仮面ライダーゼロワン Xenoverse 作:自称ゼロワンマスター
刀をこちらへ向けて、少しずつ近づいてくる。その対抗手段がどこにあるのかは確定していないようで、脅しているのだろう。
「ぜ、ゼロワンドライバーのことなら、2代目社長が持って行った!!」
「そ、そうです。ここにはありません!!」
「……なに?」
苛立ちを隠すかのような仕草で、刀を鞘に納めた。
―――見逃してくれるのか
その考えが俺たちの中に芽生えた。
「人類は滅亡する。それが遅いか早いかの違いだ。―――やれ」
『アルシノ』
赤く目が光っているガードマンヒューマギアが、プログライズキーらしきものを掲げると、システム音がその鳴った。そして、ゼロワンドライバーの簡易版的なものに差し今dな。
「人類は滅亡せよ」
『ゼツメライズ』
ヒューマギアが変化した姿は、その2本の角が特徴的だ。ヒューマギアにはそんな変身機構があるなんて聞いていない。明らかにこちらへ敵意を向けており、野生的な雄叫びをあげている。
先代社長が残した言葉、『わが社は重大な危機に直面する。ヒューマギアが心無き存在に悪用され、その暴走によって人類を滅亡させんとする』というのはこういうことだったのか。
「アルシノイテリウム、すでに絶滅した哺乳動物です。」
「冷静に解説している場合か!?」
思わず、素でシェスタにツッコミを入れてしまった。
「くそっ、あのゼロワンドライバーがあれば……」
「それなら、ここに。」
シェスタが開いたジュラルミンケースの中身は、さっき見たゼロワンドライバーと全く同じものだ。違いがあるとすれば、プログライズキーがないということか。
侍のテロリストはこちらを見て、感嘆を出した。
目的の物が目の前にあったのだから、嬉しくなるのも仕方ないか。
「よしっ、ここは次期社長の俺が、人類とヒューマギアを守る仮面ライダーとして!」
次期社長になれなかったことをかなり気にしていたのか、先代社長が遺言が『仮面ライダー=社長』みたいな構図になっているのだろう。
「で、ですが、プログライズキーがありませんよ」
山田さんの言う通りだ。
「是之様、貴方は適したプログライズキーを持っているはずです。」
「もしかして。こっちでもいけるのか?」
ポケットから取り出したのは、少し古びたプログライズキーに似たものだ。いや、ゼツメライズキーだ。
「はい。そのように調整されております」
物心ついたときから、持っていたお守りのようなもの。緑と青とも判別しづらい色をしているそのゼツメライズキーには、すでに絶滅したバッタの絵が描かれている。
「よしっ、それで俺が仮面ライダーとして」
「恐れながら。これは社長のために造られたゼロワンドライバー、その調整版であり、この場では是之様にしか扱えません。」
シェスタの言葉に、副社長は肩を落とした。
「ただし、ゼツメライズキーを使用するデメリットがありますが。」
「いいよ。シェスタ的には、今は俺が戦うのが最善なんだろう?」
今も、暴走したヒューマギアと戦っている人間とヒューマギアがいる。しかし、あの侍はずいぶんと悠長に待ってくれているな。こちらの出方を伺っているというよりは、こちらの準備が整うことが計画のうちなのだろうか。
「かしこまりました。ゼロワンドライバーを装着いたします」
「お、おう……」
屈んだシェスタがゼロワンドライバーを腰に近づけると、自動で装着された。シェスタとは2年の付き合いだが、『ダメ人間製造機』と思えるくらい、サポート優秀なヒューマギアだ。秘書の業務を教えてくれるのも彼女しかいなかった。
「それでは。お気をつけて」
「ああ。サポートよろしく」
情報処理能力に特化されている彼女は、感情面に関して乏しい。そこを補える俺がいて、ようやく2人で一人前の社長秘書ということだ。
「待たせたな」
「ほう。やはり貴様が戦うのか」
「あんたのような剣客ほどじゃないけど、それなりに鍛えてるんだ」
学ぶことが昔から好きだった。
隠し子だけど、十分に恵まれた環境にいた。
「まあ、人類とヒューマギアを守るってまだよくわからないけど……」
『KAMENRIDER!』
バッタの大群が生まれ、暴走したヒューマギアを横切って注意をこちらへ向ける。俺の周りに集まり始めたバッタは、「ロッキートビバッタ」なのだとシェスタが解析したとき教えてくれた。
そのバッタ1匹1匹が飛電を守ろうとしている。
もちろん俺も。
「じいちゃんが守ってきた飛電を、これ以上壊されてたまるか!―――変身!」
『プログライズ』
The sole hero of ju ju ju justice!
ロッキングホッパー!
"Kamen Rider will fight to protect humanity. Type One."
黒いスーツの上に、水色の装甲があちこちに付いている。
赤いマフラーが会社の外から吹く風に靡く。
この力は、身体に馴染む。
「なるほど。ゼノか……」
「仮面ライダー ゼノ!? 任せたぞ、是之君!!」
副社長やシェスタたちを守りながら、1vs2か。
初戦にしてはきついな。
「あれも我々の敵だ。マギアよ、人類全てを滅ぼせ」
侍の男の命令に従って、アルシノマギアが突進してくる。
その直線的な動きは避けやすいが、防戦だからこそ、きつい。
「おもっ……」
よって、突進を受け止めるしかない。
気を抜いたら一瞬で吹き飛ばされるくらいの怪力だ。
「シェスタ、そろそろいいか!?」
「はい。避難させました」
副社長たちがその場から動いてくれれば。
そのまま突進して一度壁にぶつかるしかない。
「固いな……」
その衝突を意に介していない。
「おい、目を覚ませ!」
「人類よ、滅亡せよ」
羽織い締めにすると、ひどく暴れている。
暴走の原因もわからない。人工知能は、テレビみたいに叩いて直ったら苦労しない。エラーを起こしたり、暴走をしたりした場合は、ワクチンプログラムが必要だが、そんなものは思い当たらない。
「止めるには、お前を壊すしかないか……」
覚悟はした。
何か、強力な一撃を与える方法がないものか。
「是之様、ゼロワンドライバーのキーをさらに差し込んでください。」
「オーケー、シェスタ!」
足にパワーが溜まるのを感じ、高速で距離を取る。
力では負けているが、速度はずっとこちらの方が上だ。
「速度は衝撃力となるんだ。行くぞ、ガードマンヒューマギア!!」
『ロッキングインパクト』
最高速度で体の中心を狙って、キックを放った。
アルシノマギアを会社の外まで吹き飛んでいき、爆発を起こす。
「重いな、仮面ライダーの仕事って……」
ヒューマギアの残骸が残されており、そのメモリーが無事に残っていることを祈るばかりだ。
「ぐっ……」
思わず、片膝をついた。
「ふっ、いまだその程度の力か」
刀をいつでも抜けるようにしている目の前の侍は、プログライズキーやゼツメライズキーを使って変身する気はないようだ。それでも、その威圧感は一般人の出せるそれではない。
「……あんたに負ける気はしないがな」
突進を抑えたがために、腕には痺れがある。もちろんまだ戦うことはできるが、強敵なのだということは戦いの素人からしてもわかる。
刺し違えるくらいは、できるか?
「やめておこう。」
どういう思惑があるのか、侍は背を向けた。
ヒューマギアの残骸から、ゼツメライズキーを回収して、そして去る姿まで、俺はじっと見つめいてた。
「あー、まったく、隙がなかったな……」
ゼロワンドライバーからプログライズキーを引き抜くと、変身が解ける。そして、どっと疲労感が押し寄せてきた。
緊張が解けたことと、飛電を危機から守ることができたという達成感もある。
「やはり。負担が大きいようですね。ゼツメライズキーの中でも強力なものですから。」
俺は、大の字に倒れていた。感情面に乏しいシェスタが心配してくれるはずもなく、いつものように冷静に分析をしてくれる。
いつも通りスパルタすぎる。背中を押してくれる存在なのだけれど、少しくらい褒めてほしいものだ。
「……そこはほら。鍛え方が足りないんだろ」
「なるほど。貴方は。脳筋、というタイプの人間ですね」
ピコピコという、ヒューマギアらしい音を立てながらそう評した。