宇宙戦艦ヤマト イスカンダルへの旅   作:GrandFleet

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第3話 帰還

東京湾 地下ドック

冥王星での戦いを終えた宇宙戦艦きりしまは、地下基地のドックに入渠した。かつては、多くの艦艇で一杯だったドックも今では数隻だけ。その艦艇たちは、ガミラスとの戦いで損傷し入渠したものの、修理に必要な資材が不足しているために本格的な修理には入っていなかった。きりしまの他にも主砲が外されたままの駆逐艦や、舷側装甲板に穴が空いたままの巡洋艦などちらほら。極東基地の艦隊は壊滅寸前ーー。いや、世界各地の防衛軍の艦隊の全てが壊滅寸前なのだ。

さらに、それらを動かす軍人の数も不足している。訓練生が一人前になるには、多額の費用と時間が懸かる。さらに、訓練生を指導する教官の数も足りないのだ。これは、前線で戦える軍人の数が減ったためにやむを得ず、訓練学校の教官も前線に異動となり、戦死してしまったためだ。資材がなければ修理が出来ない。人がいないから修理しても、動かせる人がいないという負のスパイラルだ。

 

きりしまを退艦した負傷者は病院区画に直行することになっていた。一方の便乗した古代と島は、宿舎へ戻ろうとしていた。ドックから防衛軍の建物に繋がるエレベーターに乗る。エレベーターには外部の放射線による汚染レベルを示す計器が取り付けられている。その計器は、汚染が進んでいることを示していた。

島「見ろよ、古代。汚染はもうここまで来ているぜ」

古代「本当だ、このままじゃ地球はおしまいだ」

計器を見つめる古代。

古代「悔しい。兄さんの命を奪った、ガミラスが憎い」

島「古代····」

エレベーターを出たところで、とある話声が古代と島のもとへ聞こえてきた。

士官「酷い戦いだったみたいだな」

「ああ。こちらの攻撃は通用せず、あちらの攻撃は通用する。僚艦が次々と沈められたんだ。一方的な戦いだったよ」

話の内容から察するに、どうやらきりしまの乗組員と、同期の軍人らしい。

士官「〈きりしま〉の損害も酷かったようじゃないか。良く生きて帰って来れたな」

きりしま乗員「それなんだが、味方が庇ってくれたそうだ。え~っと確か〈ゆきかぜ〉って名前の艦だったかな?そいつが、敵艦隊に突撃して、撤退の時間を稼いでくれたんだ」

士官「突撃?!」

士官らの話の中で〈ゆきかぜ〉という言葉を耳にした古代は、考えるよりも先に体が動いており、士官の元へ向かっていた。

古代「君、その話は本当なのか?」

いてもたってもいられなくなった古代は、話が本当か確かめるために問い詰めた。

きりしま乗員「えっ、あっ、その」

古代「どうなんだ?話してくれ!」

士官「貴様は何者だ!!」

当然ながら、もう一人は古代の行動を咎める。

島「俺達もメ号作戦の帰還兵さ。そいつは、この戦いで兄が戦死したんだ。許してやってくれ」

そこへ、すかさず島がフォローに入る。

古代「·····済まない。つい」

「俺は艦橋要員じゃないが、他の乗員が艦橋要員から聞いたらしい」

古代「そうか····。今、艦隊司令はどこにいる?」

「沖田提督は病院区画だろうよ。負傷の手当てがどうとかって言ってたからな」

そう言うと二人話して去って行った。

古代「島、俺は病院区画に行く」

島「いや、今行くのはまずいだろ。手当てを受けているんだぞ」

古代「でも、俺は事実を知りたいんだ!」

そう言うと、古代は病院区画の方向に向かう。

島「おい、待てよ!」

島の制止を聞くことなく、病院区画目指して歩いて行った。

古代「面倒なことにならなければいいが···」

島も古代の後を追いかけるのだった。

 

東京都 中央病院

佐渡「この負傷で大事に至らんかったのは、不幸中の幸いですぞ」

沖田は、主治医の佐渡酒造が勤務する中央病院で診察を受けていた。診察室には沖田と佐渡の他に、看護師の原田真琴と、沖田の同期の土方竜がいた。

沖田「なあに。わしには宇宙一の名医がついておる」

佐渡「まあ、そうでもあるがの。」

真琴「これで手当ては済みました」

真琴が手当てが終わったことを伝える。

土方「沖田、カプセルの解析は現在7割が完了している」

土方が例のカプセルの解析状況を説明していた時だった。病室の外が騒がしくなる。なにやら看護師と男が揉めているようだ。

看護師「今は診察中です、勝手に入られたら困ります」

診察室の扉が開き、古代が診察室に入ってきた。

佐渡「なんじゃ、騒々しいの」

古代「艦隊司令にお聞きします。〈ゆきかぜ〉が敵艦隊に突撃したというのは本当なんですか!!」

古代が沖田に突っかかる。

土方「馬鹿者、ここは病院だ!!病院で騒ぐ奴がおるか」

土方が古代を叱責する。古代の後を追ってきた島は頭を押さえた。

島(土方先生がいるじゃないか!!最悪だ····)

土方が沖田に説明する

古代「済まん、俺の教え子だ」

沖田「君、名前は?」

古代「古代進です」

沖田「古代····。そうか、〈ゆきかぜ〉の」

古代「教えてください。〈ゆきかぜ〉が突撃したのは本当なんですか?」

数秒の沈黙、沖田は古代に目を合わせ口を開いた。

沖田「本当の事だ。彼は立派な男だった、わしの力が足りなかったせいで彼を死なせてしまった。済まない··」

沖田は古代に頭を下げた。

土方「沖田···」

古代「自分は納得出来ません!!兄が死んだなんて··」

診察室に重苦しい空気が流れる。

佐渡「まあまあ二人とも、少し酒でも飲んでだなぁ」

何処から取り出したのだろうか。いつの間にか、佐渡の手には日本酒の瓶が握られていた。

真琴「先生、なに患者さんにお酒を薦めているんですか!!それに今は勤務中です。お酒は没収します」

佐渡「ああ~~」

当然、お酒は没収されてしまう。重い空気を変えようとしたのか、ただお酒が飲みたいだけだったのか。佐渡は酒豪なので、古代と沖田にお酒を飲ませて自分も飲みたかっただけかもしれない。

土方「古代、ちょっとこっちに来い!!島、お前もだ!」

島「えっ?(とばっちりだー!)」

診察室に乱入した古代は勿論、止めることのできなかった島も土方に連れていかれた。

 

防衛軍 基地航空機格納庫

古代と島の二人は、罰として格納庫の清掃を命じられていた。

古代「済まん、島」

島「じゃあ、そのうち何かで返してくれ」

古代「ああ」

島「しかし、あそこで土方先生と会うとはねえ。沖田提督と防衛大学校で同期だったらしいよ」

話をしながら掃除をしていると、古代は一機の航空機をじっと見ていた。

古代「なんだ、こいつは?」

島「初めて見る機体だな」

その機体は二人乗りで、機首部にパルスレーザー機関砲が6門載っていた。

古代「機銃6門か、かなりの重武装だな」

島「座席は2つ。こんな二人乗りの戦闘機なんて今まで見たか?」

古代「いや、初めてだ」

2人が掃除の手を止め、あれこれ考えていると···。

「そいつは、コスモスパロー。偵察機さ」

不意に声をかけられた。声のした方向に視線を向けるとパイロットスーツにジャケットを羽織った丸刈りの青年がいた。

古代「貴方は?」

加藤「おっと、まずは名乗るべきだったな。俺は加藤三郎。よろしくな」

古代「古代進です」

島「島大介です」

加藤「古代と島か。よろしくな」

簡単に自己紹介をした後に〈コスモスパロー〉について話を戻す。

島「こいつは偵察機なんですよね。でも、偵察機としてはかなり重武装ですよ」

加藤「今は迎撃機として運用しているからな」

古代「どうしてです?」

加藤「迎撃機が足りないのと、偵察任務自体が無くなったからだ」

島「そんな理由で」

古代「こいつで、空戦は出来るんですか?」

加藤「いや、こいつは一撃離脱戦法による迎撃を主に行う。こいつは、元は高速偵察機だからな。後部機銃を撤去して、機首部に機関砲を搭載してある。だが、格闘性能は戦闘機に劣る。だからこそ、一気に接近して銃撃し逃げる。そうやって戦うのさ」

古代「なるほど···」

加藤「ところで、お前さん達はここで何をしてた?」

島「ちょっとした懲罰と言いますか··」

加藤「ああ~俺も新人の頃によく受けた」

三人で談笑しながら、清掃を再開すると

「加藤隊長、いらっしゃいませんか?」

誰かが加藤を呼ぶ声が聞こえてきた。

加藤「そろそろ行かないと。じゃ、懲罰の清掃頑張れよ」

そう言うと、加藤は格納庫を出て行った。二人が掃除を再開して2時間。指定されたスペースの掃除がついに終わった。

島「やっと終わった~」

古代「島、お疲れ。道具は俺が片付ける」

島「おっ。サンキュー」

掃除道具を元の場所に戻して、一息つく二人。

そこへ非常警報と放送が流れる。

「ガミラス軍の偵察機が防空圏内に侵入。各航空隊は直ちに出撃せよ。敵機の進路は北緯30度43分、東経128度4分。九州の南方、坊の岬沖と思われる。」

放送が鳴り響くと、格納庫に航空隊の隊員と思われる人が続々とやって来る。

加藤「お前ら、準備急げよ。」

そこには、先程出会った加藤の姿がいた。古代は加藤に駆け寄った。

古代「加藤さん、俺も出撃します」

突然すぎる古代の言葉に困惑する加藤。

加藤「何を言ってるんだ、お前さんには関係無いことだ。第一、戦闘機に乗ったことあるのか?」

古代「あります。訓練学校では戦術科を首席卒業しました。航空部門の試験はすべて一番の成績でした。」

加藤「学校で成績優秀だったからって、戦力になるとは限らねぇ。戦場ってのは経験がモノを言うんだ」

古代「大丈夫です。ガミラスの戦闘機や偵察機と何度か空戦をした経験はあります。それにこういう非常事態の時こそ、一人でもいるといないじゃ違うと思います」

古代の強気な姿勢に加藤は、黙ってしまう。

加藤「良いんだな?」

古代「はい」

古代と加藤の視線が交錯する。

島「じゃあ、俺も行くぜ。古代」

古代「島」

加藤「分かった。じゃあ、お前にも迎撃する加わって貰う。機体の数が少ないから〈コスモスパロー〉での迎撃を任せる」

古代「分かりました」

加藤「行くぞ、出撃だ!!」

二人は、加藤から予備のヘルメットを受け取り機体へ乗り込む。古代が操縦席、島が偵察席に座る。発進ゲートが開き、迎撃機が次から次へと飛び立って行く。

古代「行くぞ、島!!」

島「頼むぜ、古代」

コスモスパローに搭乗した古代と島。機体は発進カタパルトに固定される。

古代「こちら古代、いつでも行けます」

「こちら、管制室。了解した」

発進する前にエンジンを吹かす。油圧式カタパルトが機体を押し出す。カタパルトによって加速した機体は、空へと舞い上がった。

古代「今までの機体と全然違う」

これまで古代が乗ってきた機体とはスピードが段違いであった。機体はぐんぐん空を昇って行く。

古代「これだけの性能なら一撃離脱戦法での迎撃も可能か」

加藤「どうだ、〈コスモスパロー〉は」

加藤からの無線が入る。

古代「速度が今までのものよりとは桁違いです」

加藤「そうだろう。だが、お前さんの操縦センスはなかなかのもんだ。機体の揺れが小さい。十分に乗りこなせている証拠だ」

古代「隊長にそう言って貰えて光栄です」

加藤率いるブラックタイガー隊も、見事な編隊を組んで飛行する。

島「さて、敵さんに会いに行きますか」

古代「SID、案内を頼む」

SID「只今より案内を開始します」

機体に搭載されたSIDのナビを頼りに、彼らは戦場へと急行して行った。




偵察機を迎撃するために古代と島は、旧作では探索艇。2199ではコスモゼロ(試作機)でした。探索艇は武装が無く、コスモゼロは旧作ではヤマトが発進してから出て来るので、別の機体にしました。最初はコスモタイガーⅡを試作中の戦闘機として登場させようと思いましたが、さすがに無理があると思い、2199の18話で篠原の回想シーンで登場したコスモスパローにしました。こここでのコスモスパローは、旧日本海軍の十八試局地戦闘機「震電」のような機体として扱っています。
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