甘党提督と響ちゃん   作:パティ

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新しい仲間

「そ、それじゃあ司令官としての訓練はほとんど受けて無いのですか!?」

 

お互いに自己紹介をした後、一通り施設を案内して執務室に移動した時、私は素っ頓狂な声をあげていた。

 

「そうなんです。なんでも戦況が思わしくない上に、教育できる人員に限りがあるとかで、基本的な情報を説明された後、すぐに配属先に行くようにと…」

 

「そんな…」

 

確かに戦況がよくないのは教わっていたが、ここまでとは思わなかった。本当に大丈夫かと心配していると、

 

「そんな状況ですが、工廠担当の艦娘と、任務管理と作戦立案を補佐してくれる艦娘は予定通り配属されるので、その人達と協力しながらやっていきましょう。それにいきなり敵の中枢へ行け、なんて作戦は来ないでしょうから焦らず力を付けていきましょう」

 

司令官さんが穏やかに言う。きっと不安が顔に出ていたのだろう。でも私は、

 

「はい…。電も頑張ります。」

 

ぎこちなく答えることしか出来なかった。

 

そんなやり取りをしていると、執務室の扉をノックする音が聞こえた。司令官さんの「どうぞ」の声がした後、2人の女性が中に入ってきた。

 

「失礼します。提督、遅くなってしまい申し訳ありません。はじめまして、軽巡大淀と申します。大本営からの任務の管理と作戦立案の補佐をさせていただきます。そしてこちらは…」

 

「ども!工作艦明石です。建造・開発等々、工廠関係は私にお任せくださいね!」

 

敬礼をした2人がそれぞれ自己紹介をする。大淀さんはキリッとした真面目な表情。対して明石さんは笑顔で元気よくと、自己紹介にも個性が出るなと興味深く見てしまった。

 

「はじめまして、本日着任しました佐藤 和洋です。新米ですがよろしくお願いします」

 

司令官さんも変わらず、にこやかに挨拶をする。

 

「ふーん。なんか予想してたイメージと全然違ったね、大淀!」

 

「勝手なイメージをしていたのはあなただけよ、明石。私は必要ない先入観を持ちたくないもの」

 

「ちぇー、大淀ってばお堅いんだから」

 

「そんなことより提督。このまま電さん1人では出撃も遠征もままなりません。そこで建造で戦力を増やすことを進言致します」

 

「おっ!いいじゃん大淀!早速私の出番って訳だね、腕が鳴るねぇ」

 

「…明石はこの通りの艦娘ですが、工廠関連の腕だけは確かですからご安心ください」

 

「あー!大淀の意地悪!そんなこと言わなくてもいいのにー!」

 

大淀さんと明石さんは長い付き合いのようで、時折軽口を挿みながら話を展開していく。司令官さんはその様子をクスクスと笑いながら見ていた。

 

「分かりました。では早速工廠で新しい仲間の建造をしましょう。明石さん、よろしくお願いしますね」

 

「はい!お任せください!」

 

明石さんは元気に答え、準備があるからと先に工廠へ向かって行った。私たちも必要な書類を持って、揃って工廠へ向かうことになった。

 

・・・

 

工廠へ到着すると準備はあらかた終わっていた。資料を手に明石さんが尋ねる。

 

「それで資材の投入量はどうしましょうか?多ければ戦艦や空母の建造が可能ですが」

 

「大本営から提供された初期資材は多くありません。戦艦や空母は強力ですが、資材の消費も激しいです。まずは最低量の資材で駆逐艦や軽巡洋艦を揃え、艦隊の安定的な運営を目指すのが良いと思います」

 

大淀さんの助言に司令官さんは「なるほど」と頷く。私もその意見に賛成だ。私たち艦娘は資材が無ければ海に出ることも、戦うことも出来ない。資材の確保は艦隊の行く末を決めると言っても過言ではない。

 

「そうですね。まずは最低限の量でやってみましょう。すぐに結果も見たいので、高速建造材の使用もお願いします」

 

「了解です!さあ艦隊初めての建造、行きますよー!」

 

資材が投入され、建造が始まる。私はドキドキしながらその様子を見守る。どんな艦娘が現れるだろうか、仲良くなれるだろうか、そんな事ばかり考えていた。

 

「おっ!この時間は駆逐艦で確定ですね」

 

明石さんが時間を確認して司令官さんに伝え、高速建造材を使用する。

 

そして、

 

「響だよ。その活躍ぶりから不死鳥の通り名もあるよ」

 

現れたのは暁型2番艦の響。薄い水色の長い髪がよく似合う女の子でした。

 

「ひ、響?響なのです!司令官さん!」

 

姉妹艦の建造に私は大はしゃぎしてしまった。さっきまでのドキドキは無くなり、その場で飛び跳ねる勢いだった。

 

新しい仲間を加えた私たちの鹿屋基地での生活は、こうして始まったのでした。

 

 

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