宇宙戦艦ヤマト イスカンダルへの旅   作:GrandFleet

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第6話 甦れ、宇宙戦艦ヤマト

現在の時刻は23:00。家や宿舎を出て集合場所に向かい始める時間帯。古代も部屋を出て行こうと最後の確認を行う。戸締まりを確認し、荷物を持ってリビングに戻って来ると、さっきまで見ていたテレビではニュースが放送されていた。ニュースでは、政府が発表したヤマト計画に反発する市民のデモの様子が流れていた。インタビューに答える男性はこう話す。

「奴らは選ばれた人間だけで、地球から逃げ出すつもりなんだ!!」

テレビを消し、愛用のハーモニカを手に取り、コルクボードに飾っている家族の写真の前に立つ。両親は遊星爆弾によって6年前に亡くなり、兄の守は先日の冥王星の戦いで亡くなった。

古代「父さん、母さん、兄さん、行って来るよ」

写真に写る家族に別れを告げ、部屋を後にした。

 

船務長の森雪は、家族にヤマトに乗艦する事を伝えた。一方の両親は、一人娘の雪を遠い宇宙に行かせる事に反対であった。

母親「雪、どうしても行かなくちゃならないのかい?」

目に涙を溜め、雪を抱きしめながら訴える。雪は両親に目を合わせ、自然に話す。

雪「お母さん、さよならなんて言わないわ。行って参ります。そして、必ず帰って来ます。お父さんも、元気でいてね」

両親「「雪!!」」

そう伝えると笑顔で家を出ていった。

父親「あの子が決めたことだ。行かせてやろう」

母親「あなた···」

雪を気持ちを汲んだ両親は、彼女の後ろ姿が玄関から見えなくなるまで手を振り続けたという。

 

防衛軍司令本部

執務室で準備を終えた沖田。荷物を纏め終えた直後、ドアがノックされる。

土方「沖田、入るぞ」

ドアが開き、現れた声の主は土方であった。

土方「沖田、本当に行くのか?」

部屋に入るなり、沖田にそう問いかける。

沖田「ああ」

土方「その体でか?」

沖田は、宇宙放射線病を患っていた。これを知る者は、主治医の佐渡と長官の藤堂のみ。土方には伝えていなかった。

土方「俺の目は節穴では無い。一体何年の付き合いだ!!身を引くことも勇気だ」

だが、土方は沖田が何らかの病を患っていることを見抜いていた。

沖田「土方。往復29万6000光年の旅は、わしの命を奪うことになるかもしれん。だが、わしは行く。行って必ず帰って来る。地球の青い姿を見るまで、わしは死ねん」

両者の視線が交錯する。その視線には互いの強い思いが込められていた。

土方「·····分かった。そこまで言うなら、俺からはもう何も言うまい」

沖田の強い思いを感じた土方が折れ、沖田はイスカンダルへの旅に出ることになった。

沖田「ありがとう」

土方「“アイツ”のことを宜しく頼む」

“アイツ”というのが、口にこそ出さないが古代進を指している事を察した沖田。

沖田「留守の間、地球を頼む」

土方「任せろ」

沖田が特務艦の艦長になることで、これまで務めた艦隊司令の座は、土方が引き継ぐことになる。

土方(沖田···お前が守って来た地球は、何としてでも守ってみせる)

土方も決意を新たにするのであった。

 

防衛軍司令長官執務室

藤堂(まさか、こんなことになるとはな)

藤堂は、1年前のことを思い出していた。ガミラスが遊星爆弾による攻撃が開始されてから5年経ったある日のこと。正体不明の宇宙船が東京湾(このときには、海は干上がっていて湾ではなくなっていたが)に不時着した。それは、ガミラスの宇宙船とは異なるものであった。軍は、発見されてからすぐに調査班を編制し、解析が行われた。解析には5日を要した。調査班による解析結果の報告に立ち会った。そこには、波動エンジンの設計図を納めたカプセルと人型を模したアンドロイドが船内から発見されたと報告を受けた。そして、カプセルにはスターシャから波動エンジンについての説明と、2人目の使者を1年後に送るというものであった。波動エンジンの説明を受けた時には大きな衝撃を受けた。今の地球艦が搭載する機関よりも遙かに高性能であり、ワープ航法が可能という代物。軍は波動エンジンをイズモ計画に使う宇宙船に搭載することを決定した。これならば、地球を脱出し、移住先の惑星を見つけることができる可能性が高くなる。だが、イズモ計画は人類すべてが地球を脱出できる訳ではない。ガミラスの狙いが不明な以上、脱出した宇宙船が襲われる可能性もある。そのための武装や惑星調査用に艦載機や探索艇も搭載してあるために収容出来る人数にも限りがあった。そんな中での放射能除去装置の提供。渡りに船であるが、メッセージを信じて送り出すことにした。

藤堂(頼むぞ、沖田君)

 

 

防衛軍司令本部第2駐車場

乗車するよう指示された車両を探す島の元に1人の少年が駆けてくる。

次郎「兄ちゃんー!!」

島「次郎?どうした」

次郎「これ、母さんから」

次郎の手に握られていたのは、お守りであった。

島「お守りかぁ···」

次郎「昔、父さんに渡しそびれたから母さんが大介兄ちゃんには、必ず渡してくれって」

島「心配性だからなあ、母さん」

次郎「兄ちゃん、頑張ってね」

島「ああ、その代わり母さんを支えてやれよ。約束だ」

次郎「うん!!」

お守りを渡した次郎は家に帰って行く。渡されたお守りを見てみると、“航宙安全“と書いてある。航海の安全を願ってくれたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

こうして、家族に別れを告げ集合した乗組員達は、一路東京から鹿児島まで向かった。交通規制が敷かれているため渋滞も無く着いた。鹿児島に着くと、鹿屋基地に立ち寄り最後の休憩を採る。そこで、制服が配られた。男性用の制服は上下長袖長ズボン。戦術科は白地に赤い矢印。航海科は白に緑。機関科は白にオレンジ。技術科は白に青。船務科は黄色に黒。航空隊のパイロットはその逆、黒に黄色である。整備員はオレンジ色である。女性用はスーツのような制服で、生地が各科の色となっており、矢印が黒で統一されていた。なお、衛生科の制服は、男性用が水色、女性用がピンクとなっていた。休憩が終わり、いよいよ厳重な警戒体制が敷かれた宇宙船のある工場へ向かう。

島「なあ、古代。俺たちが乗る宇宙船ってどんな奴なんだろうな?」

古代「さあな。ただ、波動エンジンを搭載しているんだ。これまでの防衛軍の宇宙船とは違うだろうよ」

長い道のりを走りながら古代と島は、新しく乗る艦について話あった。説明を聞く限りだと、かなり高性能な用だがどのような艦なのか想像もつかなかった。

 

 

 

坊の岬 南部重工造船所

鹿屋から走ること1時間。ついに工場へ到着した。到着してからは、作業員の案内の元、ドックへ向かう。彼らの前に現れたのは········。

島「大きいな··」

古代「ああ」

そこに鎮座していたのは、巨大な船体だった。喫水線より上は土に覆われていて全貌が分からない。

「乗艦される方は、こちら第3艦橋から乗艦ください」

艦底部にある第3艦橋と呼ばれる構造物からタラップが下ろされており、そこで乗艦手続きをしていた。身分証明書を提示し、乗艦名簿と照らし合わせる。確認が終わり、乗艦が許可される。そこからは、艦内図を頼りに割り当てられた居住区画の自室へ向かう。自室で制服に着替え、各自が自分の受け持つ部署へ向かう。各階層を繋ぐエレベーターに乗り、第1艦橋へ行くためのボタンを押した。エレベーターはどんどん昇って行き、ものの十数秒で到着した。

沖田「来たか····」

第1艦橋で二人を出迎えたのは、艦長の沖田だった。

古代「戦術長を拝命しました。古代進、只今着任しました」

島「同じく、航海長を拝命しました。島大介、只今着任しました」

沖田に着任の挨拶をする二人。

沖田「私が艦長の沖田十三だ。ここが、これからお前さん達が勤務するヤマトの第1艦橋だ」

島「ヤマト···この艦の名前ですね?」

沖田「その通りだ、島。これが、宇宙戦艦ヤマトだ」

古代「艦長、この艦は完成しているんですよね?」

沖田「完成してはいるが、各種点検がまだ済んでいない」

古代・島「「ええっ」」

沖田が口にした言葉に驚く二人。

島「なぜ?」

古代「波動エンジンの点検に時間が掛かってな。それに、乗員には艦内の配置と艦に慣れて貰わなければならん。時間が無いから同時進行しなければならない」

古代「はあ··」

沖田「さて、これから君たちが勤務する第1艦橋について軽く説明しておく。」

古代・島「「はいっ」」

沖田「いいか。ここ第1艦橋は、ヤマトの指揮中枢区画だ。ここは、主に戦闘や通常航海の指揮に使われる。いわば、ヤマトの頭脳だ」

古代「ヤマトの···」

島「頭脳」

沖田「古代。お前の座る戦術長席は、次元羅針盤の正面にある。そこで、各種兵装の起動や航空隊への指示が出せるようになっている」

古代「はい」

沖田「島。お前の座る航海長席は、古代の席の右側だ。そこで、ヤマトの操縦を行うようになっている。今のうちにマニュアルを読んでおくように」

島「あの、古代の席の左側の席に計器がありますが、こっちは···」

戦術長席の左側には、島の座る航海長席と同じ計器がある。だが、大きな違いは操縦桿が無く、変わりに大きな窪みがあるのだった。

沖田「予備席だ。そっちは、ヤマトの操縦を担当する者が倒れた場合。又は、緊急時にこの艦の自律型サブコンピューターが操縦するための席だ」

島「はい」

席に置いてあったマニュアルを開き、各種計器やレバーの関係や装置の機動方法について目を通す。そこへ、誰かがやって来たようだ。第1艦橋の通路へ繋がる扉が開く。

雪「船務長を拝命しました、森雪。只今着任しました」

声のする方向へ目を向けると、そこには火星で遭遇したサーシャそっくりの女性がいた。

島「おい、古代。これは夢でも見ているのか?」

古代は、島の頬を軽く引っ張る。

古代「痛たっ」

頬に軽い痛みが走る。

古代「どうやら、夢じゃ無いみたいだな」

島「そうみたいだな」

再びマニュアルに目を通しながら話し合う。

古代「しかし、こんな偶然なんてあるんだな」

島「本当だよな。俺も見た時、火星の彼女が生き返って地球に来たのかと思った」

古代「もしかしたら、宇宙人の親戚がいたりして」

などと話し合っていると···

雪「あの、すみません」

古代・島「「は、はい!!」」

突如、声を掛けられ驚く二人。反射的に跳び上がってしまう。

雪「あの··。どうかしましたか?」

振り替えると先程の女性、森雪が目の前にいたのだ。

古代「い、いえ。特に何も」

島「何でもない、何でもない」

「宇宙人の親戚が~」など話していたなんて口が裂けても言えない。いくら何でも失礼だろう。全力で誤魔化しておく。

雪「そうですか」

なんとか誤魔化すことに成功した。

雪「初めまして、森雪です。艦内の運営を行う船務科の責任者を務めます。ここ第1艦橋では、主にレーダーでの監視をします。これからよろしくお願いします」

古代「俺は、戦術長を務める古代進だ。こちらこそよろしく」

島「俺は、航海長の島大介。よろしく」

雪「古代さんと島さんね、よろしく」

握手を交わす三人。挨拶を終えると、手にした端末に目を向け、なにやら確認すると沖田に報告する

雪「艦長、全員が乗艦しました。欠員はありません。現在、物資の積み込み作業は完了しています。艦載機·内火艇の搭載はまもなく完了します」

沖田「そうか··引き続き、安全を第一に作業をするように通達してくれ」

雪「はい」

報告を終え、エレベーターで第1艦橋を下りて行く。

 

その頃、冥王星では

ガンツ「シュルツ司令、あの報告どう思います?」

シュルツ「ああ、あの報告か····」

ガンツ「あの残骸の正体は一体·····?」

シュルツ「それだ、ガンツ。地下に基地があるのか、それかあの残骸に重要な秘密があるのか見当もつかん。もう少し情報が欲しいところだ」

ガンツ「ですよね····」

会議室では、シュルツやガンツを含め士官たちが話し合いをおこなっていた。地球圏に進出して偵察任務に従事する空母からの報告を受け、対応策を練っていた。

「地球侵攻の障害は、早めに取り除くべきです!」

一人の士官の意見に他の者も頷く。

「シュルツ司令」

シュルツ「それについては異論は無い」

満場一致で攻撃を行うことに決定した。問題は次にうつる。

シュルツ「どれだけの戦力を送り込むだな····」

敵情は不足していてどんなことが起こるか分からない。偵察機が偵察活動中に沢山の迎撃機が上がって来たという。そこは、敵にとって重要な施設だあることは推察できる。そこへ、大規模な艦隊を送り出せばテロンに我々が存在に気付いていることがバレてしまい対応策を取られてしまう恐れがある。なかなか結論が出ないまま時間が経ってゆく。

ガンツ「司令、空母に攻撃させましょう。いきなり現れれば、敵を混乱させ指揮系統をマヒさせることが可能です。テロンの対応は後手に回ります。我々が出撃するより、任せた方が良いと思います」

シュルツ「そうだな。我々より現地の部隊のほうが臨機応変に戦えるかもしれん。皆、それで良いな?」

「「はい」」

議論の末、空母に攻撃をさせるという意見に纏まった。それから二時間後、月面にある空間騎兵隊の演習基地が攻撃に晒された。地球への降下前に妨害を受けない為であった。基地に駐屯していた空間騎兵隊は果敢に応戦したが、対空陣地は壊滅。多数の負傷者を出していた。

 

月面基地

基地では、負傷者が簡易ベットで横になり手当てを受けていた。無傷な者は全体の¼位しか満たない。

看護兵「副隊長、負傷者の手当て終わりました」

斉藤「ご苦労だったな··ゆっくり休め」

見張りに付く副隊長の斎藤始は、双眼望遠鏡を手に敵の監視を続ける。

看護兵として、配属された者はぐったりした様子で休憩に入った。¾にあたる隊員を手当てしたのだ、精神的にも体力的にも疲弊しているだろう。医療品も殆ど使いきった。ここは早く救援を呼びたいところだが····。

斉藤「通信機の方はまだか?」

工作兵「駄目です。アンテナの修理にまだ時間がかかります」

工作兵が修理を続ける。襲撃で通信用アンテナが被害を受け、通信が出来なかった。

斉藤「なるべく、急いでくれ」

工作兵「了解です」

永倉「隊長、あれ見て!」

その時、同じく監視していた女性隊員、永倉志織が指を差す。

斉藤「あの野郎···」

指差された先には、地球に向かって降下に入る空母の姿があった。

(俺達も宇宙空間で戦うことできれば···)

彼らは、宇宙空間で戦う術を持たない。彼らは地上戦を専門する部隊だ。宇宙船に対して出来る事は、山砲や高射砲による迎撃に限られる。ただ、降下していいく様子を黙って見ることしか出来なかった。

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