亦野さんが麻雀弱いわけないだろ! 作:てーやー
こんなことってあるんだなあ。
小走さんに役満を当てた時、そんな陳腐な言葉が頭をよぎった。
配牌を見て九種九牌だと分かった瞬間は絶望していた。準決勝の最後みたいに宣言して、向かいの辻垣内さんに「何勝手に流してくれてんだテメエ…。」みたいな目で睨まれるのが怖かったのだ。
そのため、自分の番になっても言い出せずに局を進めてしまい、しぶしぶ国士無双を狙ったがまさか当たるとは。
インターハイどころか人生で初めての経験だ。もしかして明日死ぬんじゃなかろうか。
対局が終わってからも、足が浮いているような気がしてうまく歩けなかった。
それでも何とか会場と控室の間の廊下を通っていると、やる気で満ち溢れた様子のまことすれ違う。
「最後に後輩にええとこ見せられたのお。咲も憧もえらい喜んじょった。なら、わしもやることやらんとの。」
役満に浮かれていたが、そう言えばそうだ。プラス収支で終えるなんて初めてじゃないか?これで堂々と部屋に帰ることができる。
ただ、褒められて悪い気はしないが、ただの偶然なので断りを入れておく。
「あれは運が良かっただけだって。正直、あの三人には勝てる気がしなかったし。」
私がそう言うと、まこは嬉しそうな表情のままため息を吐く。まるで、この反応に慣れきっているとでも言いたげだ。
「…その言い逃れさえなけれりゃ完璧じゃったがのう。まあ、もしそうじゃったとしても役満は役満、一位は一位じゃ。誇りんさい。」
まこはそのまま、「お陰で緊張がほぐれたわ。」なんて言いながら、後ろ手を振って会場に向かっていった。
そのまま控え室に戻ってきたが、そこでは想像以上の歓声が待っていた。
「決勝で役満とか、ついにやったなおい!」
「さっすが誠子先輩!まさか、決勝の舞台でビシッと決めてくるなんて!」
「さすがです先輩!…もしかして、休憩中に私が言い負かされたからやり返してくれたんですか?」
みんなすごく喜んでくれている。…休憩時間に、負けた後どう謝罪するかを悩んでいた自分が懐かしい。
でも咲ちゃんは、「なら毎回、先輩の対局前に相手を煽れば…?」なんて呟くのはやめてほしい。それで役満が取れれば苦労しない。お願いだから本当にやめてほしい。
咲ちゃんの関心が危うい方向に行く前にどうにかしなければ。テレビではちょうど次鋒戦が始まる瞬間だったため、そちらに注意を向けさせよう。
「ねえ、咲ちゃ___
「先輩は、あの役満のために今まで弱い振りをしていたんですね!」…ん?」
…いつの間に話飛んだっけ?
「決勝で役満とか、ついにやったなおい!」における解釈の違いについて
亦野視点
→「決勝で役満とか、ついに(ようやく)やった(活躍できた)なおい!」
純視点
→「(なんかやるとは思ってたが)決勝で役満とか、ついにや(りやが)ったなおい!」
…他に載せる場所がなさそうなのでここに載せておきます。