亦野さんが麻雀弱いわけないだろ!   作:てーやー

20 / 40
前回書いたように中堅戦の描写は省きますが、終了時点での点数をここに載せておきます。


永水女子高校 滝見春 108200(-6500)
清澄高校 新子憧 97900(-8400)
姫松高校 愛宕洋榎 114300(+21800)
宮守女子高校 鹿倉胡桃 79600(-6900)


ネキ「Vやねん!姫松」

+33400にするかどうか悩みましたがやめておきました。


18翻役 井上純は取り返す

憧が帰ってきた。今は何も無かったかの様にけろっとしているが、目を赤く腫らしていたのを隠しきれてねえ。

 

 

無理もない。

 

 

何せ、相手はあの姫松と永水。一昨年と去年のベスト4で、片方からは主軸選手が出てくる。だから、否が応でも全国に来たと実感させられる。

 

 

しかも自分の前には、誠子が全国を代表する選手と対局してマイナスを抑え、まこも地区大会和了率全国一位を相手に区間一位で帰ってきた。

 

 

それだけに、ここで良い流れを断ち切ってはいけないと焦っていたのだろう。その結果が愛宕の姉の一人浮き。前半戦から三人で必死に流していたが、それでもこの結果だ。

 

 

 

 

…しゃーねーな。今回は俺が敵を取ってきてやるか。

 

 

 

 

 

 

副将戦開始

東場 姫松高校 愛宕絹恵 114300

南場 永水女子高校 薄墨初美 108200

西場 清澄高校 井上純 97900

北場 宮守女子高校 臼沢塞 79600

 

 

これまでの試合を見る限り、明らかにやべえのは薄墨。北家の時に東と北を鳴いただけで四喜和を作ってくる。本来なら俺が止めなきゃならねえが、今回は臼沢がいる。

 

 

咲の話によれば、この片眼鏡女は相手の能力を封じることができるらしい。欠点として対局が長引けばガス欠を起こすらしいが、俺も手伝えば何とかなるだろう。いや、何とかするしかねえ。

 

 

つまり今回の勝負どころは、薄墨が北家、すなわち俺が親になるまでに臼沢と手を組めるか。ここで俺が標的にされでもすれば、確実にあの巫女集団に追いつけなくなる。

 

 

親の時に攻められないのは悔しいが、下家が臼沢という最悪ではない状況。こうなったら、前半戦は親番を捨ててでも、臼沢からの信用度を上げれるだけ上げておく。

 

 

 

 

 

 

そしてついに来た東三局。ここまでは上位二校の親番だったため、違和感なくお互いをアシストし、自然に手を組む流れにできた。

 

 

だから、この局はモノクル女へのアシストに専念しつつ、あの痴女を本当に止められるのかを見極める。無理そうなら、後半戦に薄墨が上家にならねえように祈っとくしかねえ。

 

 

「ポンですよー。」

 

 

と、一位の愛宕妹が巫女に差し込んだ。早和了りの自信があるのか、三位の俺を落としたいのか、それとも両方か。だが、まだ一枚。こっちも鳴いて、臼沢の手を早めておく。

 

 

「またまたポンですよー。」

 

 

再度聞こえた能天気な声とともに、風牌が運ばれる。これで、俺の左側に北と東の牌が晒されたことになる。

 

 

 

 

その瞬間、肌で察した。どこからか来た不穏なオーラが、この卓を、空間を包みこんでいる。

 

 

そして本能的に理解する。俺じゃこの流れは変えられねえ。俺だけじゃこれはどうしようもねえ。

 

 

絶望感に苛まれながらも、藁にも縋る思いで臼沢を見る。すると、

 

 

 

 

 

 

彼女の周りに防塞が見えた。

 

 

それだけでなく、眼からも異質さを感じる。気付けば、先程までの恐ろし気な空気はいつの間にか霧散していた。

 

 

防塞が薄墨の流れを完全に停止させている。その今まで見たことのない光景に、今は味方のはずの俺ですら、畏怖の念を抱いてしまった。

 

 

しかし、当の本人はその視線に気づいていないのか、対面を凝視したまま、

 

 

「ロン。6700」

 

 

この局を終わらせた。

 

 

 

 

…信じられねえ。本当にあんなオーラを塞ぎ切ったのかよ。俺の技術も向上させていけば、いずれはあんなことができるようになるのだろうか。

 

 

ともあれまだ三局目だ。緩まった気を引き締め、次局の配牌を取り始めた。

 

 

 

 

 

そして、勝負は後半戦に入る。前半とは違い、臼沢が親となる一局目に薄墨が動く。

 

 

だから、俺が何もしなくても問題はなくなったのだが、東一局は点数を下げ、薄墨が二度目のポンで余らせた牌を狙い撃つことにした。

 

 

まあ、これまで二回助けてもらったからな。これくらいは控室の奴らも許してくれるだろ。

 

 

ロンを宣言した際に臼沢が目で礼を言ってきたが、俺がなんとなくこうしたかっただけだ。

 

 

 

 

 

 

そのまま南場に入り、薄墨に警戒するのもこれで最後になる。臼沢にも疲れが見え始めたから、ここは早めに和了っておきてえ。

 

 

五巡目に北を鳴かせたが、それまで。愛宕妹も自分の稼ぎが少なく焦ったのか、それ以降は三人とも字牌を鳴かせていない。

 

 

これなら四人の単純な早さ勝負か、と薄墨から意識を外した次巡、

 

 

 

 

 

 

「カンですよー。」

 

 

…自分で鳴きやがった!?というより、暗槓でも問題なかったのか。これは不味いな。

 

 

油断していたつもりはなかったが、こうなったらしょーがねえ。せめて四種の風牌が揃う前に___

 

 

「ロンですよー。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…危なかった。南と西が来るのを諦めて、ドラを集めて多面待ちにしてやがった。愛宕妹が先にその牌を捨ててなかったら、次巡に俺が当たっていた。

 

 

今回はラッキーで済んだが、たまたま運が良かっただけ。これじゃ終われねえ。

 

 

残りは三局。憧のためにも、絶対一位で戻ってやる。

 

 

 

 

 

 

副将戦終了

宮守女子高校 84200(+4600)

清澄高校 108200(+10300)

姫松高校 106100(-8200)

永水女子高校 101500(-6700)




後書きに書くことがなかったのでこれを載せておきます。点数移動は原作と一緒です。


清澄高校 染谷まこ 106300(+12900)
宮守女子高校 エイスリン・ウィッシュアート 86500(-11500)
永水女子高校 狩宿巴 114700(-7600)
姫松高校 真瀬由子 92500(+6200)

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