みほと別れた後ナカジマはシゲルにハンガーの鍵を返す為に職員室へ寄った
「お疲れ様ナカジマ、他の奴らは?」
「一足先に帰っちゃいました。いや〜若い子っていいですね仕事をチャチャって終わらすことできて」
「オメェも同い年だろ…んじゃ全員把握してると思うけど念のために聞いておく、明後日は何時集合だ?」
「明後日は聖グロの試合があるから4時集合です」
「よし、今日は解散!」
「お疲れ様でした!」
実は今日の昼休みにナカジマはシゲルに呼ばれ杏から明後日は聖グロリアーナ女学院と親善試合を行うからキャリア宜しくと頼まれた事を伝えられたのであった。ナカジマは特車道についての知識は余りないが講習でその単語は何度も聞いたから相手にしようとしてるのがどれだけ強いか理解していた。と同時に自分は裏方仕事だ。精一杯整備して役者を気持ちよく舞台へ送り出す、コレが自分の仕事だと言うことも理解している。
そう考えながらナカジマは帰路に着く、明日は特車道の練習である
翌日 8:30ハンガー内
ハンガー内には一足早くツチヤが来ていた。特車道の練習は9時からなのでそれまでにキャリアを使い表に運び出す必要がある、とはいえ動かすにはちとまだ早い。残り2人が来てからでも十分だろうと思い待つ、ボーッとしているとツチヤが話しかけてきた
「そーいや先輩知ってる?何でウチらはやたらと警察用と軍用レイバーが多いのか」
「そんなこと全然気にしなかったな、単に値段が安かったからじゃないの?」
「半分正解!元々ここはエコノミーとかドーファンを作ってる篠原重工の会社の近くなんだよね。んで20年前の大先輩方が特車道仕様に改造したもののあまり売れず廃棄処分されかけたところをコネを利用して安く買い叩いたわけ、そんでアトラス、サムソンと言った初期の軍用レイバーも余り売れず値段が比較的安くなってたわけ。」
「なるほどね、20年前から予算が足りなかったのは変わりなかったんだな。んでも特車道のルールで使用できる中では新しめのレイバー…ラーダーとかはどうして持ってんのさ」
「元々ウチらは多脚式レイバーを主力にする予定だったんだよ。高火力で整備しやすくて何より持久力があるからね」
「持久力?」
「通常のレイバーは片足を破壊されたらもう修理しない限り動けないただの鉄の塊になるけど多脚式レイバーなら1本や2本やられても全然問題ないからね」
「なら同じ多脚式レイバーでも低火力なラーダーじゃなくて高火力なドシュカを買えば良かったのに」
「それがそうはいかなかったんだよ、ドシュカはプラウダ高校によって買い占められてたんだ。だからラーダーを選ぶしかなかったんだ」
「ふ〜ん、ん?ツチヤお前そんな情報何処で聞いたんだ?」
「実は昨日シゲル先生から聞いたんだよ、『どうしてウチらのレイバーはこんな風になってるか知りたいかい』って話しかけられてさ」
「相変わらずあの人はおしゃべりが好きだね…」
そう話してると後の2人がやって来る。雑談は終わりだ、これから仕事モードに切り替える
「さて全員集まったね、今日は練習があるからまずキャリアを使いレイバーを表に出した後新しいレイバーを探し出すよ」
「新しいレイバーってまだあんの?」とホシノが尋ねる
「シゲル先生によれば20年前のレイバーは今よりもう少しあったそうだ、とはいえ売られたかもしれないしそのまま投棄された可能性もある」
「ヒントもなしに探し回るなんて砂漠から針を見つけるようなもんだよ…」
「んまぁここの学園艦は7000mしかないし、砂漠よか探すのは楽だよ
…多分」
「とにかくもう時間もないしチャチャっとレイバー運ぼう」
レイバーを運ぶのにはそう時間はかからず15分程度で終わった、運び終えてそれぞれのレイバーに乗り込みのを確認したらデッキアップをしそれが終わったらデッキダウンをする、あとは練習が終わるまでは自動車部として活動する事は無いが先程書いたようにレイバーを探さなくてはいけない。
最初に口を開いたのはスズキであった
「ねぇ地上はもうあらかた最初の捜索で調べ尽くしただろうから地下を探してみない?」
「地下って学園艦内部のこと?でもあそこはヤバいですよスズキ先輩」
「ヤバイって何が?」
「出るんですよ…サメが」
「サメぇ!?んな馬鹿なことあるわけないでしょ」
「でも事実なんすよ、探検しようと地下に行った生徒がサメを見てビビって帰ったって」
「んなホラ話喋ってる暇があるならさっさと行くよ」
とそこでナカジマが話す
「ちょっと待って!」
「な〜んだよナカジマ、あんたまでツチヤのホラ話を信じるの?」
「仮にサメが本物だろうと偽物だろうと地下への侵入を拒んでる存在がいるのは事実なんだからさ、この4人で迷宮とも呼ばれる地下を探索するのは危険じゃない?」
そう言うとホシノが口を挟む
「それじゃ、捜索しないの?ナカジマの意見は一理あるかもしれないけどそんな話で先生が許すとは思えないけど」
「んまぁその辺は上手くやるよ」
という訳で捜索を中止し練習が終わるまで彼女達は日頃の自動車弄りを楽しんだのであった
16:00 ハンガー前
ハンガー前に集合したレイバーを手早くキャリアに乗っける、パッと見た感じ問題は無さそうだが明日は親善試合だ。昨日より丁寧に整備しなくては…
前日同様に駆動系、センサー系統のチェックを行いディスクのデータ保存も行う。弾薬の補給もしなくてはならないがこれが大変なのだ、弾を何十発も運びシリンダーにこめていく。弾はそこまで重くはないが決して軽いとは言えないそんな作業を4人で手分けして行うが時間がかかる、そんな作業を終えた頃にはすっかり夜になっていた。シゲルに活動報告をし解散となる。
今日は昨日とは違い4人で帰ることにした
「ねぇ、明日聖グロと親善試合するみたいだけど勝てるかな?」そうツチヤが聞く
「ん〜どうだろ、相手のレイバーはウチらより強いし戦闘に慣れてるし難しいんじゃないか?」とホシノが答える
「ウチは軍用レイバーが多いから勝てる見込みはあんじゃない?」ホシノの意見にスズキが反論する
「立派な武装があっても当たんなきゃ意味ないよ、射撃練習今日チラッて見たけどあんま上手じゃなかったし…」
「それでも」そうナカジマが切り出す
「私らは皆んなを信じて戦いの場に出すんだよ、最高の試合が出来るように最善な行動が出来るようにさ。そのための自動車部…いや整備班だよ。絶対明日の試合は勝てるさ」
「…先輩、そうっすね明日の試合、しっかり見届けますか」
4人はそれぞれの帰路に付き明日の親善試合に備えて早めに寝たのであった
明朝 4:00ハンガー内
ナカジマ達はハンガーに着くなりバッテリーを充電器から取り外しエコノミー、ドーファンに接続する。キャリアに乗りこみ表へ出そうとした時見覚えのある人物が来た、みほである。しかし彼女がくるには少し早い時間なのを疑問に思いナカジマは声をかける
「おはよ〜西住さん、集合にはまだ早いよ?」
「おはようございますナカジマさん。ちょっとエコノミー動かしたいのでキャリアを表に出して欲しくて…」
「エコノミーを?それまたどうして?」
「チームメイトを起こしに使いたくて」
「起こすために!?随分派手なモーニングコールだねぇ、分かった今から動かすから少し待って」
「すいません、助かります!」
「おっとその前に…」
ナカジマはポケットからディスクを取り出してみほに渡した後にキャリアに乗り込む
キャリアを起こしエコノミーが歩き出すのを見届ける
「先輩〜!もうキャリア動かしたんすか?」
「うん、なんでもレイバーでチームメイトを起こしにいくらしいよ」
「レイバーで!?はぇ〜どうやって起こすんだろ」
「さぁねぇ想像出来ないや」
何か発砲音の様な音が聞こえたが気のせいだと思い込むことにし全てのキャリアを表に運ぶ。
学園艦が大洗港に到着し試合会場までキャリアを運転する。ナカジマはこの時わずかばかり緊張し自分が乗ってるエコノミーの中にいるみほの緊張が伝染した様な錯覚を覚えた。
会場内に付き、キャリアを起こす。ナカジマは通信機に手をつける
『西住さん、万全な状態に整備したから今日は思いっきり派手に動いて大丈夫だよ!なんだったら柔道してもいいよ』
『柔道って…クスクス ありがとうございます!おかげで少し緊張がほぐれました。それじゃあ派手に暴れてきます!』
レイバー達が全機発進するのを見届けキャリアを駐車場へと動かす。ここからは彼女達の仕事はない、ただ祈るだけだ
試合の様子は試合会場にある大型モニターで見ることが出来る、早くも試合終盤。これまでの数々の奇想天外な戦術に彼女達は舌を巻いた。しかしとうとうナカジマが整備したエコノミーと聖グロの隊長が乗るAVS-98一騎討ちとなる。エコノミーが武器を捨てた瞬間ナカジマは目を見張る。
エコノミーがAVSに投げ技をしようとしてるからだ、AVSの体がふわりと浮かび頭から地面に突っ込もうとしてるこれで決まる…!そう思った矢先何かが砕ける嫌な音が聞こえたエコノミーの駆動系が壊れ音だ。結果エコノミーはやられてしまい僅差で大洗女学園は負けてしまったのである…
破壊されたレイバーを回収し学園艦まで運ぶ、エコノミーをクレーン車であげキャリアに乗っけるまでの間ナカジマはみほと会い話をした
「…ナカジマさん、ごめんなさいせっかく整備してくれたレイバーをボロボロにしちゃって…」
「ううん、謝るのはこっちだよ。何が『柔道が出来る』だ…大見え切っておいてこの様だもんね。もっと上手く整備してれば勝てたのに…」
2人の間に沈黙が流れる、その沈黙を破るようにガラガラした大きい声が響く
「なんだナカジマ、何落ち込んでんだ!」
シゲルがナカジマに会いにきたのだ
「先生…ごめんなさい私は整備士失格です…」
「なんだオメェ、レイバーぶっ壊したにはお前が悪いと思ってんのか。確かに整備が良ければこうはならなかったらかもしれねぇ、その点はまだまだ修行だな。んでもよぉ嬢ちゃん…西住だっけ?オメェもレイバーで投げ技をかけるならちゃんと足回りの力に気をつけてやんな。モーター関係の表示をしっかり見ればちゃんと対応出来た筈なんだからよ、それでもレイバーで柔道ってのは久々に心が躍ったぜ。それにペイント弾じゃない本物の破壊されたレイバーを直すのは久々でワクワクしてしょうがねぇや、二課で働いてたころを思い出すぜ。それじゃあ俺は先に失礼するぞ、ナカジマ!シャキッとせい!」
シゲルに言われ目が覚めたナカジマは自分を鼓舞するために自身の頬を叩いた
「西住さん、次こそ柔道できる様なレイバーにしてあげるからお互い頑張ろう!」
「はい、ナカジマさん!私も精一杯頑張ります!」
元気を出したナカジマはキャリアに乗りこみ学園艦へと向かう、一足先に到着した後彼女は大洗の町へと繰り出す。そして本屋に向かった、いつもは自動車関係の本を買うのだが今日は違う、手にとった本はレイバーの設計図やスペックが載っている分厚い本である。
やはり2週間の講習だけじゃダメだ、皆んなと一緒に学んでそれを生かさなくては…!西住さんには西住さんの戦いがある。なら私は私の戦いをするまでだ!
本を買い外へ出る。眩しい光がナカジマを刺す、彼女の戦いはこうして幕を開けたのであった。
第63回特車道高校生全国大会が幕を開けた。私達大洗女学園最初の相手はまたまた強豪校「サンダース大学付属高校である」相手の編成が分からず途方に暮れてるとレイバーマニア秋山優花里が突如として消えた!何処へ消えた!優花里!西住達が帰りを待ってるぞ!
次回「強豪・エイブラハム軍団です!」
ターゲットロック・オン!