ヤンデレサーヴァント達に愛し尽くされて夜も眠れないマスターの話 作:てらりうむ
私は
聖杯戦争に置いて、聖杯自身に召喚され、『聖杯戦争』という概念そのものを守るために動く、絶対的な管理者。
戦争になんら関係のない者を巻き込む…などのルールに反する者に注意を促し、場合によってはペナルティを与え、聖杯戦争そのものが成立しなくなる事態を防ぐためのサーヴァント。
そのため現界するのにマスターを必要とせず、「中立の審判」として基本的にどの陣営に組する事もありはしない。
しかし今私が身を置いているここ、カルデアには私にとって初めてのマスターがいる。
彼との出会いは、私の元へと唐突に訪れた。
聖杯が生み出した特異点になんの前触れもなく召喚された私は、表裏一体の存在"ジャンヌ・オルタ"から襲撃を受け、ルーラーの名に相応しくない消滅の危機に瀕していた。
そこに現れたのが、彼だった。
彼は私の傷ついた姿を見つけた途端、銃弾と断末魔が飛び交う戦場を潜り抜けて来て、魔力を注ぎ込み私を背負ってそこから離れたのだ。
私がサーヴァントである事を知った彼と協力し、なんとか特異点の修正に成功した時。
彼が私に言った言葉。
「ありがとう。ジャンヌ。君のおかげで僕は生き残ることができた。また出会う事があったら、もっと君といろんな事を話してみたいよ」
彼にとってそれは、共に戦った仲間に対しての単なる感謝なのかもしれない。
それでも、私にとってはとても特別なモノだった。
人理の修復という1人の人間が背負うには余りに過酷な戦いへと身を投じる彼に、ルーラーという"座"につくサーヴァントである私は敬意を持ってこう答えた。
「ええ。あなたの元に訪れた時は、この身を捧げます。マスター…」
座に帰る瞬間まで、私は彼の笑顔を目に焼き付けていた。
また巡り合えるようにと、心の中で念じた。
今思うとそれは聖女ジャンヌ・ダルクではなく…
どこにでもいる少女の願いだったのかもしれない。
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コンコンッ
「はい、どうぞ」
読みかけの本をテーブルに置いて、扉の向こうに返事を返す。
「やぁジャンヌ。今ちょっといいかな?」
開いた扉から覗く顔を見て、私の心は揺れる。
「はい、マスター。何か用ですか?」
なんとか平静を保ちつつそう返した。
「また新しい本をオススメしようと思って。…ってあれ?その本まだ読みかけだった?」
「あ、この前貸していただいたこの本とても感動しました!少しずつ読もうと決めていたのに、気づいたら一気に読んでしまって。もう今は2回目を読んでるんです」
「ほんと!?ははっ嬉しいなそんなに気に入ってもらえるなんて。ジャンヌはそういうの好きなイメージなかったから、ちょっとびっくりしたよ」
「わ、私だってサーヴァントである前に女の子ですから?こういう本だって読みます!」
「あはは…だって俺はたった16年間しか生きてないけどさ、ジャンヌは違うでしょ?だから価値観とか色々違うのかなって思ってたんだ」
マスターはどうやら、人間として生きていた頃からサーヴァントとなった今までの間も、私が歳を食っているという風に捉えているようだ。
「マスターは私が御歳600近くのお婆さんと言いたいんですか?」
少し彼を困らせてみようと、私は瞳を閉じてそっぽを向きながらそんな風に言ってみる。
「ち、違うよ!そんなつもりで言ったんじゃなかったんだ!」
ふふっ。
マスターが困ってます。
「冗談です。新しい本ありがとうございますね、これで3回目を読まなくて済みます」
してやられたー!
といった風に顔に手を当てて彼は新しい本を、私にみせた。
「これは?」
「うん、恋愛小説だよ。主人公と女の子の歪な関係がとっても切なくて泣けるんだよ…うぅ」
自分で言って内容を思い出したのか、彼は本を渡した手と逆の手で目元を覆いながら口にした。
"恋愛"
私にとってなんら縁のないモノ。
カルデアにいる他のサーヴァント達も私と同様信念に身を捧げた英雄ではあるが、その多くが生きている内に成婚をしたり、それに近い経験をしている。
私は残念ながらそういう経験をする前に生を終えた為、彼女らの話を聞いても結局実感が湧かなかった。
もしかしたら、この小説に私の求める答えがあるかもしれない。
そんな期待を持って私は本を受け取るのだった。
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「……」
マスターが部屋を出て行ってから、私はすぐに新しく貸りた小説を開いた。
序盤は至って普通のお話だ。
主人公である女の子は入学した学び舎で1人の男の子と出会い、共通の趣味を通じて中を深めていく。
時に甘く、時にすっぱく…私が生きたじゅうすう年という期間では知り得なかった感情が主人公の心情描写を通じて流れ込んでくる。
物語が一転したのは、主人公が男の子への想いを伝えるために手紙を渡そうとした場面。
勇気を出して声をかけようとした主人公の目に映ったのは、腕を組んで下校していく男の子とその幼馴染みだったのだ。
主人公は泣いた。泣いて泣いて泣いて。長い時間が経った後。
闇に飲まれた。
引き下がれない。諦めきれない。
幼馴染みの仲を引き裂いてでも、男の子を自分の物にしたい。
黒く染まった愛情は、主人公の身体を支配して男の子へとアプローチを重ねる。
男の子は別人のようになってしまった主人公を拒絶した。
そして主人公の乾いた言葉で小説は幕を閉じた。
「もっと早く伝えればよかった」
なんと、切ない物語なのだろうか。
読み終わった時、私は大粒の涙を流してベッドのシーツを濡らしていた。
なぜ彼女の想いは届かなかったのだろうか。
ただ、彼の事を心から愛していたが故のものだったのに。
運命というのはどうしてこうも非常なのだろうか。
そんな風に思う私の心。
でも同時に、私は気付いてしまった。
自分がこの小説の主人公と同じ立場にあるという事を。
マスターというのはサーヴァントを一騎だけ召喚することができ、また、契約できるのも一騎だけであると決まっている。
しかし、このカルデアにおいてはそのルールは無い。
彼の騎士王を筆頭とする騎士達が集いし円卓。その一部を触媒として魔術師達が開発したのは、
故に
私とて、そのシステムによって呼び出されたサーヴァントの1人に過ぎないのだ。
彼にとって、私は沢山いる中の1人。
特別な存在ではない。
柄にもなく、私は不安に駆られて部屋を飛び出した。
マスターと話したい。
いつものように優しい笑顔を向けてもらいたい。
彼の柔らかな頬へとこの手を伸ばしたい。
しばらくカルデア内を歩くと、聴き慣れた声が耳に入った。
「マス…っ!!」
慌てて、出かかった声を飲み込む。
通路の曲がり角から恐る恐る覗き込んだ私の胸は瞬間、ズキッと痛みに震えた。
「ありがとう、ほんとに助かったよ2人とも!!」
「お力になれたのなら、ワタクシは嬉しい限りで御座います。言葉と文は、あらゆるものを表して、伝え、やがて時空をさえも超えるモノです。マスターが信じさえすれば何事も良い方へと進むでしょう」
「うんうんまぁ要はさ、ちゃんマスだったらいけるって事だから!ね?頑張りなよ!」
あれは…キャスター紫式部…それにアーチャー清少納言…。
どちらもマスターの生まれ故郷である日本のサーヴァント。
一体何を喋っているの?マスター。
その後も、楽しそうに談義を交わす3人。
その光景を見続ける私の心に、影が差す。
まさか…まさか…嫌だ…イヤダ…
「ふふふっ」
「誰ですか!」
背後から嘲笑うような声が聞こえて、私は正気に戻った。
「別に、ただ通りがかっただけ…ですよ」
「カーマさん…」
「私もその、腐っても愛の神ですから、いろいろ感じ取ってしまうんです。あ、だからと言って相談とかは聞けませんよ?私、見たまんまのめんどくさがり屋ですから」
「……」
去り際に、彼女は呟くように口を開いた。
「…ドロドロが溢れてますよ、聖女さん」
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最近、誰もいないはずの場所から視線を感じる事が多くなった。
それは特に、サーヴァント…とりわけ女性陣と話している時だ。
少し不安になったので、アサシンの方々に相談してみたのだがどういうわけかほとんどの方の気配遮断が解除されてしまうという不思議な現象が起こり、謎の視線の正体はいまだに分かっていない。
そんな不安を抱えつつ、ある場所へと向かう。
ジャンヌの部屋だ。
自分から彼女の部屋に赴くことはよくあるのだが、今日は違う。
逆に彼女から呼び出されたのである。
どうしたんだろうか。
もしかして貸した小説の内容があまり好きじゃなかったのかな。
もしもそうだとしたら…
「どういうつもりなんですか?こんな酷い内容のものを聖人である私に見せるだなんて!!マスターセクハラですよ!」
そんなこと言われたとしたら、青髭さんほどじゃないけど「ジャンヌゥッ〜!!」とかやってしまいそうだ。
うーむ。
式部さんと納言さんに相談したのが間違いじゃないと信じたい…
1人でカルデア内をうーうー唸りながら歩いた結果、いつのまにかジャンヌの部屋の前まで来てしまっていた。
2回程、軽くノックをして中に呼びかける。
「ジャンヌ。僕だけど、用って何かな?」
……
………
…………
「いないのかな」
このまま帰ってしまうのは、よくない気がして扉に手をかざす。
プスーッという音が鳴ったと同時に部屋の全貌が目に飛び込んできた。
「な、なんだよ!?これは!?ジャンヌ!どこだよジャンヌ!」
部屋のあちこちには何か鋭いものでえぐられたかのような爪痕があって、まるで戦闘が行われたのかと疑うほど中の様子は酷いものだった。
ジャンヌに何かあったのだろうか。
部屋の中で何度もジャンヌの名を呼んだ。
そのまま部屋に足を踏み入れた時、背後から軽い衝撃が襲ってきてベッドに転がるように倒れこむ。
あ…れ…意識が…。
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「ぐっ…痛っ…」
意識を取り戻した時、待ち受けていたのは痛みだった。
頭が金槌で叩かれているみたいに、ズキンズキンと一定のリズムで痛む。
「何が…起こったんだ」
頭の下に何か柔らかいものを感じる。
なんだ、これ……
だるく、重く、強張ったまぶたを無理やりこじ開けた。
「え?」
そこには自分の顔を覗き込むジャンヌの笑顔
という事は、下にあるのは太ももだ。
「膝…枕?」
「はい。聖女の膝枕です」
なんだ?この状況といい、この頭痛といい。
おかしいぞ、普通じゃない。
霞みがかったような目の前がもどかしくて、目頭を揉みしだいてなんとか本来の思考力を取り戻した。
……はずだった。
目を擦ろうとも、頭痛のする頭をはたいても、頭を振っても、振り返ってもう一度見直しても、………見間違いじゃなかった。
まるで西部劇で見るような、天井まで伸びた高い格子がこの部屋を半分の辺りで区切っている。
そして、ここは…鉄格子の「中」だ。
鉄格子を握ったまま振り返ってから、慌ててまたベットに座って落ち着いているジャンヌのもとへ舞い戻った。
「ジャンヌ!怪我とかない?何かされたり…それにこの部屋は一体…」
「んっ!そんなに強く掴むと、痛いです…」
「あ、ごめん…」
ジャンヌだってすまし顔してはいるけれど、怖い思いを抱いているはず、なのに肩を思い切り掴んで揺さぶってしまった。
本当に、何が起こっているのかまるで分からない。
まさか部屋にニョキニョキと勝手に格子が生えてしまったなんて頭の悪い話じゃなかろう。
「いったい…誰がこんな事を」
「私です」
「そっか…ジャンヌが…っえ?」
言葉を失った。
ジャンヌの感情の揺れを感じさせない瞳が真っ直ぐに見つめてくる。
「……………ごめん。よく聞こえなかった」
「私が用意したんです。ここは私とあなたの部屋。誰にも邪魔されない場所」
「変な冗談言わないでよジャンヌ」
「私は、嘘が嫌いですよ?フフッ」
足元から床が崩れていくような気分だった。
「……」
ジャンヌは相変わらず、涼しげな表情を顔に乗せながら、自分の一挙手一投足を見守っている。
…仮にこれが現実だとするのなら。
「ジャンヌ。一体何があったんだ?何か不満な事でもあったのかい?マスターとして至らないことがあったのなら教えてくれ」
ジャンヌは黙って話を聞いている。
「もしかして、…ジャンヌオルタと何かあったりしたの?」
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長い沈黙の後、ようやくジャンヌの口元が動いた。
「ふふっ」
「ジャンヌ?」
「ふふふふっ!………やっぱり私以外の女共に盗られてしまうところでした!!」
「っ!?」
意識が。
身体が。
本能が。
頭の中の赤い危険信号を点滅させる。
咄嗟にジャンヌのそばから離れ、部屋の隅に身を寄せた。
な…何だ!?目が…
一点を掴んで逃がさないその眼差しは自分を射抜く様に見つめ続けている。
この瞳を知っている。
光を持たず、闇に染められた淡い紫の瞳に映されているのは、この空間ではない。
自分という存在のみだ。
「どうして?…どうして私から離れるんですか?」
ゆらりゆらり…と揺れながらこちらに近づくジャンヌの姿。
その姿はまるで魂をむさぼる亡者のようだった。
「ジャンヌ!単刀直入に聞く、目的はなんだい?閉じ込めようとする理由は?」
「…………」
「どうしてジャンヌがこんな事を!!」
仮にもマスターである自分に対して一体なぜ…
「おかしな事を聞くのですね?私がどうしてこんな事をするか…だなんて」
見たこともないようなとろけた表情のジャンヌが、呆然とする自分の元に寄り添って、首に腕を回してくる。
「1番よく分かってるのは、あなたでしょう?」
「それはどういう…っ!?」
意味、と聞く前に、ジャンヌの腕が肩を強く押した。
ベッドの真っ白な表面に身体が沈んだ瞬間、体まるごとでのしかかられて、口を何か柔らかく生暖かいもので塞がれた。
「ーーんっむぅっ!?」
唇。ジャンヌの。
無理矢理ねじ込まれた舌に口内を舐め取られるのと、気づいて青ざめるのはほとんど同時だった。
「やめっ!……はむっ……んんっ!?」
のしかかるジャンヌの胸が当たり、否が応にも息が詰まりそうになる。
混乱する脳内に、ジャンヌの唇から漏れた言葉がとどめを刺した。
「好き……大好きっ」
「…え?そ、それって」
ジャンヌの甘い接吻に脳が痺れていたが、その言葉の意味を理解する事は容易だった。
「マスターが大好き…そんな私を許してください…見捨てないでください…お願い…お願いですからっはむっ…」
見捨てるって…
「知ってたんですよね?私がマスターを、ずっとずっとそういう目で見てたって事…こうしてキスして、全身で愛してあげたいって思っていた事…だから気持ち悪くて逃げてしまったんですよね」
何を…何を言っているんだ。
「マスターを性的な目で見るサーヴァントなんて…気持ち悪いですよね…?でもごめんなさい。もう抑えられそうにありません…」
そんな、ねっとりと感触を確かめるみたいに上唇を貪って。
唾液まみれの舌で歯の一本一本まで舐めまわして。
ジャンヌは懇願するように続けた。
「んっ…もう逃がさないから。最低のサーヴァントでかまいません…マスターの…触らせてくださいっ!」
ジャンヌの手が下半身に触れようと這うように動き出す。
ダメだっ!!!!
咄嗟に腕を掴んで、ジャンヌを引き剥がす。
「っぷはっ…ふふっマスターってば恥ずかしがり屋さんですね!」
「っ!」
尚も迫ろうとするジャンヌの身体を押さえようと両腕を突き出したが、ジャンヌも引き下がらず同じように力をかけて来た。
しかし、サーヴァントの筋力は見た目に比例しない。ルーラーである彼女は基本ステータスもかなり高いランクだったはずだ。
当然、自分なんかが押しのけられるはずはない。
「っジャンヌ!君が僕を好きでいてくれるのは正直言って嬉しい!でもこんなやり方間違ってる!!」
「ふふふふふふ何も間違ってなんかいません。だって私、マスターの事が大好き…ううん、愛してるんです!!!!」
「監禁して何になるんだ!!それに、ジャンヌ!!君は誤解してる!僕は!」
バチンッ!!!
痛い…何が…
頬にヒリヒリとした痛みを感じながら恐る恐る彼方さんを見直すと、冷え切った感情のない目と視線が合った。
「そうですか…そうですかそうですかそうですかそうですかそうですかそうですかそうですかそうですかそうですかそうですかそうですかそうですかそうですかそうですかそうですかそうですかそうですかそうですか…!!!!!」
「ジャンヌ…」
「あの女が…あの女のせいで…いいや、あいつらがいるから!!!!!!マスターをたぶらかそうとする奴らが!!!」
自分の言葉はジャンヌには一切聞こえていないようで、ブロンドに輝く髪をぐしゃぐしゃにかき乱す。
加えて、乱れた前髪と力んだ手の隙間から覗く瞳は血走っている。
僕を…いや僕を含む全てを恨むように。
「少し待っててください…今すぐに全て、全て消してきます」
「何をする気だ!」
「殺します。邪魔するサーヴァントは全員」
頭のネジが外れているとかそういうレベルじゃない。
冗談で言っていないのであれば明らかに、ジャンヌは……
「…狂ってる」
優しくて冷静で、戦闘でも臆する事なく先陣を切って、けど本当は子供っぽくて、何より仲間を大切に思っていたジャンヌ。
だから、あんな言葉を口から出されたら、悲しくて…切なくて…。
こんな風になってしまうまで気付いてあげられなかった自分を呪った。
制止を無視して牢屋から出ようとするジャンヌ。
貴重な令呪を…こんなとこで使うのは…いや、今こそ使うべきだ。
迷いを振り切って、ジャンヌへと右手をかざして唱える。
「令呪をもって命ずる!ジャンヌ!ここから動くな!」
「っ!」
なんとかジャンヌの行動を一時的に止めることはできた。
しかし、このまま令呪が発動し続けるとは限らない。
サーヴァント…されど彼女はエクストラクラス"ルーラー"。
何が起こってもおかしくはない。
何か手掛かりはないのか。
彼女がこんな風になるだなんて普通じゃないのは確かだ。
他のサーヴァントの影響か。
または、特異点にまつわる何かか。
グルグルと目を部屋のあちこちに向けていると、一冊の本を見つける。
「これは…」
そう。自分が貸した恋愛小説だ。
中のページを軽くめくると所々、水分を吸ってクタクタになっている場所があった。
そうか…。
これが…。
「ぐっ!マスター!!早く、早くしないと私達の間を邪魔しに来る奴らが!!」
僕は暴れるジャンヌを真正面から抱きしめた。
腰に回した手にぐっと力を込めて。
耳元で口を開く。
「ごめんね。あの小説、本当は僕読んでなかったんだ。式部さん達にある相談をして、その結果式部さんから貸して貰った小説をジャンヌに渡した。だからこの小説の内容がこんなものだったなんて知らなかった…」
「マスター…」
「でも誤解しないで欲しい。僕は君を拒絶したりしないよ。だって…だって…」
「ジャンヌの事、僕も大好きだから」
「…マスター…」
彼女の瞳からはどんよりとした闇が消え去る。
代わりに、光に照らされて輝く涙が頬を伝った。
「改めて言うよ。ジャンヌ。君を1人の女の子として愛してる」
彼女の鼓動と僕の鼓動が重なるのが聞こえた。
「はい、マスター。私も…あなたを…あなたを愛しています」
僕達はいつものように笑顔でお互いを見つめあった後。
抱きしめ合う。
「でもマスター…ごめんなさい、私もう戻れそうにないんです」
「えっ?」
他のサーヴァントも見たかったら活動報告に希望を書いてくださいね。
別にマスターが受けという制約はないので。鯖同士でもかまいません。
気に入ったら評価お気に入りよろしくお願い致します。
もし次が見たいなら?※あくまで参考です。
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沖田さん
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マシュ
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頼光
-
静謐のハサン
-
エレシュキガル