僕のヒーローはハードスーツを着ている 作:壁のほこりバスター
ヒーロービルボードチャートJP。
簡単に言えば日本におけるプロヒーローの人気ランキングだ。
年の内、上半期、下半期に分かれ発表され、その発表は報道機関によって大々的に行われる。
国外でも、それぞれの国々がヒーローランキングを発表し、決まってそれは注目イベントとしてお祭り騒ぎとなるものだ。
上位ランク入りする事はプロヒーロー達の間でも一つの目標とされ、トップ10以内にランクインすればそれはもう、一国の権力者よりも著名になれて様々な企業からも広告塔として人気は引っ張りだこ。
そんな、プロヒーローにとっての一大イベントであるが、今期の発表は特に重要度が高い。
オールマイトが神野区テロの件で引退に追い込まれ、そしてその混乱によって上半期のランキング発表は有耶無耶。
久しぶりのランキング発表と、そして伝説のヒーロー・オールマイト引退後初のチャートという事で、何と今期ランキング発表は実際にプロヒーロー達をスタジアムの壇上に招いての豪盛なものとなった。
もともと人気イベントだったのに、今回は本人達が登場するという事で盛り上がりは鰻登りで、後のテレビ局各局の調査によると瞬間最高視聴率は何と82%をマークしたという。
警察庁もヒーロー公安委員会も、今回のビルドボードチャートを重要な節目と捉えているのは明らかで、余程の事情が無い限りスタジアムへの招集は厳命とされていた。
平和の
テロの頻発。
ハッキリと目に見える形での日本安全神話の崩壊。
密かに民衆間に流行り始めている昔のトンデモ本〝異能解放戦線〟の存在。
オール・フォー・ワンの元で製造されていた人造のヴィラン〝改人〟の存在。
動揺しカルトに傾倒しつつある世間を鎮めたい…国家のそういう思惑が存分に発揮された〝見世物〟…それが今期ビルドボードチャート発表会であった。
「あは♪男前に映ってるわね」
マンションの一室。リビングのソファーで寛ぐ岡に、背後からもたれ掛かってきた女性が囁いた。
女は薄手のインナーの上にややダボついた白いニットワンピースを着ている為に、一見して裸にセーターだけを着ているような扇情的な姿である。
付き合い当初…高校の頃から彼女は同年代の少女より豊満でスタイルは良かったが、長い付き合いの中、肌を重ねるコト数百…ではきかず数千回はいっている。
元々スタイル良し美人だった女が、更に妖艶な女として花開くには充分な女性フェロモンを、パートナーに愛される事で満たし続けたものだから今現在の彼女の美貌とスタイルは悪魔的だ。
岡は、そんな彼女のやや跳ねっ返りな髪質を楽しみながら撫でてやれば、女は普段はやや鋭い切れ長の目をふにゃりとさせる。
「…またこの録画か。これでもう4度目やぞ…チャンネル変えてえーか?」
「だーめ」
女性…プロヒーロー・ミッドナイトは女としての素の顔、香山睡の表情で笑う。
テレビ画面の中ではプロヒーロー達が紹介され、トップ10のヒーローには個別にインタビュータイムまであって、ヒーローとしては最高の宣伝舞台だった。
皆が興味津々で見守ったランク発表ではあるが、大方ほぼ予想通りで誰もが納得のランキング。
しかし、ランク入りを予想されていた、子供達からエゲツない人気を誇る〝洗濯ヒーロー〟ワッシャがトップ10入り逃したのは一部ファンには小さい衝撃だったようである。
通による分析によれば、子供人気が『タフでハードなピンポンマンの相方的ポジションの癒やし系関西ヒーロー・ファットガム』にも予想以上に流れてしまい、結果、13位にウォッシュ…14位にファットガム、と完全に子供票が二分割されたのが原因であろうとの事。
蓋を開けてみれば…
No.10、〝ドラグーン・ヒーロー〟リューキュウ
No.9、〝具足ヒーロー〟ヨロイムシャ
No.8、〝気鋭の新樹〟シンリンカムイ
No.7、〝シールドヒーロー〟クラスト
No.6、〝勝ち気なバニー〟〝ラビットヒーロー〟ミルコ
No.5、〝忍者ヒーロー〟エッジショット
No.4、〝ファイバーヒーロー〟ベストジーニスト
No.3、〝7回
No.2、〝ウィングヒーロー〟ホークス
No.1、〝フレイムヒーロー〟エンデヴァー
こういう順位となっていた。
「ほら見て見て、八郎。う~ん…この角度もかっこいい~」
画面に映るピンポンマンを指差し喜ぶ香山睡。
ソファーの背もたれをぴょんと飛び越え、男の膝に肉付きの良い尻を預けながら屈託なく微笑んでいる。
「…もう見飽きてる顔やろ」
「ずーっと見てても飽きない。飽きるというか…見慣れる?慣れたけど飽きてない。不思議よね」
「…確かになァ。お前の顔もそンな感じやな」
「でしょ?美人は3日で飽きるって嘘よね」
「自分でゆーなや」
「てへ」
わざとらしくベロをちょこんと出して片目を瞑る香山睡。
岡八郎と香山睡は、かれこれ14,5年、このようなやり取りを繰り返している。
同じようなやり取り。同じような展開。次に何を言うか、何をしてくるか。予想通りでありながら飽きは来ない。在るのは安心感だ。
初めて出会ったのは、16年前のプロヒーロー仮免試験。
岡八郎は士傑高校生のエース。
香山睡は雄英高校のエース。
エース同士、対抗心から意識し合い、競い合い、切磋琢磨している内に自然と打ち解けて気付けば何となく付き合っている雰囲気となり、まず周囲がそういう認定をして囃し立てたり、さも当然のように「え?付き合ってるんでしょ?名門のエース同士お似合いだよ?」という感じで、岡も香山も異性からの人気は高かったが周りが勝手に諦めて去っていった。
そして本当に付き合い出し、付き合ってみればやはり相性は悪くなくズルズルと16年近くの腐れ縁で、今や互いの
ピンポンマンは、ワイルド性もあるハードボイルドで暴力的な、どこか危険なヒーローとして。
ミッドナイトは、アダルティで際どいお色気18禁ヒーローとして。
どちらも異性関係は派手でさぞモテモテで、交際相手をとっかえひっかえだったり、所謂〝ヤリ捨て〟でもしてそうな雰囲気はある。
あるのだが、実のところ両者の私生活面の思考は堅実で実直。
お互いに男と女としての生活でも不満を感じるどころか満足感が常にあるので、2人は新しい恋愛パートナーを求める事も無く、そのまま2人は浸かり心地の良い微温湯にどっぷりとなっていた。
互いに関西と関東の教員として就職してからは、自然消滅や浮気…破局も覚悟の遠距離恋愛の道を選択したものの、空いた時間はプロヒーローとしての活動もあってとうとう浮気・二股とは無縁であれた。
ピンポンマンとミッドナイトが、二人共に〝夜の〟経験人数一人…等というのは、世間の人々からすればとてつもなく意外な事実だろう。
下世話な週刊誌等が知れば直ぐに食いついて全国にバラ撒きたいネタだろうが、幸いにも誰にも彼らの夜の私生活がスッパ抜かれた事はない。
「ね…もしさ」
言いながら、画面に釘付けだった視線を真後ろの岡へと向け、そのまま彼の膝の上でくるりと180度反転。
開脚した白い太腿で彼の腰を挟み、鼻と鼻がくっつきそうな距離で彼の目を見る。
「もし、ね。もしもの場合。…私達に子供が出来たら、どんな“個性”になるかな」
「出来たンか?」
「もしもだって!」
岡は少し目を閉じて考える。考えた素振りだけかもしれないが、とにかく数秒目を閉じてから彼女の目を見返した。
「分からへん。俺の〝ガンツ〟がどう作用するかやなァ。“個性”は遺伝子に刻まれとるから子に引き継がれる筈やけど…中には、あの…なんちゅーたか…あのガキ」
「こら。ガキ呼ばわりはやめなさい。その言葉遣い、ヒーローのイメージじゃないでしょ」
「そないゆーて…お前ンとこの雄英体育祭の1位のガキはどうなっとんのや。ヒトのこと言えるか?」
それを言われると香山睡は目をそらして口笛を吹いて嘯く。
「あれは…ほらっ、相澤くんが担任だし?相澤くんの指導の賜物っていうか?」
「…相澤なぁ…あいつも大変そうやな。今年度に入ってから苦労続きや」
睡が額をこつんと岡にくっつけた。
「話それてる~。最初に言ったガキってだれ?」
「俺が相澤との事件で保護した、ヤクザのガキや」
あぁ、と睡が合点いく。
「壊理ちゃんね。あの子、今は雄英で保護してるのよ。すっっっごい可愛くてさぁ…♪私もあんな娘ほし~!」
また頬を緩めた睡。岡は察する。
あの時の少女を保護し、接する内に母性本能をいたく刺激されたから、突然子供うんぬんと言い出したのだろう。
「…で、そのガ…壊理か?あいつみたいなレア“個性”は順当に子孫に引き継がれる事例はあんま聞いたコト無い。
“個性”持ちの二親から無“個性”のガキが生まれる場合もあるし…俺にもよー分からん。
せやから多分、睡の〝睡眠フェロモン〟がメインのガキ生まれるンとちゃうか?」
真面目な考察を返してくるパートナーに、睡はクスッと笑い、そして直ぐにイタズラ者の笑みを浮かべて彼を見た。
「不思議よねぇ。こればっかりは生んでみないと分からない。…ねぇ興味ない?」
「…まァ、あるかないかで言ったら、あるな」
「作ってみる?子供」
イタズラ者の微笑みに、頬に差す朱色まで加わる。
イタズラ者は自分が言いだした癖に照れているらしい。
岡は軽く溜息をつく。
「教職にある人間が、未婚でガキ作るもんやないなァ」
「じゃー結婚しちゃおっか」
「別にお前と結婚するンは構わへん…けどなァ、お前のバックボーンが面倒や。大事になる」
「私ぃ?」
構わないと言われ喜色を浮かべたものの、睡は少しとぼけた顔をして己を指差した。
「俺と違ぉてお前は交友関係が広い。知り合い全部呼びたい性分やろ…お前」
「…」
黙って目を逸らす睡。
睡は、確かに自分はそういう性格だと自覚している。
派手好みで、やや見栄っ張りだ。
そして岡は、反対に派手を好まない。
しかも香山睡は雄英高校の有名プロヒーロー教師。
校長のネズミも間違いなく披露宴には来る。
オールマイトも来る可能性は高い。
その両者の人脈たるや、恐ろしいものがある。
しかも岡八郎ことピンポンマンも、大々的にビルドボードチャートJPでNo.3なんぞにノミネートされていて、何かと話題を振りまくプロヒーローだ。
それでいて西の雄・士傑高校のトップ教師。
そんな2人が「結婚します。披露宴します」などと言えば、それこそ今期ビルドボードチャートJP並みの大イベントになる。
大袈裟ではなくそうなる。
なぜなら、
「籍入れるだけなら構わへんで。俺は」
「うーん」
細い顎に指を当て、香山睡は少し首をひねり考え中。
だがそのポーズは2秒で終わり、彼女は満面の笑みを男に見せた。
「じゃあそれでいいわよ」
「…」
(えーんか…)
少し、岡の計算が外れた。
岡八郎、命を張った戦闘以外では意外なうっかりがあるらしい。
彼女の性質ならば、結婚式も披露宴も嫌と言えば渋ると思っていたのだが、どうもそれは甘かった。
30代に突入している香山睡は、とにかくそんな条件でも結婚したいらしい。
確かに子供を生む気があるならそろそろ生まねば将来的に不安のモヤが迫りくるお年頃だろう。
(俺が結婚か……性分やない)
岡はやや内心で戸惑う。
別に、自分がヴィランを殺したがる殺人者だから結婚して幸福な家庭を築いてはいけない。しちゃいけない。…なんて殊勝な心掛けは勿論、無い。
今もそうだがプロヒーローという職についている分、やや彼の本質がはみ出てきているが…それでも充分社会的信用を築いている真人間ぶれている。
こんな仮面生活を続けている自分が結婚などしても、きっと結婚生活はうまく行かない。
香山睡という女に、ただ離婚歴をつけてしまうだけではないかという心配は一応しているのだ。
これでも15年以上恋人である女だから、いくら岡の精神の根っこが冷酷者であってもそういう気遣いぐらいはする。
そこに愛が在るのかは分からない。
しかし愛着は確実にある。
そのように岡が少し真面目な顔で考えていると、香山睡は温かい笑顔を男に向けて、少しはにかんで言った。
そして、それが岡に踏ん切りをつける切っ掛けを与えてくれた。
「…八郎って、結構危なっかしいとこあるから。私があなたを正義のヒーローに縛り付けといてあげる。そのためには、結婚って〝枷〟もイイと思うのよ」
岡の、常に動じぬ鋭い目が少し大きくなった。
「なによ、その目。私が分かってないって思ってた?
こんだけ長いこと付き合ってて、八郎のヒーロー活動の履歴も見てれば分かるって。
けっこー殺したがりよね、八郎は。色んなヴィランを見てきたから…ヒーローからヴィランに堕ちる人も見てきたから…だから分かる」
伊達に三十路になってないってことね、と睡は少し自虐ネタを入れつつ茶化して続けた。
「ヴィラン向けの、ヤバい性質…薄っすらとだけど、そんなコト分かってた。
…私はプロヒーローだから。ヴィランに転向しないよう…道を踏み外し切らないよう…八郎を
ヴィラン化未然防止…それって立派にプロヒーロー活動よね?」
さすがはプロヒーローを育成するトップ機関の一線級教師。
「…お前の言うた通りだとして……せやったら俺は殺人者や。きっと、それは死ぬまで…いや、死んでも治らんで。人気プロヒーローが、殺人者と一緒になる…おかしな話や」
文学的比喩ではなく、実際デスゲームの中で死んだことのある岡が言うのだから、これは間違いない。
「プロヒーローとしては私も失格かもだけど…殺してるのはヴィラン。
たまには、あなたみたいなダークヒーローがいても良い。
…なーんて言っても、それは八郎だからね…。身内贔屓ってやつ。これが赤の他人がやってるんなら、私も全力でぶちのめして逮捕する。
…人間って勝手よね。プロヒーローって言っても…やっぱり身内が一番。
八郎と付き合ってて、そう気付いた時は私自身、自分に幻滅したけど…もうね…受け入れちゃった。で、受け入れたら楽になった」
そう言って微笑んだ睡の表情の中には、先の茶化した自虐とは違う、真に自虐的で己を憐れむかのようなモノが滲む。
プロヒーロー・ミッドナイトは恋に墜ち、オールマイトやステインの標榜する〝真のヒーロー〟から転げ落ちた。
「私も、あなたと一緒。もう真のヒーローじゃない。多かれ少なかれ、道を踏み外した。
幾千の無辜の人々の為のミッドナイトから、あなただけのミッドナイトに墜ちたの。
似た者夫婦って奴…かな?」
気の強い香山睡の割に珍しく、その視線は彼の機嫌を窺うようなものだった。
健気な女だと岡は思った。
とどのつまり、香山睡は岡八郎に寄り添う為にプロヒーローとしての矜持を一部捻じ曲げたのだ。
赤裸々の情熱の真意を、冗談混じりに告げるのは可愛気がある。
(それでも愛しているのかは分からへんし、俺は自分勝手な男や…けど――)
きっと、この女が自分以外に殺されたら岡は怒るだろう。
そう思えるだけの愛玩すべき女なのは間違いなかった。
「俺は…結婚式も披露宴も…女の一大イベントをさせン男や」
「うん、知ってる。今断られたしぃー」
頬を膨らませぶーたれる。
「俺の本性知って…それでも一緒になる気か」
「…今更、別の相手見つけるのもしんどくて。結婚には妥協も必要って言うじゃない?」
ふん、と岡は鼻で笑った。
瞳を明らかに熱で蕩けさせながら、そういうウィットに富んだジョークを飛ばせる。
小気味良く、やはり良い女だと再認識させられる。
「…ま、籍だけはいれるか」
「やりぃ♪」
イタズラが成功した悪童の笑みの香山睡。
岡に、奇襲のような深い口付けをたっぷりとしてから、瞳を潤ませてフェロモン香る吐息を吹きかけ囁いた。
「じゃ、ヤリましょ♪子作り」
「…おいおい」
淫卑に微笑む未来の妻を、岡八郎は深い溜息と共に降参とばかりに両手を挙げ、迎え入れる。
(とんでもない女に食らいつかれたかもしれんなァ)
そう思いつつ、それもまた悪くない。そんな風に思えていた。
「―――…以上で冬季に私の毛並みを保つ秘訣 ~食事事情編~ を終わります。えー、次に近代ヒーロー美術史のミッドナイト先生からお話があります」
とある日、雄英高校の朝礼で珍しくミッドナイトが、ネズミの根津校長に譲られ朝礼台の上に立つ。
一部生徒が小声で何かをひそひそと言い合う。
芦戸三奈が、蛙吹や麗日、八百万に耳郎まで巻き込んで無駄話を展開している一方で、緑谷出久は一人ビクビクとしていた。
(なんだろう…この前の文化祭の事かな)
彼には思い当たる事が多々あるからだ。
動画投稿を人生の糧とする、怪盗を名乗るヴィランのようなそうでないような“個性”持ちの
あの時は、ハウンドドッグ先生とエクトプラズム先生、両名の温情と、そして犯人のジェントル・クリミナル本人の機転で事なきを得たが…真相が発覚すれば緑谷出久が罰を受けるのは当然だろう。
「スゥーーーー…」
壇上でミッドナイトが大きく息を吸った。
何かを大声で発表する気だ。
生徒の誰もが思った。
そしてきっとそれは大事だろう。
進路に関わる事か、それとも頻発する雄英高校を狙う魔の手に関するものか。
ゴクリ…と生徒達は固唾を呑んでミッドナイトを見守った。
イレイザーヘッドやプレゼント・マイクも、その他の教員達も見守っていた。
「私、結婚します!!!」
真面目な顔で息を吸い込んでいたのが一転、満面且つ力強い笑みでミッドナイトは宣言した。
目が点になる皆。
「んん?んんんんんん???」
「はぃ?」
「え?」
「…ん?」
「…」
「…ミッナイ先生?」
キョトンとし、数秒の間全員が沈黙した。
雄英高校の朝の校庭に、冬の風が吹き荒ぶ。
「私、結婚します!!!!!ピンポンマンと!!!!!!」
片腕を振り上げ、まるでステージを盛り上げる歌手のようなポーズと勝ち誇った顔で、再度結婚宣言をするミッドナイト。
雄英高校に割れんばかりの様々な叫び声が響き渡る。
翌日、新聞各社とテレビ各局が雄英高校と士傑高校に殺到したのは言うまでもない。
(やってくれおったなァ、あのアホ。…確かに、約束は式と披露宴しないってだけやったな…やられたわ)
オールマイト引退から悲観的なニュースが続いた事もあり、世間は久々に浮かれた空気に包まれる。
誰にも口外しないという約束をしなかったのは岡の落ち度。
どうやら暫く安穏とは出来そうもないと、岡八郎は諦めたように息を吐いた。