聖闘士星矢vs幽遊白書~Legend of Soldiers   作:シャンディ

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第7話 紫龍vs紫龍!?怒羅吸螺、驚異の変身!

SIDE星矢

 

俺は蛙男と戦い力尽き、倒れそうになる氷河を支える。

 

「大丈夫か、氷河!?」

 

「少し休めば平気さ……それよりすまない星矢……もう少し俺が倒せれば良かったんだが……」

 

「暫く休んでろ。後は俺がなんとかする。だから次の戦いまでに休んでおけ」

 

強がってはいるが、蛙男は放った猛毒は予想以上の力で氷河を蝕んだ事だろう。

毒を取り除くには氷河の小宇宙を持ってしてもかなり時間がかかるはず……俺は氷河を芝生の上に寝かせる。

 

敵は残り3人……こちらは戦えるのは俺しかいない……意を決し、リング上に上がった。

 

リング上から見渡すと、怒羅吸螺の姿がない……そして逆に敵の2人がリング上にいる。

がちょう番と言う童話に出てくる馬の悪霊で下半身は馬、上半身は人間の剣汰右呂主(ケンタウロス)と兄と妹と言う童話に登場する鹿の悪霊で見た目は普通の美少年だが、二本の大きな角と身体中に茶色い毛が生え、人間では考えられない程、筋肉が隆々としている鹿男。

 

「我が名は剣汰右呂主!」

 

「そして私は鹿男!」

 

「俺は射手座の黄金聖闘士・サジタリアスの星矢!」

 

そして剣汰右呂主は俺にある提案をしてきた。

 

「星矢か……俺たち2人でお前の相手をしていいか?」

 

「なんだと?」

 

少し迷ったが、その提案を受けることにした……その時の俺は気持ちばかりが焦っていた。

早くコイツらを倒せるなら、それに越したことはないからだ。

 

「いいだろう……何人でも何十人でもかかってこい!」

 

【それでは星矢選手と剣汰右呂主&鹿男選手試合開始です!!】

 

剣汰右呂主と鹿男が俺に向かって突進してくる……俺はパンチ一撃……拳の風圧で剣汰右呂主と鹿男を吹き飛ばす。

そして彼らはそのまま倒れて立ち上がらず、試合は10カウントで俺の勝ちだったが、心のどこかでなにかが引っかかっていた。

 

おかしい……剣汰右呂主と鹿男からは氷河を苦しめた狼男と蛙男より強く強大な妖気をプンプン放っているのにあの程度の攻撃だけでダウンするわけがないし突進してくる時もまったく殺気を感じなかった。

なんと言うか……わざと突進して攻撃を受けているようにも感じられた。

 

「やっぱお前、強いな……」

 

「私たちじゃ敵わない……」

 

俺は見逃さなかった……剣汰右呂主と鹿男が立ち上がる時、不気味な薄ら笑いを浮かべていたのだ。

そして姿を消していた、怒羅吸螺がいつの間にか戻っていた。

なにか黒童話チームが企んでいる事に気づきながらも今はそれがなにか分かっていなかった……。

 

「さぁ、逃げはないぞ怒羅吸螺!お前とサシで勝負だ!」

 

俺はリング上から怒羅吸羅を指差し、勝負を申し込むが、怒羅吸螺は必死に笑いを堪えているように見えた。

 

「それはどうかな?」

 

【え~……ただいまの試合ですが、星矢選手と剣汰右呂主&鹿男選手の試合ですが、大将の怒羅吸螺選手が不在にもかかわらず、無断で変則ルールを決めたため、星矢選手と剣汰右呂主選手及び鹿男選手の試合を没収試合及び彼らをこの試合出場停止に致します】

 

「な、なんだと!?」

 

納得ができず、俺は小兎と言う審判に掴みかかる。

 

「ふざけるな!審判、これはどう言う事だ!?」

 

【そうは言われましても……大会本部の判断でして、ルールブックにも大将同士の了解が限り、ルールを変更する事は違反とありましてですね……】

 

氷河は戦える状態ではなく、俺が失格となれば戦える奴は誰もいなくなり、聖闘士チームは失格となる。

アテナと瞬を救う為にこんなところで負けるわけにはいかない……俺は必死に審判に抗議を続けるが、判定は覆らず、戦う人がいないならば聖闘士チームの負けを宣告すると言われ、拳を地面に叩きつける。

 

「くっそぉ!怒羅吸螺……貴様、ハメやがったな!」

 

これですべて合点がいく……そもそも剣汰右呂主と鹿男は最初から俺に勝とうなどとは思ってなかったのだ。

攻撃を受けダウンし、わざと負け、試合を早く終わらせる……全部計算通りだったのだ。

 

【あのぉ……メンバーがいないようでしたら、負けを宣告しますが、どうなんですか?】

 

会場の観客は俺たちに負けをとっとと認めろと騒いでいる……。

 

「こんなところで負けるわけにはいかないんだ……」

 

俺が怒羅吸螺に向かって拳を構えると、その拳をグッと掴み抑えた奴がいた。

誰かと思い、振り返るとそれは意外な人物。

 

「紫龍!?どうして来たんだ!?」

 

「辰巳に聞いたのでな」

 

「辰巳のヤロウちくりやがったのか!」

 

あれだけ紫龍だけには言うなと口止めしたのに……なんて口の軽い奴なんだ……。

紫龍に俺たちが戦っている事を伝えれば、必ず助けに来るのは分かっていた。

 

「紫龍、お前は帰れ!春麗の為にも、生まれてくる子どもの為にもお前を戦いに巻き込むわけにはいかない!だから帰ってくれ!」

 

俺たちみたいな寂しい思いを紫龍の子どもにさせたくはない……俺たちのような悲劇を繰り返してはダメなのだ。

 

「断る!」

 

「なんだと!?」

 

「星矢、お前と氷河の気持ちはありがたい……だが、俺はアテナ聖闘士だ。そして親友が……仲間が必死で戦っているのを見て見ぬフリなどできんのだ」

 

「紫龍、お前……あぁ、頼んだ!」

 

そうだ……紫龍はそう言う義理と人情に溢れた男なのだ。

ここで帰れと言ったところで帰るような男ではない。

俺は紫龍とハイタッチをしてリングを降りる。

 

「任せておけ。俺が戦おう……この試合を乗り切れば、インターバルで1日開く。ここは総力戦だ」

 

【では紫龍選手が聖闘士チームとして戦うと言う事でよろしいですね?】

 

「ちょっと待て審判!試合中に現れた奴が戦ってもいいのか?反則だろ!」

 

【それはですね……】

 

ルールブックを開こうとした小兎の手を紫龍は制止する。

 

「怒羅吸螺とやら、そんな卑怯な事をして恥ずかしくないのか?貴様も男なら正々堂々と戦ったらどうだ?」

 

「卑怯?なんの事かさっぱりだな」

 

「なるほど、怖いのか」

 

「怖いだと?この俺が人間のような惰弱な生き物を怖がるわけないだろう!」

 

「そんなにこの試合の勝ちが欲しいのならくれてやる。その代わり、その惰弱な生き物相手に姑息な手段でしか勝てない情けない奴と言う噂が魔界中に広まってもいいならの話だがな」

 

「いいだろう……そこまで言うのならブッ殺してやるよ!」

 

「それでこそ大将にふさわしい。来い!龍星座、ドラゴン紫龍が相手になってやる」

 

巧い……紫龍の挑発に怒羅吸螺が乗ってリング上に上がる。

おそらく、プライドの高い怒羅吸螺が見下している人間に挑発されたら、すぐにでもその気になると紫龍は呼んだのだろう。

 

【それでは怒羅吸螺選手対紫龍選手試合開始です!】

 

「頼むぞ、紫龍!」

 

今、準々決勝のゴングが会場内に鳴り響いたのであった。

 

 

 

 

SIDE幽助

 

聖闘士チームにはもう一人戦える奴が来た……黒く腰の方まで伸びた長髪を靡かせた青い鎧を纏った男……実況によれば名前はドラゴン紫龍。

きっと紫龍と言う男も氷河に引けを取らない実力を持つ男なのだろう。

これで人数上負けとなっていたら、大会運営に怒鳴り込みに行こうかと思っていたが、心配なさそうだ。

これで聖闘士チームと戦える可能性が出てきた……星矢って奴と戦いたい……久しぶりに俺の魔族としての血が騒ぐ。

 

「紫龍の方が地力が上っぽいな……奇跡が起きない限り、聖闘士チームが準決勝進出だな」

 

飛影が言うとおり、紫龍は冷静だ……負けたら終わりのこの試合なら緊張するのが当たり前だが、巧みに怒羅吸螺の攻撃を躱している。

おそらくカウンター攻撃を狙っているのだろう……一瞬の隙を見せれば、その瞬間に怒羅吸螺の敗北は決まる。

怒羅吸螺も決して弱い妖怪ではない……攻撃力もスピードも黒童話チームの他のメンバーよりも上のはずだが紫龍の実力はその上をいっている。

 

「あれでは疲れたところをカウンターくらって終わりだ」

 

「だな……もうちょい黒童話チームやるかと思ったんだけどな」

 

「冷静に分析している場合ですか!?紫龍とやらのスピードが尋常じゃないんですが?……」

 

怒羅吸羅はいきなり攻撃をやめて、紫龍から距離を取る。

 

「地力では勝てんか……人間相手に使うのは屈辱だが、仕方がない……」

 

「どうした怒羅吸螺?もう終わりか?」

 

「いけっ!俺のかわいい子どもたちよ!」

 

怒羅吸螺のマントから大量の蝙蝠が発生し、紫龍に攻撃する。

 

「くっそ!邪魔だ!」

 

しかしあっさりと紫龍が発生させた霊力に似たエネルギーによって蝙蝠たちを撃退。

だが1匹の蝙蝠が生き残り、怒羅吸螺の手に戻る。

 

「そんな子ども騙しの蝙蝠ではこの紫龍を倒す事はできんぞ?」

 

「お前の首を見てみろ」

 

紫龍が首元を押さえている……まさか噛まれたのだろうか……だが蝙蝠に噛まれたくらいでは怯むはずがない。

 

「この怒羅吸螺の奥義を見せてやろう!秘術!形影血痕!」

 

怒羅吸螺は蝙蝠を食べると、突然苦しみだし、蛹が脱皮するかのごとく、皮膚が剥がれていく。

 

【怒羅吸螺選手、突然苦しみ出しましたが大丈夫なのでしょうか!?】

 

そして剥がれ落ちた、皮膚の中から出てきたのは紫龍だった。

 

【ど、どう言う事でしょうか!?怒羅吸羅選手の中から紫龍選手が出現しました!】

 

「俺の姿を真似してどうするつもりだ?」

 

「これこそ怒羅吸螺、最終の奥義!血を吸った蝙蝠を食べる事で吸った奴の影になれると言うわけだ。つまりお前の必殺技ですらも完璧にコピーできるのだよ」

 

会場中から驚きの声があがるが驚いたのは俺と飛影、北神も同じだった。

声までそっくりで着ている鎧まで、同じ……鎧の色が血のように赤いと言う以外は見た目はまさに紫龍そのもの。

 

先程まで上だった怒羅吸羅のスピードは紫龍と同程度までなっていた。

攻撃力、防御力、スピード共に紫龍とまったくの互角……しかしこれでは決め手がないように思えるが、紫龍にはなにか考えはあるのだろうか……

 

「怒羅吸螺よ……このままでは埒があかん。俺と賭けをしないか?」

 

「賭けだと?」

 

「至近距離から同時に廬山昇龍覇を放ってどちらが立っていられるかと言う賭けだ。俺の姿を借りているとは言え、妖怪のお前が人間に負けるはずなどないなのだろう?」

 

「いいだろう……その賭け、乗ったぞ!」

 

【突如変則ルールが決まりました!果たしてどちらが勝つのでしょうか!?】

 

これは危険な賭けだ……威力もまったく同じとなれば、後は本人の精神力次第で勝負が決まると言う事。

 

そして紫龍と怒羅吸螺がリングの中央に立つと、その会場にいる全員が固唾を呑んで見守る。

 

お互いに力を溜める……紫龍は霊力にも似た濃緑のエネルギー、怒羅吸螺は赤い妖気を体に溜めこむ。

 

「廬山の大瀑布さえも逆流させる紫龍最大の奥義!!廬山……昇龍覇!!」

 

「行くぞ、紫龍!!廬山……昇龍覇!!」

 

技を放った瞬間は同じタイミング……そして同じアッパーカット。

紫龍の右腕には緑色の龍、怒羅吸螺の右は赤色の龍が俺たちには見えた。

そして互いに技を浴びるが、どちらも倒れない。

精神力まで互角だと言うのか……決着は着かなかったと誰もがそう思った。

 

だが突然、怒羅吸螺の鎧が硝子が割れるように粉々に砕け散る。

その僅か、数秒後に怒羅吸羅はうつ伏せに倒れる。

 

「何故だ……攻撃力は同じはずなのに何故俺の聖衣だけが……」

 

「怒羅吸螺よ、まだ自分が負けた理由が分かっていないようだな」

 

「なにぃ?……」

 

「姿形は真似できても聖衣の真の力までは真似できんかったようだな。俺の聖衣は意思を持ち生きているのだ……しかしお前の聖衣は防御力と形だけを模倣した、ただの玩具にすぎん。つまり貴様も聖衣は死んでいる。それが勝負を分けたのだ」

 

怒羅吸羅は両目を開けたまま意識を失い、紫龍の姿から本来の姿に戻っていた。

その姿は自分が負けた事を信じられずにいるようだ。

 

【聖闘士チーム、準決勝進出です!!】

 

さて次は俺たちの番だ……俺と飛影と北神はリングに向かうべく、観客席を立ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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