全てを凝縮した笑顔を見せつけられた後。
篠ノ之束はとある言葉を言い残して去っていった。
「答え合わせは終わったあとでね」
全てを見透かしているかのように放たれたその言葉が耳に残って離れない。
何が終わった後のだろうか。そもそも答えを知っているのだろうか。何故言おうとしたことが分かるのか。
仮説はいくらでも建てられて、なおかつそれら全てが真実味を帯びている。
あの方は何でも出来るから、出来ないとやらないを探すことが出来ない。
唯一出来なかったと言えば、ISの売り込みぐらいだろうか。しかし、そんな事はこの疑問を解消することには何の役にもたたない。
ただいたずらに疑問を増やすだけだ。
これらの知識は何処から来たのか。とか。
考えても意味がないという結論が出る頃には一日が過ぎていた。
決まり手は今織斑先生にアイアンクローを極められて法悦に浸っているダメウサギ。
その緩みきった顔を見て、深く考えることをやめた。
こいつ、ただ自分に正直なだけだ。
自分の全てに正直でいるだけだ。
怪物という評価は的を得ていたと思う。脅威度は見誤りまくっていたが。
悪気があるわけではなくただ結果として悪になるだけなら、脅威となるにはほど遠い。
そう言えば、何故彼女は姿を表したのだろうか。
そう思った瞬間、喜色満面だった篠ノ之束の感情が一気に変わる。今まで向けられてきたものとほぼ同質になる。
今までと違うのは、愉悦の感情が大部分を占めていることだろうか。
ああ、これはろくなことにならないな。
ISの絶対防御を咄嗟に起動した瞬間、轟音。
俺の5センチぐらい前にコンテナが突き刺さった。
もしISを装着していたら脳天直撃コースだった。嫌らしい事をしてくれる。
砂煙の中、横から顔を出して篠ノ之束の方を見ると、ケタケタ笑っている。
それを見て、御愁傷様としか思えなくなった。
なぜなら、そのすぐ横には鬼すら逃げ出すだろう憤怒を纏った織斑先生がいたからだ。
感情が体の周りを渦巻いているのは始めて見た。
こちらに向けられていなくても途轍もなく怖い。
軍の頃でもあそこまでやばくはなかった。
織斑先生が哀れなウサギの頭を掴んだ。
ウサギの顔が青ざめる。アーメン。
織斑先生が片手でコンテナに向かってウサギを投げる。そのままウサギはコンテナに突き刺さった。衝撃で扉が開く。
貴女本当に人間なのですか。
織斑先生が追撃のためにこちらに跳んでくる。
2、3歩でこの距離を詰めるとかもはや恐怖しか感じられない。
流石に肉塊が出来上がりそうなので割り込んで止める。
織斑先生は舌打ちをし、殺気を納めた。
後に残ったのはひしゃげたコンテナとその中に見える知らない機構のIS。それと倒れているウサギ。
織斑先生を怒らせてはいけない。そう感じながら思った。
よくVTシステムに勝つことが出来たな。俺。
TIPS:本音とラウラは主人公が悩んでいたため離れていました