明久side
「うわぁ…これは…」
「まさかこうくるとはのう」
「…こんなことをするなんて」
教室に引き返した僕らを迎えたのは穴だらけになった卓袱台とへし折られたシャープペンシルや消しゴムだった
「これじゃぁ補充がままならないね」
「うむ…地味じゃが点数に影響の出る嫌がらせじゃな」
妹紅と秀吉がそんな会話をしていると、教室にいた雄二が言った
「あまり気にするな。修復に時間はかかるが、作戦に大きな支障はない」
「それはそうと、どうして坂本は教室がこんなことになってるって気が付かなかったんだ?」
妹紅は疑問に思ったのか、雄二にそう質問した。確かに気になる
「協定を結びたいと申し出があってな。調印のために教室を空にしていた」
「協定じゃと?」
「あぁ、四時までに決着がつかなかったら戦況をそのままにして続きは明日の午前九時に持ち越し。その間は試召戦争に関わる一切の行為を禁ずる。ってな」
「それ、承諾したの?Bクラスがどうかはわからないけど、Fクラスにとっては有利な条件じゃないか」
「そうかの?ワシらにとっては体力勝負に持ち込んだほうが勝てるんじゃないかの?」
確かに秀吉の言うことは一理ある。一人を除いては
「姫路以外は、な」
秀吉の疑問に、雄二が答えた
「確かに十六夜、藤原、明久の三人は強力だが、戦力が多いに越したことはないからな
敵をBクラスに押し込んだ状態で今日は終了となるだろうな。そうなると、作戦の本番は明日となる」
「なるほどのぉ」
どうやら秀吉は納得したみたいだ
「ま、そんなところだ。シャーペンと消しゴムの手配は俺がしとこう
お前らは戦場に戻って、敵を押し込んで来い。その過程で根本を倒してしまっても構わん」
「僕は雄二と話したいことがあるから、二人は先に行ってて!」
「了解じゃ」
「わかった」
僕と雄二がそう言って、二人は戦場へと戻っていった
二人が戻っていって僕と雄二の二人になった教室で、僕は雄二に話しかける
「雄二、このことどう思う?根本君の考えがこれだけだとは思えないんだ」
「…そうだろうな。考えられるのは、教室を漁って弱みを握ろうとしたか、奴が別の何かの時間稼ぎをしているかだろうな」
「…だよね。そうなると、やっぱり今日中に決着をつけるのがいいのか~」
「そう思うのならお前は戦場に出て敵を蹂躙してこい」
「わかったよ。雄二も気を付けて」
「あぁ、行ってこい」
そう言って僕は教室を出ようとして、扉の近くに落ちていた折られたシャーペンを手に取り
「…たとえ戦争とはいえ。たとえこんな勉強をロクにしないようなクラスメイトとはいえ…そんな文房具でも神は宿るんだ…
…根本君…君は僕を怒らせた」
僕は誰にも聞こえないような小さな声でそうつぶやいた
少年移動中…
僕が戦場に戻った時、Fクラスの前線部隊はもう一押しのところまで来ていた
それに、さっきまで時間を気にしてなかったけど、もう三時半を過ぎている
どうやら今日はBクラスにたどり着いたら集結しそうだ
「秀吉、戦況はどう?」
僕は後方で全体をまとめていた秀吉に声をかける
「明久、やっと戻ってきたか。戦況は見たままじゃが、前衛部隊は半分は戦死、姫路と十六夜は点数消費が激しいから、とにかく協定までにBクラスに押し込もうとしておる。教室前のBクラス生徒はあと5人ほどじゃ」
「腕輪は強力だけど、点数消費はとんでもないからね…」
「うむ…皆Bクラスまで押し込もうと奮闘しておるが、敵に教科を現代国語に変えられてしまってのう」
「げっ、それはまずいね…妹紅も咲夜も点数が出ない教科だ
でも、それはある意味チャンスかもしれない!僕の点数がそんなに高くないと思わせることができるから、Bクラスまでなら押し込んでみせるよ!」
現代国語なら、点数が取れる科目の半分以下だし、
「そうじゃな!決戦が明日なら、明久も点数で警戒されにくくなるなら頼んだぞい」
「任せて!」
秀吉にそう言って僕は最前線へと出た
「先生!Fクラス吉井明久、ここにいるBクラスの生徒に勝負を仕掛けます!
「なっ!観察処分者が舐めやがって!」
「ぼこぼこにしてやる!」
Bクラスの人たちからそんな言葉が出てくる
相変わらず雑な情報しかないようだ
そして、その場に僕の召喚獣が召喚される
改造学ランに木刀といった貧相に見える装備だが、軽くて丈夫だからいい
それに、なぜかこの木刀は切れ味がいい
Fクラス 吉井明久 VS Bクラス モブ×5
現代国語 153点 VS 平均175点
「なっ!?」
「馬鹿な、Fクラスの観察処分者がどうしてそんなに点数高いんだよ!」
「残念だったね!僕は馬鹿じゃない!
それに…よそ見してると危ないよ?」
相手がそう言ってる間に、僕は召喚獣を操作し、一人目の召喚獣を切り刻んだ
「は、早い!?」
「驚いてる暇はないよ!!」
相手の召喚獣がまとまって行動してたから、僕は召喚獣を即座に方向転換させ、二人目の召喚獣の喉部分へと突き刺した
「お前ら同時にやるぞ!」
「おう!」
「くらえ観察処分者!」
一人の声で相手が同時に分散して僕の召喚獣を囲うように動き出した
でもその動きなら、きっとこうやってこうしてくる!
「動きが甘いよ!」
「なっ!」
「馬鹿な!?」
僕は召喚獣を一回転させて、相手の召喚獣を同時に斬った
というか君たち、同じようなセリフしか言えないのか?
キーンコーンカーンコーン
あっ、四時だ
ってことは今日の戦争は終わりか…
「撤収じゃ。協定通り、教室に戻って解散するぞい」
「みんな、いったん教室に戻ろう」
『おー』
続きは明日。でも、なんとかBクラスの前の敵は一掃できたからいいか
少年たち移動中…
そしてFクラス解散後(明久、妹紅、咲夜、雄二、秀吉、康太は残っている)
「お前ら、お疲れ。作戦通り教室前まで攻め込んだ
明日は決戦だ。気合い入れとけよ?」
「うん、教室をこんなにされた借りも返さないとね!」
「……報告がある」
「どうした、康太」
解散ムードの中、康太が一言発した
今日の康太は情報係で、戦闘には参加せずに周囲の警戒をしていた。何かあったのだろうか?
「……Cクラスの様子が怪しい」
「なに?Cクラスだと?」
康太の話によると、どうやらCクラスの動きが怪しいとのこと
まさかAクラスを相手にしようなんてことはないだろうから…
「なるほど、漁夫の利を狙うつもりか。いやらしい連中だな」
雄二の言う通り、この戦争の勝者に戦争を挑むつもりだろう
疲弊した相手ならば、戦いやすいだろうから
でも僕は、なんとなく根本君が絡んでると感じる。いくらなんでも、このタイミングで動き出すのは怪しい
「んー、そうだな…Cクラスと協定でも結ぶか」
雄二はちらりと時計を見ながらそう言った
…なるほど、根本君の狙いはこれか
「待って雄二。多分だけど…これはBクラスの罠だ」
「…なに?」
僕の声に、雄二は疑問を持ったような反応を返す
「考えてみてよ。Bクラスとの協定は『四時までに決着がつかなかったら戦況をそのままにして続きは明日の午前九時に持ち越し。その間は試召戦争に関わる一切の行為を禁ずる。』つまり、BクラスとCクラスがつながってて、これは協定違反を口実に攻撃しようとしてくるんだと思う」
僕は雄二に、考えを伝えた
「…なるほどなぁ。だったら、別の手を打とう
今からCクラスと協定を結びに行くんじゃない。根元を討ちに行く」
「どういうこと?」
「恐らくだが、根本は『試召戦争に関わる一切の行為を禁ずる』これを盾に先生を味方につけ、俺たちがCクラスと協定を結びに来たところを、先に破ったのはFクラスだといって攻撃してくるんだろう
だが、おそらく奴は明久と藤原の本来の点数を知らないはずだ。半端な科目だったら、お前たちが居たら返り討ちにできる」
「なるほどね。だったら、こっちも先生を味方につけていく?
僕らに味方してくれる先生で、僕らに有利な点数をとれる教師なら、一人いるじゃないか」
雄二の案に乗るように、僕も一つの提案をした
「フッ、そうだな。根元にぎゃふんといわせてやろうぜ」
僕の提案に、雄二はいつもの不敵な笑みを浮かべた
誤字脱字ありましたら、報告お願いします
そして申し訳ありません。Bクラス戦、終わりませんでした
次こそ終わります