宇宙戦艦ヤマト イスカンダルへの旅 作:GrandFleet
解析装置にセットされたカプセルに収録されたメッセージの再生が開始される。
「私は、イスカンダルのスターシア。あなた方の星、地球は今まさにガミラスの手によって滅亡の淵に立たされています。私はそれを憂い、1年前に地球へ使者を送りました。もし、地球を救いたいという思いがあるのならば、イスカンダルに来て下さい。イスカンダルには放射能を除去するシステムがあります。本当なら、私たちが地球に届けることができれば良いのですが、それが出来ません。ですから一番目の使者に恒星間航行用の機関である“波動エンジン”の設計図を託しました。そして、私の妹サーシャを二番目の使者として送りました。もし、このメッセージをご覧になっている時には、サーシャが地球にたどり着いたということですね。この時には波動エンジンが完成した頃でしょう。イスカンダルは、地球を離れること14万8000光年。マゼラン銀河の恒星サレザーの第4番惑星です。私は、貴殿方が未知の困難を乗り越え、イスカンダルへ来ると信じています」
メッセージが終了し、沈黙が訪れる。このメッセージをどのように受けとれば良いのか分からずにいた。イスカンダルは放射能を除去する装置を提供すると申し出てくれた。これは喜ばしいことである。だが、本当に地球を救う事が出来るのかは分からない。人類が生存可能な一年以内にイスカンダルに行って装置を受け取り、戻って来て使わなければならないのだ。
藤堂「諸君らはどう思う?」
藤堂が沖田、土方に意見を求める。
沖田「長官、わしは信じます。地球を救う可能性が一つでもあるのならば」
土方「長官、私も同じです」
二人はこのメッセージを信じると言い切った。前人未到の14万8000光年という航海に挑み、イスカンダルへ赴いて放射能除去装置を受け取りに行くと。
藤堂「他の者はどう思う?どんな意見でも構わない」
藤堂は、参謀達にも意見を求めた。
参謀「長官。これは、“イズモ計画”より成功率は高いと思います」
一人の参謀が代表して発言する。参謀達もイスカンダルへの航海に賛成の意を示した。
現在、防衛軍は選ばれし人間だけで地球を脱出し他の惑星に移民する“イズモ計画”が進められていた。イズモ計画と今回のメッセージ。どちらを採るかによって人類の未来を大きく左右する。
藤堂「·····分かった。イズモ計画のメンバーをすぐに第1ホールに召集してくれ」
藤堂の指示を受け、司令部の職員が動き出す。
その頃、古代と島は病院にて検査を受けていた。軍の制服の上からパイロット用スーツとヘルメットでは、防護服のように放射線から身を守ることは出来ない。救命艇に収容されて帰還すると、すぐに放射能を除去するための部屋に入れられた。除染が終わると、病院の放射線測定のための部屋に連れていかれた。そして、今は検査結果待ちである。真琴が結果の書かれた用紙を佐渡に手渡す。
佐渡「放射線は、問題無い数値じゃのう」
結果を二人に伝えた。
古代「本当ですか?」
佐渡「ああ、体に影響は無い数値だから大丈夫じゃろ。アルコール消毒でもどうかの?」
島「染みそう~遠慮します」
問題無しと言われ、ほっと息をつく。
佐渡「そう言えば、お前さん達に召集が掛かっとるよ」
島「そうなんですか?」
佐渡「そうじゃな。というか、ここにおる者全員じゃな」
古代「それで、いつですか?」
佐渡「1時間後じゃ。場所は、防衛軍本部第1ホールとなっておる」
古代「こうしちゃいられない。島、急ごう」
島「そうだな。先生ありがとうございました」
古代「ありがとうございました」
二人は病室を出て行った。
佐渡「さて、真琴。わしらも準備と行くか」
その頃、月軌道にはガミラス軍の高速空母がいた。
ポルメリア級 艦橋
観測員「艦長、画像の解析結果が出ました」
艦長「報告せよ」
観測員「はっ。北緯48度30分·東経128度48分に存在する物体ですが、金属でできていることが確認できました。塔のような構造物には、レーダーのような金網と、測距儀らしき物を確認。砲身の付いた砲塔のようなものが見られました。外観はかなり傷んでいますが、熱源反応が周囲から確認できました。」
士官が艦長に、偵察機が撮ってきたデータの解析した結果を報告する。
艦長「見た限りだと、ただの残骸ではないか」
観測員「ええ。ですが、熱源反応がありますので、恐らくあの周辺の地下にテロンの基地があるか、あの沈没船に何か秘密があると思われます」
思いもよらない報告に驚く艦長。これからどう行動すべきか思案する。
飛行長「攻撃いたしますか?」
航空隊をまとめる隊長が攻撃隊を出すことを提案する。
艦長「待て、我々の任務はテロン軍の監視にある。ここで下手に行動すれば、後の作戦に侵攻にどんな影響があるか分からない。リスクを犯して行動するより、まずは報告だ。シュルツ司令からの命令を待って行動する」
まずは、冥王星基地に報告し指示を仰ぐことにした。
艦長「通信長、冥王星基地に報告の打電を頼む」
通信員「了解しました」
防衛軍司令部
時刻は午後7時。防衛軍の大ホールには、召集された軍人達が集まっていた。
「ついに、イズモ計画の発令か」
「地球脱出用の宇宙船が完成したのか」
集まった軍人達は口々にそう話していた。
古代(とうとう、地球を見捨てるのか···)
島「どうした古代?」
黙って壇上を見つめる古代に声を掛ける島。
古代「いや、何でも無い」
島「そうか」
会場は、溢れんばかりの人で埋め尽くされていた。
島「見ろよ、古代。沖田提督だ」
壇上には沖田が姿を現す。全員が沖田に敬礼をし、沖田が答礼をする。
沖田「諸君、良く集まってくれた。イズモ計画の選抜メンバーとしてこれまでの厳しい訓練、誠にご苦労であった。その君たちへ正式に通達する。君たちの任務は、地球を救うために14万8000光年の旅に出てもらう」
沖田の発表に会場ではざわめきが起きる。それもそのはず地球を脱出しての移民から、14万8000光年の旅に出るなどいきなり聞かされたら驚くのも無理はない。
沖田「静粛に!!これは周知の通り、地球を脱出·移民と目的としたものでは無い。先日のメ号作戦において回収されたカプセルに記録されていたメッセージを刮目してほしい」
「私は、イスカンダルのスターシア·······」
すると突然、メッセージが流れると同時に部屋が暗くなり天井や壁に無数の小さな光が映し出された。その光は、少しづつ集まり始めた。初めは、何が形成されているのか分からなかった。目を凝らして見てみると····
島「これは、俺たちの天の川銀河じゃないか」
古代「本当か、島」
島「ああ、訓練学校時代に何度も見てきたからな」
小さな光は、空中に銀河を描き出した。
「··放射線を除去するシステムがあります·····」
放射能汚染された地球を救う方法があると知り、会場内のざわめきが大きくなる。
「··サーシャを二番目の使者として送りました····」
空間には、古代と島が火星で発見した宇宙船が飛行している様子が見られた。
古代・島((俺たちが、火星で出会った人がサーシャさんだったのか))
「··私は、貴殿方が未知の苦難を乗り越え、イスカンダルへ来ると信じています」
メッセージが終わり、部屋が明るくなる。
沖田「このメッセージにあったように、我々はイスカンダルからの技術供与により波動エンジンを搭載した宇宙船を完成させている。諸君らはその宇宙船の乗組員として、往復29万6000光年の旅に出てもらう。但し、この命令は強制では無い。地球に残りたい者は辞退してもらって構わない。以上だ」
命令は強制では無く、志願制であることを伝え、沖田は壇上から降り、変わりに金髪の女性がマイクを捕る。
雪「集合等の前に、各部門の責任者を読み上げます。
艦長 沖田十三。
戦術科 戦術長 古代進。
砲雷長 南部康夫。
航空隊隊長 加藤三郎。
甲板部 掌帆長 榎本勇。
航海科 航海長 島大介。
気象長 太田健二郎。
技術科 技師長 真田志郎。
なお、真田少佐は副長兼任となります。
情報長 新見薫。
機関科 機関長 徳川彦左衛門。
機関助手 山崎奨。
船務科 通信長 相原義一。
主計長 平田一。
炊事長 K·新谷。
そして、私が船務長を勤める森雪です。」
壇上で発表された人事。その中で、古代は戦術科の総責任者に。島は、航海長に就任するということが告げられた。
雪「集合についてですが、明日01:00に防衛軍司令本部の第2駐車場に集合してください。移動用の車両が待機しています。辞退される方は、司令部へ23:59まで辞表を提出して下さい。連絡は以上になります」
解散が告げられ、ホールを後にし、それぞれが宿舎や自宅に戻り、荷物の準備を始めた。家族と過ごす最後の日になるかもしれない。準備を終えた者は、残りの時間を思い思いに過ごすのだった。
次回、ついにヤマトに乗艦します。不定期更新ですが、よろしくお願いします。