宇宙戦艦ヤマト イスカンダルへの旅 作:GrandFleet
無限に広がる大宇宙········
光と闇が広がる、静寂に包まれた世界。
そこには、生まれてくる星があれば、寿命を迎え死んでしまう星も存在する。
我々人類の母なる星、地球。
地球は今や死に至ろうとしていた·········。
“ねえ、兄さん。あの星の、どこに父さんや母さんの星があるの?”
暗闇の中を進む駆逐艦ゆきかぜの艦橋で、艦長古代守は1人呟いていた。
岩津 「冥王星軌道に入りました、間もなく作戦宙域に入ります」
作戦の舞台となる冥王星宙域に入ったことを、副長の岩津英二が伝えた。
守 「そうか、ありがとう」
岩津 「いえ。それより、何ですか今の?」
守「ああ。これはまだ弟が小さい時に、俺に言った言葉なんだ」
岩津 「確か、ご両親は遊星爆弾で···」
守 「この宇宙にはたくさんの星がある。人の数ほど存在するって言われているけど、沢山あるよな」
岩津 「何処にあるんでしょうね?ご両親の星は···」
守 「うん···君の奥さんの星もな」
しんみりとした空気の中、2人の会話が途切れたそのときだった。電測員が声を上げる。
電測員 「レーダーに感あり。敵艦反応確認!!」
先程とは打って変わって、艦橋に緊迫した空気が流れる。
電測員 「右舷前方、2時の方向より急速接近中」
レーダースクリーンに現れる4つの敵艦を示す印。ものすごい速度でゆきかぜに接近してくる。
守が双眼鏡で覗いて見ると、駆逐艦らしき小型艦であった。操舵手と通信士にすぐさま指示を出す。
守 「反転180度、直ちに本隊へ連絡せよ」
操舵手・通信士 「「了解」」
ゆきかぜは、すぐさま反転。本隊に合流するため、急いで離脱した。
ガミラス軍冥王星基地司令部
通信士 「シュルツ司令、哨戒中の駆逐隊がテロンの艦艇を発見しました」
ガミラス軍冥王星基地の通信士が駆逐艦からの報告を基地司令シュルツ大佐に伝えていた。
シュルツ 「数は?」
通信士 「1隻です」
シュルツ 「1隻···その後の動きは?」
通信士 「すぐさま反転し、逃げたようです。そのまま追跡させますか?」
通信士の報告を受け、シュルツは顎に手を添え考えた。
シュルツ 「いや、放っておけ」
ガンツ 「宜しいのですか?」
放置するという答えに副官のガンツ少佐が首をかしげる。
シュルツ 「偵察任務中の空母が、テロンの艦隊が出撃するところを捉えている。奴らは此処に来るはずだ」
シュルツは地球軍の艦隊は必ず現れると確信していた。
シュルツ 「全艦に、出撃命令を出せ。これよりテロンの艦隊の迎撃に出る」
ガミラス艦隊は地球艦隊との戦闘に備え、出撃準備を開始した。
地球艦隊 旗艦 きりしま
ゆきかぜからの通信を受信したことを、通信士が初老の男性に伝える。
通信士 「提督、先遣艦〈ゆきかぜ〉より入電です」
「読んでくれ」
通信士「我、敵駆逐艦ラシキ艦艇ヲ確認」
「·····」
初老の男性。艦隊司令長官沖田十三は通信士の報告を無言で聞いていた。
山南 「提督」
きりしま 艦長山南修が指示を仰ぐ。
沖田 「全艦に警戒体制の強化と、乗員に船外服の着用を命じろ。」
山南 「はっ」
沖田の指示が発光信号で全艦艇に伝えられる。本隊はガミラス艦隊に位置を知られない為に、ゆきかぜを除いて無線封鎖をしている。
闇の中で一糸乱れぬ艦隊運動を続け、冥王星沖を目指す。そこへ、敵艦発見の通信から2時間後、ゆきかぜが艦隊に合流した。
通信士「ゆきかぜ、合流しました」
沖田「全艦、第1級非常体制。警戒を怠るな」
沖田の指示で、警戒しながら前進する地球艦隊。
電測員「只今より冥王星宙域に入ります」
電測員の目付きが変わった。これまで以上に真剣な眼差しでレーダースクリーンで監視を行う。
ここは既に敵の勢力圏内。警戒を怠れば、奇襲を受けて敵の本隊と戦う前にやられてしまう可能性もある。
そして、冥王星の衛星カロンの軌道を抜けた先に、奴らは待ち構えていた。
電測員 「レーダーに感あり。左舷15度、距離10万km。艦隊を確認、ガミラス艦隊です!!」
電測員が報告すると、艦橋内は慌ただしくなる。
沖田 (出てきたな、悪魔〈ガミラス〉め)
沖田は、内心そう呟いた。
沖田 「これよりメ号作戦を発動する。全艦、戦闘配備!!」
作戦の開始が宣言され、ブリッジから艦内各所へ指示が飛ぶ。
通信士 「電波管制解除」
山南 「艦種識別急げっ」
山南艦長の指示でデータから敵艦隊の編成の解析が行われていた。
電測員 「戦艦1 重巡15 軽巡22 駆逐艦50」
地球艦隊の戦力は、戦艦1隻 巡洋艦9隻 駆逐艦14隻。ガミラス艦隊の戦力は地球艦隊を大きく上回っていた。
電測員「敵艦隊、面舵をとりました」
沖田 「面舵30。全艦、砲雷撃戦用意」
操舵手「おもーかーじ」
ガミラス艦隊は地球艦隊の頭を押さえるように進路を変更した。沖田も同航戦を挑む形で進路を変更。巡洋艦、駆逐艦は回避行動を行う場合を考え、間隔を開けきりしまに続く。
砲雷長 「左舷、照準合わせ」
各艦の陽電子砲が左舷に向けられる。後は敵艦を射程圏に捉えるだけだ。
通信士 「提督、敵艦隊より通信が入っています」
通信士が敵艦からの入電を報告した。
沖田 「読め」
通信士 「「地球艦隊二告グ、直チ二降伏セヨ」···返信はどうしますか?」
敵の降伏勧告に対し、沖田の答えは·····。
沖田 「バカめと伝えろ」
通信士 「はっ?」
沖田 「「バカめ」だ」
通信士 「はっ!」
地球艦隊を待ち構えていたガミラス艦隊に地球側の返信がやってきた。
シュバリエル 艦橋
シュルツ 「シュルツ司令、テロンより返信です」
地球側の返信を受け取ったガミラス艦隊。
通信士 「「バカめ」以上になります」
ガンツ 「なんだと!?我々を馬鹿にしているのか!!」
「バカめ」の返信に怒りを顕にするガンツ。
シュルツ 「ガンツ、彼らも軍人として···いや、テロン人として屈しないという意志を示しているのだろう」
シュルツは地球艦隊からの返信に気を悪くすることはなかった。
シュルツ 「ガミラスを受け入れれば、生きることも出来ただろうに」
シュルツは、残念そうに地球艦隊を見据えた。
伝令「シュルツ司令、攻撃準備完了しました」
部下の1人が攻撃準備が整ったことを伝える。
シュルツ 「目標、敵艦隊。砲撃開始」
艦隊全体に攻撃命令が下された。砲門が煌めき、数多の赤い光の筋が地球艦隊に襲いかかる。
きりしま 艦橋
応急長「上部甲板に被弾!!、損害軽微」
艦橋に被弾の衝撃。敵弾はきりしまの船体前方、上部甲板を掠り流れていく。
電測員「巡洋艦くらま、被弾。隊列を離れます」
だが、きりしまの後方についていた巡洋艦くらまが被弾した。黒煙を引いて、隊列から離れていく。
次の瞬間には、くらまの艦体は爆散した。
電測員 「くらま、轟沈」
山南「提督!!攻撃を」
沖田「まだだ。まだ距離がある」
山南が攻撃許可を求めるが、沖田はこれを許可しなかった。まだ、全ての艦が敵を射程圏に捉えいない。光学測距儀での測的が続く。今は、敵弾が当たらないことを祈りながら待つしかない。
砲雷長 「敵艦、射程圏内へ。照準よろし」
ついに、艦隊の攻撃体制が整った。
沖田 「全砲門開け、撃てっ」
今度は地球艦隊が反撃に出る。緑色の光線がガミラス艦隊に襲いかかる。照準は完璧、ガミラス艦に向かって一直線に向かう。そして命中しようとしたその時、ガミラス艦の船体に直撃した陽電子砲は跳ねて敵艦の向こう側に流れていく。
沖田「くっ···」
やはり、陽電子砲では通用しなかった。火星戦役前に改修を受け搭載された艦首衝撃砲であれば撃沈できるのだが、問題があった。それは、エネルギーを充填している間は無防備な状態になってしまうことだ。充填作業中は全エネルギーを集中させるために他の武装は使用不可になってしまう。また、ガミラスも艦首衝撃砲による被害の教訓をもとに、正面からの突撃ではなく丁字戦を挑んできた。それだと、陽電子衝撃砲の充填中にやられてしまうために同航戦の形をとり戦闘に入るしかなかった。砲撃は地球艦隊に襲いかかる。
電測員「ふゆづき、被弾!!」
次に被弾したのは、駆逐艦ふゆづきであった。
ふゆづき 艦橋
艦長「被害報告!!」
艦橋に艦長の声と、警報音が響く。被弾した船体が激しく揺れる。操舵手が必死に船体を制御しようと必死に操縦桿を握るが、上手くいかない。艦の状態を表すモニターに、被害が表示される。
副長「艦尾に被弾!!推進機及び、舵がやられました」
艦長「スラスター最大出力、船体を安定させるんだ。それから通信士、他の艦に通信。「我、操舵不能。衝突二注意サレタシ」急げ!!」
操舵手・通信士「りょ、了解」
艦長はふゆづきの状況を伝えるよう命じた。
きりしま 艦橋
通信士「ふゆづきより入電「我、操舵不能。衝突二注意サレタシ」」
操舵不能に陥ったふゆつきは、スラスターを吹かして船体を安定させようと試みるが、後続の巡洋艦つるぎに激突。どちらも轟沈してしまった。
地球艦隊は圧倒的な戦力の前に、苦戦を強いられた。そして、きりしまを敵弾が襲う。
応急長「右舷船体中央部、艦尾損傷」
砲雷長「主砲、動力供給ストップ」
応急長「シアンガス発生」
2度目の被弾は、きりしまの戦闘能力を大きく減少させた。主砲へ動力を供給する機構がダメージを受け停止。さらに、シアンガスが発生。急いで隔壁の閉鎖が開始される。乗員がその区画に残っていようが隔壁は閉鎖されていく。そうでもしなければ全体にガスが充満してしまい、被害は甚大なものになってしまう。さらに、機関も出力が低下し始めた。
機関室
藪「推力低下が止まらない。このままじゃエンジンが··」
徳川「薮。ぼやくためじゃなく、どうするべきか考えるために頭を使え」
機関長 徳川彦左衛門が薮機関員を叱咤する。機関員は応急修理に取りかかる。
徳川「大丈夫だ。この艦は、あの沖田十三の乗艦だ。沈まんよ···そして、わしらが沈めさせるものか」
長い間を共に過ごしてきた戦友の艦を守り抜く。覚悟を口にすることで己に喝を入れる。機関科の戦いが始まろうとしていた。
ガミラス艦隊は攻撃の手を緩めることなく攻めたたててくる。
きりしま 艦橋
砲雷長「第3主砲中破。」
きりしまの艦橋と一体化した主砲塔に、攻撃による被害が発生、大きな振動が艦橋に走る。
電測員「巡洋艦むらくも、轟沈。駆逐艦しきなみ大破」
通信士「駆逐艦いそかぜ、あやせ通信途絶」
電測員「巡洋艦あぶくま大破、ゆうぎり轟沈」
味方艦の被害の情報が飛び交う。
電測員「味方艦損耗率76%!! 駆逐艦あきづき大破」
相次ぐ被害報告。山南が次の指示を伺おうと、沖田へ視線を向けると··沖田の制服右腕部分が破れ、血が滲んでいた。
山南「提督!」
沖田「構わん。ただのかすり傷だ」
沖田は軽傷だと言うが、止血しなければ今後の指揮に影響が出るかもしれない。
山南「衛生兵を呼べ」
山南は衛生兵をブリッジに呼ぶよう指示した。
沖田「アマテラスはまだか?」
電測員「未だ確認出来ません」
沖田は電測員に、メ号作戦の最大目標の“アマテラス”について問う。だが、返ってきた返事は認められないというものだった。そこへ、耳を疑うような報告が入ってきた。
電測員「味方艦1隻が、敵艦隊に突撃して行きます!!」
沖田「誰の艦か?」
電測員「駆逐艦ゆきかぜ。古代少佐の艦です」
沖田は無線で呼び戻そうとした。
沖田「古代、今すぐ隊列に戻るんだ」
守「沖田さん、本艦の武装では接近しなければ歯が立ちません。敵の懐まで援護を願います」
援護要請をすると、守は通信を切ってしまった。敵艦隊に突入するなど、自殺行為でしかない。だが、守は敵を沈める秘策があるのだろう。ゆきかぜは敵艦隊へ突撃していく。
砲雷長「ミサイル撃てます」
沖田「ゆきかぜの前方に発射。道をこじ開ける」
発射管が開き、ミサイルが飛んでいく。敵に損害を与えることはできなくても、爆風や黒煙でゆきかぜへの照準を妨害することはできる。敵は接近してくるゆきかぜへ砲を向け、弾幕を張り始める。
ゆきかぜ 艦橋
電測員「敵の弾幕来ます」
守「右、上げ舵20。左下げ舵30」
敵の光線を持ち前の機動力で回避していく。先行したミサイルは敵艦隊の前で爆発。敵の砲撃が止んだ。
守「今だ、この隙に敵艦隊に突入する!!」
きりしまが作ったチャンスを無駄にせず、敵艦隊に突入した。
守「飛び道具しかない密集体形は、一歩中に入られたら簡単に崩れるものさ」
侵入を果たしたゆきかぜは、敵に狙いを定める
守「左舷前方の敵重巡の艦橋正面へ。主砲発射用意」
敵の砲の軸線に入らないよう注意しながら、狙いをつける。
砲雷長「主砲、用意よし」
守「撃てぇ」
12.7cm陽電子砲が吠える。砲撃されたデストリア級は慌てて回避行動を開始した。だが、近くを航行していたクリピテラ級は急な進路変更に対応出来ず、デストリア級に追突されどちらも轟沈した。
守「臆病者め。船の装甲は厚くても、心の装甲は薄いようだな」
敵艦を2隻撃沈したゆきかぜを、光線が襲う。初めての被弾の振動が船体に走る。
守「被害報告!!」
操舵手「艦尾損傷。されど航行に支障無し」
敵弾はゆきかぜの艦尾の主翼を掠めたようだ。
守「よし。なら次は、高速巡洋艦を狙う。魚雷戦用意」
次の獲物を狙う位置に付く。
電測員「敵巡洋艦、距離8500」
砲雷長「敵速29ノット、雷速48ノット」
敵艦の速度、予想される進路にて魚雷が命中する速度の算出が開始される。
砲雷長「魚雷発射用意よし」
守「1番発射管、撃てぇ」
発射管より放たれる試製空間魚雷。今回の作戦にあわせて、ゆきかぜにのみ搭載された。新型魚雷は、狙い違わずクリピテラ級目掛けて突き進む。そして····。
電測員「魚雷命中、撃沈しました!!」
守「よし!!」
電測員「駆逐艦2。急速接近中」
守「続き、2番3番開け」
接近してくる駆逐艦に向かって、装填された魚雷が発射される。
シュバリエル艦橋
通信士「シュルツ司令、敵艦1隻が我が艦隊に突入し、重巡1隻、高巡2隻が撃沈されました。現在、駆逐艦が対処に当たっています」
シュルツ「何だと··!?」
シュルツは部下の報告に驚いた。地球艦隊の陽電子砲は船体に施された帯磁特殊加工(ミゴウェザーコーティング)によって無効果できていた。艦首陽電子衝撃砲の攻撃を受けないように同航戦を採った。なのに撃沈されたというのは想定外だった。艦橋にいるクルーに動揺が生まれる
シュルツ「直ちに近くの駆逐隊も迎撃させろ。傷が浅いうちに沈めるのだ」
通信「了解」
きりしま 艦橋
電測員「駆逐艦よいづき爆沈。巡洋艦あぶくま大破、本艦の進路前方に来ます」
山南「回避行動」
艦隊はすでに半数が撃沈さていた。このままでは作戦目標達成前に壊滅してしまう。
沖田(奴らに、この艦では勝てん。まだなのか、アマテラスよ·····)
今か今かと待ち望んだ報告がついにやって来た。
電測員「“アマテラス”来ました。予定のコースに入った模様。火星到着まで約10分」
沖田「司令部へ暗号打電“アマノイワトヒラク”」
地球防衛軍極東基地 日本司令部
通信士「暗号通信が入電しました」
男性オペレーターから暗号通信が入った事が告げられた
参謀「一体どこからだ?」
通信士「旗艦きりしまからです。解析します」
オペレーターは暗号通信の解析進めていく。
通信士「沖田提督からです。“アマノイワトヒラク”」
司令部に歓声が湧いた。待ち望んだ報告であった。
藤堂「沖田君、よくぞ···」
ガイゼル髭を蓄えた男性、防衛軍極東基地司令長官藤堂平九朗が冥王星で戦う戦友の名を呼ぶ。
土方土方「長官、メ号作戦はまだ終わっていません。この後に一番の難所が待ち構えています」
藤堂長官の隣には、宇宙戦士訓練学校校長の土方竜がいた。
藤堂「そうだな、火星の観測員に連絡してくれ」
通信士「了解」
ついに、メ号作戦の最優先目標である“アマテラス”ーー使者との接触の時が来たのだ。
ガミラス艦隊の編成ですが、旧作だと“超弩級宇宙戦艦6 巡洋艦8 護衛艦艇多数”というセリフがあります。2199だと“超弩級宇宙戦艦3 戦艦7 巡洋艦22 駆逐艦多数”となっていますが、アニメでは冥王星基地の超弩級宇宙戦艦はシュルツ艦以外見ていないので1隻としました。その分、他の艦艇の数を増やして戦力を調整してみました。
山南艦長は2199の方です。