亦野さんが麻雀弱いわけないだろ! 作:てーやー
ただ、登場人物が多くなればなるほど会話文が多くなるのが辛いですね。
本っっ当にばれなくて良かった。
上機嫌で部室から出ていく亦野先輩を見ながら安堵する。
「お疲れ、二人とも助かったぜ。」
ドアが閉まるのを確認した後、純先輩があたしと咲に礼を言ってくる。
「は、はい。でも、一番頑張ってくれたのは新子さんですし…。」
「何言ってんのよ?上手くいったのは純先輩と咲がアイディアをくれたからでしょ?純先輩も本当にありがとうございました。
…お陰で亦野さんが自分から先鋒に行ってくれましたから。」
そう、先程までのポジション決めをする前に、あたしと純先輩と咲の三人で亦野先輩を先鋒に置くための作戦をあらかじめ練っていた。
それは団体戦のメンバーポジションを決定する数日前のこと。
「純先輩、相談があるんですけど。」
その時のあたしはあることで悩んでいた。
「ん?」
「どうすれば亦野先輩が自発的に先鋒にいってくれると思いますか?」
亦野先輩が麻雀で本気を出したがらないことが判明したのだ。
普段から、それこそ咲のプラマイゼロを崩したとき以外はずっと強さを隠している先輩だが、それはどこでも変わらない。たまに点数を調整して遊んだりするが、相手が強ければ強いほど対局を早く流して終わらせようとする。
恐らくこのまま団体戦のポジションについて会議をしても、絶対に楽ができる次鋒か副将に行こうとするだろう。
そのどちらかに行かれるだけならまだしも、そこでも早く流して終わらせようとする可能性がある。
そんなことでは、あたし達の目標である全国には届かないかもしれない。
そして、それは純先輩も同意見らしく、
「あー、そうだな。オレとまこの二人だけなら、何も言わずに勝手に申請したりするんだが。」
少し過激ではあるが意見を出してくれた。
「…いや、さすがにそれはダメですって。」
「まあ、お前ならそう言うよなあ。」
気を取り直して案を出そうとする。すると、先輩は唐突に「しょーがねえ。」と呟いて、後ろのドアを親指で差し示した。
「なら、あいつに聞くか?」
「あいつ?」
言われるままにその方向を見る。すると、
「あっ、その、ご、ごめんなさい!」
ドアの向こうからおずおずと咲が出て来た。
…全く気が付かなかった。それだけ話に集中していたのか。
しかしここでもう一人増えたのはありがたい。咲も咲で全国を目指しているらしいので、この事を話せば確実に味方になってくれるはずだ。
早速この事を話し、咲にも意見を求める。
すると、咲は控えめに手を挙げながらもすぐに意見を述べてきた。
「亦野先輩は後輩に優しいので、それを利用するのが良いと思います。」
「それが駄目なら、先輩がいつも本気出したがらないことを逆手に取り、先鋒を一番楽なポジションであるかの様に説明するのはどうでしょうか。」
…咲は、中々の知恵者らしい。
せっかくなので、今回の後書きには清澄の各メンバーポジションを選んだ順番と理由を書いておきます。
~メンバーポジション清澄編~
①大将 宮永咲
咲さん以外が大将に行って勝てるビジョンが思い浮かばなかった。キャラ的には、一番強い人が集まるポジションならお姉ちゃんもいるだろうと考えたから。
②次鋒 染谷まこ
原作通り。彼女の戦い方を考えると、やはりここが一番活躍できる。さらに、筆者目線ではキンクリができる。
③中堅 新子憧
詳しい理由は阿知賀か白糸台編で言う。キャラ的には、①と②が決まった後、ジャンケンで勝利した。
④先鋒 亦野誠子
先鋒か副将かに絞られたが、どうせなら先鋒の方が面白そうに感じた。キャラ的には他四人の希望に押し切られた形。
⑤副将 井上純
残りが一枠しかなかったためここに収まったが、筆者的には美味しい場所。原作の阿知賀で言う、お姉ちゃんと同じ役割が持てる。