「って、響お前……それ……。」
「和真さん、なんでここに……。」
俺は響が纏っている、それ。『ガングニール』のシンフォギアを見て目を見開く。奏が纏うそれとは色が違うが間違いなくガングニールのシンフォギア。
「和真さん、後ろっ!」
「……『フリーズガスト』」
背後から近づいてきたノイズに氷結系の魔法を放ち氷漬けにする。ノイズは氷ごと粉々に砕け炭に変わる。
……どういうことだ、何故響がシンフォギアを纏っている。しかもガングニールだと……アレは奏が持っているはず。
『生きるのを諦めるなッ!』
「ッ!」
俺の脳裏に胸から血を流す今より幼い響に必死に呼びかける奏の姿が蘇る。
「あのときかぁ、クソッタレェ……!」
脳みその血管が千切れそうなほどの怒りが俺の中に沸き立つ。俺が地団駄を踏みたい気分でいると、インカムに通信が入る。
『カズマッ!いきなり飛び出して何をしている……いや、いまはそれよりお前の近くで新しいエネルギー反応だ!しかもこのアウヴァッヘン波形は……』
「……ガングニール、だよな?」
『ッ!!何故それをッ!?』
いや、何故も何も……その原因が俺の生徒で目の前で奏と同じガングニールを纏っているから……って言っても混乱するだけだよな。
「和真さん、またっ!」
「『ブレードオブウィンド』」
再び背後から近づいてきたノイズは俺が放った刃の嵐によって切り刻まれる。
「あぁっ!うっとおしいっ!!おやっさん取り敢えずこの雑魚どもを片付ける!話はあとだッ!」
『了解した、翼と奏もまもなく合流する。それまで持ちこたえてくれ』
「ああ、アイツラが間に合えばだけどなっ!」
俺は苛立ちを隠せない口調でインカムの通信を切る。
『暗器』スキルで懐に忍ばせていた愛刀『ちゅんちゅん丸』、いや、この世界で生まれ変わった、魔法の触媒としても使えるよう最終決戦のときめぐみんに渡した『マナタイト』の一つを刀身に打ち込まれた謂わば『ちゅんちゅん丸・真打』を鞘から抜く。
「まずは『デコイ』、『千里眼』、そして、『魔眼』」
刀を構えながらクルセイダーのスキル『デコイ』を使いノイズ達のヘイトを俺に集中させる。さらに『千里眼』で遠距離を見られるようにし、デュラハンの固有スキルである『魔眼』で死角をなくす。
「響、お前も聞きたいことがあるだろうが……今はその子を守っとけ」
「わ、わかりました!」
「それじゃ、始めようか……害獣共よ」
呼吸を整え、刀身に魔力を込める。
ーーー全集中、ヒノカミ神楽。灼骨炎陽。
剣閃が炎のような闘気を纏い、広範囲にノイズを薙ぎ払う。
この世界にはなく俺の世界にあった『鬼滅の刃』という漫画。その技の一つ、鬼と戦うために会得する特殊な呼吸法『全集中の呼吸』。おやっさんとの地獄のような特訓と魔王を倒したことによって得た職業『勇者』としての身体能力があって初めて再現できた。
ーーーおやっさんは『男の鍛錬は食事と映画鑑賞と睡眠だけで十分だッ!』とかわけのわからない理屈でとんでもない強さになった人だが、あながち其れは間違いではないかも知れない。だが、その特訓に付き合う中で俺は映画ではなく元の世界のアニメ、漫画を元にした戦い方のほうが割りに合っていた。
で、魔法を組み合わせたらできたしまった……あれ、俺人間やめてない?
そう思った瞬間、背後のノイズが手を伸ばして俺に迫る。
ーーーヒノカミ神楽、幻日虹。
『回避』スキルを組み合わせ、高速のひねりと回転による回避の呼吸で其れを回避する。
「『ライトニング』」
脇の下に指先を通し指先から放たれた雷が背後のノイズに穴をあける。全集中の常中でも魔法が使えないわけじゃない。
ーーーノイズ達の体は本来通じない刀でも魔力を通していれば貫けることがわかった。マナタイトを組み込んだ刀身、魔力を込めれば当然斬れるノイズを斬れる。対ノイズ用の日輪刀ってわけだ。
まっ、俺自身はシンフォギアと違ってノイズに触れれば即死だがな。
少し前の俺なら常に死と隣合わせの状況なら気が狂ってただろう、だが『多重思考』スキルのお陰で常に冷静でいられる。
ーーーヒノカミ神楽、烈日紅鏡。
左右対称の鋭い斬撃がのノイズ達を切り裂く。更に空中を蹴って走る。
「刀だからって近接戦しかできないわけじゃないんだぜ?」
『暗器』スキルで取り出した、ミスリルのワイヤーをちゅんちゅうん丸の尻についたフックに縛り付け俺を中心に嵐のように刃を振り回す。
ーーー手数の多さだけが俺の武器だ。故に練度ではなく、用途を増やす。無論練度は必要だ。だが、それは支援魔法である程度は補える。この二年で感覚は自分で言うのもアレだが超人並。
「『クリエイト・アース』」
前の世界でよく目潰しに使っていた土を生み出す初級魔法。しかし、魔力を込める量を調節するとそれは砂上の土ではなく小石状の石として作ることができる。更に調節すれば硬度も自由自在、それを空中に放り右足を高く上げる。
「シィィィ……ハァッ!」
高速で蹴り飛ばされた小石は弾丸となってノイズの体を貫いた。風穴を開けられたノイズたちは体が炭化してボロボロと崩れ落ちる。
「さぁ、終いと行こうか」
柄を強く握りしめ、刀身に魔力を送り込む。
ーーーあの世界で俺を兄と呼んで慕ってくれた少女、勇者の血を引く六花の姫君。『ちゅんちゅん丸』に彼女が使った最強の剣技スキル。本来なら勇者の血を引くものにのみ代々受け継がれる奥義、しかし、俺とて魔王を倒して勇者になったもの。使えても何ら不思議はない。
アイリス、力を貸してくれ……!
刀身が光を帯び、まばゆい輝きがあたりを包む。
ーーー其は竜すら滅ぼす一撃。
「『エクステリオン』ーーーッ!!」
光の斬撃がノイズ達を飲み込んだ。
「ふぅぅぅぅぅぅぅ……。怪我はないか響?」
「は、はい……問題ない、です……」
呆けた様子で響は答えた。政府公認で倒せないと言われていた存在を担任の教師が生身で倒したんだ。呆けないほうがおかしいか。
刀を肩に担いで一応『千里眼』と『敵感知』で周りにノイズがいないことを確認する。だが、代わりに聞き慣れたエンジン音が近づいてくる。バイクに乗った二人、翼と奏は拍子抜けしたような顔をしている。
「あ〜あ、一人で全部やっちまいやがって……。って、響!?」
「立花っ、その姿は……!」
「え?奏さんと、翼さん……?」
二人はシンフォギアを纏った響の姿を見て目を見開く、響も同様だ。……だが、奏の体が震えているのが感覚が強化された俺にはわかった。
ーーー俺は今日ほど、自分の感覚を恨んだことはないだろう。
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「ママ!!」
「無事だったのね!」
俺たちは現場の後処理のためにやってきた二課の人間が連れてきた、響が守っていた女の子の母親に引き渡していた。現在はオペレーターの友里さんが情報漏洩についての同意書にサインを書いてもらっている。
「じゃあね、かっこいいお姉ちゃん、それとおじさん!」
「元気でねっ!」
「お、おじさん……!?」
さり際に少女が口にした無邪気な言葉が俺の心を抉る。
おじさん……まだ二十歳なのに俺、おじさん……。
「和真さん、そろそろ……。」
「おじさん……俺、おじさん……。」
「和真さん?」
「あっ、慎二さん……なんすか?」
「彼女のことです」
そういって、対処班と一緒に現場に来た慎二さんは奏や翼と話している響の方を見る。おそらくは二年前のことを話しているのだろう。……国家機密のシンフォギアを纏ったんだ、なにもしないではい、さよならとは行かないよな。
「あっ、和真さん!和真さんにも聞きたいことがあったんです!二年前、私の傷を直してくれたのって和真さんなんですよね!?あの不思議な力で」
「あ〜、響。取り敢えず、落ち着こう。……そして、悪いな」
「え?」
前のめりに話を聞いて来る響。ガシャンという音とともに俺は『暗器』スキルで取り出した手錠を響の両手にはめた。
「すまんな、お前を特異災害2課に連行する」
「なっ、なんでぇぇぇぇぇぇぇえ!!」
響の絶叫があたり一面に響いた。
感想、評価お待ちしています。
カズマさんには趣味にギターを追加してアニソンとか披露させたいのですがどうでしょう?
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いいんじゃない?
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駄目じゃない?