノイズへの対策。しかし、ノイズは普通の兵器では倒せない。しかし、この二課が保有する『シンフォギアシステム』のみがノイズを倒すことができる。世界各地の伝承に残る聖遺物の欠片を組み込んだ鎧。それでのみ、ノイズの位相差障壁を貫ける。

 

 ……まぁこの世界の手段では、って話だがな。

 

「おお来たか、カズマ」

 

「どうも、おやっさん」

 

 司令室に入ると赤いシャツを着た巨漢の男性、この人が二課の司令風鳴弦十郎さん、俺に戦い方を教えてくれたいわば師匠のような存在でもある。

 

 俺がおやっさんに挨拶するとオペレーターの皆も俺に気付き挨拶してくる。

 

「「「「お疲れ様です、()()()!」」」」

 

「やめろぉ!俺はそんなものになった覚えはない!」

 

 オペレーターの悪ふざけの言葉に俺は怒鳴り返す。

 

「いえいえ、和真さんは間違いなくここのNo.2ですよ」

 

 そこへ翼のマネージャー、緒川慎二さんまでもが茶化すように話に入ってくる。

 

「いや、慎二さんや了子さんいるでしょ!?冗談じゃないっすよ!?」

 

「私は技術者だからねぇ、現場においては和真くんがNo.2で間違いないでしょ?」

 

 シンフォギアの開発者にしてうちの技術面を担当している櫻井了子さんまでそんなことを言う……。

 

 なんなんだ……この2年で俺への信頼がとてつもなく厚いものになっている。

 

「確かに司令官としてここにいなきゃいけない俺ではなく、現場でノイズと戦っている和真のようなやつが副司令にはあっている」

 

 そう言って俺の背中を叩くおやっさん。

 

「俺に何かあったら頼むぞ!」

 

「アンタに何かあるようなこと俺にどうにかできるとでも!?」

 

 俺の絶叫にオペレーター達から笑いが飛ぶ。

 

 そしてその中には昨日会話をした奏と翼もいる。

 

 この二人こそが二課に所属するシンフォギア装者、『ガングニール』装者、天羽奏と『アメノハバキリ』の装者、風鳴翼。

 

 ここに俺を加えた三人で基本はノイズと戦っている。

 

「ん?……カズマ、なんかいいことあったか?」

 

「なにがだ?」

 

 俺の顔を覗き込んで不思議そうな顔をする奏。

 

「いや、昨日よりスッキリした顔してるから」

 

 スッキリした顔ねぇ……。十中八九、響と未来のことだろうけど。昨日、あんなこと言った手前今更言うのもかっこ悪いし……。

 

「別に、なんでもねぇよ」

 

 

 

 

 そう答えた瞬間、警報が鳴り響く。ノイズの発生を知らせる警報だ。

 

 

 

 

「来た、か」

 

「朔夜、発生場所は?」

 

「はい。湾岸地帯の工業区画付近のようです」

 

 おやっさんの指示でオペレーターの藤尭朔夜さんがノイズの発生場所を絞り込む。

 

「よし、装者二名及び佐藤和真は直ちに現場に急行しろ!」

 

「うっす」

 

「ああ」

 

「承知」

 

 おやっさんの指示を受けて俺達はそれぞれ返事をする。出撃の前にふと、街の地図が映るモニターに目が行く。

 

 そういや、このへんって響の行きつけのCDショップからそう遠くない距離だよな……。

 

『今日はツヴァイウィングの新作CDの発売日なんです!』

 

「ッ!やべぇ……!」

 

 アイツの不幸体質なら巻き込まれててもおかしくねぇじゃねぇか!!

 

 俺はその可能性に気付くとすぐさま支援魔法で身体能力を強化し、『テレポート』の詠唱を始める。テレポートの登録場所から発生地点までそれなりの距離があるから、全力で走るためだ。

 

「カズマさん……?」

 

「『テレポート』使うならアタシたちも……」

 

「『テレポート』」

 

「「あっ!」」

 

 二人が呼び止めるよりも早く『テレポート』の詠唱が終わり俺は現場へと瞬間移動した。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

響サイド

 

 私はあの事件で受けた古傷から発せられた光で姿が変わり、ノイズから女の子を守るために戦っていた。このスーツのような姿がどんな力なのかはしらない。だけど、あのライブ会場で私を助けてくれた()()()()()()が纏っていたものと同じだった。

 

 この力ならノイズも倒せる。

 

 実際にノイズは私の拳に触れると吹き飛ばされる。

 

「おねぇちゃん、凄いっ!」

 

「下がってて、絶対守るよ!」

 

 後ろにいる女の子を守るために私は慣れない拳を振るう。

 

 だけど、ノイズは私の驚異に気付いたのか一気に迫ってくる。

 

 ーーーそういえば、あの人と出会ったのもこんな絶望的な状況だったな。

 

 その頃、私は毎日生きているのが辛かった。

 

 外を歩けば、人殺し、犯罪者、そんな言葉を送られ殴る蹴ると暴行を受けることが日常になっていた。

 

 何よりも辛かったのは、親友の未来が私を守ってを巻き込まれることが苦しかった。

 

 その日もたくさんの男の人に暴行を受けていた。そんなときだった、『その人』が私の前に現れたのは。

 

『この娘達がお前たちになにかしたのか?』

 

『あ?こいつは人殺しだぞ?そっちのは、その人殺しをかばった当然の報い……むぐっ!』

 

 その言葉を聞き終えるよりも早く男の人の顎を掴んで持ち上げて、鋭い視線を向ける。

 

『そんなことを聞いてるんじゃねぇんだよ……お前達みたいに無抵抗な女の子に一方的に手を上げたのかって聞いてんだよ、クソ野郎……!』

 

『なっ、何だコイツッ!』

 

『こいつもやっちまえっ!』

 

 そこからは一瞬だった、『その人』は向かってくる男の人の仲間達を次々となぎ倒していった。

 

 だけど、最初に顎を掴まれてた人が立ち上がり動転したのか懐から取り出したナイフをその人に向けた。

 

『糞がっ、死ねぇぇぇぇぇ!!』

 

『危ないっ!』

 

 ナイフを構えて突っ込んでくる男の人、だけど『その人』は避ける素振りも見せないでその場に立ち尽くしている。私は思わず目を閉じてしまった。

 

 ……目を開けると、そこには右手でナイフの刃を鷲掴みにしている『その人』の姿があった。

 

『痛ぇなぁ……。』

 

『その人』は口ではそう言っていたけど顔色一つ変えていなかった。男の人はその人の手のひらから流れる血を見て自分が何をしたのかわかったようで顔色を青くする。そして、その人は力の抜けた男の人の手からナイフを奪うと、

 

『確かに痛い、だけどこの娘達が受けた痛みはこんなもんじゃなかったんだろうなぁ……なんなら試してみるか?』

 

『その人』はナイフの柄と鋒を掴むとペキッと、まるで木の枝のようにへし折った。

 

『ヒィッ!』

 

 それを見て完全に腰を抜かし男の人に向けて、ナイフの刃を指に挟んで向けると。

 

『この娘達の痛みの千分の一でも』

 

『ヒッ、ヒィィィィィィィ!!』

 

 男の人は悲鳴を上げながら仲間を置いて走り去っていってしまった。

 

『……君たち大丈夫かッ!?』

 

 それを見届けると、『その人』は心底心配した様子で私達に駆け寄ってきた。

 

『はい、大丈夫です。でも、あの……。』

 

『私達よりも、貴方のほうが……。』

 

『ん?あっ……。』

 

 私達の視線でその人は自分の右手を見る。男の人のナイフを()()で掴んだせいでポタポタと血の流れる自分の右手。

 

『っ!いってぇぇぇぇぇぇぇぇ!!超いてぇえぇぇぇぇぇぇぇ!!!』

 

 自覚したことで痛みが戻ってきたのか手首を掴みながらその場でゴロゴロと転がって悶絶する人。さっき私達を救ってくれた人と同一人物とはとても思えない姿だった。

 

『あ、あの……。』

 

『大丈夫ですか?』

 

『だ、大丈夫、大丈夫……俺こう見えても肩に穴あけられたこともあるし、それに比べたら。っ痛ぅ!』

 

 そう言ってどう見てもやせ我慢な引きつった笑みを浮かべる『その人』に、思わずおかしさがこみ上げてきた。

 

『ふ、ふふ……。』

 

『響?』

 

『……やっと、笑ってくれたな』

 

 服の端を破いてそれを腕にきつく巻いてい止血すると傷がない方の左手をその人は私に差し出した。

 

『俺の名前は佐藤和真、君の名前を教えてくれるか?』

 

 それが私とその人、佐藤和真さんとの出会いだった。

 

 あれから私が困っているといつも助けてくれたあの人。私の憧れ。

 

 ……でも本当は私はその人をもっと前に知っていた。あの日、あのライブ会場で私は確かにあの人に救われた。私はの人に二度も救われたのだ。

 

 だったら私も……あの人みたいにッ!!

 

 襲いかかってくるノイズに拳を向けようとした瞬間、

 

「え?」

 

 光の鞭のようなものがノイズの前を走ったかと思うと、ノイズたちは爆発して粉々に砕け散った。

 

「ったく、お前は騒ぎの中心にいなきゃ気が済まないのか?」

 

 その声が聞こえると私の前に白いシルエットともに一人の男性がおりてきた。白い白衣をたなびかせて眼鏡の奥から憤怒の感情がこもった瞳でノイズ達を見る私の憧れの『その人』が立っていた。

 

『その人』はメガネを外すと、ノイズ達に視線を向けた。

 

「で?ウチの生徒に何してんだ雑音共?」

 

 カズマさんの怒りに呼応するようにあの人の手のひらでバチバチと黒い雷が帯電していた。




弦十郎が映画をもととした高い方なら和真さんはアニメをもとにした戦い方じゃあ!

カズマさんには趣味にギターを追加してアニソンとか披露させたいのですがどうでしょう?

  • いいんじゃない?
  • 駄目じゃない?
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