僕とテストと幻想郷   作:あんこ入りチョコ

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今回は少し短めです


3章 学力強化合宿編
合宿としおりと無慈悲な宣告


明久side

 

 

清涼祭が終わり、一ヵ月くらい経った日。僕と妹紅は普段通り、文月学園へと登校していた

 

「そういえば、明日から『学力強化合宿』だね」

 

「あー…そんなイベントあるって言ってたな…明日って…ほとんど準備も終わってないけど」

 

『学力強化合宿』その名の通り学力強化を目的とした合宿で、二年生の六月ごろに行われるイベントだ

 

「特に何も問題は起きないらしいけど…」

 

「私達の学年はなんというか…癖のあるやつが多いからな…」

 

問題はそこだ。僕達の学年は癖の強い人が多くて、何も問題が起きずに終わるかどうか…

 

「ま、そんなこと私達が考えてもどうもできないからな、祈るだけ祈っておこう」

 

「うん、そうだね」

 

妹紅とそんなやり取りをしながら、席に着く

清涼祭の売り上げのおかげで、Fクラスの設備もまともな物にはなった

まともと言っても、学校方針として設備を全部新品にすることまでしかできなかったけど…

 

「強化合宿って何をやるんだろう」

 

「強化合宿って言うくらいだから、ずっと勉強漬けなんじゃないか?」

 

それもそうか

そんなことを話していると、いつの間にか学校のチャイムが鳴る

おかしいな…西村先生がホームルームに遅れるなんて

 

「西村先生が遅れるなんて珍しいな」

 

妹紅もそう思ったのか、そう口にした

 

「そうだね…まぁ、何かしらの資料作りとかに手間取ってたりするんじゃない?」

 

「それはありそうだな。アレでも一応人間なんだし」

 

一応って…本人がいないからってすごいことを言うなぁ…

そう思っていると、ガラガラと教室の扉が開く音が響いた

どうやら西村先生がやってきたようだ。タイミングが悪かったらさっきの会話も聞かれていたと思うと少しぞっとする

 

「遅くなってすまないな。強化合宿のしおりのおかげで手間取ってしまった。HRを始めるから席についてくれ」

 

そう告げる西村先生は、大きな箱を抱えていた。僕の予想は的中したようだ

さっきまで少し騒がしかったクラスメイトが静かになって、自分の席に着く

 

「さて、明日から始まる『特別強化合宿』だが、だいたいのことは今配っている強化合宿のしおりに書いてあるので確認しておくように。まぁ旅行に行くわけではないので、勉強道具と着替えさえ用意してあれば問題ないはずだが…」

 

前の席からしおりが回ってきたので、僕はそのしおりをパラパラとめくる

 

「集合の時間と場所だけはくれぐれも間違えないように」

 

確かにそれは確認しておかないと。学力強化が目的とはいえ、それに参加できなかったら元も子もない

そう思いながら集合の場所と時間の書いてあるページを探す

今回僕らが向かうのは卯月高原と言う少し洒落た避暑地で、この町からだと車で四時間、電車とバスを乗り継ぎで五時間ほどかかる場所みたいだ

 

「特に他のクラスの集合場所と間違えるなよ。クラスごとでそれぞれ違うからな」

 

そうなのか。まぁ、この学校の方針を考えるとそうなのか…って、なんだか嫌な予感がしてきた…

 

「いいか、他のクラスと違って我々Fクラスは---現地集合だからな」

 

『『『案内すらないのかよっ!?』』』

 

 

集合場所が書かれたページを見つけると同時に西村先生から飛び出した発言は、無慈悲な宣告だった




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