東方戒龍伝   作:血塗れ剣王

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大変お待たせ致しました!前回の投稿なら七ヶ月と少し経つんですね!いやぁ時間が経つのは早いなぁ!

……いや本当に申し訳ございませんでした。前回より遅れてるとかマジで反省してます。理由については後書きにて話しますので、とりあえず七ヶ月待たせた分お楽しみください!


二話 過去と罪

 敷地内にある広い庭を抜け、アルトと咲夜は館に向かっていく。

 途中に階段があったため、昨夜は致し方なくアルトを担ぎ上げた。

 

 

「ここは担いでくれるのな」

 

 

「私が引っ張りにくいからよ」

 

 

「まあ、だろうな」

 

 

 そうして、大きな扉を開けると、赤一色に染まった広いロビーがアルトの目を襲った。

 

 

(相変わらず目に優しくない内装だことで……)

 

 

 そんなことを思っていると、咲夜はロビー中央に向けてアルトを放り投げた。

 

 

「あだっ!? ちょっ、捕まってる身だけどもう少し丁寧にだな!?」

 

 

「これでも丁寧にやってるわよ。それともなに? 床に叩きつけてそのまま踏みつければ良かったかしら?」

 

 

「丁寧に扱ってくれてありがとう」

 

 

 アルトは笑顔を浮かべて礼を言うしなかった。

 そして、アルトは咲夜から目を離し、ロビー内を見渡す。

 

 

(内装に変化無し……数十年前となにも変わってねぇ)

 

 

 アルトがそんなことを思っている時だった。

 

 

「……覚えてるかしら? 私と初めて出会ったときのこと」

 

 

 咲夜が突然問いかける。

 アルトはそれに反応し、身体を動かし面と向かう。

 

 

「あぁ、もちろん覚えてる。……最初見たときは驚いたさ、まさか人間が、ましてやまだ十にも満たない子供がここ(紅魔館)でメイドとして働いてるんだからな」

 

 

「えぇ、そうね。私も思わなかったわ。まさか私が吸血鬼の住む館で働くことになるなんてね。……でも、一片の悔いも無いし、なによりお嬢様には心から感謝しているもの」

 

 

(吸血鬼……)

 

 

 アルトは、咲夜が口にした『吸血鬼』という言葉に反応した。

 もちろん、何故この言葉に反応したかは記憶の無い今、知る術はない。

 だが、アルトは感覚的に『己の犯した罪に関係する』ということを確信していた。

 

 

「だからこそ、私は貴方がとても憎い……!」

 

 

 その瞬間、突如何かが飛来しアルトの頬から鮮血が迸る。

 

 

「痛っ……」

 

 

 アルトは突然の痛みに顔を顰める。

 そして、アルトは咲夜の双眸を見つめる。

 

 

「……上手くなったな……ナイフの投擲」

 

 

「えぇ、あなたのおかげでね」

 

 

 そう言い、咲夜はアルトの眼前にナイフを突きつけた。

 

 

「私は、一度たりとも貴方のことを、『あの日のこと』を忘れたことは無かったわ。毎日毎日、貴方を殺すことを夢見て鍛え続けたの。……私は貴方を絶対に許さない……お嬢様に手を出したことを……私の家族を傷つけたことを!! 絶対に許さないっ……あの世に行っても後悔させてやる……!!」

 

 

「……」

 

 

 アルトは目を閉じ、咲夜の言う『あの日の出来事』を思い返す。

 そして、目を開いてこう言葉を紡いだ。

 

 

「……言われなくたって後悔してるさ……アンタらに『手を出さざるを得なかったことを』」

 

 

「……えっ」

 

 

 咲夜は、アルトの言葉に困惑した。

 目の前にいる男が、何を言っているのか全く理解が出来なかったのだ。

 何故、そんなことを言うのか。何故、心の底から悔やんでいるような顔をするのか。何故、何故だ? 

 咲夜の思考は、そんな疑問符で支配された。

 

 

「なんっ……どう、いう……」

 

 

 咲夜は、思わずそんな疑問を口にしていた。

 咲夜は混乱する。

 自分の知っているこの男は、外道だ。過去に家族を傷つけ、安泰を求めこの地にやってきた自分たちを追放した、そんな外道。

 だが、今目の前にいる男は、本当に外道なのだろうか。

 否、間違いなく外道だ。外道である筈なのだ。

 

 

(じゃあなんで……コイツはこんなことを言うの……? こんな表情……するのよ……?)

 

 

 咲夜は、思考し続ける。

 本来ならば、こんなことを考えず、アルトの言葉に耳を傾けることもなく、己の主に男の命を差し出さなければならないのだ。

 そう、それが普通、本来起こらなければならない事象だ。

 だが、先程向けていた殺意は何処へやら、咲夜はアルトの言葉に心を揺さぶられ、思考してしまっている。

 それは何故か。それは、違和感だった。

 己がアルトに向けていた外道という印象に、違和感を感じたからだった。

 何故、違和感など感じるのだろう、違和感など感じることなんてあるはずないのに。

 

 

(コイツは外道……私の家族の心と身体に傷を付けた外道なのよ……! なのになんで……なんでなのよ……!?)

 

 

 咲夜は思わず頭を抱える。

 違和感の正体を探ろうにも、濃霧がかかっているかの如く何も分からない。

 

 

(あぁもう……本当はこんなことしてる場合じゃないのに……!)

 

 

 今こうして思考している間にも、己の敬愛する主はメイドの帰りを待っている。この男を殺し復讐を果たす瞬間を、今か今かと心待ちにしているだろう。

 だが、感じてしまった違和感がまとわりついて、歩を進めることを拒んでいる。

 そして、今こうして頭を悩ませている原因である男を睨みつけた、その瞬間。

 

 

『許──な──言──い……だ──ら、その恨──必──ーし──てくれ……待っ──ーな』

 

 

「…………あっ」

 

 

 それは、咲夜がアルトと初めて出会ったときの記憶だった。

 断片的にノイズがかかっているようで、はっきりとは思い出せない。が、一つだけ確信できることがあった。

 この記憶を思い出したとき、己は──この男に恨みの感情を抱けなくなるだろう。

 咲夜は、あの出来事以来、館の者たちに教え込まれてきた。あの男を許してはならない、と。

 だから、恐らく、アルトに復讐をするという目的を果たすため、必要のない記憶を無意識に奥底へと追いやったのだろう。思い出してしまったら、アルトに復讐が出来なくなる、家族を裏切ることになってしまうと、そう思ったから。

 だからこそ、今の今まで強くなってこれたのだ。再びこの地に足を踏み入れ、幾多の強敵たちと対峙し、多くのことを学ぶ。そう、全ては復讐のため、家族の敵討ちのため。

 ──しかし、現実はいつどんな時でも残酷だ。

 復讐の炎は大きく燃え上がり、遂に復讐が出来ると思っていたその矢先に……奥底に眠っていた記憶が今になって這い上がってきたのだから。

 

 

(だ、め……)

 

 

 咲夜は、必死にそれを抑えこもうとする。

 しかし、そんなすら抵抗虚しく、記憶はどんどん這い上がってくる。

 

 

(いや……!)

 

 

 感じていた濃霧のような違和感は、這い上がってくる記憶と共にどんどん晴れていく。記憶にかかっていたノイズは次第に消えていく。

 

 

(お願い……止めてっ……)

 

 

「さ……咲夜嬢? どうした? おい、しっかりしろ! 咲夜嬢!」

 

 

 アルトの声は咲夜の耳には届かず、苦しそうに呻き声を発する咲夜は、強く頭を押さえつけ続ける。

 

 

(私は……私はっ……この、男をっ……殺す、の……だから……だから……! お願いだから……出てこないで……!)

 

 

 咲夜は、抵抗する。記憶を奥底へと押し戻そうとする。思い出させないでくれと懇願する。

 そして。そして。そして。…………そして。

 

 

「…………ッ」

 

 

「……え」

 

 

 アルトは、思わずそんな素っ頓狂な声を上げた。困惑した顔で、咲夜の顔を見上げる。

 十六夜咲夜は────泣いていた。

 大粒の涙を流しながら、顔を怒りに染めていた。

 

 

「咲夜……嬢?」

 

 

 そんな問いかけに、咲夜は涙を拭いながら。

 

 

「……大嫌い……」

 

 

「……?」

 

 

「貴方なんて大嫌いよ……思い出したくなかった……こんな記憶、ずっと思い出さなくても良かった!!」

 

 

「えっ……ちょっ、どうし──」

 

 

「貴方のせいで……私……お嬢様たちを、裏切らなきゃいけないじゃないっ……」

 

 

「……! 待て咲夜嬢、それは違──」

 

 

 咲夜の言葉の意味を理解したアルトは、咲夜に言葉を紡ごうとした、その瞬間。

 

 

「あら、随分と来るのが遅いと思ったら……そんなところで、何をしているのかしら?」

 

 

 聞き覚えのある声が、空間内に響き渡った。

 アルトは思わずそちらへと振り返り、そして目を見開く。

 同時に頭に奔る痛み……記憶が戻る感覚。

 アルトは思い出していた。今目の前にいる人物が、何者なのかを。

 

 

「よくもまあ、私の可愛い従者を……二度も泣かせてくれたわね?」

 

 

「……レミリア……スカーレット」

 

 

 そう、今目の前にいるのは、不死の体を持ち鬼の如き膂力と天狗にも劣らぬ速度を合わせ持った吸血鬼にして、圧倒的なカリスマ性を持つここ紅魔館の当主、《永遠に幼き月》レミリア・スカーレット其の人だった。

 

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 

 私が頭を抱え涙を流している中、たった今目の前で家族の仇であったアルト・ドラグレッドと、我が主であるレミリア・スカーレット様が対峙した。

 本来ならば、お嬢様の従者である私は、今すぐにでもこの感情を捨て去って加勢しなければならない。

 だというのに、未だに私はまだ動けずにいた。

 いや、動けないのではない……動こうとしていないのだ。何故か? その答えはもう出ている。私は、思い出したのだ、記憶の奥底に追いやっていた記憶を。

 そう……それは、私とアルト・ドラグレッドが初めて出会ったときのこと──

 

 

 その頃の私はまだ八才で、お嬢様に出会ってまだ約一年程しか経っていなかった。

 私はお嬢様に拾われ、本物の家族のような愛を与えてもらった。知らなかった世界を見せてもらった。色々な物を与えてもらった。全てが新鮮だった。

 だからこそ私も、生涯かけてお嬢様にお仕えし愛すると誓った。

 けど、幸せだった日々は永遠には続かない。

 私達の生活を脅かす存在……そう、吸血鬼ハンター達が迫っていることを、お嬢様は鬱陶しいと思われた。

 吸血鬼ハンターは、文字通り吸血鬼を狩る者たちのことを指し示す。彼らは吸血鬼を狩り、人間たちの平和を掲げ行動している──が、それはあくまで表の顔。裏の顔は、吸血鬼たちの持つ莫大な財産を強奪したり、翼を毟り(むしり)取るなどの拷問、複数人で押さえつけ我欲のままに犯すなど。言うなれば、吸血鬼ハンターとは表の世界では生き難い裏の世界の者が吸血鬼で欲望を満たそうとするサイコパス、その集団なのだ。

 

 そこで考えられたのが、幻想郷への移住だった。

 どうやら幻想郷の存在は、以前から調べられていたようで、何かあったときにはいつでも移住ができるよう準備も整えていたらしい。

 そして私達は、吸血鬼ハンター達が紅魔館を襲撃する半日前に幻想郷へと移住してきた。

 最初に見たとき、なんて綺麗な場所なのだろうと、幼かった私は目をキラキラさせて館の中から外を眺めた。

 そしてお嬢様は、ここ(幻想郷)を支配してやろうとお考えだったようで、移住してからまた半日……吸血鬼の力を本領発揮出来る夜の時間。私達を歓迎するように満月が妖しく光る、そんな夜に異変を起こされた。

 だが、ただの満月ではない。お嬢様の魔力により紅い輝きを纏った満月だ。

 その影響は絶大だった。ただえさせ満月の魔力に当てられ力を増していた一部の妖怪たちがお嬢様の魔力の影響を受け暴徒化し、幻想郷全体がパニック状態に陥った。

 これにより、幻想郷に住む人間たちが恐怖し、お嬢様の館へと許しを請いにやってきて、その代償に絶対服従を誓わせるというのが、お嬢様の計画だった。もちろん、私もその計画には賛成の意思を示した。

 これで幸せな生活が訪れる。私は心の底から歓喜した。それはその他の従者たちも同じ気持ちだった。間違いなく、その瞬間は幸せの絶頂に違いない。

 

 ──だが、その幸せは、半日と持たずに瓦解した。そう、たった一人の男の存在によって。

 

 それは、幻想郷への移住が完了し異変を起こし始めた、たった一時間後の出来事だった。

 突然の来客だった。私達は来客がきた瞬間に勝ちを確信した。

 しかしそれは……降伏の意思を示しに来た者ではなかった。私達と平和的和解を提案してきたのだ。

 その時対応したのは門前で来客を待っていた美鈴なのだが、当然首を横に振る。相手は平和的和解を提案はしたが、私達に服従はしないと明確な意思を表したからだ。そうなれば、和解は不成立。その先にあるのは争いだけ。

 お嬢様は、来客が従わない場合は力で捻じ伏せてでも服従させろと命令を下されていたため、美鈴は直様戦闘態勢に入った。

 当時の私はというと、館の中で他の妖精メイドたちと共に行く末を見守っていた。美鈴が構えたとき、私達は勝ちを確信した。周りの妖精メイドたちは、クスクスと笑い服従の意思を見せなかった来客を嘲笑っていた。それは、私も同じ気持ちだった。

 そして、戦いが始まった。私と妖精メイドたちは、美鈴に聞こえないと分かっていながら応援していた。応援などしなくとも勝てると思いながらも。

 しかし……優勢であった筈の美鈴は、私達が気づいたときには……体を地に伏せていた。

 当然私達は混乱した。間違いなく美鈴が優勢だった、負ける可能性なんて万が一にもあり得はしないと、そう思っていたからだ。

 だが、結論を言ってしまえば……美鈴は負けたのだ。

 それを理解した瞬間、私は走り出した。なんの為に?        そんなもの、あの男を止めるために決まっている。

 私は、走りながら横目で外を見る。

 男を止めようとしている妖精メイドたちが、触れられてもいないのに次々と倒れていく姿を視認できた。

「不味い」、私の頭に思い浮かんだのは、その言葉だった。

 

 そして、私はロビーへとたどり着き、屋敷に入ってきた男と対峙する。

 もちろん、美鈴より劣っていた私が勝てるなんて思っていなかった。ただ、時間を稼げればいい。美鈴が目を覚ます、その時間さえ稼げれば。

 だが、当時の私の力など、たかが知れていた。抵抗虚しく、満足に時間すらも稼がせてもらえず、結果的に消耗により私は地に伏せた。

 ……悔しかった。何も出来なかったことがただただ悔しくて、意識を手放す瞬間まで男を睨み続けた。

 

 そこからは、私が目を覚ましてからお嬢様たちから聞かされた話だ。

 結論を言うと……完全敗北だった。

 お嬢様すら手も足も出せず、降伏をしなかったためお嬢様の加勢に向かった者たち……そして、地下にあるお嬢様が命をかけてでも守りたいものを人質に脅しをかけてきたそうだ。

「今すぐ引き返さなければ、コイツらを消す」と、そう言ったそうだ。

 お嬢様は、それを了承された。怒りで腸が煮えくり返りそうになりながらも、私達を守るためにプライドを捨てて。

 私は、そのことを聞かされたとき……今まで感じたことがない程の怒りを覚えた。それは、私達を人質にしてまで追い返した男の非情さ、そして……何も出来なかった己自身への怒り。

 この日から、私は復讐を誓った。

 あの男に次退治したときは、必ず──必ず殺してやると。

 

 

 そうして、今日という日が訪れた。

 男を見たときは、心の底から歓喜した。あぁ

 やっと…………やっと長年の復讐を果たせるのだと。今すぐ殺してやろうと思った。殺して、お嬢様への土産として、この男の死体を持ち帰ってやろうと、そう思った。

 だが私は冷静になり、生きたまま持ち帰ることにした。本当は私が殺してやりたいところだが、復讐を果たさなければならないのはお嬢様の役目だと、そう思ったから。

 …………だが、それは失敗だったかもしれない。あのまま殺して死体を持ち帰れば、こんなことにはならなかったかもしれない。

 私は、思い出した。思い出してしまった。

 あの日……アルト・ドラグレッドに出合い、対峙し、敗北したあの日。悔しくて悔しくて、己の無力さを呪ったあの日。

 意識が薄れゆく中で、私は見た。私だけが知っているであろう、アルト・ドラグレッドが見せたその表情──罪悪感と後悔の念に今にも押し潰されそうになっているような、そんな表情を。

 そして、そんな表情を浮かべながら、口にした言葉。

 

『許してくれなんて言わない……だから、その恨みを必ず果たしに来てくれ……待ってるからな』

 

 もし、この男の目的が追放ならば、私に対し遠回しに戻ってきてくれと言っているような言葉を投げかけるだろうか? あのような表情を浮かべるだろうか? 否、そのようなことはあり得るはずが無い。私が同じ立場なら腫れ物を見るような目を向け「二度とここに来るな」と、そう容赦なく言葉を叩きつける。

 だが、この男は……アルト・ドラグレッドはそうしなかった。

 つまり、何かしら別の目的があったのではないだろうか? 

 わからない。今の私には、それを確かめる術を持ち合わせてはいないのだから。

 だがしかし、今、アルト・ドラグレッドを殺そうとしているこの状況で私が何をすべきなのかは分かっている。

 けれど、その行動はお嬢様……そして紅魔館に住む者たちへの裏切りだ。皆が懐き続けてきた恨みを果たすためのチャンスを無下にする行為だ。きっと、幻滅されるに違いない。

 それなのに私は……覚悟を決めてしまった。最愛の家族を裏切る、そんな覚悟を。

 そして、私は──

 

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 

「さぁ、死ぬ覚悟は出来たかしら? 言っておくけど……簡単に死ねるなんて思わないでよね?」

 

 レミリアは、縛られたアルトを冷徹な瞳で見下ろす。

 アルトの額には冷や汗が滲み出ていた。

 いくら殺される覚悟があるとはいえ、体はこの危機的な状況を感じ取っているのだ。

 だからといって、アルトは今更殺さないでくれ、なんて言葉は吐き出さない。これは、己が望んだことでもあるのだから。

 

 

「さて、それじゃあ移動しましょうか? 今から殺すとはいえ、綺麗なロビーを貴方なんかの血で汚したくないもの」

 

「あぁ……そうしてくれ」

 

「えぇ……さぁ咲夜、申し訳ないけれどもその男を連れてきてくれるかしら? ふふっ、これでようやく私達の復讐は果たされるわよ」

 

 

 そうして、レミリアがアルトに背を向けた──その瞬間だった。

 バシュッ。と、何かの切れる音が響く。

 レミリアは一瞬、何が切れたのか分からなかった。

 しかし、この様な状況の中で切れる物といえば、一つしかなく。

 

 

「……さく、や?」

 

 

 レミリアは困惑顔で振り返る。そこには……アルト・ドラグレッドを縛っていた縄をナイフで切断する咲夜の姿があった。

 

 

「はっ……え?」

 

 

 その光景には、縛られていたアルトすら困惑を隠せなかった。

 そんな二人を置き去りにして、咲夜は次々と縄を切断していき、遂にアルトを拘束していた縄は全て切り裂かれた。

 そして、それが終わったとき、ようやくレミリアとアルトの思考は現状を受け止める。

 

 

「さ……咲夜っ! 貴方、今自分が何をしているのか分かっているの!?」

 

「さ、咲夜嬢……マジで何してんだよ……なんで……」

 

 

 二人は困惑を露わにしたまま、咲夜へ言葉を投げかける。

 咲夜は二人の言葉を聞くと、その場に立ち上がりレミリアと目を合わせた。

 

 

「申し訳ございません……お嬢様……」

 

 

 そう言うと、咲夜はレミリアからアルトを守るかのように前へ出て。

 

 

「私は……十六夜咲夜は……アルト・ドラグレッドへの復讐を、反対致します」

 

 

 そう、真っ直ぐな瞳で答えた。

 

 




はい、というわけでどうだったでしょうか? 読んでくれた方に「続きが気になるっ!」と感じられる切り方が出来たら良いなぁ。

まぁそれは置いておいて、前回からかなりの日数が経った理由をお話いたします。最初のニ、三ヶ月に関しては普通にサボってましたごめんなさい……。それで残りの約四ヶ月は何をしていたかというと、自分なりに小説が書きやすい方法などを探していました。今まではスマホで書いて投稿、という形をとっていたのですが、なにせ他のアプリの通知などが気になって集中が出来なかったんですよね。だから別の方法を探そうと思い至りました。

「だからって四ヶ月もかかるの?」という疑問を持たれた方もいらっしゃるでしょう。これは単に忙しかったのと、その忙しさのあまり考えていた文などを書き写す時間がなく結果的に忘れてしまってまた考え直し、というのを繰り返していた結果です。だからもしかしたら今回の話は少し読みにくいと思われても仕方ないと思っております。一応、投稿する前に確認はしたのですがね……。

こんな長文を書きましたが、最初のニ、三ヶ月に関しては反省しているので許してください……。全部○神が悪いんだ……(ボソッ)

というわけで、次回こそは!早めの投稿を心掛けますのでお待ち下さい!
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