聖闘士星矢vs幽遊白書~Legend of Soldiers   作:シャンディ

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第4話 出陣!浦飯チーム!

SIDE幽助

 

とうとう俺たちの戦いが始まる……闘技場に上がれば、大歓声で浦飯、飛影コールが沸き起こる。

そんな中、俺は……いや飛影も同じことを思い出していたに違いない。

俺、飛影、蔵馬、桑原、幻海の婆さんと参加した初めて参加した暗黒武術会の事だ。

ゲストとして呼ばれ、戸愚呂など強敵と戦い、そして勝利した。

あの時は、まだ魔界は統一されておらず、人間に友好的な妖怪も少なく、俺たちが勝ち上がる度にブーイングが起きていた……それが今ではヒーローが登場するかのような、黄色い声援が会場内から飛んでいる。

あのブーイングが懐かしくも思えたがそれは贅沢と言うものだろうか……。

 

聖闘士チームにはいいものを見せてもらった。

もちろん螢子と蔵馬を助け出すのが第一ではあるが、久しぶりに骨のある奴らと戦えるかもしれない……それが俺には楽しみだった。

 

「飛影、俺たちも聖闘士チームには負けられねぇ。一発でケリをつけるぞ」

 

「お前ならそう言うと思っていた」

 

初戦の相手は怨霊チームを破り、勝ち上がってきた魔界の炎チームだ。

全員が炎遣いの妖怪で3-0と言う大差で怨霊チームには圧勝している。

真っ赤なロングの髪の毛にガングロの肌を持つ大将らしき妖怪が俺たちに詰め寄る。

その他の4人も顔は違えど、大将と同じような容姿をしており、おそらく同種族の妖怪なのだろう。

 

「お前があの雷禅の息子で全大会の優勝者浦飯幽助か……俺が大将の獄炎様だ。お前と飛影を倒せば、俺様の名が魔界に轟くぜ!」

 

「倒せたら……な。テメーらが全員まとめてかかってきてもいいんだぜ?」

 

「前大会優勝者だからと言って調子に乗っているようだが、そんなにこの大会は甘くはないぜ?」

 

「御託はいいからとっととかかってきやがれ」

 

「えぇい! 審判始めろ!」

 

【は、はい! それでは試合開始!!】

 

「かかれぃ!」

 

しかし、その言葉と同時に崩れ落ちたのは魔界の炎チームの獄炎以外の4人だった。

 

「どうしたんだお前ら!? これはいったい!?」

 

【おぉぉと!魔界の炎チーム大将の獄炎選手以外崩れ落ちて動けませぇぇぇん!!】

 

「なにが起こったのかも分からねぇようじゃ話にならねーな。棄権しな」

 

「なんだと!? 棄権など誰がするものか!」

 

「後ろを見てみな?」

 

【飛影選手がいつの間にか獄炎選手の背後に回りこんで背中に剣を構えています!これはまさに袋の鼠状態!獄炎選手はこの窮地を脱することができるのでしょうか!?】

 

そう……獄炎以外の4人を倒したのは飛影だ。

飛影のスピードは過去に参加した暗黒武術会の時とは比べ物にならない程に増している。

倒れている彼らもなにが起こったのか分からず、意識を失っているはずだ。

 

そして獄炎が後ろの飛影に気を取られているうちに……。

 

「うぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

俺の拳が獄炎の腹部をまともに捉えた。

獄炎はリング外の観客席の壁まで吹っ飛び、うつ伏せに倒れたまま動かない。

観客席から驚愕する声が多少聞こえてくるくらいで、会場中が葬式場のような静寂に包まれた。

 

【獄炎選手、起き上がれません!それにしても驚きです!タフさを持ち味としていた獄炎選手を浦飯選手は一撃で動けなくしてしまいました!】

 

「実況はいいから早くカウント取りに行けよ!」

 

俺のツッコミに小兎が慌てて、カウントを取りに行く。

 

【8……9……10!勝負あり!浦飯チーム貫録の勝利です!】

 

これで終わりではない……今後、さらに強い敵が控えているだろう。

だが俺たちは螢子と蔵馬の為にも負けるわけにはいかないのだ。

 

 

 

 

SIDE紫龍

 

中国・五老峰の奥地で俺は瞑想し、1人で座していた。

背後で廬山の大滝が轟く……それは龍が唸っているようにも聞こえる音が心地よい。

邪悪な神々と死闘を繰り広げてきた俺にとって、この五老峰は唯一の安らぎの場となっていた。

ここはそして我が天秤座・ライブラの黄金聖闘士でかつての聖戦で活躍した童虎に俺が聖闘士としての基礎を学んだ思い出の場所……幼いころに聖闘士の候補生としてこの場に送り込まれた俺にとって故郷とも呼べる大切な場所なのである。

そしてこの場所で俺は天秤座の聖衣を管理しているのだ。

名目上は俺が天秤座の黄金聖闘士と言う事になってはいるが、あくまで管理しているだけで使用する気は無い。

何故なら、俺はまだ我が師である童虎の足下にも及ばないからだ。

 

「老師……あなたの魂は安らかに眠れているでしょうか……」

 

「あなた!お客さんよ!」

 

「今、行く!」

 

ここには支えてくれる幼馴染の春麗もいる。

何度も邪悪な神々と戦い、傷ついた俺を優しく介抱してくれたり、戦いに出る度に無事を祈ってくれていた。

やがて俺は春麗と結婚し彼女は妊娠。

春麗のお腹の中には新しい生命が宿っている。

俺は父親になるのだ……気が早いが生まれてくる子どもの名前は男なら龍峰、女なら龍蘭にしようと思っている。

少し前まで捨て子であった孤児、翔龍を我が子同然のように育てていたのだが、親族の人たちが引き取りに来てしまったのだ。

こればかりはどうしようもなく、翔龍は親族の元に帰って行った……正直悲しいが、その親族がいい人そうだったのが唯一の救い。

その直後に春麗の妊娠が分かり、俺たちは大いに喜んだ。

 

生まれてくる子どもには聖闘士ではなく普通の人間として幸せになってもらいたい気持ちが半分、聖闘士として後を継いでほしいと言う気持ちも半分。

こればかりは子どもがやりたいようにさせるべきなのかもしれないが……。

 

そして俺は客に会う為に立ち上がると、足早に住んでいる家に向かう。

そう言えば、3日前くらいから胸騒ぎがしていたのだ……それもなにやら嫌な方の胸騒ぎだ。

家に入ると、大柄でスキンヘッドにコワモテの顔……見間違えるはずもない……この男は……。

 

「辰巳か……」

 

辰巳徳丸……城戸家の執事で小さいころからの腐れ縁……滅多に顔を出さない辰巳が泣きそうな顔をしてこの場に来ている。

なにかよからぬ事が起こったのだと確信する。

 

「辰巳、なにがあった?」

 

「紫龍、助けてくれ!」

 

「詳しく話してくれ。じゃないと助けられん」

 

辰巳は頭を抱えて喋りだした内容はとんでもないものだった。

 

「沙織お嬢様と瞬がさらわれた……」

 

「アテナと瞬が!?」

 

「星矢と氷河が今、魔界に乗り込んでいる」

 

「魔界だと? そこにアテナと瞬が囚われていると言うのか?」

 

「それは分からん……だが、沙織お嬢様と瞬を返してほしければ、魔界で行われる暗黒武術会に出場して優勝しろとさらった奴が言ってたんだ……」

 

「何故、星矢と氷河はそんな大事な事を俺に教えないのだ!? 俺たちはアテナを守る仲間ではないのか!?」

 

辛い戦いを乗り越えた仲間だと思っていたが、俺はそこまで信用されてないのだろうか……。悲しく悔しい想いと同時に、怒りをおぼえたが、辰巳はそんな俺を見て、首を横に2度振り、たしなめた。

 

「本当は星矢と氷河には紫龍には言うなと言われていたんだが……」

 

「なに?」

 

「お前らは孤児だった……親がおらず、寂しい想いをお前たちはしてきたはずだ。この戦いでお前が命を落とせば、お前の子は父親なしで育つことになる。だから星矢と氷河は敢えて黙って自分たちだけでなんとかしようと魔界へ乗り込んだのだ」

 

俺の心は廬山の大滝に打たれるような衝撃だった……ほんの一瞬でも、そこまで考えてくれていた仲間に怒りをおぼえた自分が情けない。

 

「あいつら……」

 

今すぐにでも助けに行きたいのだが、春麗は妊娠していて心配だ……なにより星矢と氷河の心遣いを無駄にしかねない。

だから即答ができなかった……そんな決めかねている俺を見かねて春麗が言葉を発した。

それは予想外の言葉。

 

「あなた行って……」

 

「いいのか? 春麗?」

 

「本当は行ってほしくはない……でも大事な仲間を見ないフリして何気なく生活するあなたは見たくない……だから行って」

 

「春麗……」

 

「でも1つだけ約束して……絶対に生きて帰ってきて」

 

涙がこぼれそうになるくらい嬉しかった……行かないでと言われるかと思っていたが俺の考えすぎだったようだ。

俺は春麗を抱擁すると、必ず生きて帰ってくると約束し、星矢と氷河が向かった魔界へと向かうべく、聖域に旅立った。

 

 

 

 

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