亦野さんが麻雀弱いわけないだろ! 作:てーやー
そしてついに勘違いのタグが役に立つときが来ました。
なおうまく勘違いさせられるかは不明。
先輩たちと新子さんが、辛そうな表情をしながらも卓を囲んでくれている。
…これ以上の続行は不可能だろう。無理に続ければ、彼女達が麻雀を嫌いになってしまうかもしれない。
私がもっと強く断っていれば。
私がここに来なければ。
…私が期待なんてしなければ。
考えれば考えるほど憂鬱になるが、後悔してももう遅い。この状況で私にできることは、このオーラスをできるだけ早く終わらせてすぐに帰ることだけ。
そう分かっているのに少しだけ躊躇してしまう。
他の人と麻雀をしたのは本当に久しぶりで。
もう少しだけ続けたくて。
…これ以上考えてはいけない。余計なことを考えるのは止めよう。
複雑な気持ちを押し殺し、ツモった牌を裏返す。そして、そのままカンを宣言しようとした瞬間、後ろにあるドアが開かれる気配がした。
「お疲れ…えっ、また新入部員!?」
その声を聞くと同時に、目の前の三人の顔が目に見えて明るくなる。その反応から、後ろにいるこの人が亦野先輩だと理解できた。
けれども、全く強さを感じない。心なしか三人よりも弱い気さえしてくる。
三人を疑う気はないが、本当に彼女がプラマイゼロをどうにかできるのだろうか。戸惑いが生まれ、つい訝しく思ってしまう。
しかし、当の本人はそんな反応も気にすることなく、染谷先輩が終局するたびに打ち込んでいた何らかの機械の画面を少しだけ見た後、卓を眺め始めた。
私の後ろから中央の点数を見、続けて私の手牌を覗き込む。そして何かに気付いたのか、私にだけ分かるように小声で囁いてきた。
「それ…早く直した方が良いよ?」
…?なんの話だろう。
「私もよくそうなってしまうけど、やりすぎるとみんな不機嫌になるから。」
その言葉で、一つの考えが頭をよぎった。根拠も何もない、ただの直感。
けれども、その想像が本当なら、とつい期待をしてしまっている自分がいる。
そしてその感情に抗える訳もなく、できるだけ落ち着きながらも、確認のために質問をする。
「…もしかして、先輩もプラマイゼロになってしまうんですか?」
「え、うん。…最近は、だけど。」
…やった、
やった、やった!
思った通りだ!まさか私と同じ境遇の人がいるとは!
それだけでなく、私にプラマイゼロ癖があることを一目見ただけで見抜いてきたのか!
なるほど、実力こそ強くはないが、観察眼に優れていて、私と同じ癖を持っているらしい。それなら、彼女自身が強くなくても納得できる。
新子さんはこの先輩に何かしらのアドバイスをもらおうと考えたのだろう。確かに、「亦野先輩ならそのプラマイゼロを崩せる」とは言ったが、彼女が強いとは一言も言っていなかった。
そう、自身の早合点を反省しながら心の中で舞い上がっていると、先輩たちの中では勝手に話が進んでいたようで、染谷先輩の席には亦野先輩が座っていた。
あれ?亦野先輩が直接打つのか。 釈然としない。
同じ境遇の人がいてくれるのはありがたいが、アドバイスをくれるのと、実際に打つのとでは話が変わってくる。先程の三人でも辛そうだったのだ。この先輩では耐え切れずに、途中で投げ出してしまうのではないだろうか。
自分のために打ってくれることにありがたさを感じつつも、この半荘はあまり期待しないでおこう。
しかし迎えた南四局、
「ロン、槍槓。」
この考えが見当違いであったことに気付かされた。
次こそ亦野視点。
しかし肝心の亦野の口調が全く分からんのだよ。