堕落した人のIS生活   作:番号26

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第24話

それからの話。

 

臨海合宿を終えて帰ってきた俺を待っていたのはとてつもなく面倒なものだった。

 

二次移行したことで価値を見いだしてきたのか。

企業勧誘や縁談が舞い込んだり、おめでたい頭の同級生や上級生が露骨にすり寄って来たりもした。

 

それらを本音とラウラの手を借りて対処し、一段落ついた頃にはもう夏休みだった。

 

 

そこからは思う存分夏休みを堪能した。

ラウラと特訓したり、本音から整備を学んだり、俺もラウラも私服が無いということで本音主導で服を買いに出掛けたり。プールや祭りなんかにも行った。

 

どれもこれも精神が死んでいた頃では考えられないものだ。心から楽しんだ。

 

 

友人と約束を果たした。

久しぶりに電話をしたあいつの声は今までと変わりなく。少し涙が出た。

そのことをからかわれたが、それすらも懐かしく心地のよいものだった。

 

後日一緒に遊びに行き、その時の写真を二人に見せたところ二人とも苦々しい感情になった。

 

友人の性別が女なのがいけないのだろうか。

 

 

整備室にずっといる本音の幼馴染みを助けたりなんかもした。

 

その本音の幼馴染み...簪は独りで抱え込むという昔の自分と同じような人柄だった。

勿論見過ごせるはずがない。

 

会う回数を増やすことで縁を繋ぎ、重荷となっているようなものと縁の無い話から仲を深め、相手がふと弱音を吐き出すように雰囲気を作る。

 

弱音を吐いたら食いつき、悩みを引き出して共感し。重荷を共に背負い、願いを自分自身で解決できるように手助けする。

寄り添って、決して上から目線にならないように。

 

その様子を見てどこかむくれた様子の本音が人たらしとか言ったが、それなら本音はどうなんだと言いたい。

本音にやって貰ったことをしただけなのだから。

 

それに気付いたラウラはニヤニヤしていた。

 

簪は本当に強い人で、夏休みが終わる頃に願いが実を結んだ。

 

打鉄二式。俺の機体である打鉄の後継者になるはずだったが、打ち切られた機体。

 

最大の特徴は48門からなるマルチロックオンミサイルと空間指定システム。

 

マルチロックオンシステムは言うまでもないものだが、空間指定システムが厄介さに拍車をかける。

 

元は更に凶悪に出来ないかという話し合いで生まれたこのシステム。効果は、機体のみならず空間もミサイルの誘導先に出来るというもの。

 

一見無意味に思えるこの機能。これの利点は、どんな機体でも自分を対象にしていないからロックオンされたと感知できない。というものだ。

勿論機体自体を狙えば相手に感知させることが出来るので、虚実織り混ぜて使うことが出来る。

 

二人にも報告したところ、空間指定システムを見たラウラから軍事的に危険だと怒られたので、世間一般ではブラックボックスであるコア情報に入れることで外から分からないようにした。

勿論他の人には使えないようにしている。

 

その作業を見ていた本音と簪の眼は濁った。

コアに干渉なんて出来ない。と。

本体から聞いただけの知識は大層なものだったらしい。

技術屋としてのプライドを傷つけられた彼女たちを慰めるのに金が吹き飛んだ。

 

それをきっかけにわだかまりが無くなった二人を見れたから良しとしよう。

 

 

 

そんな幸せな夏休みも終わる。

 

これから先も襲撃なり人間関係なり面倒なことはあるだろう。俺を取り巻く環境は変わりなく地獄であるのだから。

 

しかし、地獄には救いが存在した。

だから、これからもなんとかなるし、ならなかったら助けて貰えばいい。

 

共に歩む人が居れば、それだけでいい。

共に支える人が居れば、それだけでいい。

それだけで、困難を打ち破る力は手に入る。

 

落ちて、墜ちて、堕ちて。おちきった先で。

上に上がれる力を得た。

 

それだけの話。

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