荒野の空、イジツの片隅、ユーハングの情景 作:星1頭ドードー
発動機が鳴り響く大空で、私の搭乗する隼一型が、上空で一機だけポツンと飛行を続けている。
イジツを大騒動に巻き込んだ手品の人がいなくなってから、空賊連中がイジツを好き勝手に暴れていてゆっくりと休む暇もない。
だけど、今日はお休み! だからこそ今日は大好きな本探しに没頭し、ラハマへと戻るその帰り道の出来事。
救難信号でもなく、照明弾でもない物が、空で大きな音を立てながら光り輝く。
「おー! あれって花火じゃん!」
どこかの町でお祭りでも始まるのだろうか、夕暮れ時の空に打ち上げられた数発の花火は、キラキラと輝きを放ちながら、儚く散っていく。
私はその光景を、上空から眺める事しかできないけど、とても綺麗だと思った。
「続きが見たい! けど、時間までにラハマへ戻らないとレオナに怒られる! あー、もうっ!!」
結局、最後まで見ることなく帰還を余儀なくされた私は、悔しさを覚えながらもスロットルを開くのだった。
そして、帰投した私はコトブキのみんなと食事会をしながら、先程の話を切り出す。
「さっき、ラハマへ戻る途中で綺麗な打ち上げ花火を見たんだよ! すっごいキラキラしてて綺麗だったなぁ~」
私がそういうと、レオナが珍しいと呟きながら反応する。
「花火が見れたなんて運が良いじゃないか。滅多に見られるものじゃないぞ?」
レオナの言う通りで、イジツでは花火が打ち上げられる事はない。
何故なら花火を製造する事が出来る技術を持つ人達が、極少人数しかいないからだそうだ。
ユーハングによりもたらされたとされる知識は存在すれど、製造には大変な手間がかかり、更にそれを上空へ打ち上げる為の技術が必要らしい。
私の隣にいるケイトが、淡々と説明してくれる言葉に耳を傾けているが、専門用語が飛び交っているため理解が難しい。
それを察したのか、ザラが私に説明をしてくれる。
「つまりね、あの花火の為に沢山の時間が必要だし、取り扱いも危険でいっぱい。とにかく大変って事なのよ」
ザラの説明は分かりやすいので、よく理解できた。
詳しい事は分からないけれど、ユーハングが遺してくれた技術によって花火を見る事が出来たのだから、それはきっと凄い事なのだろう。
「まだユーハングの方々がイジツにいらした頃には、花火大会が開かれていたと聞いた事がありますわ」
「確か、ユーハングだと夏の風物詩って言われていなかったか?」
「そうだった気が致しますわね。わたくし達が生まれる前の話しですから詳しくは存じませんが……」
「今ではユーハングに関する文献は殆ど残されていないからな。当時を知る者は人伝の情報しか知り得ない状況だ」
「そんな貴重なものを見る事が出来たのですもの。チカはとても運が良かったですわね」
「うん。すっごく綺麗だったよ!」
あの時見た光景を思い出しながら、私はみんなに向けて身振り手振りしながらその時の感動を伝える。
「あんな綺麗な光を見たのは初めてだよ!」
興奮気味に話す私をレオナ達は優しい目で見つめながら頷いてくれる。
「本当に綺麗だったのね」
ふと、視線に入り込むケイトを見つめると、何かを考え込んでいるようだった。
気になった私はケイトに声をかけた。
「どうしたの、ケイト? 何かあったの?」
「チカが嬉しそうに伝える姿を見ていると、ケイトも興味が沸いて来た」
少し考える仕草を見せた後、ケイトはこう告げる。
「ユーハングの技術で造られたという、夜空を彩る巨大な光を作り出す事は出来ないが、手元を綺麗に照らす小規模なものであれば作り上げる可能性はある」
ケイトの発言を聞いたみんなが、期待の眼差しを向ける。
「それって、ケイトなら作れるってこと!?」
そう問いかけると、ケイトはこくりと頷く。
「即席のものとなるが、チカが言うようなキラキラと光る花火を作ることが出来るだろう」
まさかの展開に全員が驚きを隠せない様子だ。
そんな中でも一番驚いているのは、キリエであった。
「ケ、ケイト……あの時みたいにお尻がチリチリする様なやつじゃないよね……?」
「大丈夫、即席爆弾とは違い火薬の種類や量が違う。手に持ちながら使用できる程度のものだ」
「それなら安心かな~、でもどんな風になるのさ? 気になる!」
「製造出来そうな物は三種類ある。火薬が尽きるまで火花を噴射する物、散らすように燃え尽きる物、音を楽しむ為に空へ打ち上げる物。全て手作りとなるが、どれがいい?」
どれも魅力的に思える。一つに絞るのはちょっと難しいかもしれない。
悩んだ末に出した結論は──。
「やっぱり全部欲しい!」
欲張りな私の発言にレオナ達が驚く中、ケイトだけは微笑んでくれていた。
きっと私ならそう言うと分かっていたのだろう。
ケイトの提案の元で行われた会議は食事会を終えた後も終わりを見せず、深夜にまで及んだ。
いつもならばレオナからお叱りを受ける時間帯にも関わらず、今回はそれが無かったことに私は内心驚いたと同時に嬉しくもあった。
多分だけれど、私のワガママを聞いてくれたレオナの優しさだったのかもしれないと思う事にしたのだ。
◇◇◇◇
翌日、ケイトは突然突拍子もない事を言い始める。
『花火を製造する際に、安全性を高める為にも、協力者が必要になる』
そう言った後に彼女が口にした名前は──―。
「おう! 来たな二人共! マダムから話は聞いてるぞ!」
私達に向かってニカッと笑顔を見せたのは、ナツオ整備班長の姿。
私に似て幼い見た目にも関わらず、どこか貫禄を感じさせる姿に、自然と背筋が伸びる思いだった。
「班長、頼んでおいた物は用意出来ただろうか」
「あたぼうよ! そこのケースに入ってるぜ!」
そう言いながら指差した先にはケースが一つ置かれており、中身を確認すると瓶が三本入っているのが見えた。
恐らくこれがケイトの言っていた材料なんだろう。
「黒色火薬だからな、安全な場所で作業しろよ?」
「了解した。感謝する」
「上手くいったらアタシらにも見せてくれよな!」
ケイトの言葉に満足した様子で親指を立ててくれた班長は、再び笑顔を向けてこの場を後にする。
その後ろ姿を見送った私達は、早速用意された場所へと向かうことにした。
向かった先は街外れにある小高い丘である。
そこには既にキリエとエンマが待ってくれていたようで、二人が手を振っている様子が見て取れた。
「遅かったじゃん、待ちくたびれたよ~」
「ご苦労様ですわ。マダムやレオナからは許可を頂けましたの?」
エンマの質問に対して私が頷くと、二人はとても嬉しそうな顔を見せてくれる。
「ここなら邪魔する物もないし、町から距離も離れてるから安全だよ。サブジーがいたらうるさいーって怒られるだろうけど!」
キリエの言葉を聞きながら周囲を見渡すと、確かに障害物になりそうなものは何もないように思えた。
これなら安心して作れそうだ。
「それでどうやって作るつもりなのさ? 花火ってすっごく大変なんでしょ?」
キリエの言葉にエンマが頷いた。私だって詳しい原理を理解している訳じゃないからだ。
ただ、ケイトが出来ると言っているのだから信じていれば問題ないはず! そう思ってケイトを見ると小さく頷き返しながら答えてくれた。
「比較的、簡単な種類から挑戦するつもりだ。まずは燃焼時間を長くさせる方法だが──」
そこで言葉を区切ったケイトは手に持っているケースを地面の上に置くと、瓶を見せた。
「この粉末は、木炭、硫黄、硝酸カリウムを混ぜて作られた黒色火薬である」
そう言いながら一つの瓶を開けたケイトは、灰色の粉を指先に付けながら説明をしてくれる。
「紙に包むことで導火線を作り、着火させる事で花火となる」
「こんなんで花火が作れるなんて不思議だねー」
まじまじと見ながら感想を呟く私に、更に説明を続けてくれるケイト。
「火薬といっても全てが爆発するような代物ではない」
「そうなの?」
疑問を投げかけた私を見た彼女は、首を縦に振った後で話を続ける。
「炎色反応を利用した花火は様々な色の花を咲かせる事になるのだが、それはあくまでも化学反応によって作り出された結果に過ぎない」
「……どういうことですの?」
ケイト以外はあまり分かっていない様子の私達に分かるよう説明する為か、今度は別の瓶を開けると中身を少しだけ摘まみ上げて見せるケイト。
「この粉末にはストロンチウムという物質が含まれているのだが、これはカルシウムと似た性質を持つ事が知られている。その為に──」
「ケイト! ストップ! 知識は分かったからそろそろ実践して見せてよ!」
思わず遮ってしまった私を誰が責められようか。だってこのまま聞いていたら日が暮れてしまいそうだもん!
そんな気持ちを知ってか知らずか、素直に頷いてくれたケイトは用意した紙に二つの粉末を少量のせて、ねじ込むような形で包んでいく。
「キリエ、空き缶を」
「ほい!」
そう言ってキリエから受け取った空き缶に水を少し入れた後、取り出したジッポライターで紙に火をつける。
「ちょ!? 大丈夫なの!?」
慌てて止めようとした私を制止するように片手で制したケイトは、まるで観察しているかのようにじっと一点を見つめていた。
勢いよく燃えるだけかと思われた紙は、徐々にパチパチと音を発し始め、数秒後には光を放つまでになっていたのだ。
「うわぁ……きれい……」
「すごいですわね……」
キリエとエンマが同時に同じ言葉を口にする中、光が収まるまで見守っていたケイトは静かに呟いた。
「ユーハングでは、線香花火と呼ばれているものだ」
「センコウハナビ……?」
聞き慣れない言葉に首を傾げる私とキリエを他所に、エンマだけは納得したように頷く仕草を見せる。
「なるほど……確かそのような名前でしたわね」
「エンマは知ってるの?」
「派手さはありませんが、儚げでありながら美しさを感じる花のような花火と聞いた事がありますわ」
流石お嬢様だけあって博識なエンマの話に耳を傾けながらも、私は目の前の小さな花をぼんやりと見つめていた。
次第にパチパチとした光を失いながらも、球体として輝きを放っている。
それが何なのかは知らないけど、不思議と心が落ち着いてくるような不思議な感覚に襲われていくのだった──。
やがて光は収まり、水が含まれた空き缶の中へと吸い込まれていくのを見つめながら一息つくケイト。
私の気持ちは落ち着かないままだった。
初めてみる現象とはいえ、今まで見てきたものとは明らかに違う感覚が私を支配しているのだから仕方ないだろう。
「──以上が実験結果となる。試してみたい者はいるか?」
そう告げるケイトに対して全員が手を上げるが、真っ先に手を上げたのは私だ! こんなにキレイなものを見せてもらったんだから私も作ってみたいに決まってるでしょ!
「では、ケイトが指示を出すのでそれに従って欲しい」
「ケイト! 紙にいっぱい粉末を入れたらダメなの?」
どうしても気になった部分を尋ねる私を見て、ケイトは首を横に振った。
「確かにその方がより強い光を生み出す事が出来るのだが、量が多ければ多いほど危険性が増す。何より一瞬で燃え尽きてしまい、楽しむ暇もない」
淡々と理由を説明した彼女の言葉を聞いて納得しつつ、指示通りに作業を進めていく事にした。
「だが、チカの言いたい事も理解出来る。三人が実験を成功させたら、次は勢いを楽しむ花火に取り掛かろう」
「やった! ケイト! ありがとー!」
喜ぶ私とは対照的に冷静なままのケイトだったけど、口端が少し上がって見えたのを見逃さなかった! なんだかんだ言ってケイトも楽しみなんだよねー!
◇◇◇◇
ケイトを除く三人が『センコウハナビ』を作り終えて、火を点ける準備が整った私達は、実験開始の時を迎えた。
「どうする? 順番で試してく?」
「えー! 折角だから同時にやろうよー!」
「それも良いですわね」
私が提案するとエンマも賛同してくれたので、三人同時に挑戦する事になった。
「それでは始める。危険を感じたら直ぐに手を離すように」
そう言ったケイトは、手際よくジッポライターで火を付け始めた。
「あ、ついた!!」
「わたくしもですわ!」
「上手くいくもんだね! 綺麗じゃん!」
私達が口々に喜びを表現していると、静かに見ていたケイトが口を開く。
「そろそろ変化が起こるので準備をする様に」
そう言われたので三人で身構えると、パチパチと光る花火の色に変化が訪れる。
キリエのは赤色で、エンマのは青色だった。そして私のはピンク色だったのだ!!
「機体やマークで使ってる色だ!」
「折角なのでパーソナルカラーが表現出来るように調合してみたが、成功して何よりだ」
「なんかすっごい嬉しいかも……!」
「ケイトの心遣いに感謝致しますわ」
自分のパーソナルカラーだと認識した途端、テンションが上がってきた私につられたのか、キリエもはしゃぎだし、エンマも楽しそうに笑う。
それぞれの色が混ざり合って一つの大きな円が出来上がる様子を見ながら、それぞれが思い思いの言葉を口にした後で顔を見合わせると、自然と笑みがこぼれていた。
そんな様子を微笑ましく見つめているケイトだったが、思い出したように口を開いた。
「言い忘れていた事がある。燃え尽きた球体が落ちるのが最も遅い者が優勝とする」
唐突に始まった決勝戦に戸惑いながらも、私達はそれぞれの炎を見つめたのだった──。
結果は、僅差で一番遅かった私が優勝だ。
最初に脱落したのはキリエなのだが、その理由は単純明快である。
「キリエって大人しくしているのが相変わらず苦手だよね!」
「うっさいよ! 急に優勝とかケイトが言い出すんだもん! あの瞬間から手が震えちゃって全然集中出来なかったんだよー!」
「集中力を高める為に少し緊張させようと思ったのだが、逆効果だったようだ」
「まあまあ、二人とも落ち着いて下さいまし」
私がキリエに対してからかうと、彼女は涙目になりながら言い訳を始めてしまう。
そんな姿を見てエンマが間に入って宥めてくれたので、ひとまず落ち着いたところで話を進める事にした。
「さて、優勝者にはケイトから渡したい物がある」
そう言って取り出した割り箸の先端部分には何かが取り付けられ、導火線のような物が伸びている事に気付く。
「……なにこれ?」
「以前、富嶽対策として利用したロケット弾の花火版である」
「シレっと危ないもの出さないでくれるかな!?」
「この先端には粉末を入れてある」
ケイトに思わずツッコんだ私だけど、悪びれる事もなく続けられた説明によって出かかった言葉が引っ込んでしまう。
でもまあ、言われてみれば普通の花火よりも火薬っぽい匂いがしないし、安全対策はバッチリって事だね!
「これを打ち上げれば、鳴り響く音を楽しむ事が可能だ」
「へー! 楽しそうじゃん!」
「勿論、人や家屋に向けて発射してはならない。火事になる恐れもある」
「そりゃそうでしょ!」
私はそう言いながらも、内心でワクワクしていた。
自分で作っている時に感じたんだけど、やっぱりキレイなものを作るって楽しいと思うんだよね! 完成した時とか嬉しかったもん! きっとケイトも同じ気持ちなんだろうね! そんな事を考えていたからか、無意識にニヤけてしまっていたらしい。
そんな私をケイトは静かに見つめていたけど、何かを思い出したかのように口を開いた。
「もう一つ、大切な事を伝える事があった」
「ん? まだ何かあるの?」
「チカ、誕生日おめでとう。ケイトの持つ知識でチカを楽しませる事が出来て嬉しく思う」
まさかケイトに誕生日の事を言われるとは思ってなかった為、嬉しさと驚きが入り混じってしまった。
だってさ、食事会の時にみんなから前祝をしてもらったけど、面と向かっていきなりお祝いされるなんて思ってもみなかったから。
「……えっと……その……ありがと……」
気恥ずかしさから俯いてしまいつつお礼を言うと、優しく頭を撫でられてしまったので顔を上げてみると、穏やかな表情を浮かべているケイトがいた。
普段は表情の変化が乏しいケイトだけど、こういう時だけは優しい顔を見せてくれる。
それがまた嬉しくて笑顔になっちゃうんだよね!
その様子をキリエやエンマが温かい目で見守っている事も知っているからこそ、尚更に幸せを感じるのだ。
でも恥ずかしいものは、恥ずかしいのだ! 照れ隠しをするように花火の準備を始めた所で、改めてみんなに話しかける。
「みんなありがと! 早速ケイトからのプレゼントを打ち上げようよ!」
「ほいほーい」
「すぐ行きますわ」
「了解した」
それぞれがそれぞれの言葉を口にしながら集まり、ケイトから借りたジッポライターで導火線に火をつけていく。
するとすぐに火花が出て来て導火線が燃え始めるので、慌てず騒がず距離を取り、その場でじっと構えた状態で待機する。
そしていよいよ花火へと火が届き始めたその瞬間──。
爆発音と共に、眩い光が青空の中へ吸い込まれて行った! それから数秒後に響く爆音と共にピンク色の綺麗な色の花を咲かせて見せたのだ──―。
それを見た私は歓声を上げ、みんなが満足そうにしている姿を眺めながら思った事は一つ。
こんな日々が続けばいいのになって願いを込めて叫んだ一言は、みんなの耳にしっかりと届いていたようで満面の笑みを返してくれたのだった。
#青空に舞うのは炎の華 おまけ
感動している私達を尻目にケイトは一人その場を離れて行き、その様子を見ていた私達は首を傾げる。
どうしたんだろうと思いながら見ていたら、先程打ち上げたロケット花火と同じ物を準備しておいたらしく、淡々と設置して点火していく光景を目にした途端、嫌な予感が全身を駆け巡った。
「ケイト! ストップ!! ストーップ!!」
慌てて叫ぶ私だったけど、時すでに遅しであった……。
大空へ打ち上げられたロケット花火は空中で弾け飛び、盛大な音を立てて炸裂したのだ! しかも一発だけではない! 次から次へと打ち上げられているじゃないか!?
「おーレオナやザラ、ケイトの色だー」
「これでコトブキ飛行隊が全員揃いましたわね」
「あははっ! まるで青空に花が咲いてるみたいだね!」
「ええ、とても美しいですわ」
「そういう反応なの!? いや、確かに綺麗だけどさ!」
私の言葉にザラとエンマが反応してくれたのは嬉しいんだけどさ、なんかこう違うんじゃないかなーって思うのは私の気のせいなのかなー? ちなみに今上がった花火の色は緑・黄・灰・赤・青・ピンクと色とりどりだったんだけど、それは別にいいの!
「これ絶対に後でレオナから怒られるパターンだよ!」
「火薬が湿気ってしまえば使用できなくなり意味が無くなる。なので問題ない」
「いやいや! そういう事を言ってるんじゃなくてさ!」
コトブキでは私にしか分からないケイトの表情は、どこが自信満々といった感じに自信に満ち溢れていた。
あーもう! なんでケイトってば変な所だけ頑固なんだかー! まあ仕方ないか……こうなったらやるしかないよね! もうヤケクソになりながら覚悟を決めると、声を張り上げる。
「たーまやー!!かーぎやー!!」
とりあえず私も乗ってみようと考えた結果、私の掛け声に合わせてみんなで空に目掛けて一斉に叫び始めた! それを確認した私は満足そうな笑みを浮かべつつも再び空を見上げると、大きな華を咲かせながら青空の中に消えて行く姿が目に映る。
「これはこれでいいかも……」
最初はビックリしちゃったけど、いざやってみたら何だか楽しくなってきて自然と笑顔が零れて来たんだ。
多分だけどみんなも同じだと思うんだよねー! さてと、次は何を打ち上げようかなー。
その後、何発ものロケット花火が打ち上がり続けたという……。
◇◇◇◇
レオナからは滅茶苦茶叱られて、マダムからは小一時間ほど無言で溜息を付かれちゃったけどね!