宇宙戦艦ヤマト イスカンダルへの旅   作:GrandFleet

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第9話 光速を越える、ワープ航法

ヤマトは大気圏を突破、星の海へと船出した。

 

宇宙戦艦ヤマト 第1艦橋

島「大気圏突破、安定翼格納。波動エンジン、大気圏外出力へ」

宇宙空間へ出ると安定翼が格納され、波動エンジンも出力を切り替わる。メインパネルには、真っ赤に染まった地球が映っている。

相原「酷い姿だな····」

南部「頭の中では理解していても、こうして見てみると違うもんだな」

相原と南部が感想を呟いた。

古代「2人は、宇宙へ出るのは初めてか?」

相原と南部の話を耳にした古代が2人に聞いた。

相原「地上勤務ばかりだったので、初めてです」

南部「宇宙に出るのは初めてじゃないが、この姿の地球を見るのは初めてだな」

古代「宇宙に出る船乗りはこの姿を見るたびに、ガミラスへの怒りを新たにするのさ」

古代は、悔しそうな表情で地球を見つめていた。

雪「艦長、右舷後方よりきりしま接近」

雪が、きりしまの接近を伝える。

相原「きりしまより発光信号。「貴艦ノ健闘ト、航海ノ無事ヲ祈ル。生キテ帰リヲ待ツ」以上です」

発光信号を相原が読み上げる。

きりしまがヤマトの隣に付き並走する形となる。甲板にて船外服を着用した乗組員が敬礼する姿が見えた。艦橋にいる全員で返礼を返し、徐々に速度を上げて地球を離れた。

冲田「本艦はこれより巡航速度で火星へ向かい、ワープテストを行う。メインクルーは火星到着後、中央作戦室へ集合するように、以上だ」

艦長室へ上がった沖田から、艦内放送でワープテストのため火星へ向かうことが告げられた。人類最後の希望、宇宙戦艦ヤマトのイスカンダルを目指す大航海が始まった。

 

一方、きりしまは帰還しようと進路を変更しようとした矢先のことであった。

 

宇宙戦艦きりしま 艦橋

プラズマ衝撃波のダメージを受け、消えていた明かりが艦橋に再び灯る。

土方(頼むぞ、沖田。そして、無事に帰って来い)

艦橋にて土方は、ただ黙ってヤマトを見つめていた。そこへ通信長から報告が入る。

通信員「艦長、救援の通信を受信しました」

山南「何処からだ?」

通信員「月面基地からです、今から音声を流します」

そう言うと、通信機を操作し音声を艦橋内に流す。

「こちら月面基地、第7空間騎兵連隊。我が隊は空母艦載機からの襲撃を受け、孤立状態にあり。我が隊の被害は甚大。至急、救援を乞う。繰り返す····」

土方「山南、進路を月へ向けろ」

山南「了解。航海長、進路を月へ。通信長、月面基地へ発光信号を。衛生科は負傷者の受け入れの準備を急げ」

各部署へ指示が出され、きりしまは月面基地へ進路を取った。

 

襲撃を受けた月面基地は、あちこちに焼け焦げ、兵器の残骸が散らばるなど空襲の被害が残っていた。月面基地が襲撃を受けたことにより、配備されていた迎撃砲といった重火器の喪失により惑星間弾道弾に対する攻撃が不十分になってしまった。

 

月面基地

「こちら月面、第7空間騎兵連隊。我が隊は空母艦載機の襲撃を受け孤立状態にあり。我が隊の被害は甚大。至急、救援を乞う。繰り返す···」

「本当に直ってるの、それ?」

救援を送り続ける男性隊員に、唯一の女性隊員である永倉志織が話しかける。

「そのはずだ」

通信機の前に座る空間騎兵隊·第7連隊所属に所属する天城敏男は、ひたすら救援を送り続ける。一方、部屋の中央ではドックタグを握りしめる副隊長、斎藤始は荒い呼吸を続ける一人の男性に寄り添っていた。

「うっ····」

斉藤「連隊長!!」

連隊長と呼ばれた男、桐生悟郎は傍らに寄り添う男の姿を認め、名前を呼んだ。

桐生「斎藤か···なんて顔してる」

部屋の中には救援を送り続ける天城の声が響くばかりだった。

「いくら打ったて無駄だよ」

隊員の1人、倉田勝が諦めたように言った。

永倉「倉田!!」

倉田「本当の事さ。上は俺たちのことなんて忘れちまったんだよ」

倉田の言葉通り通信設備の復旧後、救援要請の通信を送り続けていたが返信は来なかった。迎撃による負傷者が多発。衛生兵の処置の甲斐なく、息を引き取った隊員は日が経つごとに増えていった。さらに、地球には満足に動かせる船も無い。自分たちは見捨てられたと思っても仕方がなかった。

桐生「迎えは来る。俺たちは命ある限り諦めない、それが空間騎兵魂だ。忘れるな!」

「「はいっ!!」」

桐生は、叱咤激励のため全員に言い放った。

斉藤「副隊長!!」

外から1人の兵士が斎藤を呼んだ。斎藤は外に出ると先程から1人で見張りに付いていた隊員から双眼鏡を手渡され、指差す方角を見る。

斉藤「何だあれ!?」

斎藤は思わず叫んだ。そこには、見たこともない宇宙船がいた。グレーと赤の船体色。甲板上には、高くそびえ立つ前鐘楼と砲塔らしき構造物が確認できる。それは、水上艦のような見た目をしていた。

斉藤「ガミラスの艦じゃ無い。ということは、地球の新造艦なのか····?」

斎藤はそう漏らした。

永倉「ねえ、あれ!!」

目の前の宇宙船に気を取られていた斎藤は横からの声で我に帰った。いつの間にか横にいた永倉が指を差す方向に目を向けると、宇宙戦艦が発光信号を発しながらこちらに接近して来ていた。

斉藤「連隊長、友軍です。助けが来たんです!!」

救援が来た。壊滅状態にある連隊の希望の光。斎藤は、すぐに階段を下りて仲間の元へ向かい隊長の桐生へ報告する。しかし、連隊長の桐生からは返事は無く聴こえるのはそばにいる倉田のすすり泣く声のみ。天城に目を向けると首を横に振った。

斉藤「そんな·····桐生さん!!」

その後、月面基地に降り立ったきりしまに全員が収容された。

 

宇宙戦艦きりしま 艦橋

山南「これより月軌道を離脱する。両舷前進半速」

航海長「両舷前進半速」

機関が唸りを上げ、月軌道を離脱する。

乗組員「誰だ貴様は!!許可無く艦橋に入ることはできん!!」

斉藤「うるせえ!!こっちは話があんだよ!!」

艦橋の外から怒鳴り声が聞こえてきた。扉から空間騎兵隊の宇宙戦闘服をきた斎藤が入ってきた。彼の手には戦死した隊員のドックタグが握られていた。

斉藤「アンタが艦長か!?もう少し救援が早ければ、連隊は壊滅しなかった!!」

斎藤は、怒りを顕にする。戦死した隊員の名前が記入されたプレートの音が艦橋に響く。

斉藤「こっちの通信は受けていたんだろう!?何故もっと早く····」

山南は、正面に立つ土方を艦長と思い込んでいる斎藤に声をかける。

山南「艦長は俺だよ」

砂糖「なっ···」

山南の発言に驚く斎藤。

山南「この方は、地球防衛軍防衛総隊·艦隊司令長官、土方大将だ」

まさか、話しかけた相手が大将クラス。艦隊司令と知った斎藤は唖然とするが、すぐに姿勢を正して土方へ敬礼する。

土方「ガミラスに勝利し、故郷に再び青い姿を取り戻す··。我々は、その任に就く特務艦護衛のため展開していた」

斉藤「じゃあ、俺たちはついでだったという訳ですか!!」

土方「そうだ」

土方から告げられた事実に顔をしかめる斎藤。

斉藤「····さっきの艦か。何なんですかあれは!?」

土方「·······」

斎藤は、ついさっき見たことの無い宇宙船を思い出す。あれが特務艦であることに違いないと確信した斎藤は土方に問う。しかし、土方は答えない。

斉藤「こっちは命懸けで戦っているんだ、聞く権利はあるはずだ!!」

山南「おいおい···」

斎藤に落ち着くように山南が制する。

土方「ヤマトだ··」

斉藤「ヤマト?」

土方「そうだ、ヤマトだ···宇宙戦艦ヤマトだ。俺の親友の艦。そして、人類最後の希望だ」

 

 

冥王星基地

司令室ではシュルツ、ガンツ以下の兵士たちがメインモニター映るヤマトの映像を見ていた。ミサイルの弾着観測のためにメルトリア級空母も派遣していた。現在、冥王星基地には、偵察機が撮影している映像を母艦が経由してリアルタイムで送られている。この時、偵察機はステルス性能に特化させた機体を使用し、熟練の偵察員の操縦で偵察を行っているためヤマトでは偵察機の存在を知る者はいなかった。

シュルツ「我らの初弾を退け、出てきたか」

ヤマトを見ながら、シュルツは呟いた。

ガンツ「まさか、惑星間弾道弾を破壊するなんて」

冷静に見つめるシュルツに対し、唖然とするガンツ。今まで猛威を奮ってきた弾道弾が、宇宙戦艦の主砲射撃で破壊されるなど夢にも思わなかった。

ガンツ「あの艦は、一体何なんでしょうか?」

シュルツ「移住用か、本土決戦用の宇宙船のどちらかだろう」

ガンツの問いにシュルツは今考えられるだけの可能性を上げる。

シュルツ「奴らの目的が気になる。空母に打電。徹底的に監視、可能であれば撃沈するよう伝達せよ」

ガンツ「はっ」

冥王星基地からの命令を受領したメルトリア級はヤマトの追跡を開始した。

 

 

 

宇宙戦艦ヤマト 中央作戦室

現在、主要クルーが中央作戦室に集められワープ航法に関する説明と打ち合わせが行われた。まずは、沖田の前置きから打ち合わせが始まる。

冲田「我々が29万6000光年という距離を1年以内に往復するためには、光の速さで進んでも不可能だ。だが、波動エンジンはワープ航法が可能となっている。我々は、波動エンジンを使いこなさなければ地球を救うことは出来ない」

そこから、技師長兼副長の真田から波動エンジンを用いたワープ航法の仕組みに付いて説明がされる。

真田「私からワープについて説明します。ワープとは光の速さを越えて航行する方法です。まず、これを見てください」

足元のパネルに一つの円と小さな点が映し出された。

真田「これは、アインシュタインの閉じた宇宙論を示しています。そして、この点がヤマトのいる時間です。点に注目してください」

真田の言う通りに点に注目する。

「「!!?」」

突然消え、気付いた時には全く別の場所へと出現していた。

真田「ワープとは、時間を飛び越える方法です。時間が波だとすれば頂点から頂点まで移動する場合、通常は谷間の分だけ時間が無駄になります。しかし、ワープなら頂点から頂点に移動するので時間のロスはありません。ですが、実際のワープはそうも簡単にはいきません」

さらに説明は続く。

真田「我々のいる地点は、この点になります。そして、この横線はワープすべき場所の時間軸を表しています。時間のズレのためわずかに歪みが出来ています。ワープを成功させるには、歪みを0に、つまり2つの点が重なる時にワープしなければなりません。もし、少しでもタイミングがずれたら、3次元空間と4次元空間の間に挟まってしまい、ヤマトだけでなく宇宙そのものが崩壊してしまう可能性があります」

ワープの仕組みと危険性について述べたところで真田の説明が終わった。

「この際、私からも説明させてください」

真田の隣に控えていた女性士官が声を上げた。

新見「技術科·情報長の新見です。我々は、波動エンジンが生み出す膨大なエネルギーを兵器に転用することに成功しました」

南部「一体、どんな武器なんです?」

南部が訪ねると、新見は手に持つ端末を操作する。すると、床のパネルにヤマトの断面図が現れた。

新見「これが、我々が開発した兵器、艦首波動砲です。まずはこれを」

新見がタブレット端末を操作すると、ヤマトの断面図に文字が表示される。

新見「波動砲とは、波動エンジンの生み出した高密度のタキオン粒子のエネルギーをそのまま艦首前方に発射する兵器になります。エンジンを停止させて波動砲への回路を開き、エネルギーを送ります。薬室内部へタキオン粒子を充填し、最大まで圧力をかけた後に発射。射程圏内に存在する物質はあっという間に蒸発します」

映し出された図を見ながら波動砲のシステムについて解説を聞く。

南部「それって、ヤマト自体が巨大な大砲になるってことですか?」

新見「その通りよ。ただ、波動砲を撃つとエネルギー切れになってしまうから状況を良く見て使う必要があるわ」

南部「なるほど··」

新見の説明に納得する南部。

古代(波動砲か····)

古代も波動砲について心に留め置いておくことにした。

真田「艦長、これで波動砲の説明は終わりました」

冲田「ご苦労だった。このように、波動エンジンの運用には細心の注意を払わなければならない。まずはワープの試験を成功させる。総員は非常事態に備え、試験時には船外服を着用するように。以上だ」

ここで、ブリーフィングが終わり解散となった。その後も巡航速度で航海し、火星へ到達した。

 

メルトリア級空母

電測員「不明艦、進路変わらず」

レーダーを監視する電測員が報告する。空母はヤマトの後方にぴったりと付いて監視を続ける。

通信「艦長、不明船の情報が送られてきました」

偵察機から送られてきた画像を基にした解析結果を報告する。

通信「不明艦は全長263m·全幅33m。武装には3連装主砲塔3基、3連装副砲2基、対空火器を多数搭載しています。主砲口径は恐らく33cm~40cm程と思われます」

艦長「大型の戦闘艦か。他に分かっている情報は?」

通信員「傍受した通信の解読から、名前が“ヤマト”と判明しました」

艦長「ヤマトか····」

艦長は、偵察機から送られてくる画像に映るヤマトをただ無言で見つめていた。

それから暫くして火星宙域に入ったところで、“それ”は訪れた。

電測員「艦長、ヤマトが停止しています!!」

艦長「何、本当か!?」

報告を受け、レーダースクリーンに目をやると、ヤマトを示す印は止まっていた。

電測員「はい。本艦の前方、50000mで停止しています」

艦長「ふむ···」

副長「如何致しますか?」

冥王星基地からは、“可能であれば撃沈せよ”と命令を受けている。突然湧いて出た、ヤマトを攻撃するチャンスを逃す訳にはいかない。

艦長「航空隊に出撃命令を出せ。さらにこちらもミサイルの射程圏内まで接近し、ヤマトを仕留める」

航空隊長「はっ」

出撃命令を受け、艦橋にいた隊長は格納庫へ降りて行った。

副長「しかし、宜しいのですか?あの艦は、多数の対空火器を装備しています。航空隊への被害が甚大なものになる可能性が···」

艦長「大丈夫だ、対空火器は船体上部に搭載している。ならば、下方から攻撃すれば良い。空母のように艦載機を積んでいなければ迎撃は難しいだろう」

確かに、ヤマトの対空火器であるパルスレーザー砲は船体上部、甲板上に設置されている。艦底部の武装はミサイル発射口のみ。彼の読みは半分正解していた。

 

 

宇宙戦艦ヤマト 第1艦橋

冲田「これより、ワープのテストを行う。このテストを成功させなければ地球を救うことは出来ない。総員、気を引き締めて取り組んでくれ」

沖田から全乗組員にワープテストの開始が伝えられる。万が一、緊急事態に備え船外服を全員が着用して持ち場についていた。

太田「航路、天王星軌道に設定。航海長へ座標送ります」

太田から島へ、ワープ先の座標が送られる。

島「座標確認、ワープ準備」

送られた座標を航法装置へ入力する。

徳川「波動エンジン、エネルギー充填開始」

機関室では徳川機関長の指示の下、機関員が波動エンジンの操作を行う。

徳川「エンジン室圧上昇」

ワープに向けての工程を順調に消化していた時だった。

雪「レーダーに反応あり。未確認飛行物体接近。ビデオパネルチェンジ」

レーダーが捉えたビデオパネルに映し出される。そこには見覚えのあるモノが映っていた。

冲田(あれは、ガミラスの空母か····だが、我々を攻撃するには遠すぎる)

そこにいたのは、先日ヤマトを攻撃してきた空母の同型艦であった。

雪「敵空母、艦載機の射出しています。数15··20··現在も増加中!」

雪が操作し、モニターを拡大すると空母が艦載機を発艦させていた。

古代「畜生、こんな大事な時に···。艦長、攻撃許可を」

冲田「徳川君、敵艦が現れた。兵装へエネルギーを回してくれ」

戦術長の古代が攻撃許可を求め、沖田は機関室の徳川機関長へ問い合わせる。

徳川「艦長、一度エンジンにエネルギーを回しているので兵装には回せません。ワープ準備を中断させるのであれば可能ですが、また一からやり直しになります」

機関長からの返答は、ワープ準備中に兵装へのエネルギー供給は不可能というものだった。

冲田「····真田君、ワープまでの所要時間は?」

沖田は敵艦への攻撃を捨て、ワープで逃げることを選んだ。技師長の真田へワープまでに掛かる時間を尋ねる。

真田「···ワープにどれだけ時間が掛かるのか、今の段階では不明です。人類にとって初めての事ですから」

申し訳なさそうな表情で真田が答える。人類にとって未知の領域であるワープ航法についての概要や方法について知っている彼でも、準備にどれくらい時間が必要なのかは分からなかった。

古代「艦長、ワープの準備は続けてください。航空隊で迎撃します」

冲田「頼むぞ。ワープ開始までに戻って来い」

古代「分かりました。相原、ブラックタイガー隊に出撃命令を出してくれ」

相原「了解」

古代が航空隊での迎撃を具申し、沖田はワープ開始までに帰艦することを条件にこれを許可。艦内放送で航空隊への出撃命令が発令された。

 

航空隊side

相原「敵空母出現。航空隊は出撃、これを迎撃せよ」

待機室に艦橋からの出撃命令が伝えられる。命令を受け第2格納庫に向かうパイロット。各々が割り当てられた機体に乗り込んだ。

加藤「いいか皆、ヤマトに乗艦してからの初めての戦闘だ。互いにカバーしながら死角を潰せ。敵にヤマトを攻撃をさせるな」

隊員たち「「了解」」

加藤が隊員たちに発破をかける。ヤマト航空隊で宇宙での初陣を飾る者もいる。加藤は隊の士気を高めるため、自ら率先して行動を起こしていた。古代は第1格納庫へ向かい最新鋭の艦上戦闘機コスモゼロへ搭乗する。

加藤「ブラックタイガー隊、出撃」

発艦口が開いた。艦載機パレットに固定され格納されているブラックタイガーは、ジャッキで発艦口に設置されたカタパルトに運ばれそのまま宇宙空間へ射出されていく。コスモゼロも、甲板へ出るとジャッキで艦尾の射出機へ運ばれる。

整備員「古代大尉、発進準備完了しました」

古代「了解」

管制室から発進準備完了の報告を受ける。管制室との短いやり取りを終え、エンジンを始動させると、射出機から機体が押し出される。

古代「これより、敵航空隊との戦闘に入る。部隊ごとに分かれて展開。深追いせず、ヤマトに近づく敵だけを攻撃するように」

3つの部隊に別れて展開し、そこから空戦を仕掛ける。ブラックタイガー隊がメランカの上方から機銃を放つ。もちろんメランカも回避運動を行うが、ミサイルを懸架するメランカの動きは、ブラックタイガーから見ると遅いため余裕を持って修正し攻撃を命中させた。この攻撃で4機のメランカが撃墜された。それでも攻撃を突破した機体は、ヤマトへミサイルを放つ。

古代「攻撃目標をミサイルへ切り替え。加藤隊と山本隊は敵編隊へ攻撃。篠原隊はミサイルの迎撃に回れ」

加藤「了解した」

山本「了解」

篠原「任せてください」

加藤隊と山本隊へ敵編隊への攻撃を任せ、古代と篠原隊はミサイルの迎撃に回る。照準機に捉えたミサイルに機銃掃射を慣行。篠原以下の隊員の活躍もあり、ミサイルはヤマトに到達する前に全てが撃墜された。

古代(よし、なんとかヤマトへの被害は免れた···)

篠原「戦術長、俺の隊がここに残ってミサイルの迎撃をしますんで戦術長は敵編隊への迎撃に向かってください」

古代「いいのか?」

篠原「ええ。ガミラスの野郎にヤマトへ一発たりともミサイルは命中させないんで」

古代「そうか、任せたぞ」

再び周囲を見渡し攻撃する敵機に狙いを定め、戦闘宙域へ翻していく。加藤隊は艦載機への襲撃を継続し、ここまで新たに9機を撃墜していた。敵も最初の4機が撃墜され、身軽な戦闘機相手に不利と判断したのかミサイルを放つとすぐに離脱した。攻撃後に反撃してくる機体もいたが、返り討ちにされていた。その後も空戦は続き、ここまで16機を撃墜した。

一方のブラックタイガー隊の損失は0。2機1組でカバーしながら撃墜していた。空母から発進したメランカは、ヤマトへ最後の攻撃を仕掛けようしていた。

加藤「来るぞ、恐らくあれが最後だ。気を抜くな」

ブラックタイガー隊は斜め上方からメランカ隊へ襲撃する。この銃撃を受け、3機が墜落していく。ここで、1機が反転。ブラックタイガー隊へ攻撃してきた。

加藤「散れっ」

直ちに散開し、銃撃を回避する。すぐに加藤のブラックタイガーが反撃、撃墜した。だが、1機のブラックタイガーが主翼を撃ち抜かれていた。

 

 

山本明side

コックピット内部にSIDの警告音声が鳴り響いた。

SID「エンジン出力低下、メインノズルに異常発生」

山本「くそっ···」

エンジン部分から黒煙を引いていた。エンジンの出力を示す計器の数値は徐々に減少し始めている。計器上に表示されるコードに従い、操作を開始する。他の機体が近寄り無線で状況を尋ねてくるが無線で答える余裕が無いため、手信号でエンジンのトラブルである事を伝えた。機体の操縦系統が被害を受けていないことが不幸中の幸いであった。

 

 

宇宙戦艦ヤマト 第1艦橋

真田「機関の調整が整いました。あと10分でワープが可能になります」

真田から沖田へ、ワープの準備が整ったことが告げられる。

冲田「うむ。相原、ブラックタイガー隊を呼び戻せ」

相原「了解。こちらヤマト、ブラックタイガー隊は直ちに帰艦してください」

ヤマトから航空隊へ帰艦命令が発令された。着艦シーケンスに移行し整備員が格納庫へ、負傷者がいた場合に備えて、衛生兵が格納庫の外で待機する。

 

航空隊side

加藤「大丈夫か山本?」

山本「隊長····俺は大丈夫です。機体のほうもなんとか」

被弾した山本機に加藤機が接近する。本人に怪我は無いものの警報は未だに鳴り続けている。

古代「加藤、急いでヤマトへ戻るぞ」

そこへ、古代から帰艦命令が伝えられる。他の隊員達のブラックタイガーは続々とヤマトの元へ戻って行く。

加藤「了解。だが、山本が····」

古代「どうした?」

古代が山本機に視線を向ける。

山本「すまない、戦術長。被弾した」

古代「大丈夫なのか?」

山本「なんとかな。戦術長はヤマトへの帰艦を急いでくれ、後で追い付く」

古代「分かった、必ず帰ってこい」

古代と加藤は山本機を離れ、ヤマトへ戻って行く。

 

宇宙戦艦ヤマト 第1艦橋

南部「航空隊の収容、間もなく完了します」

南部から沖田へ航空隊の収容作業が終わりつつあると報告する。古代も第1艦橋へ戻ってきた。

徳川「波動エンジン圧力上昇」

雪「レーダーに異常ありません」

冲田「ワープ開始5分前。総員、安全ベルト着用」

古代「待って下さい、まだ1機帰艦していません」

古代が未収容の機体を収容するまで待つよう頼みこむ。

冲田「ワープの中断はできん。収容を急げ」

沖田はワープの中断を認めず、収容に全力を上げるように指示した。古代は踵を返し、第1艦橋から第2格納庫へ駆け出した。

 

山本side

山本(俺もここまでか···)

機体の損傷は大きなものとなり、計器に映る警告の文字も膨大なものになっていた。

古代「山本、早く帰って来い。ワープまで、あと5分を切っぞ。急げ」

古代が無線で山本に呼び掛ける。

古代「戦術長、俺はヤマトに戻れそうにない。俺に構わずワープを実行してくれ」

山本は、自分を待たずにワープをするよう訴える。しかし、古代は認めなかった。

古代「馬鹿野郎!!!諦めるな、何としてでも戻って来い」

山本「俺を回収していたら、予定が狂っちまう。それに、空母はすぐ近くに来ている。無防備のヤマトを狙われたら···」

古代「それでもお前はブラックタイガー隊の隊員か!!?いいか山本、石に噛りついてでも戻って来い!!」

古代は訴えかけた。

山本「···分かったよ、戦術長、ワープまでにヤマトに帰艦してみせる」

山本は通信を切り、ヤマトを目指す。

山本「強制消火装置、作動」

火災による被害拡大に備え、強制消火装置を作動させる。操縦桿を握り締め、必死に機体を操るがエンジン推力が低下した機体はなかなか言うことを聞かない。

山本「頼む、言う事聞いてくれ」

ヤマトに接近し、着艦ルートを維持しようと試みるが、被弾した機体はふらついてなかなか安定しない。

古代「もっと右だ、右!!!」

古代は、管制室で山本機に指示を出す。

古代「行き過ぎだ、左に寄れ!!」

山本は、なんとか安定させようと必死に操縦捍を握る。

古代「良いぞ、そのままだ」

姿勢を安定させ、着艦体勢になんとか入ることに成功。誘導ビームの光に沿って着艦。ジャッキによってレールに上げられ、格納パレットに固定された。

 

 

宇宙戦艦ヤマト 第1艦橋

南部「ブラックタイガー、全機収容」

第2格納庫から収用完了を受け、南部が報告する。

冲田「ワープ開始2分前」

ワープの時間が迫って来る。

島「空間歪曲装置、作動」

島は、ワープ向けて空間歪曲装置を起動させた。このワープテストの結果次第で地球を救うことが出来るかが決まる。

古代(頑張れよ、島。命は預けたぜ)

古代は、隣に座る親友を見る。操縦捍を握り締め、緊張した面持ちで計器見ていた。

島(古代はヤマトを無事に守った。俺も、絶対にワープを成功させてみせる)

深呼吸して心を落ち着かせる。

雪「秒読みに入ります」

雪がカウントダウンを開始。地球の運命を賭けて、人類の大勝負が始まる。

島「両舷、前進一杯」

速度を限界まで上げ突き進むヤマト。

雪「10·9·8·7·6·5·4·3·2·1」

島「ワープ!!」

レバーを引き、操縦捍を目一杯倒す。ヤマトは加速し、光と共に一瞬で姿を消した。

 

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