荒野の空、イジツの片隅、ユーハングの情景 作:星1頭ドードー
『集まったようだな。では、始めるとしよう』
『掃討部隊が結成されて以来、町や運送業を営む連中たちから挙げられていた、空賊における被害報告の減少は数字を見ていただければ明らかです』
『流石、と言ったところか』
『だが、順調すぎるという問題もある。空賊どもが手を組み、掃討部隊に対して大規模な反撃作戦を仕掛けてくる可能性も少なくない』
『その為のエース部隊。そして船長だ』
『報告を聞く限り、船長は上手い事やっているようだ。各飛行隊と友好関係を築きあげている。空賊どもによる反攻作戦が実地されたとしても、あの時の様な惨事は起こらないだろう』
『船長の場合、後の処理が大変だろう。彼女たちは我が強いからな』
小刻みに、抑えつけるように、皮肉混じりに、この場にいる者達の特徴を表すかのようにそれぞれ笑みを浮かべる。
『誤算とすれば、あの飛行船に怪盗団アカツキとゲキテツ一家が参入してきた事か』
『ゲキテツに関しては問題ない。先日『船長がゲキテツ幹部と共に極殺会のシマに乗り込み、釘を刺した』と草からの報告が来ている』
『マフィア同士の抗争に手打ちをさせ、シマの拡張を防いだと?』
『あぁ、我々とて治安維持が目的であれば多少の事は目を瞑る。だが、ゲキテツ一家がタネガシ以外へと勢力を伸ばそうとしているのであれば、排除も辞さない状況下であったが』
『それを察知し、未然に防いだのがヤツか……』
『ゲキテツはしばらく身動きがとれない状態に陥った。奴等は仁義とやらを大切にするからな。船長に借りを返すまでは大人しくしているだろう』
『問題は怪盗団アカツキだ。奴等が飛行船に乗り込んできた理由はなんだ?』
『調査を続けておりますが現在も不明。空賊掃討を拒否する事も無く、任務もこなしておりますので、正当な理由が無い限り部隊から追い出す事は不可能かと』
『我々が出来る事といえば、船長にアカツキの監視を強める様、指示を送るのみか』
『しかし、本当にヤツを船長にしてよかったのか? あの部隊に戦力を集めすぎたのでは? いつか我々に牙を向けて来るのでは?』
『可能性はある。だが、イジツの現状を見る限り、正攻法では終わりが見えないのが現実だ』
『毒を以て毒を制す。ユーハングの言葉だ。船長が我らに敵意を見せつけて来た時、世界が敵に回るだろう。無論、指揮下に置いている全ての部隊も奴を始末する為の敵へと変貌を遂げる』
『我々にそのような命令を下すような事にならないのを祈るのみだ』
アレシマは、度重なる争いが起きようとそれらを全て乗り越えてきた町だ。
時のうつろいにより多少の変化はあれど、今も変わりなく中央通りに並ぶ店に人が途切れる事が無い。
いつの時代でも争いの時には標的にされ、それでもアレシマ市立飛行警備隊の活躍により被害は最小限に止められている。
それはイケスカ動乱後も。彼等の手腕と能力には脱帽するばかりだ。
そして、私が率いる部隊の運営を担うエライ人達が所在する町でもある。
定期的に通信だけでなく顔見せを行わなければならない定例報告会。
呼び出しに応える為にも私たちはアレシマに停泊している。
そのお隣には、新造された第二羽衣丸の姿も。
現在、コトブキ飛行隊とハルカゼ飛行隊は、オウニ商会の仕事に従事する為、私の部隊から一時的に離脱をしている。
何を運んで来たのか、飛行隊二つと例の親衛隊の姿が見えた事から推測するに、ユーリアだろう。
ガドールを代表して各町の代表たちと話し合い。大変ではあるが、船長である私に出来るような事はない。
到着から一晩明けた朝。普段は着用していない帽子を被り、鏡の前で身だしなみを整える。
その後、直ぐに本部へと向かうわけではなく、飛行船内の酒場へと足を運ぶ。
そこにいる彼女たちから合格のサインを頂かないと外出もままならない。自分たちの船長が身だしなみを整えられない等と他人から思われたら彼女たちにとっても恥なのだろう。
実際、一発合格を貰えた事がない。時には制服を整えられ、時には帽子の向きまで弄られ、最後に必ずネクタイを締め直される。
本日担当のリガルは大変厳しい。髪型から靴の先まで全てにダメだしを食らい、彼女の手によって美しく整えられてしまう。
鏡を出されて覗き込むと、自分で整えたよりも遥かに良くなっているので何も言えない。
こんな事につき合わせてしまったリガルも大変だと思うが、妙にスッキリとした笑顔と、何かを補給できたかの様なツヤツヤ感を醸し出している。
これはリガルに限らずだから、最近は気にしない事にした。
そんな彼女たちに「いってきます」と伝える。返事を貰えるだけでも心が少し軽くなる辺り、自分もチョロイと思う。
この飛行船、美女と美少女しかいない。
本部に辿り着き、報告会の始まり。
こちらからの近況報告が終わり、本部から今後の基本方針と警告が含まれた言葉を受け取る。
アカツキの監視を強化しろと言われても。正直なところを言ってしまえば逆にこちらが監視されていると思われる出来事が多々あるのだが。
隠しておいた羊羹は食べられる。秘蔵の写真を前に裁判が開廷。お世話になったお医者の娘さんに栄養剤と称した何かを刺される。小さい頃は美少女で、大きくなって美人に育ったというのに好奇心旺盛なのは変わらない。
結果として現状維持するほか無いなという結論に達する。
仕事は数字として成果を残しているから、しばらくは大丈夫。
落ち着いた頃には空賊連中も減り、仕事として成り立たなくなれば皆はそれぞれの居場所に帰り、私はクビになる程度だ。
長話も無事に終わりを迎えた頃には、夕日が見える時間になっていた。
出掛けにアカツキは買い物とお茶、ゲキテツは集金と聞いていたが、時間的にも飛行船へと戻ってきているだろう。
その道中では、目玉が飛び出した黄色い鳥の様なキグルミを着た人がチラシ配りをしていた。
近づくに連れて聞こえてくる声と動き、彼女たちの活躍を考えればそういった活動をしなくても知名度はあるだろうに。
傍によるとチラシを渡そうとしてこちらを向き、変な声をあげて驚くカナリアくん。
中の人はいうまでもない、カナリア自警団の団長を務めているアコだ。
「もう! びっくりさせないでくださいよ! 船長!」
抜き足差し足で近づきすぎたようだ。謝罪しつつチラシを貰う。
そこには「イヅルマ所属のカナリア自警団をよろしくお願いします!」と書かれている。
あの騒動がありながらも仲間たちと乗り越え、彼女たちは自分たちの居場所を取り戻せた事に誇りを感じているようだ。
羨ましい。純粋にそういう感情を抱く。
「見てくださいよ! 船長! 用意しておいたチラシが全て終わりました! これもみなさんのおかげです!」
キモキャラ、もといゆるキャラのカナリアくんが嬉しそうに動く。
中にいるアコも満面の笑みを浮かべているだろう。
しかし、カナリア自警団の予定は模擬訓練だと聞いていたのだが……。
「あ、あはは……。も、もちろん申請書通り、模擬訓練は行いました! これは私が自主的に行っている活動……では駄目でしょうか?」
左右に分かれた目玉を持つカナリアくんで見つめないで欲しい。駄目だけどさ、許したくなるじゃないか。
頑張っている人には報われて欲しい。それが自分よりも若い人なら尚の事。
カナリアくんの頭に手を置いてぺちぺちと軽く叩く。アコならこれで答えが分かるだろう。
明日にでもアレシマの役所に謝りに行ってこよう。この様子だとココではチラシ配りも許可が必要なのを知らなさそうだから。
次回から気を付ける様に。
「ありがとうございます。船長。やはりきちんと申請するべきでした。すみません……」
よかよか、これでも一応君たちの上司なのだから。
それよりもチラシが捌けてよかったな。何枚用意しておいたのかは知らないが、全て配り切れるとは思わなかったよ。
これも日頃から自主活動で空を巡回したり、施設に慰問へ出向いたりしていた結果かな。
「そ、そうでしょうか。そうだとしたらみなさんの頑張りが結果として出せた事が嬉しいです!」
その中には当然アコも含まれているのだから、もう少し肩の力を抜きなさい。
アコはよく皆がと口に出すが、隊員たちだってアコが頑張っているから自分たちも頑張ろうとしているんだ。
余り自分を過小評価しすぎないで欲しい。君がいてこそカナリア自警団であり、君がいるからこそカナリア自警団に隊員が集ったのだから。
「……」
無言のカナリアくん。やばい、説教じみた事を口にしてしまった。自分が急激に歳を取った事を感じると共に申し訳ない気持ちで一杯になる。
どうすればご機嫌を取り戻してくれるかな。そもそもこのような状況になった事をミントにバレたら、再び両足が地面から離れるあの体験を味わう事になる。
落ち着かず、カナリアくんの頭を指でトントンと叩いていると、その先から笑い声が聞こえてきた。
「ごめんなさい。船長の困っている姿がなんだか面白くて」
いや、笑って許してくれるならこちらこそ有難い話だ。
自分の生命が保証された事に一息ついていると、カナリアくんがこちらに寄りかかる。
頭に乗せていた手はカナリアくんを抱きしめるような形へと変化する。
「船長って、なんだか父さんみたいです。って言っても私はあまり父さんと会話した記憶が無いんですけどね」
世代的にはアコのご両親より一回り下だと思うのだが、イジツでは年齢という数字が禁句に近いところがあるので何も言えない。
アコの父親、空の英雄と称えられイカルガ自警団の団長を務めていた人物。
母親は同じくイカルガ自警団の隊員だった人。二つ名はおっかないので省略。
あの騒動の後に、母上から何か聞かされたのかい?
「はい、父さんは事故で亡くなった訳ではなく、消息不明のままである事と『穴』が関係している事を……」
そうか、穴というものは本当に厄介だな。
今まで一部の者達により秘匿とされ続けていたせいで、忽然と消えてしまった人達は消息不明の扱いで死亡とされてしまう。
アコは……穴の先に向かい、父上を探しに行きたいと思う事はないのか?
「無いとは言い切れません。ですが今の私はカナリア自警団の団長です。自警団の職務を放棄してまで父さんを探し出せたとしても、会えた時に物凄く怒られてしまいますから」
そっか、アコは強いなぁ。
私だったらどうしていただろう。立場も環境も違い過ぎて何も思い浮かばないや。
穴に突入したところで会いたい人はもういない。そういう人達は手を伸ばしても届かない所に逝ってしまったから。イサオは除外とする。
「私なんか全然です。あの時も隊員のみんなに、飛行船の仲間たちにも大変お世話になりました。正しい事を行うのはどれだけ大変な事なのかを、それだけでは済まない事もあるという事を知りました。おかげで当初、アカツキやゲキテツの皆さんに対して接していた自分の態度が恥ずかしくなります……」
もじもじと身体を動かすアコ。これが生身だったら相当可愛らしい姿を見せてくれるのだろうが、私の目の前にいるのはカナリアくんだ。
若者の急成長を真直に見ていると、人間五十年の詞が頭によぎる。その割にイジツの老人はピンピンしているけど。
しかし、母上はアコに父上の事をお伝えしたのか。ならこれもアコに伝えても良いのだろうか。
駄目だった場合、アコの母上が搭乗する赤色に染められた紫電の一部とされてしまうが、頑張った子にはご褒美をあげたくなる主義なのだ。
それが、必ずしもご褒美になるとは限らないけれど。
「どうかしましたか、船長? 悩み事でしたら私でよければお聞きしますよ!」
ではお言葉に甘えて。
私がゲキテツ一家の首領に会う為、ちょいと無茶した時の事は覚えているかな。
「あの時は大変でしたね……『船長が空から降って来た!』なんて後からフィオさんに聞かされた時は疑いの目で見てしまいましたよ」
着陸するにも危険な場所だったし、なにより時間が惜しくてな。後部に乗せてもらっていたから脱出用のパラシュートでさっさと降りた方が色々と都合が良くて。
まぁおかげで穴に突入する前の離陸寸前だった首領に会えたんだ。その時に渡した物がある。
「渡した物……ですか、それは一体?」
穴の先に無事着いた後、行動しやすい様に協力者への連絡先、あとは現地の金銭と換金できそうな物だな。
身分証明書の一つも持ち合わせていないと結構面倒な世界だから。この話は長くなるからまた今度。
その中には、イジツで消息を絶った人達の写真も含まれている。
「そ、それってもしかして!?」
そういう事だ。上手く協力者と接触出来ていれば見つかる可能性は高いのだが、イジツと違って七割が海の世界だからなぁ。
まぁ余り過度な期待はしなっ!?
カナリアくんの頭がイイ所に突き刺さる。なんてクリーンなタックルだ。ミント以外からの攻撃で両足が地面から離れそうになるとは。
だが、これでも私は船長だ。指先に力を込めて踏ん張り、カナリアくんに覆いかぶさるようにして勢いを止める事に成功する。スクラム組もうぜ!
「船長……、せんちょう……、 せんちょぉぉぉ!!」
突如、身体を振り上げたカナリアくんに顎を揺さぶられる。
その瞬間、自身の足から力が抜けていくのが分かる。連撃だと、まさかこれ程の手練れとは。
地面に顔から落ちるかと思われた身体は、カナリアくんによって抱きしめられる事で逃れる。
くちばしの傍に埋められた顔。その隣からはアコが大粒の涙を流している姿と泣き声が聞こえた。
時々でいいから、内側に閉じ込めている感情も吐き出さないと、生きていくのが辛いから。
「大変お見苦しい姿をお見せしてしまい、申し訳ございませんでした……」
謝罪の為に身体を曲げるアコ。その際に髪が私の鼻孔をくすぐる。
私の頭はアコの膝の上に置かれている。生足で頭なんか置いたらくすぐったいだろうに。
あの後、アコを探していたカナリア自警団により私は飛行船へと運ばれたようだ。
医務室にいるカラン曰く『それはもう大変だったわ』等と小言を言われる始末。
倒れた事を謝罪しても、何かを言いたげにちょっかいを出してきたが、諦めたのか今はアコと二人だけだ。
僅かに腫れた瞼、赤くなったままの瞳。
伝えるには早すぎたか、泣かせてしまう結果になってしまった。
こちらからも謝罪を伝えるが、目を見開いて否定される。
「悲しかったんじゃないんです。嬉しくてどうしていいのか分からないまま、感情に任せてみたら、その……泣いちゃいました」
気恥ずかしそうに首を傾げながら頬を掻く。
よかった。悲しくて泣いた訳ではなかったのか。
「船長って不思議な方ですよね。その『英雄』と呼ばれている方だから、威厳とか、近寄りがたい雰囲気を持ち合わせているかと思っていましたが、なんていうか普通の……ってすみません! 決して悪い意味で言った訳では! あの! その! 私は好きですよ!! 船長の事を愛してますから!!!」
おい待て、この流れって例のヤツだろ!?
言葉の勢いでギュっとされた頭を横に向けて、医務室の出入り口を見つめると彼女が居るパターンだよね!? 怖いけど見るぞ!
「お姉様、お姉さま、おねえさまぁ、お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様!!!」
やっぱり居るホーーー!!
ギュってするだけじゃ誤解を解けない人種がいるホ!!
そもそも人の枠に収めてもいいのか分からない子が、扉の隙間からこちらを覗き込んでいるホ!!
「げぇ!? ミントさん!? こ、これは誤解……じゃないかもしれないけど誤解です!」
「良いんです、お姉様。私はお姉様の傍に居られるだけで……居られるだけでもぉー!!」
「なら何で逃げるんですか!? ミントさん! 待ってください!!」
私の存在を忘れるが如く、ミントを追いかける為に立ち上がり医務室を出ていくアコ。
思いっきり頭をベッドに叩きつけられた私。先程まであった、こう何ていうか……もういいか。
扉の先には、残されたカナリア自警団の面々。二人を追いかける訳でもなく、医務室へと入り込む。
「船長! お怪我は大丈夫ですかー? 団長に追撃を食らわせられたみたいですけど……」
「あらあら大変ね。頭をなでなでしてあげなくちゃ」
「エル、そんな必要なんて無いわよ。コイツは私を置き去りにするような奴なんだから!」
「船長、もうちょっと横に移動……しなくてもいいや」
私の事を心配してくれるのはリッタだけだ。また一緒に納豆ご飯を食べよう。あと弟さんに仕掛けた技を私にもしてくれ。後生だ。
エルは私の脇の辺りに座る。優しく沈むベッドの心地よさ、叩きつけられた頭をなでなでしてくれる。ママぁ……違う! 私はまだ嫁派だ!
あやうく堕落してしまうとこだったが、私の太ももを抓るシノのおかげで意識を取り戻す。指パッチン、現れた一輪のマーガレットをシノに渡す。あの時はごめん。そばが恋しくて。
こちらの状況なぞ露知らず。勝手気ままに布団に入り込み、私の隣で寝始めるヘレン。横を見れば綺麗なおべべが間近に迫る。下を見つめれば立派なお胸も。私の頭も置き場としては丁度いいと思いますよ。
「はぁ……。船長ってホント人たらしですよね。こうなる理由が理解できるせいで余計に腹が立つというか」
ついにリッタも私の魅力に気が付いたか。ふふっ自分の才能が恐ろしく感じる。
って待て、リッタまでベッドに乗り込んで、もう定員オーバーだぞ。また次回の時にでぇぇぇ!!
なんで今その技をかけるの!? ありがとうございます! そうじゃないから! 狭いから!
「船長が! こうして欲しいと!! 望んだからですよ!!!」
タップタップ!! 想像よりも痛いぞこれ!?
左手を動かせば、背中に腕が当たったせいで艶っぽい声を出すエル、いつの間にかベッドへ座り込んでいたシノのふとももの付け根を連打。
右手を動かそうとすれば、肘に当たる新触感。なにこれわたしはじめて。
暴れる腕が邪魔なのか、ヘレンに抱きつかれて右腕は拘束される。
歯を剥き出しにしながらも楽し気な笑顔で継続されるリッタの足技。鉄壁のガードでパンツも見えやしない。
定例報告会後という事もあり、脳味噌は既に疲労困憊。
そこにきてこの情報量。処理すべき出来事が多すぎて何がなんだかもう分からない。
だけど、彼女たちは私を嫌っていない事は分かる。
これで嫌われていたら、甲板ハッチを開いてダッシュジャンプをかまして飛行船から逃げ出そう。そしてマロちゃん一匹飼いながら静かに余生を過ごそう。
後はミントの暴走をアコが無事に止めてくれる事を祈るのみ。
あぁそうだ。いつもなら定例報告会後にルゥルゥとユーリアに挨拶しに行かなきゃいけなかった。
近くに居ると逆に会いに行くのが面倒になるこの現象は一体何なのだろうか。
面倒くさい。今日は許してもらおう。後日しこたま怒られるだろうけれど。
それでも、今はこの騒がしくて優しい空間に、身も心も委ねておきたいから。