なんでフェストゥムはテラにいるんですか?   作:野菜大好き丸

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というわけで続きです。これでやっと、幕問や次の章に関する話に入れるんやなって……。

そうなると今までの話をまとめる章のタイトルも考えなきゃ…(使命感)


第10話 分岐 ~きずな~②

 遠征最終日、俺とノヴァちゃん達は予定通り最後の廃村へと辿り着く。直前に立ち寄った廃村とはかなりの距離があったため、こ↑こ↓に着く頃には辺りは漆黒の帳に包まれていた。

 

 

 

 村に着いた俺達は簡易的な拠点を作成する者、村の捜索に出る者へと役割を分担して調査に乗り出し始めた。この遠征の間、同じことをやってきた俺も手馴れたかのように村の捜索の方へと参入し、虱潰しに村中捜しまわった。

 

 

 

 

 そんな中、俺は村にある何の変哲もない小屋へと足を踏み入れる。スフィンクス型だから足は無いけど。中に入ると、一人の人間が壁に寄りかかり床に座りこんでいた。

 

 

 

 まだ生きているのかと思いすぐさま駆け寄ったが、座り込んでいた人間_悪魔の角が生えた中年位の見た目をした男性から生気が感じられず、既に息を引き取っていると悟った。見た限り死因は凍死で、間に合わなかったかと嘆き落ち込んでいると、彼の手に握られている羊皮紙の様なものが目に映った。死して尚力強く握り締められており、まるでこれが心残りであったと伝えているように思えた。

 

 不思議に思った俺は申し訳ないと思いながら彼の手から羊皮紙を抜き取り、それを広げて読み上げた。そこに書かれていたのは…………、

 

 

 

 

 

 

   

 

 

(なになに…………、ファッ!? 何でこれが書かれてんだ!?)

 

 目を見開く(目は無いけど)かの様に驚くのも無理は無かった。何故ならそこに書かれていたのは何処かの場所を示す地図と、何らかの文字で綴られた文章と意味不明な紋章。そして……、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スフィンクス型のフェストゥムの姿が古めかしいイラストで描かれていたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 調査を終え、拠点に戻った俺はすぐさま彼らにこのことを伝え始めた。だがどうも信じられないと言わんばかりに眉をひそめていたので、証拠として羊皮紙に書かれたフェストゥムを見せる。すると流石に彼らも目を丸くして驚き、がやがやと騒ぎ始めた。

 

 

 念のためフェストゥムがこの世界に居ることが普通なのか聞いてみたが、やはり俺以外の個体は今まで見たことなく、それどころか「お前みたいなのが何体もいたら既に世界滅んでるわ!!!」とツッコまれてしまった。少々解せぬがそれに関しては俺も同意するわ。フェストゥムは色んな意味でヤバいし、しょうがないね。ネ○ロモーフよりかはマシ…………、いや、どっこいどっこいか。

 

 

 

 話がそれた。とりまこの古文書みたいな羊皮紙には何が書かれているのか皆に尋ねてみた所、幸いにも隊の中に一人だけこの紙に書かれた内容が分かる奴がいた。

 

そんな彼の名はノーチス、スノーデビル隊一の物知りさんとみんなから言われている。なんでも彼は以前考古学者の端くれとして大学で勉強していたらしいが、鉱石病に感染してからは大学は中退し、地元から迫害され、這う這うの体でレユニオンに加入したとのこと。加入後はノヴァちゃんの育ての父親の元で彼が所有してた伝承に関する書物の調査の手伝いをしていたらしい。その後スノーデビル隊に所属し、知恵袋として活躍している。

 

 

 

 さて、彼の紹介も終えた訳で、早速彼に古文書の解読をお願いした。快く引き受けてくれたのは良かったんだが、いかんせんこの羊皮紙が相当古く、書かれている文字が所々掠れていたり、彼も知らない単語で読めないところがあるわけで解読に悪戦苦闘していた。それでもある程度は読めたらしく、分かる所の内容を要約してもらうとこうなった。

 

 

 

 

『大昔。空より来たり者、とある土人の一族達である我らと交流し、命を学ぶ。来たる者は命を学ばせてくれたたお礼にと、我らのために楽園を作った。

 

 楽園は永らくの平和を築いた。だが突如、侵略者に襲撃され、楽園に住まう一族達は僅かな生き残りを残して滅びの一途をたどった。

 

 来たる者は僅かな生き残りを安全な場所に連れ、匿わせ、一人で侵略者に戦いを挑む。

 

 彼の者の行方は分からない。打ち勝ったのか、倒されたのか。

 

 だがもし、彼の者が生きていれば、我ら一族は楽園を復活させたい。命を学び、平和を好んだ彼の者のために、我らはここに楽園の場所を記そう』

 

 

 

 

(内容は)んまぁそう……よく分かんなかったです。かろうじて分かったのは昔フェストゥムがこの星に来て、交流して、この星に住み着いていたってことぐらいしか……。というかこれ本当なら、この星の住民達はよく滅ぼされなかったな? それに何故フェストゥムのことが現代まで知られていないんだ? 

 

 

 

 解読したことで分からないことが増えてしまったがそれはさておき、結構読めてんじゃんと思うかもしれないが、残念なことに肝心な楽園の場所や紋章についてはよくわからなかった。何かヒントは無いのかと思っていると、ノーチス君が重要なことを呟いた。

 

 彼曰く、「この土人って言葉なんですけど、もしかしてこれはドゥリン族のことを指してるんじゃないでしょうか」とのこと。

 

 

 ドゥリン族って何ぞや?と聞いてみると、地下世界という場所に住んでいる種族なのだがどういった暮らしをしているのかは不明で、せいぜい低身長であることと機械の扱いが優れているとしか分からないらしい。地下世界に行けば会えるんじゃ?と思ったが、どうにもその地下世界自体の行き方は不明らしく、どうしても行くとなるとドゥリン族を伝って行くしか無いほどだとか。

 

 

 そんなわけで古文書の解読から、謎が知りたければドゥリン族に会うしかない。だが残念なことにレユニオン内で彼らが知る限りドゥリン族は所属してないらしく、個人でレユニオン以外でのドゥリン族のツテが無いそうだ。つまりドゥリン族を探すところから始まるんだが、地上にいるドゥリン族は居るにはいるが、そこまで多くないらしく基本は地下世界に住んでいるらしい。

 

 

 解読を終えたノーチス君は他のやるべきことをやるためにこの場から離れていった。そんな彼の姿を見て俺は彼に解読してくれたお礼を述べた。他の隊員達も各自の持ち場に着いたり、栄気を養うために仮眠を取るなどして解散していた。俺は焚火付近に座り、この古文書の謎について一人考えていた。彼のおかげでこの古文書のことが少し分かったが、まだまだ分からないことが多すぎる。これ以上は調査しないと分からないしな、どうしたものか。

 

 

「……ところでセツ、お前はこの後どうする?」

 

 

 古文書の謎について頭を悩ませていると、突然ノヴァちゃんが近くにやってきて声を掛けてきた。え? どうするって……ああ、今後のことについてか。

 

 

「そうだ。行く当てのなかったあの時とは違って、今の所お前にはいくつかの選択肢が出来たはずだ。お前の選択次第ではここでお別れになる」

 

 

 そうだよなぁ……、これは俺自身の問題になるから流石に彼女達にドゥリン族捜しの同行は頼めないしな。彼女達もレユニオンでやるべきことがあると言ってるし、この古文書の謎を解き明かすとなればここで彼女達とはお別れか。

 

 

「ああ、だから今後のことでお前に言っておくべきことがある」

 

 

 ん? なんだゾ? 

 

 

「セツ、()()()()()()()()()()()。お前自身の意思で、為すべきことをなせ」

 

 

 ノヴァちゃん……? 

 

 

「……すまないな、最初に勧誘したのはこちらなのにこんなことを言って。だがこうでも言わないとお前は心の整理がつかないままレユニオンに来るかもしれないだろう?」

 

 

 うっ……、それは……。

 

 

「この旅の間、お前は感染者のためにできることをしてくれた。感染者の亡骸に対して泣いて弔い、感染者の迫害の実態に対しては強い怒りを表し、感染者狩りと戦ってくれた。私達のやってることが悪行だと知ってもお前はそれを頭ごなしに非難せず、私達の気持ちにどうにか歩み寄ろうとしていた。他にもいろいろあるが、私達はお前が優しさを持った立派な人物だと分かり合うことができたんだ」

 

 そうだ、俺は彼らから感染者の現状を学んできた。最後まで死に怯え、亡くなってしまった感染者の気持ちに悲しさが込み上げ、亡骸を抱き抱えて泣いた。人間である感染者(かれら)を人とは思わず、それどころか楽し気に殺そうとする感染者狩りに対して怒りを抱いた。そして、彼らの気持ちを理解すればするほど、レユニオンの活動を知ってやってることがテロといった悪行だと理解しても、綺麗事でそれらを否定することが出来ず、むしろ彼らに戦いを止めさせる方法が思いつかない自分に腹が立った。

 

 鉱石病が原因なら治せばいい。最初にそう思った俺はレユニオンに入り、治療を行うことを考えていた。俺の力が人として懸命に生きようとしている彼らの力になれるなら喜んで力になるし、戦争を止められると思っていた。

 

 けれど、それで万事解決出来るほど最早事態は甘くないことを彼らの話を聞いて、壁にぶち当たったかのような感覚に支配された。

 

 仮に俺の能力でレユニオン全ての人間に鉱石病を同化(ちりょう)したとしても、彼らの心に宿す積み上げられた長年の恨み辛みまでは消せず、それらが彼らを戦争へと駆り立てる。それによって非感染者も同じように考え、双方の怨念返しの連鎖となってその争いが今に至っている。ガン○ムUCの良いおっさん代表でも知られるZNNMNが言ってたように恨みや後悔は理屈では消せないんだ。

 

 仮に治療が成功したとしても、彼らが感染者ではなくなったとしても、本当に平和に生きていけるのだろうか? 感染者ではない彼らに怨念返しで生まれた恨みを持つ者が彼らを元感染者(犯罪者)のレッテルで蔑称し、再び迫害を起きるかもしれない。

 

 

 この世界で起きてる現実に悲嘆しても、彼女達がそんな辛い目にいるのを知った今、悲しいから自分だけ逃げてのうのうと平和に生きることはしたくない。例え結果的に無駄なことだとしても俺は──―。

 

 

「お前の優しさは嬉しい。だからこそ、お前がその優しさに囚われてしまうことを私達は避けたい。私達はお前を縛る枷にはなりたくない」

 

 

 ────っ。それでも……。

 

 

「そう不安気な顔をするな。私達はそう簡単にくたばらないし、死ぬつもりはない。それに、私はお前の選択を信じてみたい。そのおかげで私は助かり、兄弟姉妹達を悲しませる結果にならなかったんだ。だから……」

 

 

 ──―お前が信じた未来に在る「意味」を示してくれ。それがいずれ、私達感染者の希望になるはずだ。

 

 

 そう言って彼女は篝火に照らされた仮眠用のテントの方へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 …………俺は彼女達みたいな感染者を見捨てることが出来ないし、見捨てたくない。それは本心だ。

 

 

 だけど、彼女の言う通り、俺がレユニオンに入ることが本当に彼らのためになるのか? 

 

 

 彼女は気にするなと言った。それはレユニオンだとか、感染者だとかに構わず、今俺が為すべきことを為せと伝えているように思えた。

 

 

 

 何かを伝えたいのかと考えたその時、俺は手元の古文書の内容を見てハッと気づく。

 

 

 

 

 これはこの世界でのフェストゥムについての謎が示されているが、重要なのはそこじゃない。

 

 古文書に書かれている楽園。これがもし本当にあるならば、彼女達のように平和に生きたいと願う感染者が安心して暮らすことが出来るんじゃないか。そして楽園を探す鍵になっているのはドゥリン族と、フェストゥムとして生きている俺だ。そうなるとこれは俺じゃないとできないことになる。

 

 おそらく彼女はこれに一筋の希望があると気づいた。自分達の戦いよりも、より多くの感染者を救える可能性のために。感染者が悪だと常になってるこの世界に、彼らが安心して暮らせる居場所があることを信じて。それは儚い希望かもしれないけど、可能性は無いわけじゃない。

 

そして今の現状ではそれを為せるのは俺だけだと気づいて、俺に託そうとした。

 

 

 

 

 だったら俺のやることは一つ、楽園を見つけることだ。そして彼女達の様な平和を願う感染者のために、俺はこの楽園を使おう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………ありがとう、ノヴァちゃん。そして、ごめん。

 

 

 

 

 ここでお別れだ。

 

 

 

 けど、これは別れじゃない。

 

 

 

 

 

 

 再び会って、君達を安らぎの地に連れて行くために俺は旅立つんだと。

 

 

 

 

 

 

 たとえこの先。苦しい現実が待っていても、

 

 

 

 

 

 

 俺はこの未来(ねがい)があると信じて、突き進む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして翌日……。

 

 

『姐さん、スノーデビル隊の皆さん。お世話になりました! せっくん、未来を掴むために、行きます!』

 

 

 彼女達にお辞儀をし、そう言って俺は彼女達とは違う方向へと旅立つために背を向けて、歩み始める。

 

 

 こうして俺はこの凍てつく凍原にて彼女達と別れ、希望のために旅立った。

 

 

 これが俺の本当の旅の始まりだった。

 

 

 

 もしも俺と彼女達が生き残れるなら、この遠征で育まれた絆を忘れずに心に留めたい。

 

 

 

 またいつか、楽園にて会える、その日まで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 sideフロストノヴァ

 

 

「行ったか……」

 

 凍原の彼方へと進み、段々と小さくなっていく彼の姿が瞳に映る。

 

「寂しいっすね……、姐さん」

 

「最初は兎も角、あの後仲良くなっていって、俺たち全員あいつのことを認めるようになったからな」

 

「ひぐっ……えっぐ……、金ぴかさん……」

 

 別れた彼の姿に兄弟姉妹達は愁いを帯びた声で呟く。中には鼻をかみ、流れる涙を手や腕で抑える者が居た。

 

「けど、これでよかったんじゃないかと思うんだ」

 

「どうしてだよ? お前だって悲しい筈なのに?」

 

「あいつは優しいからな。もしレユニオンに居たら本来は関係無いのに戦争に関わり、心が荒んで、いつか壊れてしまうんじゃないかと不安だったんだ。だから、俺達の戦争を巻き込ませずに済んだことにホッとしている」

 

「ああなるほど。確かにそれなら納得だ。あの時もあいつが考えた秘策で出来た痛みを隠して平気な振りをしようとしてたし、その時の俺心配になったよ」

 

「むしろあいつは戦いから離れたほうがいいんだ。優しいあのままでいて欲しいし。幸い歌が上手いから、歌手としてやってけそうだと思うんだがな」

 

「それは同感だな。俺もあいつが歌う歌のメロディーが気に入って、時折口ずさむようになっちまった」

 

 全く、彼らからこんなに好かれるなんて、とんだ人たらしだ。

 

「では私達もそろそろ行くぞ。次会う時まで死ぬわけにはいかないのだからな」

 

「……そうっすね。別れる最後、せっさんが自分らの鉱石病の一部を肩代わりしてくれたっす。ここまでされて自分らがそう簡単にくたばるわけにはいかないっす!」

 

「ああ、俺達は俺達の戦いを終わらせて、むしろあいつが戻ってくるのを待とうぜ!!」

 

「「「「「「「「*ウルサス語での叫び*」」」」」」」」

 

 

 そうだ…………、これは永遠の別れではない。

 

 

 

 

 お互いの道のりが苦渋の痛みを伴うものだったとしても、

 

 

 

 

 私達と彼は生き続けなければならない。また会うその日まで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 この日、私達と彼が別れた時の空は、

 

 

 

 

 暗く凍てついた鈍色の雲が殆どな凍原では珍しく、蒼く晴れ渡っていた。




俺たちの戦いはこれからだ!(終わりじゃありません)

というわけでいったん本編を区切り、幕間へと入ります。しかしネタはあってもそれを書き起こせる力が無いのは本当に辛いのぉ、ヤス……。

読者兄貴姉貴達には再び首を長くして待ってもらう結果となりますが、お待ちしていただけることを願っております。
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