前回の投稿から……約四ヶ月?ですね。はい。
……いやもう本当にすみませんでした!忙しかったとはいえ、流石にサボりすぎました……。
次はこんなに遅くならないようにします!
では、戒龍伝の一話目です!楽しんでいってね♪
「───ぁあああああうぐっ!?」
気味の悪い空間へ落とされたアルトは、暫くの落下が続いた後に吐き出され、地面に背中を強く打ち付けられる。
痛む背中を擦りながら起き上がったときには、もう裂け目は閉じられていた。
「くそっ……なんなんだあの女……。結局名前だけ言って何も教えねぇのかよ……。それに、変な力は使うし、どこぞの二次元だよ……」
そんな愚痴を溢し、アルトは周りを見渡した。
そこは見渡す限り木と雑草が鬱蒼と生い茂る薄暗い森の中だった。
「……落とすにしたってこんなとこに落とすか? 普通……」
「もうちょっとちゃんとした所に落としてくれよ……」と、また一つ愚痴を溢すと、立ち上がって森の中を歩き始める。
その道中、アルトは周りを観察し開けた場所を探しながら考察する。
まず一番に思うのは、やはりあの紫と名乗る女性のことだ。
消えた記憶の中に八雲紫という名前は今となってもどうしても出てこないが、それでも話を聞く限り過去に関わりがあったことは確実だ。
だからこそ、初対面なのに懐かしさを感じられた。
これは分かるのだ。
だが、それと同時に感じた嫌悪感はなんなのだろうか。
女性自信も、それを分かってのうえか記憶の改竄までする始末だ。
どうやら相当拗れた問題があることが伺える。
これから先、その問題が面倒なことに発展しなければ良いなとアルトは思った。
そして、あともう一つ気になることがあった。
それは、この森に落とされてから感じる、またもや妙な懐かしさ。
例えるならば、上京してから久しぶりに地元に帰ったときに感じる懐かしさ、だろうか。
(まあ、そんな記憶も今の俺には無いけどもな)
そんなことを思いつつ、森の中を歩き進んでいた……その時だった。
「……!」
アルトは歩みを止めると、周囲に警戒心を高める。
歩き続けるなかで、ほんの一瞬ではあったが何かが雑草を踏んだ音が聞こえてきたのだ。
それも、すぐ近くから。
そして、アルトは確信する。
(何か……近くに居る……!)
そう思い当たった瞬間、アルトはその場から全速力で走り出した。
すると、ほぼ同じタイミングで近くから何かが飛び出し、アルトの後を追ってきた。
アルトはその
追ってきていたのは…………狼だった。
だが、狼と言うには大きすぎる。図体が自身の腰辺りを軽く越えているのだ。
こんなもの、捕まれば確実に食い荒らされるに違いない。
そして何より速い。あと数秒もすれば捕まってしまうだろう。最早無理ゲーだ。
だというのに、なんということだろう。
──狼は三匹も居たのだ。
(勘弁してくれ……!)
アルトは正面に向き直り、足を動かし続ける。
しかし、どれだけ逃げようとも捕まるのは必然。止まって狼たちを倒す力も無ければ、助けてくれそうな人の影すら見当たらない
即ち、己に待ち構えるのは──死のみ。
(クソッタレ、恨むからなあの女!)
自分を森の中に放り出した元凶であるあの女性に恨み言を言い、死を覚悟した……だが。
「……ん?」
そこでアルトは、ある違和感を覚えた。
追ってきている狼たちの足音が、少しずつではあるが遠ざかっているように聞こえてきたのだ。
アルトは違和感を確認するために振り返る。
なんと、狼たちとの距離が、一目で分かるほど離れていた。
そして、今も少しずつ距離を離しつつある。
つまりそれは、この短時間でアルトの身体能力が上がっていることを意味していた。
だが、アルトはそれに驚くことはなかった。
突如、自分の身に異変が起きたにも関わらず。
それどころか、アルトは思わず苦笑いを浮かべ、
(あ~なるほど……そういうことな……)
その時、アルトは理解した。たった今身に起きた異変も。
そして──異変に気付くと共に襲ってきた軽い頭痛の正体も。
「……そうと分かれば……逃げるか……!」
そう言い、アルトは走り続ける。
ときどき後ろへ振り向き距離を確認し、周囲へ警戒心を向けながら走る。
狼たちは全速力で追ってきているようだが、まったく追い付いてくる様子がない。
(よしよし、このまま行けば森を抜けられるな。そうなれば俺の勝ちだ……!)
アルトは、揺るぎ無い勝ちを確信した。
たとえ今不祥事が起こったとしても逃げ切れる、そう確信したのだ。
そして、倒れている木を避けるために飛び上がった──その瞬間。
「──グッ!?」
突如、アルトの横腹に強い衝撃が与えられた。
その衝撃に対応できず、アルトは吹き飛ばされ近くの木に強く体を打ち付けられた。
「ガッ……!? ……クッ……ソ……!」
痛む体を押さえながら、アルトは薄目を開ける。
目の前には、先程と同じ狼が一匹唸りながらこちらを見ていた。
(四……匹目……。完全に……油断してたな……。我ながら見事なフラグ回収だな……クソッ……)
そうしている間にも、狼はジリジリと距離を埋める。
残り三匹の狼が合流するのも時間の問題だろう。
立ち上がって逃げようにも、相手が噛みつく方が早い。
恐らく、近くの石ころをぶつけたところで怯むどころか、逆に精神を逆撫ですることになり容赦なく噛み殺しに来るだろう。
……つまり。
(完全に詰みだな……これ……)
アルトは苦笑いを浮かべると、木に凭れ座る。
そして、残り三匹の狼たちも合流し、完全に逃げ道を断たれた。
「……はぁ~……良いぜ、一思いにやれよ。もう逃げもしねぇからよ……」
アルトはゆっくりと目を閉じる。
暗闇に映るのは、お世話になった夫婦と、職場の人たち、そして……こうなった元凶である女だった。
(クソッ……マジでふざけんなよ……。死んだら化けて出てやる……呪い殺してくれる……!)
アルトは心の中でそう強く決意する。
そうして、狼たちは噛み殺さんと一斉に飛び掛かる。
アルトもそれを感じとり、反射的に身構え、死を感じ取った。
……だが。
『キャインッ!?』
瞬間、激しい打撃音が響き渡り、狼が苦しんでいるような声が聞こえてきた。
(……な、なんだ?)
その後も、刃物を振るったような風切り音が聞こえ、生々しい音が響き渡る。
時に顔に鉄臭い液体が飛んできた感覚も覚える。
そして、生き残った狼が弱々しい声を上げながら走り去っていく音が聞こえた。
(……終わった……のか?)
アルトは音が聞こえなくなったのを確認すると、うっすらと目を開ける。
そこには、銀髪でメイド服を着た少女が血の付いたナイフをもって佇んでいた。
(助けて……くれたのか……)
アルトは心の底から安堵し、少しだけ震える足を何とか立たせる。
そして、こちらへ振り向かない少女に向けて、アルトは礼を言った。
「すみません……助けてくださり、ありがとうございます……どうお礼をしたら良いか……」
だが、少女は振り向かない。
ずっと同じ方向を向いたまま、こちらを見ようとしないのだ。
「……あのぉ……なんでこちらを見てくれないんでしょうか……? その、お礼をしたいのですが……」
「…………お礼、ですか?」
ようやく言葉を発してくれた少女の声は、清楚であるがどこか凜とした声だった。
「(綺麗な声だな……)は、はいっ。その、自分に出来る範囲でですが……なんでもさせてください」
「…………大丈夫ですよ、貴方にとって簡単なことですから」
「…………えっ……?(どういう……意味だ……?)」
すると、少女はクスクスと笑いだした。
そして、振り返ってナイフに付いた血を拭き取り。
「…………一緒に来ていただけますよね……? アルト……ドラグレッド様……?」
ナイフの刃先を、アルトに向けた。
それに対し、アルトは顔を青ざめ、冷や汗を流して苦笑いすることしか出来なかった。
しかしそれは、
アルトは固唾を飲み、
「…………十六夜……
少女の名を、口にした。
◇
「いやぁ、驚いた驚いた。まさか、こんなところで咲夜嬢に会えるとはなぁ」
「……」
「最初にあった頃はスゲェ小さかったのに、いつの間にか大人になっちまって……いやぁ歳はとりたくないもんだなぁ、ははっ」
「……」
「とにかく、さっきは助かったぜ、ありがとうな咲夜嬢」
「……」
「……あの~……咲夜嬢……?」
「……」
「……(やっぱ……こうなるよなぁ……)」
アルトは今の現状に苦笑いした。
簡潔に言ってしまえば、今アルトは咲夜に縄で縛り付けられ、引き摺り運ばれている最中だった。
端から見れば異様な光景ではあるが、アルトに限ってはこうなる理由に心当たりしかなかった。
だからこそ、今こうして大人しく引き摺られているわけだが。
(……一応、逃げようと思えば逃げられるんだよな……)
しかし、今逃げたところで無駄だと分かっていた。
咲夜は必ず、逃げた瞬間
「(……まあ、自業自得だしな……大人しく着いていくか。それよりも……)なぁ……捕らえられてる身だけどさ、運び方もう少しどうにかならないか?」
「……首に縄をつけられて引きずり回されるのとどっちが良い?」
「ごめんなさいこのままで良いです……(選択肢一つしかないとか……)」
そうして、しばらくの間引き摺られていると、アルトは向かっている方向から強い力を感じ取った。
それも、一つだけではなく……四つも感じた。
そして、そのうちの二つは次元が違う。
(……ヤベェかもな……マジで……)
苦笑いを浮かべていたアルトの表情は、次第に焦燥で染まり冷や汗すら流れ始めていた。
「……もう少しで着くわよ。……あなたの、処刑場に」
「……みたい、だなっ」
「……フフフッ、声が震えてるわよ? どうしたのかしら?」
咲夜は、クスクスと笑い声を上げアルトに問うが、アルトには答えられる余裕すらなかった。
(何を今更ビビってるんだ……これは
そうして二人は、歩を進める。
◇
暫くすると、森を抜けある程度舗装された道から石造りの道へと景色が変わった。
つまりそれは、咲夜の向かっている目的地へと到着しつつあることを意味していた。
そして、アルトは首ごと振り返る。
視線の先には、真っ赤に染まった大きな館が鎮座していた。
アルトはそれを見たとたん、頭痛を起こした。
(グゥッ……、思い出すときにいちいちこの頭痛を感じなきゃいけないのか……。……数十年前と変わってないな……紅魔館)
アルトがそう思っていると、一つの気配を感じた。
そして、気配の正体を確認する前に、咲夜が気配の目の前で止まった。
「……帰ったわよ、美鈴」
「はいっ! お帰りなさい、咲夜さんっ!」
(……めい……りん……?)
「ところで咲夜さん、それはお嬢様方のお食事ですか?」
そう言い、咲夜が美鈴と呼ぶ女性らしき人物が、縛り付けられているアルトの顔を見た。
その瞬間、アルトを再び頭痛が襲った。
(ぐぁっ……! おもい、出し──っ!)
アルトが反応したときには、もう遅かった。
美鈴と呼ばれる女性は、怒り狂った表情でアルトへ向けて拳を振り下ろし──
「止めなさい、美鈴」
咲夜の制止と共に、拳はアルトの鼻頭に当たる直前で止まる。
だが、拳による拳圧で生じた暴風がアルトを襲った。
(……なんつぅ拳圧だよ……。
「……何故、止めるんですか……咲夜さん」
「……コイツを殺すのはあなたの役目ではないわ。……お嬢様のお役目よ」
「……そう、ですね。すみません」
美鈴はそう言い、アルトから拳を離した。
だが、アルトを見る目は憎しみに満ちていた。
「……お久しぶりですね、アルト・ドラグレッドさん?」
「……そうだな……
「……この世界に戻ってきてから行方不明だと聞いたので……死んだんだと期待していたんですがね?」
「そりゃすまんな。……運良く生きてたよ」
「そうみたいですね。……ですが、あと少しですね? あなたの人生は」
「……アンタ達にそれ相応のことをしたんだ、別に理不尽だなんて思ってない」
「……ならさっさと死んでくれ、この外道が」
それだけ言い残すと、美鈴は持ち場に戻っていった。
「……もういいかしら? 行くわよ」
「……あぁ」
そして、咲夜は門を潜り館へと入っていく。
なんだろ、中途半端な切り方した気がする……(´・ω・`; )
……ま、まあ諸事情でね、うん……。
さて、序盤から死にかけて助かってまた死ぬのが確定した気の毒な主人公ですが、頑張って欲しいですね!
感想、評価などしてくれるとありがたいです!モチベが上がりますんで!辛辣な感想でもOKですんで!
ではでは、また次回!早く投稿したいなぁ……