聖闘士星矢vs幽遊白書~Legend of Soldiers   作:シャンディ

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第16話 幽助の想い!師弟対決の結末!

SIDE幽助

 

もう一つ勝てば決勝戦なのに目の前にいる立ちはだかるのはこの大会で最も相手にしたくかった人物。

それは俺の師匠である幻海の婆さんだ。

婆さんは本気の殺し合いを望んでいるが、婆さんを俺の手で殺す事なんてできない。

 

リング上で俺と婆さんはずっと睨み合ったまま動かなかった……2人だけの世界に入っていたのだ。

実況兼審判の小兎がなにやら言っているが、まったく耳に入ってこない。

 

「幽助、本気で行くよ?」

 

霊気を高めた婆さんの姿は全盛期の若々しい、肉体へ変貌……そして一気に俺に殴りかかる。

 

俺はその婆さんのパンチと蹴りを何度も何度も浴び続けた……時には喀血もした。

受け続けることに意味がある……反撃したら意味がないのだ。

婆さんの想いを……どんな考えなのかを悟るには攻撃を受け続ける必要性があった。

 

【浦飯選手、反撃しようとしません!絵にかいたような幻海選手のワンサイドゲーム!】

 

「行くぞ、幽助!……霊丸!!」

 

婆さんは指先から俺に向かって霊気を放つ……そして、その霊丸を受けた俺には婆さんの想いもなにを考えているのか、どう言う状況なのか、すべてを悟った。

 

「幽助!何故、反撃しない!?」

 

「馬鹿馬鹿しい!……そんな魂のこもってねーような攻撃じゃ反撃する価値もねー」

 

「なら、もう一発喰らえ!霊丸!!」

 

俺は婆さんの放った霊気を片手で受け止め、婆さんに投げ返す。

 

「バカな!?私の霊丸を片手で!?」

 

俺が投げ返した霊丸をジャンプし回避する。

 

「婆さん、なんで俺が婆さんの霊丸を簡単に跳ね返せたか分かるか?」

 

婆さんからの返答はない……しかし俺は口を閉じない。

 

「婆さんがマジで本気出したらいくら俺でも片手じゃ止められねーよ。怪我がなんか知らないがどっか、悪いんだろ?そうなんだろ、婆さん?」

 

婆さんは殺し合いをしようかと言っていたが、あれは口だけでパンチやキック、霊丸には殺気も覇気もこもってなく、霊力もかなり弱まっている。

それは婆さんが、ほぼこの大会を一人で戦い抜き、連戦で疲弊しているからと言う理由だけではない。

と言うより婆さん程の使い手が運よく雑魚同然の組み合わせになって苦戦することなく、上がって来たのに疲弊も糞もないのだ。

 

でも婆さんの眼差しは悲壮感が漂っており、死を自ら望んでいると見て間違いはない……それは怪我か病気で霊力が落ちてきているからに他ならないだろう。

婆さんの性格なら、病気などで死ぬよりは戦って散りたいと思っても不思議ではなく、俺が婆さんの立場でもそうしていると思うが、婆さんをここで死なすわけにはいかない。

 

「黙ってないで、なんか言ったらどうだ?」

 

「そうだ……だが何故、私が病魔に侵されている事が分かった?」

 

「決まってんだろ……婆がそう言ったんじゃねーか。婆さんのその拳がな!」

 

「それで悟れる程、お前は成長していたか……さすがは私の弟子だね」

 

「悲壮感漂わせて死ぬ気満々なとこワリーんだけど、俺、婆さんを殺す気ねーから!」

 

「なにを言っておる!私を倒さなければ、決勝に進めず、螢子と蔵馬を救えんのだぞ!?」

 

「倒さなくても勝つさ……どんなに攻撃を浴びても、俺は負けねぇ!婆さんの気持ちが折れるまで耐えてやらぁ!」

 

「ナメおって!」

 

婆さんの容赦のないパンチと蹴りの連打が俺の全身を襲うが、俺は倒れない。

 

「霊光弾!!」

 

霊光弾……拳に霊力を集め直接、相手にぶつける技で霊丸より威力がある技だが、俺はなんとか踏ん張る。

さすがは婆さんの技だ……こんだけ霊力が落ちていても、かなりの威力。

それでも俺は倒れずに、その場に踏ん張る。

その後も殴られたり蹴られたが、一度もダウンしなかった……ここで耐えられなきゃ男じゃないと何度も自分を奮い立たせて、耐え続ける事数十分……婆さんが俺から間を取り、後方に下がった。

その姿はもう若々しい肉体の婆さんではなく、老人の姿に戻っていた。

ゼェゼェと苦しそうに息をしながら、休憩している。

 

「もう終わりかよ、婆さん?……そんな魂のこもってねーパンチやキックをいくら浴びせたところで無駄だぜ」

 

「なんとタフな奴……これでは幽助の思う壺……なら、これに全霊気を賭ける!」

 

「そうかよ……じゃあ分からせてやんよ!」

 

婆さんが霊丸を打つ構えをしたので、俺も霊丸を放つ為に霊気を指に集中させる。

 

「おい、浦飯!こんな戦い今すぐやめろ!……イテテテ……」

 

「和真さん……大丈夫ですか?」

 

「いいから……黙って見てろ!」

 

桑原がこの戦いをやめさせようと観客席から降りて来たみたいだが、どうやら俺と婆さんが本気で殺し合いをすると勘違いしているようだ。

気持ちはありがたいが、余計なお世話だ。

 

だってこの戦いはどちらもお互いを殺す気なんてないのだから……。

 

「霊丸!!」

 

「霊丸!!」

 

お互いの手から同時に発射される霊丸……婆さんの霊丸はとても巨大な丸く、青い霊気。

俺の霊丸も婆さんと同じ形だが、婆さんの半分もない大きさだ。

 

お互いが放った霊丸がぶつかり爆破を起こす。

俺の放った小さな霊丸が婆さんの放った巨大な霊丸の威力を相殺したのだ。

 

「言っとくけど、俺は半分の力もこめてねーぞ?」

 

婆さんは力を使い果たしたのか、崩れ落ち、膝と手をつき四つん這いのような形になっていた。

 

「見事だ……幽助…さぁ、トドメを刺せ」

 

「できるかよ……婆さんを殺す事なんて俺にはできねぇ!」

 

「甘い!」

 

「甘いのは婆さんの方だろ!」

 

「病気が治らないから殺せだぁ!?笑わせんな!それこそ病気から逃げてるだけーじゃねーか!病気だろうがなんだろうが諦めず最後まで戦ってくれよ!」

 

「幽助……そうだな……私が間違ってた……審判、私の負けだ」

 

婆さんのご乱心も無事、一件落着したが、この後すぐに、聖闘士チームとの決勝戦が始まる……俺たちに休んでいる暇はない。

 

 

 

SIDEぼたん

 

「うっわぁ……酷い……」

 

ここに来ると、吐き気がするから嫌いだ……血なまぐさい臭いと、傷だらけになっても拷問されている人間たちを見るのも不快だ。

ここは冥獄界……生きている時に罪を犯した極悪人たちが収容されている場所。

あたしは冥獄界にいる戸愚呂と言う男に助けを求めに来たのだ……かつては暗黒武術会で幽助たちと敵対したものの、最終的には幽助に自分の全力を引き出してくれた幽助に感謝しつつこの世を去った。

そして武道家としての功績から軽い地獄で済むはずだったのが、本人の希望で霊界で最も過酷な冥獄界に輸送されたのだ……消えない罪の意識を背負い続けているのだろう。

 

「あっ!いた!」

 

久々に会ったが、冥獄界でもトレードマークのサングラスは健在……しかも高身長で威圧感は変わっていない。

 

「なにか用かね?」

 

「戸愚呂、あんたの力を貸してほしいんだよ!」

 

「力をだと?何故、俺が霊界なんかに力を貸さないといけないのかね?」

 

「闇闘士ってのが出てきて、危険な状態なんだってば!」

 

「知った事か。自分たちでなんとかするんだな」

 

「霊界だけじゃないんだよ……このままだったら魔界も人間界も支配される。あんたの亡くなった弟子たちもこう言う時にこそ、あんたのその拳を使ってほしいと思ってるんじゃないのかい?」

 

戸愚呂は数秒間黙ったが、微笑するとあたしの説得に折れた。

 

「いいだろう……だがこれは貸しだね」

 

「それでも構わないよ!感謝するよ、戸愚呂!」

 

あたしは戸愚呂を連れて、冥獄界を出る。

 

「やっと帰って来たか……」

 

「誰だね、お前は?」

 

「お前こそ、なにものだ?」

 

「助っ人を頼まれたものだ」

 

「奇遇だな……俺もだ。だが足を引っ張るなよ?」

 

「その台詞、お前にそっくり返す」

 

「はいはい!ストーーーーーーーップ!!もぉ……仲間割れしてどうすんのさ!?」

 

なんか喧嘩になりそうだったので、あたしが間に入ってとめる。

しかし目的は同じ、仲間なんだから仲良くできないものなだろうか……。

 

「紹介するよ、こちらが元双子座・ジェミニのカノン、で……こっちが戸愚呂、はい二人とも握手握手!」

 

無理やりカノンと戸愚呂を握手させると、あたしはため息をつく。

そして3人でコエンマ様のところへ向かっている最中に戸愚呂に幽助がどうしているのかと聞かれたため、幽助の現状を伝え、霊界特製のタブレットで暗黒武術会の中継を映し出す。

 

「星矢か?しかし何故、星矢たちが……」

 

「今は決勝戦のようだね……って事はこの聖闘士チームが螢子ちゃんや蔵馬をさらったって事か」

 

あたしの何気ない言動がカノンを怒らせてしまったのだ……カノンは鬼の形相をしてあたしの胸ぐらを掴む。

 

「バカを言え!俺と同じで星矢たちは地上を守るアテナ聖闘士だ!誘拐などするわけがない!」

 

「いや……でも、相手の要求は決勝戦に勝つって事だし……」

 

「このポンコツの死神め!これは真の黒幕、闇闘士によって仕組まれたものだと言う事に何故、気付かん!?」

 

「闇闘士が黒幕!?」

 

「あぁ、そうだ!これでは戦力を削り合う事になるぞ!?とっととあの戦いをとめてこい!霊界の闇闘士たちは俺たちに任せろ!」

 

それが本当ならお互いの戦力を削り合う為にこんな事を……戦いぶりを見るに、幽助たちと聖闘士たちが戦えば、まったくの互角。

全員が相討ちになってもおかしくはない……そうなれば闇闘士の計画通りと言うか……これはマズイ状況だ。

なんでもっと早く気づかなかったのかと自分自身を責めたが、そんな暇はない……一刻も早くあの戦いをやめさせないと!。

 

「それじゃあ……喧嘩しないよう頼むよ!」

 

私は空飛ぶ櫂に乗り、霊界を後にした。

 

 

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