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「あの……どこに向かっているんですか?」
二課の車の中で両手にわっぱをかけられた響が裁判所に向かう被告人の如き面持ちで隣に座る俺に尋ねる。
「言ったろ、特異災害二課……俺のもう一つの職場だ。いや、職場って意味なら変わらないんだけどな」
「それって、どういう……。」
「ほら、外を見てみろ」
「え、学院?」
腕を組みながら窓の外を顎で示すとそこは響にとっても俺にとってもよく見知った場所、リディアン音楽院だった。
「さっ、行くぞ。暗いから足元きぃつけろよ」
二課の黒服メンバー、そして、翼と奏とともに学院の中に入る。時間的にはもう誰も残っちゃいない時間だ。手錠をつけられているので誤って転んだりしないようにできるだけ響の近くを歩く。
「さっ、ここから降りるぞ」
金属製の横扉ーーー巨大なエレベーターに俺たちは乗り込む。慎二さんが持っていた端末をセンサーに翳すとピーンという認証音とともに扉が閉まりさらにシャッターが上下から扉を閉ざす。そして、エレベーターの壁から手すりがせり出してくる。
「響、しっかり捕まってたほうがいいぞ」
「え?」
呆けた様子の響の手を掴み手すりを掴ませる。
「響、お前絶叫マシンは好きか?」
「それって、どうーーーきゃああぁぁぁぁぁぁ!!」
いきなりエレベーターが急速で降下し響が絶叫を上げる。やがて、ガラス越しに凄まじいスピードでおりていくそれに驚きよりも珍しさを感じ始める。更に景色がかわりその景色が古代文明のような不可思議な文様が描かれたものへと変わっていく。懐かしいな、昔の俺もそんな反応だった。
「ゴメンな、響。こんなところに無理矢理連れてきて」
「いえっ、そんなことはないです!」
今まで口を開かなかった奏が謝罪を口にすると響は首をブンブンと横にふる。響にとっては奏は姉みたいな存在だからな。そんな響の反応で奏は笑みを浮かべるが、それが僅かな虚勢にしか見えなかったのは俺の気のせいではないのだろう。
「そろそろつくな、無理矢理連れてきて言えたセリフじゃないが意識をしっかりもてよ」
「えぇ、気を引き締めなさい。ーーーここから先、微笑みなど許されないのだから」
翼が俺の忠告に続くが、彼女が想像している『気を引き締める』は俺が思っているようなものではないだろう。
やがて、エレベーターが目的の場所にたどり着きその扉が開く。その光の先から見えたのは、
「ーーーようこそ、人類最後の砦、特異災害起動部二課へ!」
見えたのは、白いシルクハットをかぶったおやっさんとパーティグッズのドンドンパフパフとなる増えやら太古やらクラッカーやら、おまけに豪勢な食事やら。おまけに『熱烈歓迎!立花響様☆』と書かれた垂れ幕まである。……有り体に言って気を抜きまくってるパーティ会場とかしていた。
翼は疲れたように頭を抑え、奏は爆笑し、響は呆けている。
「だから、言ったろ気をしっかり持たないと気が抜けて意識が飛ぶ」
「あれ、そういう意味だったんですか!?」
うん、だって俺も初めてここに来たとき全く同じことされたからな。
「それにしても翼、カッコつけてたな……。なんだっけ?微笑みなど必要ないのだから、だっけ?」
「違うって和真、微笑みなど必要ないのだから(キリッ)だよ」
「おおっ、そうだった!お前似てるな、よし、今度は『ヴァーサタイル・エンターテイナー』!どう?声そっくりでしょう?」
「凄いなっ!翼の声まんまじゃん、魔法ってそんなこともできるんだ。」
「よし、それじゃ改めましてーーー『ここから先、微笑みなど必要ないのだから』(キリッ!)」
「もうやめてくださいっ!」
芸達者になる魔法まで使って完コピして真似ると翼が顔を真っ赤にして涙目で止めにはいった。
そんなことをしていると響に白衣を纏った了子さんが歩み寄って俺が作ってあげた先にスマホをつけた自撮り棒を持って、響の肩を叩く。
「さあさ、笑って笑って。お近づきの印にツーショットをーーー」
「い、イヤですよ!手錠をしたままの写真だなんてきっと悲しい思い出として残っちゃいます!」
「テンパってるなぁ……。」
「和真、そろそろ手錠外してやれよ」
「ん?ああ、そうか……手錠かけたの俺だったな」
奏の言葉に俺は懐を弄る。
「ええっと、どこだったかなぁ……。」
「あの、和真さん?」
「あった!ってコレ違う」
俺が取り出したのはちゅんちゅん丸だった。それをポーイと投げ捨てる。
「よっと、ありゃコレも違うな。ええっと、あれでもない、これでもない……あれ〜どこやったかなぁ?」
「ちょっと、和真さん!?」
「毎回思いますが、その白衣の中はどうなっているんですか?」
ダガー、爆発ポーション、ワイヤー、冒険者カード、予備の手錠、拳銃、扇子、お守り、家の鍵、一向に手錠の鍵が出てこない。その様子に響が俺の方を揺らして抗議し、翼は疑問を漏らす。
「悪い、無くしたわ」
「ええぇえぇぇぇぇぇぇえぇ!!!?」
「なっ!」
未だに俺の性格をよく理解していない響と翼が声を漏らす。
「ど、どうするんですかこの手錠!」
「そんなにあせんなって、ほら外れたから」
「え?」
俺の手にはさっきまで響の手を拘束していた手錠が握られていた。
「俺の特技忘れたか?」
「あっ、手品……。」
「ハハハ、相変わらず引っかかりやすいな響と翼は!まぁ、そのへんが可愛いんだけどな」
「わっ!」
「ちょっと、奏……!」
奏が驚いた様子の二人に後ろから抱きつく。ホント、似てない姉妹みたいだよな。
「あっ、あの……それでここは一体、それになんで皆さんは私の名前を」
「我々二課の全身は大戦時に設立された特務機関なのでね。調査もお手の物でね。それに君のことは和真や奏達からよく聞いてるからね」
そういって、おやっさんが持っていたステッキから花を咲かせる。ふっ、まだまだ青いな。今度俺がマスターした『花鳥風月』を見せてやるか。
「てか、おやっさん。調べたってアレ回収しただけでしょうよ?」
「アレ?」
「あぁ、了子くんあれを」
そう言って了子さんが取り出しのは、
「って私のカバンじゃないですか!」
そう、響が逃げてる最中に落とした私物を回収しその中身から己を特定されたのだと悟ると、ひったくるように奪い返す。
そして、おやっさんはハットを脱ぐと真剣な顔つきで響に向き直る。
「改めて、俺の名前は風鳴弦十郎。ここの責任者をしている」
「そして、私はできる女と評判の櫻井了子よ」
「ああ、こちらこそよろしくおねがいします」
二人からの丁寧な挨拶を受けると、響は丁寧に腰を折って挨拶をする。緊張が抜けないせいか、どこかぎこちないが。
「あっ、因みに和真はここの副司令だぞ」
「おい、ば奏」
「副司令って……ここで二番目に偉いってことですか!?」
「んなわけねぇだろ……ここの人が勝手に言ってるだけだ。」
奏のふざけた紹介で響が本気にしないようにすぐに否定した。だいたい、この人が司令で俺なんかが副司令……プレッシャーで胃に穴が空くわ。それにみんなが本気ってわけじゃないことくらいわかる。なにせ、おやっさんから正式に副司令になるかなんて、聞かれたことがないからな。所詮、俺はよそ者ってわけだ。
「コホン、さておやっさん響に話があるんだろ」
「あぁ、そのとおりだ。君をここに呼んだのは他でもない協力を要請したことがあったからだ」
「協力って……あっ!?」
響はおやっさんの言葉で先程の戦いで己が纏ったスーツと装甲、シンフォギアについての疑問が蘇る。
「ーーー教えて下さい、あの力は何なんですか?」
響の問いかけにおやっさんと了子さんは頷くと、一歩、二歩と歩み寄る。
「貴方の質問に答えるためにも二つばかりお願いがるの。一つは今日のことは誰にも内緒」
コレの意味は簡単だろう。国の特務機関が動いてる時点で守秘義務が発生するのは目に見えている。それ以前にこいつの頭で誰かに説明できるとは思えない。
「もう一つは……とりあえず脱いでもらいましょうか」
「え……?」
妙に艶っぽい声色で耳打ちする了子さん、そういったことに免疫のない響の頬がだんだんと染まっていく。
「了子さ〜ん、うちの生徒をあんまからかわんでください」
「あら?」
「えっと……。」
「ただの身体検査だよ、お前がどうしてあの力を使えたのか原因が体のどこかにあるはずだからな。友里さん、案内よろしく」
「わかりました。さっ、こっちですよ」
そういった友里さんに連れられて響は検査室に連れて行かれる。
「じゃあ、検査が終わったら呼んでくれ流石に教師の仕事の後で疲れてーーー」
「その前にお前には俺から話がある」
背後からおやっさんに後頭部を鷲掴みにされる。
「ワー、ナンダロウナ〜」
棒読みでこのあとの展開をなんとなく察した俺は視線で奏と翼に『助けてくれ』というアイサインを送る。しかし、二人はふてくされたようにそっぽを向くと。
「「自業自得(だろ)(です)」」
その言葉に絶望しながら俺はおやっさんに引きずられてその場をトレーニングルームへと連行された。
そして、
「独断専行はするなとアレ程言っただろうッ!」
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
その日、ゴツンという凄まじい音と俺の絶叫、おやっさんの怒声が二課の本部に響き渡った。
今回和真さんの持ち物の中で冒険者時代に使っていたあるものがなくなっています。一章のもう一人のヒロインとなにか関係が?
カズマさんには趣味にギターを追加してアニソンとか披露させたいのですがどうでしょう?
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いいんじゃない?
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駄目じゃない?