魔法少女リリカルなのはINNOCENT-crimson the bellwether- 作:聖@ひじりん
「よし、これでデータ整理は終わりっと」
頼まれた仕事は二つ。パソコンでのデータ整理と、部屋の片づけの段ボール移動。
今、その一つ目が終わり、二つ目に手を付け始めた。
「ここの段ボールを全部資料室で間違いないですか?」
別の仕事をしている二人に聞こえるように、再度確認の声掛けをする。
『えぇ、お願い』
見事にハモられた。タイミングも言葉も完璧に一緒だ。
ここにある段ボールの数は二十個。資料室はこの部屋の隣なので、この量なら直ぐに終わるだろう。
「なるほど」
なんて思いきや、一つを持ち上げてみたらかなり重たい。他のを持ち上げてみても、どれも同じぐらい重たかった。
だから俺に頼んだのか。女性には文字通り荷が重いし、今すぐにでも運ぶ物でもなかったんだろう。これは少し時間が掛りそうだ。
段ボール一つが約20㎏。重量的に無理せず、しっかり持てるのは三つだが、箱の大きさで二つが限界だった。
こうなると、往復回数は十回。隣の部屋とは言えど、そこそこ良い運動になるだろうな。
そこから、全てを運び終わるのに十分程度掛った。
「終わりましたよ」
今度は終わりの報告の為に二人に声を掛ける。
「もう終わったの? 相変わらず優秀ね」
「うんうん。これでこそ私の真紅よ」
……プレシアさんの息子じゃないという言葉は飲み込む事にした。
「他に仕事はありますか?」
「うーん、そうね……」
リンディさんが腕を組んで考え始める。ただ、表情を窺うに直ぐには浮かばない様子だ。
「それなら、娘たちを迎えに行ってくれないかしら」
すると、リンディさんの横からプレシアさんが提案した。
「お迎えですか」
迎えに行こうにも、学校の位置も知らないので帰り道の見当がつかない。それに、二人が一緒に帰って来ない可能性も十分に考えられる。
恐らく、この仕事はスルーになるだろう。
「現状ならそれが一番かしら」
「えっ?」
予想に反して、リンディさんの賛成票で、思わず驚きを口に出してしまった。
「まあ、迎えに行けと言うなら向かいますが……」
無事に達成できるか分からない。
「これを使うといいわ」
そう言おうとした所で、プレシアさんがずいっと目の前に出して来たのは、気で戦うアニメで見たようなレーダー。銀の丸いフォルムに、上部にはスイッチと思われる部分。画面は、緑色をベースにし、白い格子線が入っている。
何となく、使い方とその対象が分かった。
相変わらず、ちょっと異常なレベルの娘愛だ。
「……それじゃ、行ってきます」
突っ込むと負けな気がしたので、レーダーについては何も聞かず受け取り、部屋を出た。
その際に、リンディさんのプレシアさんを見るその顔が、何とも言えない表情になっていたのは気のせいだと思いたい。
そして、階段を使って一階に降りて店を出る。
早速、レーダーをオンにして二人の位置を確認してみると、一つの反応が割と近くにあった。
レーダーに従い、反応のある方向の店を出て直ぐの道で右を向くと、目立つ金髪の少女が遠くに見える。
長い髪を揺らして、少し駆け足でこちらに向かっている。恐らくは店の手伝いの為だろう。
俺も少し駆け足で、少女。姉のアリシアの元に向かう。その途中でアリシアと目が合い、驚いた顔になっていたが、直ぐに笑顔に変わった。
「こんなところで珍しいね。どうしたのお兄さん」
レーダーを見せるか一瞬悩み、ポケットにそっと仕舞って用件を伝える。
「お迎えの仕事だ」
「んん?」
どうやら説明不足だったようで、可愛く首を傾げられてしまった。
「プレシアさんから、娘たちをって」
「なーるほど。いつも母がお世話になってます」
ぺこりとお辞儀される。
「いえいえ……と、それは置いといて」
胸の辺りで手の平を向かい合わせ、右に動かす。
「アリシアは仕事を手伝うつもりで、急いで帰って来たって所か」
そして、思っていた事を伝えた。
「うん、そうだよ。お兄さんはウチの期待のエースを見に来たの?」
アリシアは察しがいいから、会話するのが楽でいいな。
「ああ。ぶっちゃけこの仕事はおまけだ。レヴィも一緒に来ている」
「それなら直にディアーチェたちも?」
「未定と言っていたが、恐らく」
今頃はキングスが料理でシュテルは用事。どちらも終わり間近だろう。
「そっかそっか。それじゃ私は一足先にお兄さんとフェイトたちを待っておくねー」
「了解だ」
手を振って別れ、お互い来た道を交差する。
妹のフェイトの反応は、この道を1㎞ほど進んだ所にいるらしい。恐らく、そこになのはちゃんもいるずだ。
そして、仕事なので軽く走って進むと、ものの数分でフェイトたちを視界に捉えた。
まさか、フェイトの他に三人もいるなんてな。
一番左にフェイト。そこから順番で右に、サイドより少しアップで結んだ、おさげで茶髪の子。
腰まであり、ちょっとだけ左右の髪をサイドで結んだ、茶に近いオレンジ髪の子。
同じく腰まであり、白いカチューシャをした、少し深い紫髪の子。
四人の表情から、全員仲良しなんだと伝わって来る。
勘でおさげの子がなのはちゃんかなと感じたが、そういえば容姿情報を聞いていなかった事に気がついた。
馬鹿だろ、俺。
しっかりと反省しながら、少し走る速度を上げて四人の元へ向かう。
ただ、会話に夢中なのか、唯一面識のあるフェイトは俺に気づいていない模様。
……ちょっとしたお茶目でもしてみるか。
主にフェイトを驚かす為の作戦を思いついたので、実行する事に決める。
「お迎えに上がりました、フェイトお嬢様」
四人の元へ到着し、フェイトの目の前で止まって直ぐに右膝を着く。その後、フェイトの手を右で取って頭を垂らした。
「えっ!?」
『え?』
まずフェイトが驚き、他の三人がこの状況に困惑気味だった。
「フェイトちゃんって、お嬢様だったの?」
「ち、違うよ!! というか、この人はえーと、なんて言えばいいかな……お兄ちゃん的な人で、決して私の執事じゃなくて。って、そもそも何でこんな事してるの!?」
フェイトが予想通りの反応で面白かったが、これじゃ他の三人にも悪いな。
「悪かった。落ち着いてくれ」
「う、うん」
立ち上がって、フェイトの頭を左手でぽんぽんと叩く。表情を見るからに、落ち着いてくれたみたいだ。
「すまない、驚かせてしまったな。とりあえず、歩きながら自己紹介しようか」
謝罪をしてから、右手で歩く方向を示した。
「まず、始めましてだな。高校二年、柊真紅。ブレイブデュエルのプレイヤーで、T&Hの店長二人と交友があって、その二人に頼まれたから皆を迎えに来た。色々あって、テスタロッサ姉妹とは兄妹の様な付き合いをさせて貰ってるよ」
歩幅を四人を基準にし、三人それぞれと目を合わせながら自分の情報を伝える。
『始めまして!!』
三人から揃ってお辞儀をされる。礼儀正しく、元気一杯な子たちだ。
「私は小学四年生の高町なのはです」
「同じく、四年生のアリサ・バニングスです」
「月村すずかです。付け加えると、四人とも同じクラスです」
勘は当たっていたか。
それにしても、皆それぞれオーラがあるな。きっと、アリサちゃんとすずかちゃんもエース候補に違いない。
声のトーンやオーラ、雰囲気からすると……。
「アリサちゃんが前衛で近接武器持ち。すずかちゃんが後衛で支援タイプ。なのはちゃんはセイクリッドって聞いてるから、遊撃タイプなのは間違いないが、人一倍強い心を持っているって所か」
恐らく、これで合っている。
「ふぇー」
「良く気づきましたね」
「その通りです」
ただ、俺が個人で分かったのはアリサちゃんとすずかちゃんだけで、この二人は何となくで読み易かったに過ぎない。
なのはちゃんはセイクリッドと言われれば──「なるほど」と思うが、実際にはどれでも向いてそうだ。
「とまあ、そこそこブレイブデュエルには詳しいし、力になれる事もあると思う。これからよろしく」
『よろしくお願いします!!』
うん、やっぱり礼儀正しい。
皆の歳だと、まだ満足に挨拶出来ない子も多いと思うんだがな。育ってきた環境が、良かったんだろう。
「今日は皆を見に来たの?」
「ああ。さっきアリシアにも会ったから、後はT&Hに向かうだけだ。ここまで四人でどんな話を?」
何か話している途中だった事には気づいていたので、話を誘導しておく。
「えーと、ブレイブデュエルが出来る違う部屋の事かな」
なるほど、五階の事か。話から推測するに、昨日は開けて無かったんだろう。
初日に開けていれば、店案内をしているだろうし、わざわざ今に話す内容じゃない。
「それじゃ、説明と案内はフェイトに任せて、俺は今日の相棒を回収かな」
「相棒?」
「回収?」
フェイトとなのはちゃんが順に首を傾げた。
出会ってそんなに経ってないはずなのに、息ぴったりだな。
「まあ、直ぐに会うよ」
モニターで確認したのが二つの仕事を終える前だったので、普通ならもうカレーは食べてないと思うが、レヴィの事だ……探検に戻って全力出して、食堂に戻ってもう一回食べている可能性がある。
それなら同じ場所だし俺も一緒に向かえばいいが、いない場合は探す必要があるので少し先に戻った方がいいと考えた。
「それじゃ、店も見えたし一足先に店に入っておく。また後で」
最終的な目的は最上階だろうし、五階じゃなくても会えるだろう。
「うん、行ってらっしゃい」
「行ってらっしゃいです」
「また後で、ですね」
「その時は改めてよろしくお願いします」
四人の返事を受け取り、走って向かい店に入る。そして階段を上がり、予定通り五階に。
五階メインルーム。通称コミュルーム。そこそこ広い部屋で、五面ある壁をしっかりと活用している。
まず、入ってすぐ左に自動販売機が二台あり、柱を一つ跨いで奥の壁に向かってカードローダーが五台。
そこから順に二面が、窓のある壁。デッキシミュレーターが机の上に等間隔に並んでいて、座席も用意されている。合計で十二台だ。
次は普通に窓だけで、その向こうには隣のビルが見える。
残りの一面は、今日は使ってないがエレベーター、その扉が二箇所。また一台自販機があって、メインコーナーのフードコートがある。
フロアには長方形の机が三台と、円形の机が十台。それぞれ、十と二脚の椅子があってかなりの人数が座れるだろう。
そして、いなければスタッフルームにと思ったが、奥の方の円形机でレヴィを発見。食べているのはカレーだった。
「レヴィ」
「あ、真紅」
レヴィに近づいた所で、右手を挙げて名前を呼んでから開いてる椅子に座る。
「用事が終わったから迎えに来た。カレーは美味しいか?」
「美味しいよ!! ここのカレーは王様のカレーの味に似てるし」
……だからレヴィは不思議そうにカレーを食っていたのか。
「ここのカレーと一部の料理は、キングスのレシピを参考にしているからな」
ブレイブデュエルの会合の度にキングスが料理を振る舞っていたのだが、毎回そっちに話の花が咲くという現象が起こった。
その為にT&Hを含め、食堂等の施設がある店舗にキングスのレシピがいくつか提供されている。
レヴィもこの話を知っているはずなんだが……まあ、良くも悪くもレヴィって所か。細かく考えてないし、興味がある方に揺らぐ事がしょっちゅうだからな。忘れていてもしょうがない。
「なるほど……」
レヴィは手を止めてカレーを見つめ、少し間が空いてカレーを食べ始める。
多分、今日の晩飯は何かを考えたんだろう。
今日がカレーじゃないのは間違いないが、レヴィが頼めば早くて明日にはカレーのはずだ。
「で、探検は終わったのか?」
「うん、全部探検したよ!! 研究所と違って、玩具屋でもあるからかなり楽しかった」
瞳が輝き、満面の笑み。どうやら本当に楽しかったらしい。
「ふむ」
そこでふと、レヴィの反応を見て一つのアイデアが浮かんだ。研究所にもそういう側面があってもいいかも知れないな。
玩具屋は難しいと思うが……そうだな、キリエの花壇が見えるカフェとかどうだろう。
料理はテイクアウト出来る形にもして、飲み物の層を厚くする。料理のレシピはキングスにお願いするとして、それを作れる様に練習はいるが、恐らく大丈夫だろう。
……うん、思ったより行けそうだ。
問題点は色々と出て来るだろうし、一度皆に相談してからだな。
「……どうかした?」
少し長く思考してしまい、レヴィは心配そうに俺の顔を覗き込んで来た。
「いや、楽しいアイデアを思いついて、その事を考えていた。今日の晩飯で話すよ」
上手く行ったら、研究所にもっと活気が出るな。
「そっか。真紅のアイデアは採用され易いから、期待してるよ!!」
一度瞳を輝かせて、レヴィは残りのカレーに手をつけ直す。
あっさりとした反応だなと思いつつも、お互いに信頼があるのと、やはりレヴィは難しく考えないからだろう。
決して付き合いは長くないが、この信頼はチームメイトとして良い関係だと思っている。
俺はその横で、腕を組んで目を瞑り、アイデアを丸める事にした。
「ごちそうさまでした!!」
それから、カレーを食べ終わったらしく、目を開けて確認するとレヴィは容器を返却しに向かっていた。
良い頃合いかなと思い時計を見ようとした所で、少し離れた所の円形机の周囲に皆の姿を発見。アリシアも加わった様だ。
「ただいま」
「おかえり……って、口の周り汚れてるぞ」
ハンカチを取り出して、レヴィの口元を拭く。
「いつもありがと~」
レヴィは動物みたいな所があるからな。もう慣れたが、いつになったら綺麗に食べれる様になるのだろうか。
「これでオッケーだ。敵に襲撃する前に俺が拭けて良かったよ」
「敵? ……あ、へいとだ。あのメンバーの中になにょはがいるんだね」
俺の言葉で、皆の存在にちゃんと気づいたらしい。
「ああ。茶髪でおさげの……行ってしまったか」
なのはちゃん誰なのか教えようとしたその途中で、レヴィは小走りで皆の元に向かっていた。
相変わらず、レヴィの行動力は高いな。
「ヴィーたんをやっつけたっていう実力、この僕にも見せてもらおうか!!」
結果は、部屋に響いた声が示していた。
「えええぇぇっ!?」
レヴィよりも大きいなのはちゃんの声。いきなりの発言で驚きの方が強く、迷惑がってはなさそうで良かった。ただ、一方的な説明で悪いので、皆に近づいて補足をする事にする。
「いきなりで悪いな。簡単に言えば、皆で遊べると嬉しいって事だ」
「……それなら、イベントにしよっか」
アリシアがにやっと笑った。
◆ ◆ ◆
アリシアの提案にてイベントデュエルという形式で戦う事が決まった。二日目だから、BDの新しい魅力を伝えたいとの事らしい。
今回、デュエルの方法はスピードレーシング。障害物コースを進み、チェックポイントを通過してゴールを目指す。
その道中で、逆三角形に球体が付いたブレイクターゲットを壊す事で追加ポイントが入って、最終的にポイントの多い方が勝利となる。
また、勝敗は二週して決定するので、一週目の動きが大切なったりもするが……そこはその人のスタイルによる。
例えば、レヴィは間違いなくゴール一直線なので、どう動けばポイント効率が良いとかは考えない。フェイトならゴールを目指しながら、他に出来る事がないかを考えるだろう。
チーム分けはもちろん、俺とレヴィのインダストリー組。フェイトたちのミッドチルダ組。実質二対四で、本来はこちらが不利に思えるが、実力的にはこちらが上だ。
『まずは当店のエースで我が妹フェイト・テスタロッサ率いる、チームT&H!!』
何とも、アリシアらしい紹介だ。
ブレイブシミュレーターに入って、ブレイブホルダーを胸の前に掲げる。
「ブレイブデュエルスタンバイ」
《プレイヤースキャン、開始します》
そういえば、女性はここで服が無くなる様に見えるらしいな。
男と女のスタンバイは部屋が分かれる様に区切りされるので、同時に入ったとしても見えないし、もちろんゲーム外からも見えない。
このシステムを導入したのは博士だったが、システムのアイデアを考えたのはキリエと姉貴だった。
何でも──「変身するなら一度裸になるべき」というキリエの持論。姉貴はそれを聞いて──「男なら一瞬で変身するべきです」という持論を生み出した。
よって、このシステムが出来たが……キングスは始めだけグチグチ言っていたな。
《アリーナ上にアバター生成。出現座標は指定。つづいてセンス。ダイブします》
一瞬だけ意識が無くなり、まるで水の中を潜っている空間で意識が戻る。
なんとも不思議な感覚で、俺はこの瞬間が一番好きだ。
《フルタスクコンプリート》
ゲームを始める全行程が終了し、アリーナ上へ移る。目を開けてすぐに視界に入って来たのは、様々な建物。これが、今回のコースになる様だった。
「変身しないの?」
ずいっとレヴィの顔が視界に入り、近かったので一歩下がる。
「した方がいいか?」
レヴィではなく、フェイトに向いて聞く。
「うーん……私はそれで良いハンデだと思うんだけど。皆はどうかな?」
リレーの様に、フェイトが三人に訊ねた。
だが、三人はどこか意識が別な所に向かっている様子で、反応がない。
その視線を追ってみると、どうやら俺の方向。後ろを確認しても何もないので、他に何処を見てるのだろうか。
「ど、どうしたの?」
たまらなくなったのか、フェイトがなのはの肩に手を置いて聞いた。
「あ、ごめんね。柊さんの名前が、全然違ってたから」
なるほど。見ていたのは俺のアバターデータか。
「それなら、自己紹介を兼ねて変身しようか」
そっちの方が、あの名前と通り名に合っている。というか、日常生活でアレは痛い。ゲームでは折角貰った名前なので素直に使っているが……。
『お願いします』
「了解した」
皆から少し離れて、イメージを取り出す。
『
リライズアップの代わりに宣言するのは別の言葉。
まず、目の前に赤と黒が混ざった、水の流れの様に波打っている長方形のゲートが現れる。
そこを歩いて通過すると全身がその物体に包まれるので、右腕を水平にしてから左肩の辺りに持ってきて、勢い良く右斜めに振り下ろす。
全身を包んでいた物体が飛び散って燃え上がり、俺の変身が完了した。
『あの男を、知る人は知っている……ロケテストナンバーワンチーム、ダークマテリアルズの真の司令塔、深紅の先導者!! 赤と黒に染まるそのアバターは、鮮明に記憶に残って蘇る!!』
……飛ばしてるな、アリシア。
「改めてだ。"クリムゾン・ザ・ベルウェザー"。ロケテストの個人ランキングは無いので、実力はそこそこと言った所だ」
そして、アリシアの紹介に合わせてゲームでの俺を紹介する。
ただ何故か、皆それぞれ反応が鈍い。
「やっぱり真紅の変身もアバターもカッコイイね!!」
と思ったら、レヴィは感動を溜めていただけだったらしく、瞳を輝かせながら両腕をぶんぶん振っている。
それにつられて、同じ性質だからか分からないが、レヴィの周りにいたチヴィたちまで寄って来て同じ反応だ。
「ふえぇぇぇ……あんな事も出来るんだ」
「何か、物凄く強そうなのは気のせいよね」
「年上の男の人だから、きっと強いと思うよ……あれ、そういえば、フェイトちゃんに負けたのって大人の男性だった様な……」
どうやら、他の皆も驚きやらで反応が遅れただけだった。
「お兄ちゃんのアバター見るのも、戦うのも久し振り」
「ああ、そういえばそうだな。最後に戦ったのは二週間ぐらい前か」
あの頃は、ロケテストが終了間近で準備や調整やら、本当に色々に付き合わされていて忙しかったので、殆どBDで
遊べなかった。
一応、少しは遊んでいたが、それも何とか時間を作っての話だったしな。
「うん。今日は皆と一緒に勝つよ」
珍しく、フェイトの瞳に静かな炎が灯っていた。
「受けて立つ」
俺は拳を前に出す。フェイトがこれを見て同じようにして拳を前に出し、俺の拳にぶつけた。
「それじゃ、そろそろ始めようか。アリシア、スタートの合図を頼む!!」
『もっちろ~ん、お任せ!!』
皆への説明は、ここに向かう途中に教えているので、今すぐにでも始めれる。
『それじゃ、位置について~』
全員がスタートラインについて、独特の緊張感を醸し出す。
『スピードレーシング。セットレディ~』
アリシアの言葉に合わせて、スタートダッシュに身構えて最後の一言を待つ。
そして、その時は来た。
『GO!!』
デュエルの火蓋が切られ、俺たちは翔け始めた。