聖闘士星矢vs幽遊白書~Legend of Soldiers 作:シャンディ
SIDE星矢
その後も暗黒武術会で俺と氷河は無難に勝ち上がっていった。
ただ勝ち上がってきた訳ではない……敵の強さ、戦術、技、性格などを細かくチェックしながら勝ち上がった。
もちろん、自分たちが戦う時だけではなく、別のチーム同士が戦う時も隅々までチェックしている。
そして俺と氷河が要注意にしてきたチームが全てがベスト8に名を連ねた。
浦飯幽助が率いる前回優勝浦飯チーム、風使いの陣が大将を務める陣チーム、幻海と言う婆さんが率いる霊気チーム、怒羅吸螺(ドラキュウラ)率いるに黒童話チーム、外道(ゲドウ)率いる闇武道チーム、闇坊主率いる闇坊主チーム、赤マント率いる都市伝説チーム、そして俺たち聖闘士チームだ。
ここから先はどのチームと当たっても強敵揃い……なにより残ったチームは俺たちを含めて、全力を出してはいない。
ただでさえ、こちらは人数的には不利。
決勝まで残ったとしても無傷と言うわけにはいかなそうだ。
そしてその強敵ぞろいの中でもおそらく一番の実力が高いのは浦飯チームだろう……俺たちと同じ2人と言う圧倒的不利の中勝ち上がってきた……目立たないようにしているが、本気を出せば浦飯、飛影は黄金聖闘士に勝るとも劣らない実力だろう。
「なぁ氷河、沙織さんと瞬をさらったのは浦飯チームだと思うか?」
「さぁな……確かにあいつらはこの大会では一番の脅威だとは思うが……今はとにかく勝ち進むしかない」
「そうだな……」
確かに今は試合に集中しなければ、足元を救われる。
その後、抽選が行われ、俺たちは黒童話チームと試合をする事に決まった。
黒童話チーム、怒羅吸羅と言う吸血鬼の妖怪がリーダーのチーム……高い実力を誇っているが、浦飯チームはもちろん、陣チームや闇武道チームにも劣る。
「ルールは基本的にタイマン。生きているうちは何度戦ってもいい。これでいいか?」
「いいだろう」
怒羅吸螺がルールを提案し、俺たちはその提案を呑む事に決めた。
ここから先はベスト8に残った強者たちが出てくる……数が少ないこちらとしてはむしろタイマンの方がありがたい。
ルールが決まると、リング上に先鋒の狼男が登場する。
狼男とは言っても、見た目は角刈りの頭に白いタンクトップを着た普通の人間だが……。
「星矢、俺が行こう」
「頼んだぞ、氷河」
氷河がリングに上がるとまたブーイングが起こる。
クールをモットーとしている氷河は顔色一つ変えない……しかし心の中ではメラメラと闘志を燃やしているはず。
氷河はブーイングなど自分の力に変えてしまう男だ。
SIDE氷河
「お前が先鋒か。たった2人で俺たちに勝とうなどと本気で思っているのか?」
「今のうちだぞ?」
「なにぃ?」
「この氷河が黒童話チームでお前が一番弱い奴だと言う事に気づかないとでも思っているのか?」
「バカにしおって!命乞いしても無駄だぞ!この狼男様を怒らせちまったんだよお前は!」
「悪い事は言わん……やめておけ。お前じゃ相手にならん」
「許さねぇぞ……白鳥、貴様を食べてやる!」
【では氷河選手対狼男選手試合始め!】
狼男は俺の周りをウロウロする……なかなかのスピードを持っているが、この程度では到底、俺には敵わない。
「俺様のスピードに……ブホッ!?……」
狼男は自慢のスピードで翻弄していたつもりだろうが、俺にはスローモーションに見えている。
狼男が飛びかかったところを俺は殴る。
【氷河選手、驚異の動体視力でスピード自慢の狼男選手を捉えました!】
「人間とは言え、さすがにベスト8まで残った事はあるな……」
「これで分かったろ?お前程度の実力ではこの氷河には勝てん」
狼男は俺のパンチを右頬に受けたが、そこまでダメージを受けていない……と言うよりも本気を出すまでもないので俺が手加減したのだ。
狼男は切れた唇から滴り落ちる血を腕で拭き取ると、笑いながら立ち上がる。
「なにがおかしい?」
「キグナス氷河、三匹の子豚と赤ずきんの童話を知っているか?」
こいつ試合中に童話の話をしだしてなんのつもりだろうか……時間稼ぎか、或いは関係ない話をすることによって俺の気を逸らせようとしているのか……。
「往生際が悪いぞ、狼男」
「俺様は三匹の子豚と赤ずきんの狼の言わば悪霊なのさ……あの話は作り変えられている……実際は子豚も赤ずきんも俺様が殺して食べちまったのよ!」
「そうか……言い残すことはそれだな?」
狼男の眼がギラリと妖しく輝き、ニヤつく。
俺はそのニヤつきに不気味さにも似た不快感をおぼえた。
「どうやって食べたか教えてやろう……暗闇の中で恐怖におびえたあいつらを喰らいつくしたのだよ!お前も同じ目に遇わせてやる!見せてやろう……俺様の本気を!妖影千夜!!」
雲一つなかった空に狼の鳴き声が響き、月が出現、そして辺りが闇に包まれる。
【ど、どうした事でしょう!?急に夜になってしまいましたぁぁぁ!】
「なんだこれは!?」
そして月明かりに身体を照らされた狼男は身体中から黒い体毛が至る所に生えていき、爪は鋭くなり、顔も怖ろしい狼の姿に変貌していく……その姿はまさしく獣で最早、人間らしさの欠片もなくなっていた。
邪気もさっきとは比べ物にならない程のパワーアップしている。
あの姿がきっと狼男本来の姿なのだろう……。
【狼男選手、先程とは比べ物にならない迫力です!自分の2倍はあるかと言う相手に氷河選手はどう立ち向かうのでしょうか!?】
「驚くのはまだ早いぞ?」
そう言うと、月が消え、本当に暗闇に包まれてしまった……これではなにも見えない。
【月明かりも消えてしまいました!これではなにも見えませぇぇぇぇぇん!】
「死ねぇぇぇぇぇ!!」
殺気を感じたが、避けきれない……狼男の鋭い爪が俺の腕に傷をつける。
集中して気配や殺気を感じようとしても会場全体が試合を見れない不満を口走っており、集中できない。
そして俺のみぞおちを狼男の蹴りが襲う……まるで巨大な岩を腹に投げつけられたようだ……。
俺はその攻撃で膝をついてしまう……立とうとしたら狼男の爪が俺の顔を襲う。
そして俺の右頬から血がポタポタと流れる。
「これでお相子だ……次は確実にお前の心臓をこの爪が貫くぜ?」
「狼男にはこの暗闇でも敵が見えていると言うのか……」
「見えてはいない……だが俺の嗅覚は人間のお前とは比べ物にならん程敏感なのだ!匂いからお前のいる位置、なにをしようとしているか全て手を取るように分かる!」
「なるほどな……俺は少々、お前を見縊っていたようだ」
俺は小宇宙を身体から湧き上らせる。
【おっと白鳥が飛び立ったと思ったら今度は流星群が現れました!そしてなんと綺麗な星々でしょう!星々が闇を照らしだしています!】
「な、なんだ、ここは!?俺様は宇宙にいるのか!?」
「ここは俺が作り出した宇宙だ……ここではお前の姿がよく見えるぞ」
【なんという事でしょう!?……氷河選手は自らのエネルギーで自由に空間も作れるようです!】
「狼男よ、確かにお前はなかなかの強さだった……しかし相手が悪かったな。ただ暗闇にしただけでセブンセンシズに目覚めているこの氷河に勝てるとでも思ったか!」
「えぇい!こんな空間ただのまやかし!俺様の爪の威力をその身で受けろ!!」
「来るか……ならば次は貴様が味わう番だ!キグナスの真の冷気、ダイヤモンドダストの恐怖をな!」
本当はもっと後の戦いにとっておきたかったが、仕方ない……この空間は長くは持たない。
一発で仕留められなければ、こちらが不利だ。
【氷河選手が踊り始めました!まるで、白鳥が舞っているかのように美しい舞いです!】
「ダイヤモンド……ダァァァストォォォォォォォ!!」
最も俺の使い慣れた必殺技ダイヤモンドダスト……小宇宙で作り出した凍気をブローに込めて放つ技だ。
極限まで小宇宙を高めれば、敵の全身を凍結させることもできるが、そこまでする必要はない……80%の力で十分だ。
「なんだ、この凍気は!?」
狼男は俺のダイヤモンドダストで両腕と両足が凍結した挙句、その威力で吹っ飛ばされ、リング外のフェンスに激突。
【す、凄い威力です!狼男選手リング外としてカウントを取りたいと思います!】
狼男が立ち上がることはないだろう……この俺にダイヤモンドダストを放たるざくえなくなるまで苦しめたのは評価に値するが、黒童話チームで一番実力が落ちるのは確かだろう。
本気で放つ程の敵ではない。
【8……9……10!勝者、氷河選手!】
「怒羅吸螺と言ったか?あまり俺たちをナメるなよ?勝ちたいならもっと強い奴を出してこい」
まだ黒童話チームには4人残っている……1人でも多く俺が敵を倒して、星矢に負担をかけさせないようにしなければいけない。