明久side
「---FクラスはAクラスに『試験召喚戦争』を仕掛けようと思う」
『勝てるわけがない』
『これ以上設備を落とされるなんて嫌だ』
『姫路さんがいたら何もいらない』
『十六夜さんに奉仕されたい』
『藤原さん付き合ってください』
そんな悲鳴が教室内のいたるところから上がる。
そして最後の2人は殺す。
『ヒッ、スミマセンデシタ』
そう思ってそんなことをほざいてた人をにらんでたら思いが伝わったのか相手が縮こまる
妹紅にも咲夜にも手を出そうなんて許さないよ?
「そんなことはないさ。必ず勝てる!いや、俺が勝たせてやる」
学年でも最弱のFクラスが学年でも最強のAクラスを相手にしようとしているのに、雄二は自信満々に言い放つ。
『何をばかなことを』
『できるわけないだろう』
『何の根拠があってそんなことを』
否定的な意見が飛び交う。
まぁそうだろう。
「根拠ならあるさ。このクラスには試験召喚戦争で勝てる要素がそろっている。それを今から証明してやる!」
得意な不敵な笑みを浮かべ、雄二はそう宣言した。
これは長い演説になりそうだ
「おい、康太。畳に顔をつけて姫路のスカートを覗いてないで前に来い」
「…………!!(ブンブン)」
「は、はわっ」
必死になって顔と手を振り、否定的なポーズを取る康太と呼ばれた男子生徒。
ここまで堂々とした犯行だと、あきれを通り越してある意味尊敬するよ…
「土屋康太。こいつがあの有名な、『
「…………!!(ブンブン)」
土屋康太という名前は有名じゃない。でも、ムッツリーニとなれば別だ。
その名は男子生徒に畏怖と敬意を、女子生徒には軽蔑を持ってあげられる。
僕はどちらかというと軽蔑寄りだが…
『ムッツリーニだと!?』
『馬鹿な、奴がそうだというのか…!?』
『だがみろ。あそこまで明らかな覗きの証拠を未だに隠そうとしているぞ…』
『ああ。ムッツリの名に恥じない姿だ…』
うん、このクラスはバカばっかりだ。
ムッツリは恥じたほうがいいと思う。
「姫路と十六夜に関しては説明するまでもないだろう。この二人はAクラス上位は確実とまで言われていた二人だ」
雄二はさらに続けていく。
確かに、姫路さんと咲夜は一年のころは壮絶な上位争いを繰り広げていた生徒だ。
『そうだ、俺達には彼女たちがいるんだ!』
『彼女たちならAクラスにも引けを取らない』
『ああ。彼女たちさえいれば何もいらないな』
…さっきから咲夜に変なことを言ってる人は何なの?死にたいの?
『ヒッ』
怯むくらいなら言わなければいいのに
「木下秀吉だっている」
木下秀吉。彼は学力面ではあまり聞かないけど、演劇部のホープだったり、優秀な双子のお姉さんがいたりで有名だ。
雄二は学力以外でも、そういった有名人の名前を出すことで士気を高めるつもりだろう。
『おぉ…!』
『ああ。アイツ確か、木下優子の…』
「島田美波だって、数学は高得点者だ!」
島田さんも、帰国子女というのもあり、文系は苦手としているが、問題を解くのに日本語をあまり使わない数学はかなりの点を保有している。
「当然俺も全力を尽くす」
『確かになんだかやってくれそうな奴だ』
『坂本って、小学生のころ神童とか呼ばれてなかったか?』
『それじゃあ、振り分け試験の時は姫路さんと同じく体調不良だったわけか』
『実力はAクラスレベルが三人もいるってことだよな!』
雄二は自分自身の名前を挙げた。
雄二自身の名前はあまり有名ではないが、誰かが言った『神童』って噂とかで、少し噂されていたりする。
「それに、吉井明久と藤原妹紅だっている」
『…シーン…-----』
そして一気に静かになる。
雄二?僕と妹紅の名前は出さなくてもよかったよね?とくに有名なわけでもないし!
「ちょっと雄二!別に僕たちの名前は呼ぶ必要なかったよね!」
『誰だよ、吉井明久って』
『そんな奴いたか?』
『藤原さんって白髪の男装女子だっけ?』
『そんな奴ら戦力になるのか?』
うん、ひどい言われようだ
「ホラ、折角上がりかけてた士気に陰りが見えるし!別に僕たちは雄二と違って普通の人間なんだから、普通の扱いをしてよ!」
果たして妖怪と人間の共存を望む人間と蓬莱人が普通の人間かはわからないけど…
「そうか、知らないようなら教えてやる。明久の肩書は『観察処分者』だ」
なんでそれを言うかな
『それってバカの代名詞じゃなかったっけ?』
『観察処分者って召喚獣のダメージを受けるんじゃなかったか?』
『おいおい、それって一人だけまともに戦えないやつがいるってことかよ』
クラスの誰かが致命的な発言を筆頭に、士気の下がるような発言が連鎖する。
『観察処分者』それは、学園から要注意人物だと定められた人物に与えられた不名誉な称号。
基本的に教師の手伝い等を罰として与えられ、召喚獣に物理干渉とフィードバックが設定される。
「いいや違うな。明久はバカだから観察処分者になったんじゃなく、自分から名乗り出たからだ。
それに、観察処分者は教師の雑用を行うため、すでに一年のころにほかの同学年をはるかに超える回数の召喚獣を操作している。それは、同じ学年にいる誰よりも召喚獣の操作がうまいってことだ!」
そう、僕が観察処分者になったのは、教師の手伝いで召喚獣を召喚し、誰よりも操作技術を高めたかったからだ。
それに、みんな知らないけど、僕は自分から名乗り出たからフィードバックも本来のものより少ない。
「そして明久と藤原はあまり知られていないが、点数はAクラスに匹敵する点数を持っている!」
『何っ!ってことは本当はAクラスレベルが5人いるってことか!』
『いける…俺たちはいけるぞ!』
雄二の説明のおかげで、下がっていた士気は先ほどまでとは比べ物にならないほどに上昇する。
「まずは手始めに、俺たちの力の証明としてDクラスを征服しようと思う。
須川、Dクラスに宣戦布告してきてほしい。時間は午後の一時半からで頼む。
それから、先ほど呼んだ奴らはミーティングを行うから昼休みに屋上に集合してくれ」
『おう!任せとけ、代表!』
そう言って、須川君はFクラスを飛び出していった。
「…須川君が教室を飛び出していったが、何かあったのか?」
そして須川君と入れ替わるように、慧音が替えの教卓を持って帰ってきた。
「あぁ、上白沢先生。俺たちFクラスは試験召喚戦争を行うことにしたから、須川にはFクラスからの使者として、宣戦布告させに行った。」
「…そういうことか。まだホームルームは終わってないんだが…
まぁいい。Fクラス担任としてFクラスの勝利を祈っているよ。
それでは、ホームルームの続きを行う--------」
こうして、僕たちの運命は戦いの道へと進んでいくのであった。
須川君はこの後、ボロボロになって帰ってきたよ
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