宇宙戦艦ヤマト イスカンダルへの旅   作:GrandFleet

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第10話 浮遊大陸

メルトリア級はヤマトへミサイル攻撃の最終段階を迎えていた。

メルトリア級 艦橋

砲雷長「測敵よろし、発射口開け」

電測員「ヤマト、捉えた」

艦長「発射!!」

ヤマトへ向けて複数のミサイルを放つ。ミサイルは狙い違わずヤマトへ向かって行く。ヤマトも動き始めたが、ミサイルは命中コースを突き進む。艦橋の誰もが命中を確信した。だが……。

艦長「なにっ!!」

ミサイルが命中する直前にヤマトが姿を消してしまった。

艦長「消えた··だと··」

加速した一瞬のうちに、消えたヤマト。目標を見失ったミサイルは、ヤマトのいた地点を虚しくも通り過ぎて行った。電測士がレーダースクリーンを見るも、反応は消えていた。突然の出来事に皆が言葉を失った。静まりかえる艦橋に電測士が報告する。

電測員「艦長、ヤマトはジャンプした模様です!!」

艦長「そんなバカな!?テロンの宇宙船はジャンプなど出来なかったはずだ!!」

電測士の報告に衝撃が走る。それもそのはず、地球艦は核熱融合推進機関を使用している事がこれまでの戦いでのデータから判明している。そのような機関でのワープ航法は不可能だ。

電測員「ジャンプの空間航跡が残っています。これを見てください」

そう言うと、電測士はレーダーを操作する。索敵用から航路監視用に切り変えられたレーダースクリーンには、確かにワープの空間航跡が残っていた。

艦長(間違いない、奴はジャンプしている···。ヤマトは、今までのテロン艦とは違う)

艦長は、確信した。“ヤマトという宇宙戦艦は1隻の強襲空母の手に負える艦では無い”。ワープによる航法が可能ということはそれだけ搭載するエンジン、兵装も強力という事になる。さらに、空母同様に艦載機を持つ。航空隊の練度も十分。現に、帰艦した機体の殆どが要修理が必要と判断されるほどの損傷を負わされていた。補修資材も数が足りないと整備班から報告が上がっていた。また、航空隊の負傷者も少なからず出ると予想される。現在、救難信号を受けて動かせる機体を搭乗員の救助に向かわせている。艦載機あってこその空母である。その殆どの艦載機が手傷を負わされた状況で監視、可能であれば撃沈という任務を続行するか?ヤマトは我々の存在を知っている。

艦長「今から言う文面を司令部へ報告しろ」

考えた結果、彼は撤退を選んだ。艦長の命令を受け、通信士は冥王星基地へ打電した。

 

 

 

冥王星基地

通信員「強襲空母より入電、「我、ヤマトニ戦闘ヲ仕掛ケルモ航空隊ノ被害甚大。ヤマトハ、ジャンプシ逃亡。1隻デハ無ク複数ノ艦艇デ対処スルベキ」以上です」

通信士が強襲空母からの報告を伝える。

シュルツ「やはり、只者では無かったか····」

冥王星基地司令シュルツは、強襲空母からの報告を受けてそう洩らした。惑星間弾道弾を一撃で破壊せしめたあの艦は、強襲空母による襲撃で沈むほどヤワではなかった。さらに報告は続く。

通信員「司令、空母より作戦の一時中断の要請が来ています。なんでも艦載機の大半が損傷、修理が必要との事です」

シュルツ「···浮遊大陸基地へ寄航させてやれ」

通信員「はっ」

シュルツは空母への機関命令を発した。通信兵は、帰還命令を空母へ伝達する。さらに、指示は続く。

「監視衛星も使え。少しでもヤマトに関する情報を集めるのだ!!」

冥王星基地は、ヤマトの情報を集めるために本格的に動き出した。

 

 

 

ワープを実行した宇宙戦艦ヤマト。ワープ中の艦内では乗組員を浮遊感が襲う。足が地についていないような、ふわふわと海を漂うクラゲのような·····そんな感覚が体を支配する。ワープを終え、通常空間へ出ると艦体に貼り付いた氷が剥がれ落ちていく。

 

 

 

宇宙戦艦ヤマト 第1艦橋

島「ワープ終了」

ワープを終え、島はほっと一息つく。

太田「現在、本艦は通常空間にいます。座標確認中」

太田が、ヤマトの現在位置を確認する。

冲田「各科は状況報告」

ワープによる艦への負荷を確かめるため、各々が計器を確認する。

真田「艦体に損傷は認められず」

南部「火器管制システム、異常ありません」

雪「レーダー、異常ありません。周囲に障害物、および敵艦影無し」

相原「通信設備に異常は認められません」

真田·南部·雪·相原が報告する。

古代(どうやら無事ワープに成功したみたいだな)

古代が安堵していると、突然、ヤマトを揺れが襲う。

島「な、なんだ!?」

艦体が大きく振動する。突然の事態に、ざわつく艦橋。

太田「右舷より重力場を確認!!」

太田が報告する。ヤマトを包み込む異常振動の正体は、重力と判明した。

冲田「ビデオパネルへ映せ」

周囲の様子を確認するため、パネルに周囲の様子が映し出される。

冲田「これは···木星だ!!」

沖田が驚きの声を上げる。天王星宙域へワープするはずが、なんと木星へとワープしていたのだった。

太田「大変です、木星の重力に引き摺られています!!」

重力場の観測にて、ヤマトに強大な木星の重力が作用しており、高度が徐々に下がっていたのだった。

冲田「島、反転180度。急ぎ重力圏から離脱せよ」

島「反転180度、ようそろ」

木星の重力に捕まると大変な事になる。ヤマトは木星に背を向け、エンジンを吹かして重力から逃れようとする。だが、ここで不測の事態がまたしても降りかかる。

古代「何だ、今の振動は!?」

突如として、振動が艦全体を包み込み非常警報が鳴り響く。

島「エンジン出力が低下してる···機関長!!」

島が視線を落として計器を見ると、波動エンジンの出力を示す計器の針が下がり始めた。

徳川「波動エンジンが異常振動を起こしとる。わしらも原因を調べとるから、少し待て」

島「くっ····」

必死に操縦桿を握り、ヤマトを操る。だが、推力が弱まったヤマトが木星の重力に完全に捉えられてしまうのは時間の問題だ。

太田「木星大気圏内まで、あと10分」

太田が計器を航路監視用から惑星観測用に切り替える。

島「畜生!!思うように操縦出来ない····!!」

冲田「落ち着け、島」

沖田は島に落ち着くよう諭す。艦内に鳴り響く警報音。異常振動の答えは機関室から伝えられた。

徳川「こちら機関室、徳川。波動エンジンの動作が不安定になっとります。補助エンジンでの動力運用に切り替えて、安定を試みます」

波動エンジンを停止させ、補助エンジンでの航行に切り替える。だが、ヤマトはどんどん引き寄せられていくばかりであった。

太田「艦長、このままではヘリウムの海に突入してしまいます。いくらヤマトでも、重力場の奥深くに入り込んでしまえば、脱出は困難です!!」

太田が観測しながら、報告をする。ヤマトがヘリウムの海の奥深くへ沈み、脱出が出来なければ人類は滅亡の道を歩むことになる。そのような事はなんとしても避けなければならない。

冲田「島。下部スラスターを使え。なんとしても持ちこたえるんだ!!」

島「下部スラスター、噴射!!」

離着陸の際に使用する下部スラスターも出せる限りの出力で噴射する。

島「駄目だ、振り切れない!!」

太田「惑星大気圏に突入します!!」

しかし、ヤマトは重力を振り切ることができず木星大気圏へ突入した。

冲田「島、上げ舵15度」

島「上げ舵15度」

ヤマトの周囲にはヘリウムを主とした雲が漂っていた。艦首を持ち上げ、ヘリウムの雲へ突入する時間を遅らせようとする。だが、木星の重力は強力であり波動エンジンが停止している状態で艦首を持ち上げただけでは効果は薄い。

冲田「島、主翼展開。艦を水平にし、滑空の要領で高度を維持せよ」

島「ようそろ」

次は、濃密な大気を利用して滑空機のように飛行する。そこへ、レーダーが正体不明の何かを捉えた。

雪「艦長、未確認飛行物体を確認!!」

艦橋内部に緊張が走る。今のヤマトは高度を保つので精一杯だ。そこを襲撃されるとなると、今よりもさらに悪い状況に陥ってしまうかもしれないという不安がよぎる。

冲田「こんな時に敵か!?」

雪「いいえ、敵艦ではありません。右舷に大型の物体を確認」

冲田「パネルに映せ」

メインパネルに外の様子を映し出す。レーダーに反応があった2時の方向、ヘリウムの雲の中から浮遊する岩塊がヤマトの前に出現した。高度が下がるにつれて岩塊の全貌が明らかになった。

冲田「これは、大陸なのか····?」

その岩塊は、大陸と呼べるほど広大な面積を保有していた。宇宙博士号の称号を持つ沖田も初めて見るものであった。

太田「巨大な岩塊はオーストラリア大陸と同等の面積を持っています」

観測用レーダーによると、巨大な大陸はオーストラリア大陸と同程度の大きさを持っていた。

冲田「島、浮遊大陸へ着陸だ」

島「ようそろ」

ヤマトは浮遊大陸へ進路を向けた。周囲に浮かぶ岩塊を避けながら、着陸を試みる。少しでも操縦を誤れば、ヘリウムの海へ落ち、木星の重力によってヤマトは跡形も無く押し潰されてしまうだろう。

古代「取り付いた!!」

冲田「制動、ロケットアンカー射出」

艦首スラスターによる制動を掛け、ロケットアンカーを打ち出す。ロケットアンカーは岩山へ深く突き刺さる。しかしそれだけでは止まらない。突き刺さったアンカーの鎖は伸びきり、ヤマトは振り回される。

島「太田、不時着出来そうな場所は!?」

ヤマトを止めるため、周囲の状況を島が太田に尋ねる。

太田「前方に湖と思われる液体反応あり!!」

島「よし、それで止める。総員ショックに備えろ!!」

全員が不時着の衝撃から身を守る体勢を取る。ヤマトは派手に水飛沫を上げながら湖に着水した。

島「···着水成功」

無事に不時着したヤマト。緊張の糸が切れた島は、ほっと息を吐いた。衝撃から身を守る体勢を解き、背もたれに寄りかかる。

冲田「被害を確認せよ」

不時着に成功したヤマト。だがどんな被害を受けているか分からない。再度、確認が行われる。

雪「レーダー異常なし」

真田「艦体に損傷認められず」

南部「各種兵装、異常なし」

徳川「こちら、機関室。波動エンジンの冷却器に損傷を確認。直ちに修理を開始します」

幸いなことに、特に異常は見られなかった。機関科は徳川機関長指揮の下、直ちに修理を始めていた。

南部「しっかし、木星にこんなモノがあるなんてなぁ」

相原「本当だよ。浮遊する大陸なんて、物語くらいにしか出てこないもんな」

南部が外の景色を見ながら呟く。相原も同じようなことを考えていたらしく、感想を口にした。

太田「どう思いますか、技師長?」

真田「私も驚いたよ。木星にこんなモノがあるなんて、今まで知られていなかったからな」

気象長席に座る太田と、真田は会話しながらコンソールに映る情報に目を通す。

太田「技師長は、この浮遊大陸は一体何だと思います?」

真田「それは、調べてみないことには分からんな」

アナライザー「ソウイウ時はワタシの出番デス」

自立行動状態になったアナライザーが、自分に任せろと言わんばかりに胸を張る。

真田「アナライザー。手伝いを申し出てくれるのはありがたいが、今はこの大陸を調べる時間は無いんだ」

アナライザー「ソンナ~。セッカクの機会ニ、ワタシの素晴ラシサを披露シヨウと思ッテイタノニ」

真田「お前の力を借りる時はまだ先だ。働いてもらう時には、お前の腕を存分に披露してくれ」

真田に調査は行わないと告げられ、肩を落とすアナライザー。そんなアナライザーの様子に真田は苦笑した。

 

 

 

木星浮遊大陸基地

「司令、大変です!!」

木星浮遊大陸基地を任された、40代位のガミラス軍人の執務室。彼の元へ若き新兵が駆け込んで来た。

「一体何だ、騒がしい」

息も絶え絶えに、その新兵は報告を開始した。

「それが、正体不明の宇宙船が····」

「宇宙船?」

「とにかく司令室へ来てください!!」

司令室にいた当直の慌てる様子に、ただ事では無いと判断した司令官は席を立つ。当直に言われるまま執務室から司令室に向かうと、そこには見たことも無い宇宙船が湖に鎮座している様子がモニターに映っていた。

「これは、一体何なのだ!?」

「司令!!」

「····冥王星基地へ連絡だ。急げ!!」

通信員が冥王星基地へ連絡。数秒後には冥王星基地に繋がり、スクリーンに基地司令を務めるシュルツ大佐の姿が映った。ガミラス式の敬礼を行い、事態の説明する。

「司令、緊急事態です。正体不明の宇宙船が浮遊大陸に不時着しました。」

「何だと?」

「こちらが、その宇宙船です。」

冥王星基地へ映像を送ると、シュルツ司令の表情が変わった。そこへ、副官や数人の部下と話し始めた。

「浮遊大陸基地へ命令。直ちにこの宇宙船を攻撃せよ」

「この宇宙船は、テロンの宇宙船だ。ガミラスのテロン侵攻の障害はここで取り除くのだ!!」

「はっ!!」

冥王星基地は、攻撃命令を伝えると通信を終えた。

「当基地配備の全艦を持ってこの宇宙船を叩く。総員、出撃準備!!」

冥王星基地からの攻撃命令を受け、早速行動を開始する。この浮遊大陸基地に配備されている戦力は、デストリア級重巡洋艦1隻、クリピテラ級駆逐艦3隻。探索任務に用いる攻撃機メランカ36機であった。格納庫では慌ただしく出航準備が行われていた。乗組員が駆け足でタラップを上る。

「全艦、出航準備が整いました」

「直ちに出撃せよ!!」

格納庫のゲートが開き、ヤマト撃滅に向かった。

 

 

宇宙戦艦ヤマト 第一艦橋

 

雪「あっ」

冲田「どうした?」

雪「右舷3時の方向より、接近してくる飛行物体を確認・・・ガミラス艦です!!」

古代「何だって?」

冲田「詳しく報告せよ」

ヤマトのレーダーが敵を捕らえる。突如として現れたガミラス艦。修理が完了するまで休憩中であった彼らにとっては、思いもよらない事態となってしまった。

雪「接近してくるガミラス艦は4隻。大型艦が1隻、小型艦が3隻。距離15万km」

太田「艦種識別・・・大型は重巡洋艦、小型は駆逐艦と確認」

南部「主砲及び副砲は依然として動力の供給は不可」

波動エンジンの修理が行われている今、頼みの綱はミサイルとパルスレーザー砲、爆雷投射器のみ。

冲田「徳川君、機関の修理状況は?」

徳川「あと、3分で終わります。それまで待てませんか?」

機関室から修理の進捗状況が伝えられる。

古代「艦長、意見具申!」

沖田「何だ?」

古代「コスモゼロで迎撃に出て、ヤマトが修理を完了するまでの時間を稼ぎます」

沖田と古代、二人の視線が交錯する。

沖田「良かろう……ただし絶対に無事に帰ってこい」

古代「はい!……相原、すぐに第一格納庫 コスモゼロの出撃準備をするように伝えてくれ」

沖田に敬礼し古代は第一艦橋を後にする。

沖田「機関科は修理を続行。主砲・副砲は修理完了後、敵ガミラス艦の迎撃に備え!」

迫り来る脅威を退け、無事に木星からの脱出が出来なければ地球人は滅亡への道を突き進むことになる。ヤマトはこの危機を無事に乗り越えることが出来るのか?

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