亦野さんが麻雀弱いわけないだろ! 作:てーやー
私のプラスマイナスゼロが崩された。それもたった一手で。
悩んでいたのが馬鹿らしく思えるほどの呆気ない終わり方だった。そのせいか未だに実感が湧かない。
本当にこの呪いから解かれたのかと何度も自分の点数を確認するが、何回見てもそこに書いてある数字は25000を下回っている。
とりあえずお礼を言いたいところだが、頭が回らず言いたいことが纏まらない。
「えっと、あの、私、この先、ずっと、プラマイゼロの成績しか出せないと思い込んでしまっていて…その、あ、ありがとうございます!」
その結果、途切れ途切れでしかお礼を言えず顔から火が出る思いだった。
「えっ、ちょっ、その、こ、こっちこそごめん!」
そして、そんな私に先輩は突然謝ってきた。なぜ謝ったのかは分からないが、先輩の普段からの腰の低さが伝わる反応に思わず笑みをこぼす。
そしてふと思う。
麻雀をした相手とこんな風に笑い合ったのはいつぶりだろう。
昔はよくこうやって家族で麻雀をして、笑い合って、
ああ、
またみんなで打ちたいな。
あの後、私に目標ができた。お姉ちゃんと全国の舞台で麻雀を打つこと。
お姉ちゃんが今も麻雀をやっていることをお父さんから聞いたから。
前に一人で会いに行った時には口を利いてくれなかったけど、麻雀を通してなら話せる気がするから。
二人が打っている姿を見たらお母さんが戻ってきてくれるかもしれないから。
…家族のみんなに、私はこんなに強くなったよ、って言いたいから。
お父さんにこの話をすると、今のお姉ちゃんは去年のインターハイと春季大会で優勝するほど強いと教えてくれた。
つまり、今の本気を出したお姉ちゃんと戦うためにはそれなりに強くならなければいけない。このままでは、何年ものブランクがある私はほんの数局で飛ばされてしまうだろう。
それに加えて、これまでは全部感覚に身を任せて打ってきたため、亦野先輩のような相手と対局した際にあっけなく敗れかねない。
そもそも私は幼少期以降、±0の成績にはできたが勝ったことはない。つまりは勝つための戦い方を知らない。
だから、強くなるためには±0のための打ち方を捨て、感覚に頼るだけでなく、勝つための戦い方も学んでおく必要がある。
染谷先輩の”記憶を呼び起こすやり方”みたいな、
井上先輩の”流れを変える技”みたいな、
新子さんの”攻めと守りの判断力”みたいな、
そして、亦野先輩の”自身の強さを隠す戦い方”みたいな。
だからこそ___
「私を麻雀部で鍛えてもらえませんか。」
原作にあるシーンや、飛ばしたいシーンはどんどん飛ばしていきます。
そうしないとモチベーションが保てそうにないので。