堕落した人のIS生活   作:番号26

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第5話

 奴隷落ちを回避した後。

 

 委員長は一人目に決まったらしい。

 何でも貴族が辞退したからだとか。どうでも良い。

 

 それよりも大切なことがある。

 俺はポツポツと授業に出るようになった。

 

 実際は、織斑先生からせっつかれるようになっただけだが。

 

「ISをろくに扱えないのになにをやっている」

 

 せめて実技ぐらいは受けろ。と。

 

 耳が痛い話だ。

 確かに、俺は理解してはいるが扱える訳ではない。

 戦闘面では言わずもがなだ。

 一人目の瞬間加速を前に何も出来なかった事実がよく表している。

 技術面でも同じだ。

 コードや図面を理解していてもプログラムを作ることは出来ないし、整備することも出来ない。

 

 だから、ISの授業だけは出るようにした。座学に関しては毎回とは言えないが。

 これでも成長と言えてしまえるのだと思うと、顔が歪んだ。

 

 

 俺が教室にいると、いつも睨み付けてくるやつらがいる。

 一人目と、そいつにお熱な女。

 

 言い分は、やりすぎだ。セシリアに謝れ。謝るまで許さない。だった気がする。

 

 

 謝ることはないし、貴様ごときに許されたいとは全く思わない。

 そもそも、何故被害者が加害者に謝らないといけないのか。

 貴様が喧嘩した帰結としてこうなっているのだから、貴様が謝れよ。

 

 貴族は一人目を止めようとするが、一人目は止まらない。更に躍起になって責めてくる。

 

 一週間ぐらいで何とかしろという視線が鬱陶しくなり、すまんなと言った。

 勿論それに感情など籠めていないがこれが最大限の譲歩だ。

 

 貴族は受け取った。自分の非を謝罪した。

 しかし馬鹿は止まらない。それだけかと言い、もっと言うことがあるだろうと言う。

 ただの癇癪を起こしたガキでしかなかった。

 

 それからというもの、出会う度にまだ許していないなどと突っかかってきている。

 貴様には何もしていないというのに、どうしてこんなにも引きずってくるのだろうか。

 主人公様の頭など考える意味も無いか。

 

 

 断続的とはいえ授業に出るようになってから、話しかけてくる人が増えた。

 殆どが欲まみれであった。

 バレバレな感情を隠せているとほくそ笑んで話す様は滑稽でしか感じられなかった。

 指摘してやると怒り狂って去っていく様はピエロを思い出す。

 

 そんなことを繰り返すうちに、話しかけてくる人はかなり減った。当たり前のことだ。

 それでも誰もいないと言わないのは、彼女が話しかけて来るからだ。

 

 布仏本音。

 のほほんさんと呼んでほしいと言われた。

 あだ名の通りのほほんとした性格だ。

 

 最初は、仲直りしてあげなよ~、だったか。ありふれた言葉だった。

 すまんなと言う前、一人目が今以上に暴走してたときには。

 首を振った。なんで、と聞かれた。

 ありふれていない、悲しみが見えかくれしていた。

 

 優しいのだろう。この子は。だからなのか、つい口にだした。

 

『...道理』

 

 端から聞いたら理解不能であろう一言で彼女は気づいたみたいだ。

 

『そっか~』

 

 そう言って彼女は戻っていった。

 後日、また話しかけて来るようになった。

 

 性格は違うのに、待ってると言ってくれた友人にとても似ている。

 そのせいか、心を引かれる。

 

 もし全て嘘でしかなかったとしても受け入れられるぐらいには。

 害意ではない別の感情が混ざっているけれど、見逃しておくくらいには。

 好いている。

 ちょろすぎる自分に嫌悪しながらも、そう思った。

 

 

 5月の半ばごろ、のほほんさんは唐突にこう言った。

 

「そういえば~明日はちゃんと来るよね~」

 

「...なぜ?」

 

 明日は授業が無かったはずだ。

 

「クラス代表戦があるからね~」

 

「...本当?」

 

「嘘を言ってどうするのさ~」

 

「...確かに」

 

「一緒に観ようね~」

 

 約束だよ。

 そう締め括ったのほほんさんは戻っていった。

 

 そうか、明日は代表戦か。

 一片たりとも興味が沸いて来なかった。




TIPS:主人公が友と呼ぶ人は極々少数である
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