亦野さんが麻雀弱いわけないだろ! 作:てーやー
結局あの後、咲ちゃんから大した助言がもらえないまま後半戦が開始した。
東場は特に問題がなく進んだ。いや、宮守との距離を縮められていないので問題ないとは言えないが、平常運転ではあった。間違いなく
異常が発生したのは南二局の開始頃。
今まで何かある度にわたわたしていて、常にほほえましい反応をしていた永水の反応がどんどん鈍くなっていき、最終的には必要最低限の言葉しか話さなくなってしまった。
それだけなら別に何ともなかった。確かに、嫌われたと思った時には少し傷ついたがそれだけだ。
他の二人も彼女の反応が変わった当初は不審がり、卓上に気まずい空気が流れていたがそれも徐々に元に戻っていくはずだった。
しかし、その局の六巡目、
「ツモ」
永水の人から出たとは思えない、機械的な声のトーンで三倍満に必要な役が揃った手牌を倒した。
そしてその勢いのままに、南三局も倍満を和了し、今までの点数を根こそぎ奪っていく。
…。
何で?何で?何で?!
何で終わりかけにこんなことになるの?!
さっきまで普通に打ってたよね?!
…これはあまりにもひどすぎる。さすがに運が悪いだけとは考えにくい。
なら、結論は一つ。
彼女が実力を隠していた。これしかない。私も昔、純とまこに同じことをやられていたから分かる。
つまり、先程までの優しい彼女はすべて演技。あざとい演技をしている裏では対戦相手の三人を嘲笑していたに違いない。
この説なら、急に態度が冷たくなったことにも合点がいく。対局が終わりかけになったために、性格を偽る必要がなくなったとでも考えたのだろう。
そして、次は私の親番。今までは私の親ではなかったため他の二人に比べれば痛くはなかったが、このままでは倍満のツモでも8000点が一気に毟り取られてしまう。
どうにかしたいが、こんなことができる相手に何かできるとは思えない。せいぜい良い手が来るように祈るくらいか、巫女さん相手に。
そして、運命の南四局。早そうな手が来てくれた。これなら勝てると思う。
今は親番、それも五巡目。まだ一向聴だが、ここで勝負せずにいつ勝負するか。覚悟を決め、危険牌を捨てる。
一枚目、当たらない。そしていらない牌が来る。
二枚目、一巡前にツモった牌を捨てる。当たらない。そして聴牌。
さっきの倍満と三倍満は、二回とも次の巡目で和了ってきたはず。気分の問題だが、ここでリーチ棒は出したくない。
考えた末、ダマで三人から待ち牌が出て来るのを待っていたが、
「ロン!」
先に宮守が姫松に振り込んだ。
…まあ、倍満以上を自模られるよりは良かった。
先鋒戦終了
永水女子高校 122300(+36700)
宮守女子高校 98000(-22300)
姫松高校 86300(-3600)
清澄高校 93400(-10800)
次回は副将戦ですかね。初めは中堅戦も書くつもりでしたが、ネキに独走されて終わる未来しか見えなかったので止めました。