亦野さんが麻雀弱いわけないだろ!   作:てーやー

12 / 40
この小説は、亦野の勘違いを中心に書こうとしているので、それ以外の真面目なシーンは一話でさらっと終わると思います。

あと、今回は初めて文の中に()を入れてみました。その話の中で、中心となる人物以外の心の声を示すときに使用します。


12翻役 新子憧は成長している

次鋒戦が終了して、いよいよあたしの番が来た。

 

 

状況は悪いが、誠子先輩は後半戦の一撃のために点数を取れなかったらしいし、まこ先輩も親番四回中三回をツモられた。仕方ない。

 

 

とはいえ、これ以上落ち込んでいる先輩二人を見たくない。よし、と気合を入れなおし、二人にも聞こえるようにあえて元気な声で言う。

 

 

「先輩二人の仇を取りに行きますか!」

 

 

 

 

 

 

中堅戦開始

東場 風越女子高校 池田華菜 120100

南場 鶴賀学園 蒲原智美 112600

西場 清澄高校 新子憧 72700

北場 龍門渕高校 国広一 94600

 

 

この中であたしが最も苦手とするのは風越の池田。攻めっ気が強く、豪運で、調子に乗らせるとまずいタイプ。

 

 

先鋒戦での誠子先輩みたいに相手を降りさせるか、こちらも高打点で押すしかないが、あたしにそんな真似はできない。

 

 

だからこそ、天狗になる前に鼻を折っておく必要があるのだが…

 

 

「リーチだし!」

 

 

東一局の5巡目のリーチ、これは止められない。

 

 

「ツモだし!」

 

 

そしてそのまま一発で親満ツモ。痛いが、仕方ないと割り切り次に備える。

 

 

「リーチだし!」

 

 

…これはなかなかまずそうだ。これ以上放置すれば風越の一人勝ちになってしまう。だったら、

 

 

「チー!」

 

 

「ポンッ!」

 

 

(…分かりやすい安手。つまり)

(差し込めってかー。)

 

 

こうする。

 

 

「ロン!」

 

 

これで風越が親の時の和了りを防ぐとして、問題はどう稼ぐか。とにかく、今のあたしには情報が足りない。次の局は情報を集めるのに集中する。

 

 

…決して、誠子先輩が戦い方を毎回変化させるせいで、対局の初めに観察をしないと怖くて攻められなくなってしまったという訳ではない。

 

 

 

 

 

 

東二局が終わったところで、ようやく三人の強さを分析できた。東一局での差し込みの精度からも強さを測れたのが大きかった。

 

 

風越の評価は変わらず。一番危険だが、降りずに回すことが多いため狙い目。

 

 

鶴賀は一番狙いやすそうに見えるが、危険牌を躱すのだけは異常に上手い。ただ、複数人が聴牌した時は普通に振り込むため、そういう類の能力を持っていると考える。

 

 

龍門渕は平均より少し強いくらい。観察眼に優れているから、流すときはこの人の動きに注意する。

 

 

…これでようやく攻めに出られる。

 

 

「チー!」

 

 

まずは、この鳴きで風越の清一色か混一色かを止めつつ、龍門渕に援護要請。ただ、親のあたしに和了らせてくれるとは思っていない。

 

 

って、差し込んできた?!

 

 

 

 

…なんてね。龍門渕から見てあたしは上家にいるから、途中まで協力する振りをして先に和了ろうとするのは予想済み。だからわざわざ嵌張待ちを多く、つまり待ちが少ない様に見せている。

 

 

これもばれているかもしれないけど、こっちだって相手の手が重いことは分かってる。だから、

 

 

「ツモ!」

 

 

満貫くらいなら先に和了れる。先輩たちや咲なら鳴いて止めてくるけど、この三人には止められない。

 

 

そしてこの程度が止められないなら、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この勝負、もらったわ。

 

 

 

 

 

 

中堅戦終了

清澄高校 89400(+16700)

鶴賀学園 96500(-16300)

龍門渕高校 96400(+1800)

風越女子高校 117700(-2400)




文堂さんは現在校内ランキング6位です。なので、来年にはきっと活躍してくれるでしょう。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。