宇宙戦艦ヤマト イスカンダルへの旅 作:GrandFleet
ガミラスの空母を迎撃したヤマト。乗組員は、交代で休憩をとっていた。第1艦橋でも交代要員と業務を引き継ぎ、交代した者は食堂へ向かい、食事を採っていた。
艦内食堂 ヤマト亭
ヤマトの艦内食堂、通称ヤマト亭では10名の炊事員が働いている。330名の乗組員の胃袋を満たすため、最新の調理設備が揃っている。提供される食事には、艦内農園で栽培された新鮮な米や野菜を使用している。肉類や魚類といった食品は「O·M·C·S」(Organic Material Cycle system )と呼ばれる食料供給システムによって供給されたものを使っている。とはいえ、まだ運転が始まったばかりで今日の全員分の食事を賄うのは難しい。さらに明日の出港に向けて作業を進めている者に考慮して今回提供された食事は握り飯2つと沢庵。牛肉の大和煮であった。
太田「ヤマトに乗艦して最初の食事がこれかぁ···」
気象長、太田が嘆息混じりに呟く。
相原「仕方ないだろ。明日の出港に向けて、作業を続けている奴もいるんだ。それらを考慮してるんだろ」
南部「食えるだけありがたいじゃないか。地下都市じゃ、食料の配給の量も減ってるんだから」
太田の呟き対し、南部と相原が返す。
太田「分かっちゃいるけど、ひもじいわぁ~」
太田のような体格の大きい者には、少しもの足りないように感じるようだった。
古代「今日の飯はおにぎりと、沢庵に」
島「牛肉の大和煮かぁ」
古代と島も引き継ぎを終え、休憩に入った。配給缶に入れられてた食事を取る。そこから手頃な席を探すと、誰も座っていない座席を見つけて座る。
古代・島「「いただきます」」
二人で食事をとりながら、自分のことについて話し始めた。
古代「なぁ、島」
島「どうした?」
古代「どうして、俺が特進して戦術長なんだろうか?」
島「どうしてって、上が決めたに決まってるだろう」
古代「それは、そうだが··。俺には戦術長になるような資質があるとは思えない」
古代は、自分が戦術長に任命されたことを疑問に思っているようだ。
島「そうは言っても、これまでで大勢の軍人が亡くなったんだ。今いる軍人の中で、訓練学校で成績の良かったお前が選ばれたのは必然だろ」
古代の疑問に対して、島は一般的な答えを返す。
古代「そう言う島はどうなんだ?自分がいきなり大型艦の航海長に任命されて」
島「そりゃあ驚いたさ。この艦は人類初のワープが出来るんだ。そんな艦の操舵をするのが俺で良いのか?って。でも、任命されたからにはやるしかないって割り切ったさ」
古代「····」
「どうした、お前さん達?」
そこへ、一人の男性が声をかけてきた。禿げ頭の男性は機関科の制服を身に纏っていた。
古代「あなたは···?」
古代と島にとっては初めて見る顔であった。
徳川「おっと。そういえば、わしは“さっき”おらんかったから知らんのも無理は無い。真田君から聞いておると思うが、わしが機関長の徳川じゃ。宜しく頼む」
古代「戦術長の古代です」
島「航海長の島です」
徳川「古代に島か。ところで、何を悩んでおるんじゃ?」
古代「実は·····」
古代は、自分が2階級も特進して戦術長になったことに疑問を感じていることを伝えた。
徳川「なるほどのう···」
古代「徳川さんは機関長に就任した時は、どうだったんですか?」
徳川「わしが昇進して機関長に任命された時は、率直に言うと嬉しかったな。自分が周りに認められた証だからかのう。でも、喜んでおられることばかりじゃない。昇進するということは責任がついてくる。部下を纏め、指示を出す。わしら罐焚きは船のお守り。いかなる時でも罐の相手をしなければならん。生きて帰るためには、わしら罐焚きよるところがあるからのう。職務を全うする事を考えたのう」
古代「そうですよね··」
悩む古代に、徳川は何かを思い出したのか「そうじゃ」と言うと古代に向き直る。
徳川「古代。一度、沖田艦長に聞いてみると良い」
島「また、どうして?」
古代「ああ。艦長が人員については、最終的に決めたそうじゃ」
徳川「分かりました、ありがとうございます」
徳川に礼を述べて夕食を食べ終えると、古代は足早に去って行った。
ヤマト 艦長室
沖田は艦長室で写真を手に取り眺めていた。そこへ、ドアがノックされる。
古代「失礼します、古代です」
沖田「入りたまえ」
沖田は写真を本に挟み、ドアの方を見る。
入室した古代は、真剣な眼差しを沖田に向ける。
沖田「何だね」
古代「艦長、どうして自分が二階級特進の上に戦術長なのでしょうか?自分にはその素質があるとは思いません」
古代が沖田に戦術長に選ばれた理由を問う。
沖田「経歴、能力、資質。お前を始めとする人間を、総合的にわしが見て決めた。···だが、多くの人材を失った上での人選であるのも事実。わしは、お前の席に座るはずだった者を死なせてしまったからな···」
沖田は声のトーンを落とす。
沖田「お前の兄だ」
古代「!!!」
沖田「当初、戦術長には古代守を。お前は守の交代として艦橋要員での起用を考えていた」
沖田の口から、古代が選ばれた経緯が語られた。
古代「では何故あの時、兄に撤退を命じなかったんですか!!あの時、殿として留まるのではなく撤退を命じていたら兄は生きて帰ってこれたのでは!!」
古代は兄の名前が出てきたことに驚き、思わず沖田に突っかかる。
沖田「戦場は常に命がけだ。彼の行動が無ければ、我々はイスカンダルからの使者を地球へ連れ帰る事は出来なかっただろう。もちろん、失われた命の重みは消えない。その亡くなった戦士たちの尊い命の上で今がある」
古代「······」
沖田「古代、戦術長の任務を全うするかはお前次第だ」
沖田は、古代を見据える。
古代「兄の意志は自分が継ぎます」
古代は、沖田にそう答えるのだった。
その頃、冥王星基地ではシュルツの命令を受け惑星間弾道弾の発射準備が行われる。ミサイルの格納庫から、ベルトコンベアによって発射場まで運ばれて行く。ミサイルは、誘爆防止の防火筒に収められている。ミサイルは全長1158mという超巨大な代物だ。それらが格納庫に多数納められている。もし、自然発火でもしたら基地は一瞬にして吹き飛んでしまう。そのために防火筒が付属されている。
「焦らず、迅速にせねばならん。我々、ガミラスの軍人に失敗は許されん」
シュルツが部下たちに何度も言い聞かせてきた言葉だ。その言葉通り、彼らの動きに乱れは無い。
「惑星間弾道弾、発射準備完了!!」
「ゲート開きます」
「発射まで、あと10秒」
カウントダウンが始まった。
「9·8·7·6·5·4·3·2·1」
「発射!!」
数字が0になるとエンジンが始動し、ノズルから炎が噴き出す。打ち上げられたミサイルは、地球へ向けて放たれた。
防衛軍司令部
時刻は午前3時、交代しながら24時間体制で警戒を強めていた。突如として、それはやって来た。そう、ガミラスのミサイルだ。ミサイルを最初に捉えたのは、冥王星観測望遠鏡であった。次に偵察衛星がミサイルをレーダーが探知した。司令部は一気に慌ただしくなる。藤堂が報告を受けたのは、司令部に戻ってきた直後であった。
電測員「長官、ガミラスの大型ミサイルを確認。現在、ミサイルは火星宙域に入りました」
芹沢「予測落下地点は?」
司令部職員「現在、コンピューターによる落下地点の計算中です」
スーパーコンピューターを用いて進路予測が行われる。司令部には、偽装した衛星が捉えたミサイルの情報がリアルタイムで送られ続ける。
「何だこれ‼️」
突然、職員の一人が声を上げた。
藤堂「どうした!?」
職員「衛星からの情報が途切れ始めました」
職員「火星の観測衛星が、プラズマの放射を検知。電波障害です」
偵察衛星から送られてくる情報を管理するコンピュータのデスクには太陽系が映し出されている。冥王星からの先ほどまでの進路。そして、つい先ほどの位置が表示されていた。しかし、衛星からの情報を受信出来なくなったのかミサイルの位置を示すマーカーはそこから動いていなかった
芹沢「何だと、こんな時に····」
藤堂「今ある情報だけでも構わん。急いで算出するんだ」
職員「りょ、了解」
職員が急いで、コンピューターにデータを入力する。その一方、土方はドアに向かって歩き始める。
土方「長官」
藤堂「土方君?」
土方「私は、弾道弾の迎撃に向かいます。出撃許可を」
藤堂「····今、動かせる艦は?」
職員たちに問いかける。
職員「きりしまの応急修理が午前5時には完了します」
藤堂「ふむ···」
参謀からは、きりしまの応急修理が完了するという返答だった。
藤堂「きりしまに出撃命令を。土方君、頼んだぞ」
土方「はっ」
弾道弾を迎撃するため、土方は司令室を退出する。
「ヤマトへ連絡だ。出港を急ぐように伝えよ」
03:50
宇宙戦艦ヤマト 艦長室
防衛軍司令部より弾道弾の情報が伝えられ、艦内では作業が急ピッチで進められていた。艦長室では真田が資料を手に、波動エンジンの始動方法について沖田へ説明をしていた。
真田「以上が、私が考えた波動エンジンの始動方法です」
沖田「この状況で、実現は可能なのかね?」
真田「技術的には可能です。ただ、人類がこの艦をどこまで信じるかによります」
出港に向けての最大の課題。それは、波動エンジンの始動であった。真田は技術士官として、自ら考えたプランは技術的な面では可能であると断言した。真田の計画が成功するか否かは人の信じる心。ヤマトをどこまで信じるかがカギとなるとのことだ。
沖田「人は未だに人を信じる気持ちを試されるのか····。司令部の藤堂長官へ連絡。本案件を進めてくれ」
真田「はっ」
真田の計画を認め、司令部に連絡を取るように命じた。
ヤマト 第1格納庫
古代は、自ら搭乗する機体の確認のため格納庫にいた。第1格納庫には、最新鋭の艦上戦闘機コスモゼロが2機格納されていた。01というマーキングが記入された機体がメインで、02と記入された機体は予備機として搭載されていた。現在、古代以外は誰もいない。
加藤「あっ、いたいた」
古代「?」
ドアが開く。振り向くとそこには、見覚えの丸刈りの青年がいた。
古代「加藤さん」
加藤「久しぶりだな、戦術長」
声の主は、共に偵察機を迎撃した加藤であった。
加藤「乗艦してから挨拶に行こうと思ったんだが、忙しくてな」
古代「加藤さんも乗組員だったんですね」
加藤が乗艦していたことに驚く、古代
加藤「まあな。あと、俺の上官になるんだ、敬語はいい」
古代「ですが··」
加藤「俺が良いって言ってるんだ。気にすんな」
古代「なら、そうさせて貰う」
古代は加藤の言うとおり、呼び捨てで呼ぶことにした。
古代「加藤。あの後、コスモスパローはどうなったんだ?」
加藤「あの後回収されたが、修理する部品が無いからな。格納庫に放置されている」
壊してしまった古代の心には、罪悪感が渦巻いていた。
古代「なんか、すまない」
加藤「謝ることは無い。モノはいつか壊れるんだ」
古代「でも··」
加藤「大丈夫さ、あの機体はビーキー過ぎるんだ。まともに乗りこなせたやつは、俺が見た限りでは戦術長ともう一人しかいない。そいつも、負傷して今は第1線を退いているがな。万人に扱えるブラックタイガーの方が防空には必要なのさ」
加藤は、そう笑いながら言ってのけた。
04:00
防衛軍司令部
通信員「長官、真田少佐より入電。何やら、図面が一緒に添付されています」
藤堂「こっちに回してくれ」
通信員「はっ」
通信員がキーボードを操作。藤堂の目の前の画面に一つの図が映し出された。
藤堂「これは····」
図を見つめる藤堂。芹沢以下、参謀達も見つめる。
藤堂「なるほど···。そういうことか」
芹沢「長官、これは一体?」
参謀の1人が藤堂に尋ねる。
藤堂「これは真田君が考えた送電システムだ。ヤマトは膨大な電力を必要としているのだよ。まずは、計画停電を実行するように政府へ連絡。管内の電力全てを、ヤマトへ供給するんだ」
藤堂は参謀へ達へ伝える。そこへ、芹沢が口を挟む。
芹沢「待ってください、長官。政府にはどう伝えるおつもりで?性急過ぎて、政府が賛成するとは思えません」
芹沢が否定的な意見を口にする。
藤堂「政府には、私から伝える。芹沢君は、弾道弾への対処に集中してくれ」
芹沢「·····分かりました」
その後、藤堂の必死の説得を受け政府は計画停電を実施することを決め、ヤマトへ電力の供給が開始された。
04:45
ヤマト 第1艦橋
相原「艦長、司令部より入電。「ガミラスノ惑星間弾道弾ヲ確認。間モナク火星軌道ヲ抜ケル模様。発進ヲ急ガレタシ」」
沖田「司令部には「了解」と伝えろ。徳川君、機関の始動状況は?」
艦橋と機関室でやり取りが続く。
徳川「補助エンジンの始動準備は完了しました。波動エンジンは、現在充填作業中です」
沖田「06:00までには作業を完了させてくれ」
徳川「了解」
砲雷長席に着く南部が報告を上げる。
南部「艦長、各種武装の点検が終わりました」
雪「メインレーダー、起動します」
真田「艦内機構に異常無し」
太田「メインコンピューター、正常」
各自が出港に向けて、自分の席に着き計器を確認する。
太田「あの~弾道弾って一体····?」
連絡を受けたとき、第2艦橋で航海に必要な機器の点検作業のため不在だった太田が弾道弾について尋ねる。
真田「司令部からの報告だ。偵察衛星が冥王星基地から大型の弾道弾が発射されたのを確認している。恐らく、標的は本艦だ。」
太田の疑問に真田が答える。
太田「ええっ、それまずいじゃないですか!!」
真田「だが、今の我々に出来ることは無い。出港に向けての工程を進めて行くだけだ」
真田の言うとおり、今のヤマトには何も出来ない。ただ、黙っているだけ。この間も弾道弾は地球へ接近している。
05:00
東京·地下ドック
地下のドックに停泊している戦艦きりしまの船体には、至るところに被弾の跡が残ったままであった。機関と武装の応急修理を優先して行ったためであった。
宇宙戦艦きりしま 艦橋
土方は、きりしまの艦橋にいた。艦橋では、いつものように艦長の山南が出港に向けての指示を出している。
山南「司令、発進準備完了しました」
山南からの報告を受けた土方は静かに頷いた。
山南から土方へ指示を乞う。土方は、腕時計に視線を落とす。時刻は、まもなく5時半をまわろうしていた。
土方「発進だ」
土方は、出撃を命じた。
山南「出港用意」
艦橋から機関室へ伝えられる
機関室
機関長「機関始動、低速回転1200」
エンジンに火が入った。機関の振動が、少しずつ大きくなり始める。
管制室
管制員「ガントリーロック解除」
船体を固定するガントリーロックが外れ、きりしまは宙に浮いた。
管制員「ゲート開きます」
きりしま 艦橋
山南「両舷前進微速」
航海長「両舷前進微速」
山南が命じ、航海長が復唱する。きりしまは、ゆっくりとゲートへ向けて動き始める。整備員達が敬礼をしながらきりしまを見送る。
防衛軍司令室
職員「長官、時間の割出が終わりました」
電波障害から1時間後、到達時間が算出された。
藤堂「いつ頃、到達する見込みだ?」
職員「05:58です」
ヤマトの発進まで時間がない。
芹沢「きりしまには、迎撃地点へ急行。ヤマトは発進を急ぐように伝達。」
司令室では、参謀や職員が急いでやり取りを行う。弾道弾は刻一刻と迫っていた。
05:30
宇宙戦艦きりしま 艦橋
航海長「艦長、予定の宙域に到達しました」
航海長が予定の位置に付いたことを報告する。
山南「状況はどうだ?」
山南が艦の状況について問う。
機関室「機関に異常にありません。整備班が一生懸命整備してくれたお陰です」
電測員「レーダー、正常」
砲雷長「陽電子砲、今のところ異常なし。ですが、そう多く撃てないと思います」
各部より報告が上がって来る。ドックにて応急修理をしたとはいえ、万全と言い難い。特に、主砲周りに関してはメ号作戦時に受けた動力部のダメージが酷いため、応急修理でどこまで戦えるか分からない。今は艦を信じるしかない。
05:55
宇宙戦艦ヤマト 第1艦橋
相原「艦長、司令部より通信が入っています」
沖田「パネルへ映せ」
相原「了解」
通信機を操作する。相原が通信をメインパネルに映すと藤堂の姿が映る。
藤堂「沖田君、敵弾道弾の到達時刻が判明した。到達時刻は05:58。ジャミングが強く、解析に時間がかかってしまった。すまない」
藤堂から正確な時間が告げられた。
沖田「長官、準備は整いました。エンジンが始動次第、発進します」
藤堂「頼んだぞ、沖田君」
司令部とのやり取りを終え、発進準備に入る。
雪「弾道弾を捕捉。現在、月軌道に入りました」
搭載しているコスモレーダーが弾道弾を捉えた。メインパネルに弾道弾が映し出される。そこへ、徳川機関長も機関室から、艦橋へ上がっての制御に入る。
沖田「徳川君、機関の方はどうか?」
徳川「大丈夫です、いつでも行けます」
冲田「よし、出港用意!!」
出港用意の号令がかかり、配置に付く乗組員達。
徳川「補助エンジン始動、低速回転1600」
艦橋から機関室へ補助エンジンの始動が告げられる。機関員が制御盤のレバーやスイッチを押す。2基搭載されたコスモタービン改が動き出す。
徳川「フライホイール始動」
次いで、波動エンジンのスターターモーターの役割を持つコスモタービン改の動きを伝えるフライホイールが起動する。振動が艦全体に広がりつつある。
島「波動エンジン、スイッチオン。フライホイール接続」
徳川「接続」
操舵席にある波動エンジンの始動レバーを、所定の位置まで目一杯引いた。
「·······」
だが、先程まで響いていたエンジン音は急激に小さくなって行った。
島「艦長、動きません!!」
冲田「計器を確認せよ」
島は再び各計器に目を通す。メーター、レバー等を1つ1つ確認していく。その間にも弾道弾はヤマトへ接近している。
雪「艦長、月軌道に艦影です」
相原「識別信号を確認······きりしまです!!」
ガミラスの弾道弾は、きりしまの艦橋から視認できる距離にあった。
宇宙戦艦きりしま 艦橋
電測員「敵弾道弾を捕捉しました」
ついに、弾道弾が月軌道に到達。レーダーが捉える。
土方「砲撃用意!!敵弾道弾の回転軸を狂わせ進路を変える」
全ての砲塔が弾道弾に向けられる。地球とヤマトに向かわないように進路を変更させなければならない。砲雷長が慎重に座標の確認を行う。回転軸の右側、そこへ狙いを定める。
砲雷長「座標確認、照準よろし」
土方「全火器、一斉集中」
山南「撃てぇー!!!」
陽電子砲とミサイルが弾道弾に向けて一直線に突き進んで行く。光球が生じた。
砲雷長「全弾命中」
山南「進路は!?」
電測員「進路、外れました」
山南「やったか!!」
艦橋内にいる誰もが安堵した表情になる。弾道弾は攻撃を受け、進路が変わった。だが、登載するスラスターを使用し、進路の修正が始まった。これに電測士が気づいた。
電測員「大変です!!軌道が修正されています」
土方「何っ!?、第2射急げ!!」
砲雷長「駄目です。エネルギー供給出来ません!!」
再度、攻撃命令が出される。しかし、砲塔は煙を吹き上げている。応急修理では1回の全力射撃が限界だったようだ。
電測員「高速プラズマの衝撃波来ます」
山南「全艦衝撃に備え」
きりしまをプラズマの衝撃波が襲う。艦が大きく揺れ、照明が落ちた。予備照明に切り替わり、艦橋内は薄暗くなった。
土方(沖田、すまん)
土方は心の中で沖田に詫びた。
宇宙戦艦ヤマト第1艦橋
雪「きりしま離脱」
沖田は、離脱を余儀なくされたきりしまの様子を見つめる。
島「艦長、申し訳ありません。連動スイッチがオフになっていました」
島が波動エンジンの起動の失敗原因を報告する。
冲田「島、もう一度だ」
しま「はい」
再び、エンジンする始動に入る。
徳川「補助エンジン始動、低速回転1600」
エンジンの始動音が鳴り響く。
徳川「フライホイール始動」
島「連動スイッチ良し。波動エンジンスイッチオン」
徳川「フライホイール接続。波動エンジン、圧力上昇」
島「エンジン回転数良好。行けます」
冲田「垂直上昇」
島「よーそろー」
岩盤が割れ、地下に埋まっていた部分が露になる。送電ケーブルが外れ、錨を巻き上げる。
冲田「抜錨、ヤマト発進!!」
島「抜錨。ヤマト発進します」
宇宙戦艦ヤマトがついに空へ浮かぶ。254年の眠りから目覚めたのだ。
冲田「島、取り舵一杯。古代、ここで奴を迎撃する。主砲発射用意」
古代「はっ。主砲発射用意」
島「取り舵30度」
雪「弾道弾の到達まで、あと2分」
ヤマトが左に旋回すると同時に、甲板上の46cm3連装砲と15.5cm3連装砲が弾道弾の方向に向けて指向する。
南部「主砲、エンジンよりエネルギー伝導終わる。測的よろし」
古代「自動追尾、定点固定」
南部「自動追尾よろし」
古代「照準誤差修正+2度。目標、軸線に乗った」
冲田「撃ち方始め!!」
古代「撃てぇー!!」
15門の砲口から撃ち出された青い閃光は、螺旋状なり目標へ一直線に向かった。
雪「着弾、今!!」
砲口から放たれた光の筋は、弾道弾を捉えた。そして、爆発。弾片は熱エネルギーで熔けて消滅。地上では、キノコ雲が立ち上がっていた。
防衛軍司令部
司令部に設置されたモニターの画面からヤマトの映像が途切れた。
職員「高エネルギー反応を確認しました」
藤堂「ヤマトはどうなった!?」
モニターには、徐々に映像が映っていく。そこには、火山が噴火した時の噴煙の倍はありそうな黒煙が立ち上っていた。そこにヤマトの姿はない。
芹沢「計画の練り直しですな」
芹沢がそう呟いた。あれだけの黒煙が立ち上るくらいだ。ヤマトは、莫大な熱エネルギーによって跡形も無く溶けてしまったと考えてもおかしくない。
藤堂「2番の映像を拡大しろ」
藤堂が何かに気付いたようだ。すぐに2番の映像が拡大すると、黒煙の中からヤマトの姿が確認できた。
職員「ヤマトです····ヤマトを確認しました!!」
歓声に包まれる司令部。職員達は椅子から立ち上がり、喜びを分かち合っていた。
宇宙戦艦ヤマト 第1艦橋
島「安定翼展開」
真田「波動防壁展開完了。各部より報告、艦体に損傷認められず。波動防壁は機能しているようです」
黒煙の中から姿を現したヤマトからは、1つも損傷が見つけられなかった。
冲田「うむ。古代·島、良くやった」
島「やったな古代」
古代「ああ」
ヤマトは、どんどん高度上げ登っていく。これから往復29万8000光年の旅が始まった。人類が生存を許された一年以内に達成しなければならない。
人類の期待を受け、イスカンダル目指す旅が始まった。人類滅亡まで、あと363日。