ゴゴゴゴゴゴ......
「あの.....白鷺さん、その覇気は一体何でしょうか?」
「.........」
白鷺さんが、腕を組んで、仁王立ちをしたままこちらを見つめる。その目には怒りというより、何かを威圧しようとする目だった。
「もしかして昨日、家にいなかったこと?それは氷川さんの家に用事があったんだよ。」
「へぇ.....それは初めて聞くわね。」
どうやら違ったみたいだ。そしてさっきより、より威圧的になった。さっきのを100とするなら、今は145くらいになった。
「まぁ、それはいいのよ.....風人くん、さっき学校の先生から連絡があったの。」
「へぇ.....それで?」
「風人くん.....今度、宿泊研修があるのは知っているでしょう?あれ、第一中間テストで赤点が出た場合、初日に補習を受けて、2日目から参加になるの。」
確かにそんな話は聞いていた。僕は一応生徒をやりつつ書道を教えている立場にいるので、一応教員事情なるものは聞いている。そしてそのようになっている事を口うるさく学年主任から言われた。
「それでね風人くん....あなた、入学試験の英語.....0点らしいわね。成績開示の結果を私が教えて貰ったわ。」
「...........」
「こら、目を背けないで。」
気まづく白鷺さんから目を反らすと、白鷺さんに両手で顔を掴まれ、こちらに顔を戻される。改めて見ると綺麗な目をしてるな白鷺さん.....
「......そんなにまじまじと見つめないで風人くん。恥ずかしいわ。」
「顔をこっちに向けてるの白鷺さんじゃん.....そんな頬を赤らめる事でもないし。」
「いいの!!それはそれとして.....いい!?風人くんのスペックだと補習1日でどうにかなるものじゃないの。そ・れ・に!!!風人くんだけ補習になるわけにはいかないの!!」
「どうして?」
(風人くんと初日から楽しみたいってそれくらい分かって.....と言いたいけど、鈍感さんには通じないわよね。)
「.....と、とにかく!仮にも他人に指導する立場にいる風人くんが、そんな状態にいるのじゃ面子が立たないでしょ?」
「白鷺さんは僕のお母さんなの.....?」
「お母さんじゃないわよ。私は風人くんの妻になるのよ。」
「.......え?」
妻になる.....?白鷺さん、僕と結婚するのもう確定してるの?すごい.....もうそんな将来設計してるんだ。
「.....!!!ま、待って待って!今のは違うの!違わないけど!」
「どっちなの?」
「今はどっちでもいいの!とりあえず補習回避の為の勉強を今からするわよ。.....想像してみなさい、赤点を取った時の紗夜ちゃんの反応を.....」
「氷川さんの.....?」
言われてみて氷川さんに赤点を見せた時の反応を想像する。......おそらく小言を延々と言われるだろう。そして昨日家に行ったことで氷川さんはとても面倒見がいいことも分かった.....次のテストまではほぼ毎日家に呼ばれて勉強することになるのかな.....?でも何はともあれ.....
「僕の自由は、確実に消え去るね.....」
「その上で、確実に今の生活と両立が前提になってるわよ。それに赤点回避じゃなくて、目指すは平均点以上よ。」
そして、僕と白鷺さんによる、英語の勉強が始まった。
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2時間後
「嘘でしょ.....?」
「嘘じゃなくて、これが現実だよ....」
白鷺さんが持ってきた教科書で順を追って授業の復習をしていた。.....正直何が書いているか全く分からなかった。古典や漢文であれば普通に読めるのだが......
「.....あのね風人くん、高校生の教科書でアルファベットからやり直しはとんでもないわよ.....」
「至極申し訳ないと思っております.....しかし本当に苦手なのです。」
「中学校時代、風人くん英語の授業受けてなかったのかしら?」
「受けては.....いました。しかし中学時代はそれこそ鍛錬に力を込めておりまして.....」
「それは私も知っているわ。朝早くから必死に鍛錬に励んでいたことは私が1番見ていたもの。けれど、それで何かを疎かにしていいという訳でもないわ。それは火凛さんからも言われているでしょう?」
「まったくその通りです.....」
「そうね、精進して。それはそれとして.....少し休憩する?」
「うん、ちょっと甘味を持ってくるね。」
白鷺さんにそう言い残し、ういろうを取りに行く。ういろうを皿に分け、戻ってくると白鷺さんが僕の服を着て、それを顔に近づけていた。
「ふふっ、風人くんの匂い、やっぱり落ち着くわ。.......好き。」
恍惚とした顔だった。僕が入ってきているのも気づいていないくらいにお気に召したらしい。.......その恍惚とした顔は、すごく幸せそうで大人な顔をしていた。少し気配を消して、このまま休憩してもらおう。
「ふーっ.....ふーっ.....背徳感は少しあるけれどこれは、私の特権よね。」
背徳感はあるんだ.....確かにうちが洗濯で使っている物は他の人の家庭とは違うことは知ってはいるけど.....そんなに匂いが違うものなのかな。
「宿泊研修、自由時間とかあるらしいけど、風人くんと一緒に過ごせるかしら.....?先生のような立ち位置かもしれないし、女の子だらけの集団に馴染めるか心配よね.....」
「.......もしかして、気づいてる?」
「気づいてるわよ。私相手に気配を消そうなんて甘いわよ風人くん。.....というか、私は別に独り言をこんな大きな声でやる人でもないのよ。」
「それは大変失礼しました.....」
その後、一緒にういろうを食べながらフィードバックを行い、白鷺さんは家に帰った。これから中間テストまで毎日これをやるらしい。僕の頭は果たして持つかな?
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翌日 花咲川
「.....それで、風野くんとは上手くいってるの?」
「....これはいってるとは到底言えないわよ花音。鈍感すぎるのよ!!!ここまで言ってなんでまだ私が好意を抱いているとか考えてくれないのかしら.....?」
私は昨日あったことを花音に全て話す。確かにはっきり言えない私にも問題があるけれど.....やっぱり告白とかは風人くんの方からして欲しい。そんな淡い願いもある。
「あはは.....千聖ちゃんも大変だね。.....でも分かるな。風野くん、集中した時の真面目な顔はすごくかっこいいよね。.....告白、されたいよね。」
「花音?」
「ふぇぇ.....千聖ちゃん、怖いよ.......風野くんを狙ってる訳じゃないよ。」
「そう.....ならいいわ。花音とは争いたくないもの.....」
(でもさっきの目、明らかに敵を見る目だったよね.....?)
6周年のアプデにかけてはイラストが減るみたいなこと書いてましたけど、あれ大丈夫なんですかね.....?イベント報酬はへらしてほしくないですね