聖闘士星矢vs幽遊白書~Legend of Soldiers 作:シャンディ
SIDE氷河
黒童話チームの先鋒の狼男を倒した俺はリング上に立ち続ける。
連戦になるが仕方ない……こちらは2人しかいないのだ。
できるだけ敵を倒して星矢にバトンタッチしなければ……。
「ゲロゲロ~ロ!君、なかなかやるね!おもしろくなりそうだよ!僕ちゃん蛙男!かえるのおうさまって言う童話から飛び出たんだ!」
「貴様の説明などどうでもいい……とっととかかってこい!」
「怪我したくなかったら、試合放棄って言う手もあるけど?」
「怪我などが怖くて聖闘士などやっていられるか……怪我は無論、死は覚悟の上よ!」
「ふ~ん……忠告はしたからね」
リング上に次鋒の対戦相手が上がってくるが、そいつの眼光に一瞬だけ後ずさりしてしまった……。
何故なら凄まじい妖気と殺気を身体中から放っているからだ。
先程、戦った狼男より強いのは確実……見た目は小太りでかつ小柄なさえない中年男性だが、かなりの実力者だ。
そして焦点が定まっておらずグルグル回っている両目に不気味さをおぼえる。
【それでは聖闘士チーム対黒童話チーム2回戦開始!!】
相手がどんな技を仕掛けてくるのか、確かめるか……それとも先手必勝でダイヤモンドダストを放ち、攻勢を仕掛けるか……。
ダイヤモンドダストを放とうと思ったが、やはり相手の出方を見るべきだ……俺が勝てばそれで良し、もし万が一の事があったとしても、星矢が蛙男の技を見れば、有利になる。
「あれ、攻撃してこないの?」
「貴様などその気にいつでも倒せるからな……」
「あっそ……じゃあこっちから遠慮なく……空速飛翔激!」
蛙男は息をとめて、全身の妖気を身体中に溜めこんで全身が風船のように膨れ上がっている……なにをする気なのだろうか……。
いつでも対応できるように俺は敵に集中する。
【蛙男選手息をとめていますが、大丈夫なのでしょうか!?】
「やっほ~い!」
「!?」
そして、蛙男は足のバネを使って勢いをつけ、地面スレスレから目にもとまらぬ速さで俺に突撃してくる。
それは蛙が手足のバネを使い、宙に浮くようだ……しかも光速に限りなく近いスピードだ。
だがこの手のスピードなら集中すればなんとか紙一重で躱せる……。
俺が躱すと蛙男は勢いがつきすぎたのか、そのまま場外にリングアウト。
そしてフェンスに激突し穴を開けた。
【蛙男選手、自ら場外へと飛び出していきました!】
数秒後、フェンスに開いた穴から蛙男がもう一段階スピードを上げている……避けきる事は不可能だ……避けきることが不可能なら、捨て身で蛙男に攻撃するまで。
「ぐはっ!」
「ぐへっ!?」
蛙男の腹部にアッパーで放った俺の拳がヒット、また蛙男の頭突きも俺の腹部に直撃し、お互い一度、空中に身体が浮き、地面に落下。
俺が蛙男の腹部を殴った直後、蛙男は口から大量の唾液を水しぶきのように発生し、俺の身体にもかかったのだが、これが後々、苦戦する要因になる事に気づくよしもなかった。
「かかったな!……俺の目的は君に俺の唾液を浴びせる事」
「どういう意味だ?……うっ!?……どうした事だ!?……身体中が熱い……」
身体が燃え上がるようなそんな錯覚さえ覚える……それだけではない……頭がボーっとするまでの酷い頭痛も発症。
そして体がだるく、徐々に痺れていく……これでは上手く小宇宙を燃やすことができない。
「頭が……割れそうだ……」
俺は頭痛のする頭を両手で抑えながら、膝をついてしまう。
「僕ちゃんの唾液には猛毒が含まれているのさ!」
「猛毒……だと!?……」
ケッケッケと俺を見下し、蛙男は膝をついて蹲っている俺を一蹴。
その蹴りは顎に直撃し、軽く吹っ飛ばされる。
「俺の猛毒は弱い奴なら即死するくらい強力なんだ!どうだい苦しいかい?」
立ち上がる事すら困難な俺はなにもできない……そんな俺を蛙男は迷わずに何度も頭を踏みつける。
「ひょ……う……が……」
星矢の叫び声も意識が朦朧としてなにを言っているのか分からない……俺に勝機はあるのか……それとも、ここで終わりだと言うのか……。
いや……必ずチャンスはある……俺はアテナと瞬の為にも最後まで、死ぬまで諦めない。
SIDE飛影
俺と幽助は聖闘士チームと黒童話チームの後に行われる都市伝説チームとの対決に備え、観客席から試合を眺めていた。
「ほう……あの蛙、見た目とは裏腹になかなかやる」
まともに戦えば、氷河の方が上なのだろうが、毒を使って動けなくするとは考えた……この勝負見ものだ。
試合を集中して見ている時に背後からお寺の住職のような服装をしたスキンヘッドの男が近づいてきた。
目つきは鋭く、凄まじい妖気を感じる事ができる……何故ならコイツは人間ではなく妖怪だからだ。
名は北神と言い、魔界一柔軟な体を持つS級妖怪で雷禅に仕えていた実力者。
俺は2人だけで十分と言ったのだが、幽助が万が一の為に浦飯チームの3人目として呼んでおいたのだ。
「よぉ、北神久しぶり!わざわざ呼び出して悪ぃな」
「いえ……遅くなってすいません。外のモニターで試合を見ていたものですから、つい……」
「気にすんなって!試合までに来てくれたんだから全然OKだぜ!」
「い、痛いですって幽助さん……」
幽助はそう言って豪快に笑い飛ばしつつ、北神の背中を力強く叩く……よく言えば大らか、悪くいえば能天気……幽助の性格は死んでも直らないだろう。
俺は再び、氷河と蛙男の試合に視線を戻す。
「この状況では氷河って言う人は負けですね……」
「それはない……この勝負は氷河が勝つな」
「え?でも、この状況じゃ勝ち目ありませんよ。ね、幽助さん?」
「北神、オメー戦いを見る目落ちちまったのか?まっ……見てりゃ分かるよ」
【氷河選手、蛙男選手の攻撃に防戦一方です!】
試合はまだ、蛙男が動けない氷河を一方的に殴ったり、蹴ったりしている。
普通の見方をすれば、氷河に勝ち目はない……しかし俺と幽助には氷河と言う奴が刺し違えてでも敵を倒そうとする人間だと言う事に気づいている。
今までの戦いぶり見たところ氷河と言う選手は修羅場を経験している……このまま無抵抗でやられるわけがない……殴られ、蹴られている最中にもなにか考えがあるのだと悟った。
蛙男は自分の毒にかなりの自信があるのだろう……だから一発でトドメを刺さず、何度も甚振っている。
しかしそれが氷河に考える猶予を与えてしまっているのだ……戦いの中では潰せる時に潰しておかなければ、如何に有利な状況でも一発逆転される可能性は高くなる。
それは相手が強ければ、尚更、命取りになりかねない。
「さぁて、そろそろトドメを刺そうかな?」
「それは……どうかな?……お前の……下半身を見てみろ……」
「バカな!?」
氷河が考えていたのはこれだ……蛙男、最大の攻撃を生み出す下半身を氷漬けにしたのだ。
蛙男は何も考えずにいたぶっていたのだろうが、氷河と言う男はゆっくりと時間をかけて、蛙男に気づかれぬように徐々に下半身を凍らせたのだ。
「あ、足が動かない!?」
「水晶聖闘士より教えられし、シベリア仕込みの足封じ技だ……」
【氷河選手、蛙男選手の命とも言える下半身を凍結させました!】
そして氷河は自分を鼓舞するかのように大きな雄叫びをあげると、力を振り絞って立ち上がる。
「バ、バカな!?僕ちゃんの毒を浴びて立っていることなどできんはず!」
「かつて戦ったヒドラの市の毒にさえ遠く及ばん!この程度なら、時間が経てば小宇宙で回復させることは造作もない!」
「こ、こんなはずでは……」
「俺をここまで苦しめたお前に敬意を称して、キグナス氷河、最大の拳で葬ってやろう!」
【おっと氷河選手、立ち上がっただけではなく再び白鳥のように優雅に舞っています!必殺、ダイヤモンドダストを放つ気なのでしょうか!?】
これは先程、狼男戦で使用したダイヤモンドダストと言う技ではない……同じように見えるが、ところどころで違っている。
そして氷河が拳をアッパーカットで真上に冷気を打ち上げ、冷気は空中で巨大な竜巻に変貌。
【た、竜巻です!……竜巻が氷河選手を包み込んでいます!大丈夫なのでしょうか!?】
「オーロラァァ……サンダァァ……アタァァァァァァァァック!!」
そして氷河は両手を組み、その両手から凄まじい凍気の弾丸を放つ……その弾丸は竜巻の中でさらにスピードと威力を増ししていく。
【す、凄まじい竜巻です!……私まで飛ばされそうです!……】
下半身を封じられて、身動きの取れない蛙男に勝機はない……あの凍気をくらえば、戦闘不能になる事は明白……勝負あった……。
凍気が命中し、さらに竜巻が蛙男を吹き飛ばす……蛙男は氷河の発生させた竜巻により、空高く、そして場外まで飛ばされていった。
【こ、これは……蛙男選手戦闘続行不能として氷河選手の勝利です!】
「す、凄い冷気だ……死にそうだった氷河と言う奴のどこにあんな力が!?」
「あいつらは死ぬ覚悟でこの大会に臨んでるからな……そう言う奴らは強い……怖気づいたのなら国に帰ってもいいんだぞ?この大会は俺と幽助だけでも十分だ」
そしてその勝利した数秒後に氷河が倒れるが、それを星矢と言う奴が地面に倒れる寸前に氷河を支える。
勝ったとは言え、猛毒に犯されていたところを無理をして戦った氷河に暫く戦いは無理だろう……。
残るは大将の星矢と言う奴のみだ……この勝負、なかなかおもしろくなってきた。