Lyrical Foundation Hub   作:ryanzi

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少なくとも、画面の前の貴方達は人々の透き通った叫びを聞くことができるはずです。


”簒奪者”暁美ほむらの最期

「それじゃあ、転生しろよ」

 

「何言ってんの」

 

「元の世界に蘇ることもできるけど、ゾンビあつか・・・」

 

「それでもいいわ」

 

「・・・あーもう、めんどくせえなあ!とりあえず没収だ!」

 

「・・・何をしたの?」

 

「お前の能力の一部を奪った。もうめんどくさいから転生させる」

 

「ちょっと・・・!」

 

 

 

「・・・懐かしいわね」

 

暁美ほむらは夢から覚める。

かつて自分を転生させた”自称”神は自殺したらしい。

それも自分がいまいる組織によって。

 

財団

 

確保、収容、保護をモットーとする正常性維持機関。

世界唯一の超常組織。世界最後の超常組織・・・。

全ての闇は財団によっていずれ取り払われるだろうともいわれている。

そして、今ではほむらはそんな組織のトップに立っている。

トップに立っているという表現は間違っている。トップの位を簒奪したのだ。

なぜ、そんなことをしたのか。理由は二つあった。

一つは純粋に怒りが湧きあがったからだ。

かつてのO5-1はまさにほむらの怒りを買うような人物だった。

彼は正常性を謳いながら、やっていることは異常物の生成だった。

ほむらはある日、彼の考案した異常性兵器の設計図を見つけた。

 

『合唱の銃』

 

そんなコードネームで呼ばれていた兵器の材料は・・・90人の少女だった。

しかも、既にその材料集めは始まっていた。

ほむらはO5-1に問い詰めた。

 

「財団は悪だ」

 

彼はただ無表情でそう言った。

 

「我々は世界の正常性を維持するために・・・」

 

御託はもうたくさんだった。

二つ目の理由は、彼女の存在理由たる少女を取り戻すためだった。

少なくとも、財団の技術力をもってすれば可能だった。

 

彼女の計画の第一段階は実行された。

12と13を除くO5の抹殺に成功した。

12はミッドに逃亡し、13は自らと同じ転生者なので手出しは難しかった。

だが、彼女は1の位を簒奪した。

計画の第二段階はついに終わろうとしていた。

 

「この時を、ずっと待ってた」

 

彼女は物語層視覚化スクリーンを起動する。

二つの球体が表示される。一方は魔法少女リリカルなのは、もう一方は魔法少女まどか☆マギカを表現している。

魔法少女リリカルなのはの球体が魔法少女まどか☆マギカの要素の一部を吸収していた。

『鹿目まどか』の要素を。

 

「・・・これで、いいの」

 

カウントダウンはついに数秒が残されるだけとなった。

 

なにがおこったの?

 

 

いやだしにたくない

 

これで全ては終わる。

 

おかあさんいたいよいたいよお・・・

 

 

だれがこんなことをしたんだ

 

彼女の望む結末。

 

せかいがくずれてる、だれかたすけて

 

 

くるしい、かみさま、くるしいよ

 

時は来た。

 

こんなのひどいよ

 

 

あ・・・

 

ついに完全な吸収に成功した。

ほむらはもう一つのスクリーンを表示する。

 

『・・・それで、どこに行けばいいんですかね』

 

『・・・黙ってて』

 

まだ不完全な状態でも、まどかはまどかだ。

それにもうすぐ完全な状態になる。

おそらく、今のまどかは本能的にほむらの方に向かっているのだろう。

 

「終わったわね」

 

「ああ、終わったな」

 

背中に痛みが走る。刃物で刺されたようだ。

 

「・・・だれ?」

 

それはほむらの知らない人間の顔だった。

 

「知る意味ないだろ。とにかく、お前はここでゲームオーバー」

 

そいつは嫌悪を催す笑みを浮かべる。

 

「・・・どうして?」

 

「それも知る意味はないな。まあ、スクリーンを見ればわかるんじゃないか?」

 

魔法少女まどか☆マギカの球体が崩壊を始めていた。

 

「神様は見ているということさ。さて、次はまどかの番だな」

 

「えっ・・・」

 

意識が薄れてゆく。まどかを守らないと。

だが、能力が発動できない。

 

「残念だが、お前の能力は使えないんだ。もうお前はただの人間、諦めろ」

 

いやだ

 

「俺もさあ、こんなことしたくないけどさあ、絶望を与えろと言われてるんだよねえ」

 

まどかをしなせたくない

 

「さて、行きますか」

 

そんな・・・。

 

 

 

ロインは背後の少女に違和感を感じていた。

この少女は、今まさに完成されている途中である。

そんな感じがするのだ。

 

「・・・ロインさん、でしたよね」

 

「・・・ああ」

 

「ごめんなさい、こんなことしてしまって」

 

「いいよ、まあ俺も逃げてる途中だし。なんか深い事情でもあるんだろ?」

 

「・・・ごめんなさい、ごめんなさい、ごめ・・・」

 

何かおかしい。いったんバイクを止めた。

 

「おい、どうしたんだ?」

 

「そんな、ほむらちゃん、死んじゃいや・・・」

 

少女は気を失った。

 

「・・・ほむら、だって?」

 

ロインはその名前に聞き覚えがあった。

現O5-1、簒奪者の名前だった。

 

「・・・めんどくさいことになったなあ」


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