にしてもイベントに出てくるキャラの表情差分があると何か新鮮味が感じられるゾ。今度ユーザーアンケートがまた来た時には書いてやるからボイスでも表情差分が変化するようにしてくれよな~頼むYo~star。
(知らない天井だ……)
はいどうも、いつの間にか意識を失っていた系フェストゥムのせっくんです。何故か洞窟っぽい所で寝ていましたがとりあえずここどこ……? ここ……?
「目が覚めたか?」
状況を把握しようとした矢先、突然声を掛けられた。声がする方向へと顔を振り向いたら、そこにはあの兎耳と、何人かの白づくめ達がやって来た。というか兎耳無事だったんかワレェ!
「何か異常があると思って来てみたが、その様子なら心配も要らなそうだ。先ほどまで源石に侵された状態とは思えないほどにな」
えっ? 源石? この人何言って……おわっ!? よく見たら俺の右肩に源石生えてる!?
「何だ、気づいていなかったのか? ふむ、それなら一度説明したほうがいいな」
そう言って兎耳が、俺が気を失った後の顛末を語り始めた。
と、いうわけで俺は今、兎耳から色々な話を受けることになりました。彼らの話をざっくりと要約すると「いきなり攻撃してすんませんでしたぁ!! あと姐さんの命を救ってくれてありがとうございましたぁ!!」といった内容である。
兎耳ことフロストノヴァが率いる彼ら、スノーデビル隊はレユニオンの特殊部隊ということらしく、ここに迷い込んだ感染者がいないか調査・救助しに来たということ。そこでばったりと出会った俺に警戒、あちらの早とちりで危険視し襲い掛かって来たという。全く早とちりで襲われるなんて頭にきますよ! もう許さねぇからなぁ?
とはいえ以前レユニオンの一部隊をを殺したのは事実だし、俺の見た目があまりにも不審な姿だったから襲われても仕方ないね♂
余談だが俺が以前殺した汚ッさんレユニオン達は普段から悪辣で素行が悪く、彼らからも煙たがられていたとのこと。後にそれを知った彼らは本来はやるべき粛清を、俺が代わりにやったことで手を汚させる結果になってしまったことで深く謝罪していた。何だよ、スノーデビル隊って良い奴じゃん!(YUM並感)
話がそれたがその後交戦し、俺がフロストノヴァの
気絶している内に俺を殺そうとしなかったのかと彼らからもらったメモ紙に書いて(文字は壊されたタブレット機器にあるデータベースで学習済み)尋ねてみたら、どうやらフロストノヴァ、名前長いからNOVAうさぎ……、おっと冷たい視線が。しょうがないのでノヴァちゃんと呼ぶか。
とにかく彼らはノヴァちゃんの説明で俺が命の恩人だってことが判明した。それを聞いた彼らは恩人に仇討ちすることはスノーデビル隊の名に反するのと、敬愛する彼女を救ってくれたことに涙ぐみながら俺に感謝していた。こいつらすごく人間の鏡ですよ。
ただ彼らがその後「何でもするから」と言い、彼女も二言は無いと言わんばかりに肯定してきたので思わず「ん? 今何でもするって言ったよね?」と思ってしまった俺は悪くないはず。そんなこと言われたらこっちもどんなお願いしようか迷うじゃないか(マジキチスマイル)。とりあえずお願いは後で考えることを伝えておいた。
だが彼女自身の意思で鉱石病を完治するのを拒まれたため、鉱石病の症状が和らいだとはいえ彼女の体は未だ鉱石病に蝕まれたままとのこと。やっぱりな♂
一応もう一度やってみるかと尋ねたが、彼女はやんわりと断った。だが、案じるかのように不安気な表情で彼女を見つめるスノーデビルの諸君が気がかりだった。
鉱石病に関しては俺よりも彼女の方がよく知ってるし、だからこそ彼女が何故拒否した理由は分からないが、深い理由があってのことだと思ったので俺も追求はしない。流石に部外者の俺が割り込むには複雑な事情だと汲み取ったので、そっとしておくことにした。
ちなみに俺の右肩に生えてる源石のことだが、結局こうなった原因は不明だ。彼らの話曰く、最初は体全体源石まみれになっていたらしいが、その後徐々に源石がまるで俺の体に融けこむかのように小さくなっていったとのこと。多分源石を同化していったんだろうが、そうなると何故源石が突然体から生えたのか見当がつかない。今まで源石を同化したがこんなことは起きなかったし、もしかして同化が失敗したのか? とにかく源石と鉱石病に関しては未知なことが多すぎて気が狂うっ! 狂いそう……。
そんなこんなで彼らと話を弾ませていると、隊員の一人が大量の荷物を積載したリアカーを牽引してこの大部屋にやって来た。その荷物に関して疑問に思った俺を見た彼女が言うには、俺が気を失っている間に彼らが廃村を捜索して何か使えないかと漁り、見つけた物らしい。
彼らが持ってきた荷物を見る限り、確かにガラクタなようなものや変わったもの、もしかしたら使えそうなものなど色々とある。中には俺が欲しいものがあるし、分けてくれませんかね?
物欲しそうに荷物に視線を向けていると、持ってきてくれた彼から「よかったら何か持っていくっすか?」と聞いてきた。ありがとナス! じゃあ俺、アイテムもらってクラフトするから。
お言葉に甘えて彼らが持って来た廃村の荷物を早速物色させてもらった。
目の前の山積みになった物資は使えそうなものがたくさんあった。その時の俺はこう思っていただろう。
ええ素材やこれは……、クラフトしがいがあるなぁ……(マイクラ並感)。
おぉ……すっごいなこれはぁ……(喜色)。
もし顔に目があったら瞳をキラキラさせていたであろうぐらいに俺のテンションは好調だった。色々な物を物色し、体内に収納したり同化してみたり、彼らにとって有用で自分には不要なもの(食料品とか)は彼らに譲ったりした。今回のでかい収穫の一つは、良いサイズの巨大な毛布があったので新たな外套として作り替えることが出来たことやな。今迄着ていたローブ、ボロボロになったんすよね。自信作だったのに……(遠い目)。
なので今回は奇抜な姿を隠す以外に
そんなわけでこの武装の名前は見た目と性能から某十字骨なガン○ムに出てくるABCマントになぞって“Killinng_Barrage_Surviverマント”、略してKBSマントに決まった。名前に殺人的な弾幕の中でも生還するという意味を込めたから、決して金! 暴力! *自主規制*! の方ではないゾ。
そして物色している内に大量にあったはずの物資の山は俺の体内にどんどんしまわれてゆくことで減っていき、最後は人が入るには少し小さい黒塗りの棺桶みたいな箱だけを残した。
にしても最後に残ったこれ、なんか不気味だな。サイズは小さいが、本当は人でも入ってるんじゃない? 車で有名な某日産最高責任者もこういうので入って国外逃亡したっていうし多少はね?
「ふう、金ぴかさんが手伝ってくれたおかげで簡単に仕分けることが出来て助かったっす。でも大丈夫なんすか? さっきから色んなものを体に取り込んでいたんすけど、体に何か影響を及ぼしていないっすか?」
荷物を持ってきてくれた彼は心配そうに尋ねてくるが、俺は問題ないと言わんばかりにサムズアップする。大丈夫だって安心しろよ~。
「それならいいんすけど……。金ぴかさんは俺達スノーデビル隊にとっては命以上の恩人ですから無理はしないで欲しいっす。……それにしても最後に残ったのは何でしょうかね。なんか不気味ですし、開けようにも金具が錆びついてて開けることが出来ないっす」
彼の言う通り、箱には閉じるための金具が見事に錆びついていて、とてもじゃないが普通の力じゃ空きそうもなく、かと言って無理矢理やれば二度と蓋を閉めることはできないだろう。
だがでぇじょうぶだ、フェストゥムの力で難なく開けられる(GKU並感)。
じゃあ錆びを同化して取って……、おっ開いてんじゃ~ん! (開けたんだよなぁ……)
「……全く、なんと言うべきか。お前の行動にはつくづく驚かされる」
フロストノヴァが呆れたかのように呟くが、当然の権利のように俺はスルー。こんなことにいちいち気にするとハゲるぞノヴァちゃん。
……あっ、すんません! 言いすぎましたんでその視線は止めてください凍えてしまいます。さっきも喰らったけど俺はその視線で興奮するようなドМじゃないんで、お姐さん許して!
よい子の兄貴姉貴たちは女性にハゲとか、言わないようにしようね!
というか何で俺の思考を読めるんですかね? こいつ実はフェストゥムじゃねえの? (迷推理)
などと馬鹿なことを考えながら箱を開けて中身を見てみると、箱の中には木製のフレームでできたギターが鎮座していた。なんでぇゴー○でも入っているかと思ったのに残念だゾ。
まぁそれは置いといて、ギターは見た感じ木製のフレームで形成されており、電気を使うようなパーツが無いから所謂アコースティックギターといったやつだろう。長年に渡って使い込まれていたのか、ボディの色が若干色褪せてはいるが、ピンと張ってある6本の弦、弦の張りを固定するフレットや駒、ナットといった各パーツに変な損傷は無い。かつての持ち主はこれを大事に使っていたのが見ただけでうかがえる。
「ほう、これは……」
「うわ~、中身はギターだったんすか。でも弾けるんですかねこれ?」
箱から取り出したキターを傍らで見ていたノヴァちゃんと荷物を持って来た隊員は、年月の深みが感じ取れるその風貌に感嘆する。
弾けるかどうかだって? じゃあ弾いてみるか? 見た感じギター自体には問題無さそうで弾けそうだし、一応ギターは弾けるゾ。弾ける曲はアニソン主体だけどな。
「……もしかして弾けるのか?」
「面白そうっすね。できるのでしたらお願いしますっす」
「何だ何だ? 金ぴかが弾くのか?」
「そんじゃあ俺、他の奴らを呼んでくるわ」
スノーデビル隊は期待を満ちた目でこちらを見てきて、何人かはまだここに居ない隊員を呼びに一度部屋から出ていった。ちょっとハードル上げるのやめちくり~。けどいっちょやってみるとしますか。曲は…………、あれでいいかな?
久しぶりの演奏で出てきた緊張をほぐすために心の中ですーっと深呼吸をして、
(そんじゃまぁ、俺の歌を聞けぇぇぇぇぇぇ!!!)
歌で世界を平和にしたBSR兄貴ばりなテンションを心の中で出しながら、俺は指で弦を弾き始めた。
(フェストゥム演奏中)
―……life goes on♪ 守りーたくてー♪ ―
「祈りを、
「本当の、悲しみを、知った瞳は~♪」
―愛に、溢れて……♪ ―
「「「愛に、溢れて……♪」」」
フゥー↑気持ちいい~!!! やっぱ……、life goes onは、最高やな!
ん? 「何でSEED DESTINYの曲を歌っているんだ」だって? 何言ってるんだ、これファフナーの曲じゃないのか? (スパ○ボUX並感)
どちらにしろいい曲なんだし、こまけぇこたぁいいんだよ。曲を聞いてた彼らもテンション爆上がりで盛り上がってるし、掴みとしては良かったんじゃないか?
……にしてもスノーデビル隊の諸君、サビ部分だけとはいえよく歌えたな。実はこの世界でも有名な曲だったりするのか?
「ん? いや、こんな良い曲は初めて聞いたけど、アンタが歌詞を言ってくれたおかげで合いの手を合わせることが出来たんだよ」
そっかそっか~、俺が口ずさんだ歌詞で覚えたのか~。なるほど~。
……ちょっと待って? 気のせいじゃなければ俺達は今、会話できてませんかね?
「えっ? もしかして気づいていなかったのか?」
「金ぴかがギターを演奏し始めた後、突然アンタから声が聞こえたんだ。最初は何処から聞こえるって驚いたよ」
………………………………………………。
「お。お~い? どうしたんだ急に黙り込んで……? 腹でも痛いのか?」
アイエエエ!? 対話!? 対話ナンデ!? アババババババッ!?
「ちょ、おまっ!? ホントに大丈夫か!?」
……大丈夫だ、俺は 正気に 戻った!(裏切りの竜騎士並感)
うん、突然告げられた真実に頭がやっと追いついたから心配しないでいいゾ。というか何で会話できてるんですかね?
「…………おろ? 急に声が聞こえなくなっちまった?」
「あっ、本当っす。すいません金ぴかさん、もう一回できるっすか?」
と思ったらどうやら途絶しちまったよ。どういうことなの? それと君、俺だって何故こうなったか分からないから困ってるんですが。
「……もう一度ギターを弾いてくれないか? 今度は音を出すだけで良い」
「姐さん?」
「おそらくだが、先ほどの現象は音に関係してるのではと推測した。彼が弾いていた時にあの声が聞こえたから少なくとも何か関係しているはずだ」
はえ~、すっごい洞察力。じゃけん試しに弾きますよ~弾く弾く……ヌッ!
念のため声が聞こえるかの確認で何か口ずさんでみるか。せーの……。
―ダイナモ感覚! ダイナモ感覚! YO! YO! YO! YEAH! ―(ギターで音を響かせながら)
「あっ、聞こえたっす!」
「どうやら正解らしいな」
「それにしてもダイナモ感覚って何だ?」
どうやらノヴァちゃんの推測は当たっていたようだ。おかげで俺も会話が出来ることが分かってうん、おいしい! あとダイナモ感覚は悪乗りで言っただけなので、そんなこと気にしなくていいから(良心)。
「だが会話するには音を出し続けないといけない、か……。問題はそこをどうするのかだな。ずっとギターを弾くわけにはいかないだろう」
ノヴァちゃんの懸念だが、俺はその対策を考えていた。さっきの山積みになっていた物の中に音叉っぽい物が都合良く紛れ込んでいたんで、それを今から同化して声帯替わりにしてみようかと。上手くできるかは分からないがやってみないことには何も始まらない。てなわけでさっそく実行!
はい、結論から言うと無事成功しました。音叉を同化した後、それと同じ性質を持った結晶を首元に発生させた。そして結晶から音波を出すことによって疑似的なクロッシングを引き起こし俺の思念を彼らに伝えられるようになったゾ。誰かと言葉を交わしてやっと会話することが出来て涙が出、出ますよ……。
その後会話ができるようになった俺はノヴァちゃんとスノーデビル隊と雑談したり、洞窟内でちょっとしたミニライブをしたりしてどんちゃん騒ぎへと発展していった。意外にも彼らは寡黙そうな見た目に反してお祭り好きでフレンドリーな性格で驚いたゾ。
雑談していく内に彼らとは仲良くなり、特にビッグベアとバーニィ(口癖が「っす」と言ってる隊員)とは音楽に関して話が合い、彼らを含めて全員に色々な曲を教えたりしていた。
引き続き行われた俺の演奏に気分が浮かれたのか、途中彼らの一部が「今日はお祝いだ!」と言ってしこたま酒を飲み始め、同じく飲める奴らも感化されて完全にヒャッハーな世紀末状態になっていった。ただし何人かはオエーッ鳥の如くキラキラしたものをリバースする始末。
おかげでそれを見たノヴァちゃんの顔が般若のような形相になってた。スノーデビルさん!? まずいですよっ!
とは言えノヴァちゃんもこの騒ぎにこめかみを押さえてたけど、何だかんだで彼らの羽目外しを黙認していた。ヤダかっこいい……、惚れちゃいそう……。
彼らの和気藹々とした光景に、俺は自分の心を信じ、その意思を貫き通して彼女を救う選択をしてよかったと思う。もし彼らを憎み、その報復として反撃、あるいは何もしなければこんな良い光景を見ることはおろか、もしかしたら最悪な結末を迎えていたかもしれない。
(なぁ
⦅………………………………⦆
目の前の光景に尊さを感じながらギターを弾き、沈黙しながらも俺の言葉に耳を傾ける
(確かに世の中は綺麗事だけで出来ていないから嫌なことだってあるし、別に憎しみを抱いてはいけないとは言わないけどよ。でも世界は嫌な物だけに満ち溢れているわけじゃないんだ)
(彼女の過去を見て俺も分かったが、この世界にも残酷な現実もある。だけど人の心の温もりもまた存在するんだってお前に知って欲しかった)
だからこれからも一緒に、世界を、生命の営みを知っていこうや。そして、俺達がなんでこの世界に生まれたのか見つけていくんだ。
──それが俺がお前に与える、祝福だ。
今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました(RTA並感)
sideフロストノヴァ
「あれ~? 姐さんが何人もいる~?」
「えへへ~、姐さんも歌いましょうよ~」
「はぁ……、はしゃぎすぎだ馬鹿者共……」
簡素な寝具に寝かせた隊員毛布を掛けながら、兄弟姉妹達のうわ言にため息をつく私。全く壮絶な殺し合いを行った相手とまさか宴会じみた騒ぎになるのは予想外だったが、だがいくら何でもここまで気を許せとは言ってないぞ。
『まぁたまにはこういう息抜きがあっても良いと思うゾ俺は。人間緊張しっぱなしだと、いずれタガが外れて取り返しのつかないことになるしね、しょうがないね』
「別に息抜きするのは悪いとは言ってない。羽目の外し方の程度を考えろと言っただけだ。それと宴にまで発展した一番の原因は一体誰のせいなんだがな……」
目の前で片付けと、兄弟姉妹達を寝床に運んで寝かしている金色の異形がからからと笑いながら軽口を叩く。彼の姿を初めて目撃した時には驚いたが、厳かで煌びやかな見た目に反して意外と温厚で、明るく饒舌な性格をしている。
『(原因を作ったのは誰なのかは)知らなーい(棒)。……よし!これで全員寝かしつけたゾ、ノヴァちゃん。後はやること残っていないよな?』
「あぁ、ご苦労だった。やることは全部片付いたのでもう他にやることないぞ。それと私の愛称がノヴァちゃんというのはいくら何でもどうなんだ? もっと他に良いの考えられなかったのか?」
そして律儀な所もあり、私の手伝いを率先として引き受け、せっせとやってくれた。そんな奴の名前はセツという。彼はフェストゥムという種族だが元は人間だと言っており、自分でも何が起きたのか見当もつかずもとにいた世界からこのテラへとやって来たそうだ。
『ん? じゃあNOVAうさ……「ノヴァちゃんでいい。お前に名前のセンスに期待する私が馬鹿だった」…………(´・ω・`)』
奴が失礼なことを言い出しそうだったので軽く睨みつけて話を切らせた。話を遮られて落ち込む彼の姿は余りにも違和感しかない。雰囲気はお預けを喰らって落ち込むスノーファングに似てるが、犬と異形という姿の違いでこんなに違和感が出るのはどうかと思う。こいつにはプライドや威厳とかはないのか?
「はぁ……、とりあえずこっちに来い。火の番は暇だから退屈凌ぎに少し私の話し相手になれ。ほら」
そう言って私は彼を焚火の近くに誘いながら、彼に向けて何かを投げる。
『? これは……飴玉か?』
「何もないよりはマシだろう。それを舐めるだけでもお前が退屈せずに済む」
彼はキャッチした飴玉を不思議そうに見つめる。言葉ではこう言いつつも、私の心の中では悪戯心を躍らせながら少しばかりの意図返しとしてうっすらとほくそ笑んでいた。
『お、良いのか? そんじゃ遠慮なく、いただきまーす…………カリャイ!!? アッー、辛いっす! 辛いっす! ーアッ! 辛いっす! 辛いっす! カルェ! カライ! カライ! カライ! カライ! カライ! アー……カライ!』
「っ? ……ふふ、すまない。なかなか巡ってこない機会につい悪戯したくなってな」
「しかし読心?の能力を使わなかったのか? そうすればこんなちんけな悪戯に引っかからずに済んだはずだ」
躊躇なく飴玉を取り込む彼だが、その後すぐにあの飴玉を食べれば当然と言える反応を示した。まさか引っかかるとは思わなかった私は一瞬驚くも、すぐさま意地悪い笑顔を浮かべながら彼に対して疑問を問いかける。
彼には読心という相手の考えを読む能力がある。私達の戦闘で彼が異様にしぶとかったのも彼自身の耐久力の他に、この能力による恩恵が一番大きかったと私たちに話してくれた。だが本人曰く、この読心はおろか、フェストゥムが持つ力を未だ充分に使いこなせていないらしい。
…………あれだけの力を持ちながらも完全に扱えていないという事実に表情を変えずにいられたが、私は内心驚愕していた。
実際に立ち会ったことでその恐ろしさを肌に感じ取った読心と同化、鉱山の異変を引き起こした
自らの経験と彼の話を聞いて分かったことは、はっきり言って異質で非常識的だ。軍の一小隊はおろか、上手く使えば国一つを一人で殲滅することが可能な力だ。
そんな力を個人で持っていることが世界に知れ渡れば、間違いなくこの世界は新たな混沌に満ちるだろう。兵器、あるいは実験素材としての利用価値によって彼を巡る戦争。強大な力を持つ彼に恐れて存在を否定、迫害する者の出現。
そして何より、その気になれば無慈悲な暴力によって彼が世界の支配者になりかねないこと。……幸いなのは、彼がそのような悪辣で支配欲にまみれた性格ではなかったことだ。
『…………ふう、落ち着いた。まさか辛い飴という飴の概念に意表を突くなんて、このせっくんの目をもってしても読めなかったゾ。ノヴァちゃん……、恐ろしい娘! …………でもそういうとこしゅき』
彼の力に危惧していた私を余所に辛さが引いて落ち着いたのか、彼は能天気に私の悪戯に対して大袈裟な評価を下す。本当に、彼と敵対し続けないでよかった。でなければ我々は既に、彼によってこの世から消し去られていた違いない。
『あぁ、それと読心しなかった理由は何てことない。単純にそれをする理由が無いからだゾ。最初は生き残るために必要と感じて読心を使ったけど、今はもうそれをする必要は無い。使わなくてもこうして言葉で分かり合おうとしているから』
『それに、俺から見ればもうノヴァちゃん達は友人だ。不用意に読心を使って友人を疑う真似なんかしたくないゾ』
「っ!!」
そうか……、お前は感染者である私達のことを……、友人と呼ぶか。
不意に放たれる思わぬ言葉。だがその声色には、彼の本心が詰まっているように腹の底から出したかのように力強く響かせていた。彼にとって感染者かどうかは関係ないんだろう。
しかし……、全く、ふざけたほどに甘い答えだ。こんな世の中でそんなことを言えるとはな。
異世界から来た彼にはこの世界の事情を深く理解していないだろうが、この世界は鉱石病という不治の呪いが蔓延している。昨日は友と言えた存在も自身が感染者になるだけで彼らから迫害され、敵になってしまう世界だ。そんな世界に疑うことは生きるのに必須なことで恥ずべきことではない。だが彼はそれを捨てて──―、
…………いや違う。彼は疑いを知らないわけでも、捨てたわけでもない。最初は彼も私たちのことを警戒していた。しかし彼は、私達と違った点があった。
彼は殺されそうな立場にいたのにも関わらず、私達を殺すことにためらっていた。戦い、殺し合うことを疑わない私達に対し、彼は本当にこれしか方法が無いかと疑っていた。
私が鉱石病の悪化に苦しんだ際、彼はさっきまでのいざこざなんか関係ないと言わんばかりにその身に痛みを背負って、鉱石病に蝕まれている私を救った。
結果、私達は無事に全員助かり、私達は救われた恩から気を失った彼を殺さなかった。そして今、目覚めた彼とこうして言葉を交わし、お互いを分かり合おうとしている。
だが戦場ではそんな甘い考えをしている奴から死ぬのが当然だ。故に普通ならそんなことを考えない、考えてはいけない。
彼の行いは、彼にとって何のメリットもない貧乏くじであったことに変わりない。自身の身に危険を晒し、最悪死ぬ可能性があった。実際に彼は苦痛のあまり気絶し、私達は気を失った彼を殺すことだってできた。彼もおそらくはそれを理解していたはずだ。
それでも自身の考えを変えなかった。その決定的な違いが奇跡を呼び起こした。彼は、人の善に可能性を賭けることを選び、実行した。自身が望む未来のために。私達の心に宿す善性を彼は信じていた。
「──―っくく、ははははは!!!!」
彼の答えに自分でも信じられない声で思わず笑いが噴出してしまう。突然の状況に彼は理解できずに、覗き込むようにこちらを見つめる。
だが、私の口から出たそれは嘲笑ではない。可能性を信じ、起きてしまった事態に対して直向きに向き合い、結果を最善へと導いた勇気ある戦士へ向けた称賛だ。
「……ああ、すまない。別に馬鹿にしたわけではない。お前の在り方がこの世界にとってはおかしくもあるが、その前向きさを認めたいと思っただけだ」
『? まぁ前向きに生きていた方が一度きりの人生を存分に楽しめるしな。ポジティブ is GOD。そして、 GO is not GOD、はっきりわかんだね』
彼はまたよく分からない理論を繰り出していたが、自身の在り方を褒められたことをわかって嬉しいのか声色がより朗らかになっていた。願うなら、その前向きさを見失わないで欲しいものだ。
そんな時、私はふと思い出したかのようにあることを彼に問いかけた。不思議と彼にこれだけは聞いて置きたかったのだ。
「ああ、そうだ。一つ聞きたいことがあった」
「確か、お前は行く当てがないと言っていたな。なら……」
──────―もしお前が良いのならば、
次回予告
無事彼らとの和解を済ませ、騒がしい宴会の後フロストノヴァからレユニオンの勧誘を受けたせっくん。
彼女からの勧誘でせっくんはこの世界で、自分が何すべきかと考える。
スノーデビル隊の調査を手伝いながら、彼らとの徐々に絆を育むせっくんが出す答えは……?
『たとえこの先。苦しい現実が待っていても、俺はこの
次回、なんでフェストゥムはテラにいるんですか? 第10話、分岐 ~きずな~
あなたは、そこにいますか?
とりま次で本編を一旦区切り、幕問を書いていく予定だゾ。
幕問ではプロヴァンス以外にも登場させようと考えている本編キャラがいるにはいるけど、なにかいい考え(コンボイ)がありましたら提供オナシャス!センセンシャル。(ただし必ず反映させるとは言ってない)