攻めろ!!千聖さん!!   作:面心立方格子

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なんか恋愛もの書いてるんですけど、恋ってどんなものなんですかね?


恋愛コンサルタント

「ではこれより、花咲川恋愛コンサルタントの会議を始めます。」

 

「あ、あはは.....」

 

「あの、これはどういう.....」

 

「恋愛指導!です。」

 

放課後、氷川さんに呼び出され、教室に連れていかれ、鍵を閉められる。この空間に、氷川さんと松原さん、そして若宮さんと僕がいる。何がどうなってるんだ.......

 

「あの、氷川さん。これはどういう.....」

 

「良くぞ聞いてくれました風野くん。」

 

チャキっと、メガネを右手で上げ、こちらを得意げな顔で見つめてくる。ここまで生き生きしている氷川さんというのも貴重なものだ。

 

「以前、風野くんには乙女心に関して、少し話しました。今日はそういったことを含めて、実践へ移す練習をしたいと思います。」

 

「れ、練習.....」

 

「はい、当然本番の相手は白鷺さんです。しかし、風野くんはいきなりそういった俗世にあることを、いきなり実践できるなどと微塵も思っていません。」

 

「さ、紗夜ちゃん、ちょっとストレートなんじゃ.....」

 

「これくらいダイレクトに伝えないと、風野くんは鈍いので気づかないんです。」

 

「師匠!!そこまで鈍感だったんですか!?」

 

悪意のない、直球な言葉が僕の心に突き刺さる。ストレートやダイレクトが何かは分からないけど、鈍感って.......

 

「待って.....僕は、そんなに鈍感じゃない.....だって、私は協会の方などをおもてなしした経験もあるし.....」

 

「その心遣いと、こういった心遣いは別物です。見苦しい言い訳は辞めてください。」

 

僕の釈明は虚しくも、氷川さんに一刀両断される。この氷川さんの顔、勝負を決めにかかる時に人がする顔と同じだ......そして心がぼろぼろ。

 

「うっ....僕の心が.....穴だらけ.....」

 

「ふぇぇ.....ちょっと、言い過ぎじゃないかな....?」

 

「すみません、傷つける意図はありませんでした。.......では、仕切り治しましょう。風野くん、今からいくつか質問をします。」

 

「う、うん。」

 

眼鏡の位置を直し、氷川さんはこちらに向き直り、澄んだ目でこちらを見つめる。白鷺さんもそうだけど、女の子の瞳は綺麗だな.....

 

「.....そ、そんなに見つめられると、困ります....」

 

「あ、ご、ごめん.....」

 

(こっちの方が、初々しいカップルみたいだけど.....)

 

(師匠は純粋ですから!!!!)

 

「んんっ.....では、まず、風野くん。あなたは白鷺さんとどこかへ行く際、どのような場所に行きますか?」

 

「えっと.....演武の指導、文化講演会のおもてなし、地域での催し、協会の方との出稽古.......」

 

「はぁ.....」

 

僕の回答に、氷川さんは頭に手を当て、ため息を吐く。え、何か間違えたのだろうか.....?

 

「風野家の用事以外で、どこかに行くことはありますか?」

 

「...............」

 

頭の中で、記憶を探る。.........どういう訳か、僕の頭の中に、家の所用以外で白鷺さんと外に出た記憶がない。

 

「もしかして.....無いの?」

 

「無いわけ無い、とは思うんですが.......所用の方が圧倒的に多く。」

 

「あはは......学校帰り、とかは無いの?」

 

「.......ありました。」

 

「では、それを聞かせてください。」

 

僕が思い出したことで、3人が目を合わせて、少し微笑む。.....とっておきを伝えなければ。

 

「風野家には、兵藤家という分家がありましてね。ここでの夏祭りでは、商店街の方々、僕を含めた風野家、そして兵藤家で全面的に開催の手助けをするんですよ。最近では、弦巻家も、参加するかどうかという話はあります。」

 

(これってもしかして.....)

 

(夏祭りを共にした、では無いでしょうか。驚きました。風野くんからまともな話が出てきました.....)

 

(それ、ちょっと失礼じゃないかなぁ.....)

 

(お祭り!是非次は私もお手伝いを!!)

 

「そして、祭りの手伝いをする傍ら、白鷺さんの浴衣の着付けを手伝いました。普段の白鷺さんとはまた違った、奥ゆかしい雰囲気が出ていました。」

 

(惚気、飛んできたね.....)

 

(これは、成果ありと見ていいでしょう。)

 

(羨ましいです!!私も着付けしてもらいたいです!!)

 

「それで、その後はどうしたんですか?」

 

「僕自身は、和太鼓を叩く仕事がありましたし、終了後も後片付けに従事していました。待たせるのも申し訳なかったので、分家の香奈を、白鷺さんに同判してもらうよう要請し、そのまま帰ってもらいました。」

 

『はぁ.......』

 

「え?ため息?」

 

とっておきのエピソードを話すと、3人がほぼ同時にため息を吐く。え、なんで.......

 

「その後、白鷺さんはどのような感じでした?」

 

「頬を膨らませていましたね。香奈とはとても楽しそうにお祭りを回っていましたし、帰る際もとても楽しそうに話していたので、楽しんで頂いたものだと思っていましたが.....帰ると、頬をふくらませて怒られました。『ヘタレなのね!!!!』と。」

 

「それは.....うん、そうなるよね.....」

 

「ええ......」

 

僕は安全に配慮したし、楽しめるように、それに女の子同士語りたいこともあるだろうし、だから香奈に任せたのに.....なぜ怒られるんだろう。

 

「師匠!それはダメです!」

 

「分家の方は下の名前で呼んで、白鷺さんは上の名前で呼ぶんですね。」

 

「身内のようなものですから。」

 

宗家・分家とはいうものの、交流自体は幼い頃からあった。母が分家を訪れた時に、決まって話をしていたのは香奈だった。箱入り娘というだけあって、とても大切にされていたし、礼節も重んじていた。そういう面もあったからか、僕とは直ぐに打ち解けたし、仲良くなった。

 

「僕自身、こういった外部との付き合いがどうしても少ないものでして、自然と身内や分家の者との時間が増えるんです。」

 

「なるほど.....風野くんの事情はだいたい分かりました。.......これは少々、事前練習が必要ですね。」

 

「えっ」

 

氷川さんが眼鏡をかけ直し、髪を括り始める。そして括り終えて、何かを紙に書き始める。

 

「風野くん。あなたがこのままいけば、距離は永遠に縮まりません。」

 

「今のままじゃダメなの.....?」

 

「ダメです。もどかしいです。」

 

「も、もどかしい.....?」

 

「風野くん、前に進んでください。今の関係を続けるというのは、お互いにとってあまり良い話ではありません。その関係は欺瞞でしかりありません。」

 

「でも、白鷺さんがどう考えてるかは分からないし.....」

 

実際、白鷺さんと知り合って時間が経ち、考え方や所作の方向性は大体分かってきている。しかし、白鷺さん自体が何をどう考えているかは全く分からない。

 

「.....御二方がどういった経緯で知り合い、親交を深めているかは私も白鷺さんから聞いています。風野くん、きっかけはどうあれ、白鷺さんばかりがアプローチというのも、バランスが不釣り合いですし、何より風野くんが世間を知らなさすぎです。その結果、なあなあな関係が続いているのです。」

 

「うっ.....そこまで直接言わなくても.....」

 

「なるほど!では今はケンタイキ、ですね!!」

 

「若宮さん、それも違う.......というか結婚してないし、付き合ってない。」

 

この子ら、僕に遠慮なく辛辣な言葉を......松原さんも、横でうなづいているし。

 

「人間の感情は、水のように形は成さず、流れていく、変化するものです。そのままの関係なんてものは存在しません。人として誰かとして接し、関係を築き、発展させることは時に衝突や亀裂を生みます。しかし、そういったことも含めて人間関係というのです。風野くん、まずは白鷺さんのことをもっと知ろう、としてください。」

 

「.........」

 

「生真面目なあなたのことです。白鷺さんが何を考えているか分からない、だから踏み込み方が分からない。風野くんが今いる所は、そこだと思います。」

 

氷川さんに、図星をつかれる。なんで僕以上に僕のことが分かるんだろ......

 

「知ろうって言ったって、どうやって.....?」

 

「それにはしっかりと対策は設けています。」

 

そして書き終えた氷川さんが、その紙をこちらに見せつけてくる。何か色々と書いてある.....

 

「これは.....?」

 

「2人の親愛を深めるための催しです。まず、風野くん、洋服をひとつは持ってください。どこでも和服というのは、どうしても浮いてしまう場面があります。」

 

「制服は?」

 

「学校帰りに遊びに行くというのであればそれでも構いません。しかし、白鷺さんは放課後忙しいですし、風野くんも家の用事があるでしょう。制服デートなどする時間は無いと考えています。」

 

「で、デートって何.....?」

 

「.......え、そこからなの?」

 

松原さんがそんな物存在するのかと言わんばかりの驚きの目線をこちらに寄越す。

 

「そういえば前に英単語帳で見たような.....」

 

「それはdateで日付です。デートとはまた違います。」

 

「あ、そうだっけ。」

 

「はぁ.....とりあえず、この計画には3段階あります。まず、若宮さんが風野くんをコーディネートします。」

 

「はい!任せてください!師匠をカッコよくします!!」

 

「では、お願いします。そして次の段階ですが、本番の予行演習をします。これに関しては、全員で協力してやります。若宮さんは相手役、松原さんと私で、採点役をします。そしてその良かった点、反省点を踏まえた上で、白鷺さんと本番をやってもらいます。」

 

「もし、不安なら、私も相手役に付き合うよ.....?」

 

「......分かりました。よろしくお願いします。」

 

最初の方は何を言っているかは分からなかったが、確かにいきなり本番、しかも不慣れなことは僕には無理だ。この練習は、間違いなく今後の僕の糧として絶対に必要になる。

 

「す、すごい綺麗なお辞儀.....」

 

「では、日程など計画の詳細を詰めた後、またお話します。」




すごい久しぶりに投稿した気がする
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