トーナメントが決定しみほ達は優花里の進めで「特車喫茶」なるものに連れてかれた、店内はレンガ造り風で店のあちこちにレイバーのポスターやレイバーのプラモデルが飾られてる。みほ達はケーキと紅茶を頼むことにし食卓の上にあるSDサイズのイングラムの頭を押す、するとイングラムのパトランプが光り店員がやって来る。注文して暫く経つと品物が運ばれてくる
「…何これ?私達が使ってるキャリアに似てるけど」と沙織が言う
「これは『99式大型特殊運搬車』通称“特型レイバーキャリア”と呼ばれる代物ですね。』
運ばれたケーキを取り分け皆んなが食べる中みほはフォークが動かせなかった。
「どうしたのみほ?食欲ないの?」
「いや、そう言うわけじゃないんだけど初っ端から強豪校だからね…まだ3週間先の話しなのに今から作戦を立てようと頭が勝手に働いちゃってさ、悪い癖だね」
「ふ〜ん、んでサンダース大学付属高ってそんな強いの」
「日本一の金持ち高、最早一つの国と呼ばれる程のお金持ち高校でレイバーの保有数は日本一、1軍・2軍・3軍と分かれていてこの間戦った精グロ並の強さを誇る高校であります!」
「3軍までって…そんなに来られたら負けるじゃ〜ん!」
「一回戦で使えるレイバーと弾数は低めに設定されてるからそう心配しなくて大丈夫だよ沙織さん」
「え、本当!?それで何輌なの?」
「えぇ〜と15輌かな」
「ウチの倍近くじゃん…んまぁクヨクヨしてもしょうがないか、聖グロと互角に戦える今のウチらならきっと勝てるよ!」
沙織はそう笑いケーキを口に運ぶ、みほはその笑顔に何処となく安心を覚えフォークをケーキに刺し口に運ぼうとした瞬間聞き覚えのある声が自分を呼ぶ。それも今の呼び名じゃない。黒森峰にいた時の呼び方だ
「副隊長…?いや元・副隊長でしたかね?」
「貴方は…!エリカさん!?それにお姉ちゃんまで何でここに!?」
そこに居たのは黒森峰時代の戦友、逸見エリカとみほの姉西住まその人らであった。思わずみほはフォークを落とす。彼女らがここに居る事を全く想定してなかったし、そして何よりこの2人だけはまだ会いたくなかったのである。
みほの悪夢に度々出てくる金切り声で自分を呼ぶのはこのエリカである。みほは母親から、姉から逃げたが彼女からも逃げたった。あの試合が終わった後みほは彼女に一度も顔を合わせていない、何故なら嫌われるのが怖かったからだ。特車道以外取り柄がないみほの友達になってくれた唯一の友達が彼女である。そんな彼女に嫌われたら自分は耐えられないそう思ったのだ。
「…久しぶりだなみほ。まだ特車道をやってるとは思わなかった」
「お姉ちゃん…そうだよ、また始めたの」
「久しぶりね、元副隊長。貴方こんな田舎で隊長やってたのね、それで最初の相手はサンダースだって?西住流の名を汚して隊長の顔に泥を塗らないようせいぜい頑張りなさい」
その発言に優花里が思わず立ち上がる
「お言葉ですが、あの試合のみほさんの判断は間違ってるとは言えないと思います!」
「偉そうな口を聞いてこの小娘、何も知らない外野は黙ってなさいよ」
小馬鹿にする発言に思わず優花里は拳を握りしめる。しかし言ってることは正論だ、故に反論出来ず大人しく座り下を向く。
少しの沈黙が流れまほが店から出ようとし出口へ向かう、そこで今度は華と沙織が立ち上がる。
「余りにも無礼な言葉、淑女として恥ずかしくないのですか?」
「偉そうな口聞いてるのはどっちよ!?」
「…無礼なのは貴方達じゃない?無名高のくせに全国大会なんかに出ちゃって、全国大会ってのはね。無名高は試合を汚さない為に自粛するのが暗黙の了解なのよ」
暴論としか受け取れない意見に2人はたぢろぐ、勝ち誇った様な顔で店から出ようとするエリカに今まで黙っていた麻子が澄まし顔で話し始める
「おいおい、さっきから聞いてれば偉そうな事を言ってコケにしたら今度は無茶苦茶な理論か。笑いを堪えるのが大変だったぞ。お前さっき『特車道に対して失礼』と言ったよな?さっきから口を開けば一に罵倒、二に罵倒、大和撫子を育てるという特車道の理念のかけらもないな。失礼って言うのはお前みたいな事を言うんだ。何が『特車道に対して失礼』だ、笑わせんな」麻子の発言に今度はエリカがたじろぐ言い返せなくなったエリカはそのまま何も言わず帰ってしまった。
自然に麻子に視線が集中する、麻子は決まりが悪い顔し頬をポリポリとかいた
「…すまんな、ああいうタイプを見ると
腹が立ってしょうがないんだ」
「麻子があんな風に喋るのはじめて見た…ちょっと男の人ぽかったよ〜」
「いえいえ、麻子さんの啖呵実にお見事でした」
「私も冷泉殿のお陰でスカッとしました」
しかしこの澱んだ空気が戻らない、その雰囲気を察した華がケーキを追加注文しないかと提案した
「私は二個食べる、イライラしたせいで食った気がしないんだ」
「麻子、そんなに食べると太るよ?」
「おっと、それならよそう。沙織みたいにはなりたくないからな」
「何よ〜麻子!」
このやり取りでようやく雰囲気が元に戻った気がする、一同は店を出て学園艦へと戻った。
17:15分 学園艦デッキ
みほは潮風に顔を晒しながら黄昏ていた、今日の騒動で精神が疲労しそれを癒す必要があったからだ。やはり自分はエリカに嫌われいた、深い溝を感じそれが修復出来そうもない現実が重くのしかかる。今彼女の目から出る涙は決して潮風のせいではない。横をチラリと見ると優花里がそばに来ていた
「ここに居ましたか西住殿」
「優花里さん…」
「私ね、思うんですよ」
「…思う?」
「あの人は本気で西住殿の事を嫌ってないって」
「え…?」
「あの人は『西住流の名を汚さないようにがんばれ』って言ってました。本気で嫌ってるなら西住流どうこう関係なく負けて恥をかくことを望むはずなんですよ。でも彼女は頑張れと言っていた…すいませんそれこそ部外者が口を出しちゃって…」
「ううん、ありがとう優花里さん。少しホッとしたかも、そうだよね頑張らなきゃいけないもんね。必ず勝ってエリカさんと戦わなきゃ駄目なんだ」
「そうですよ!その為にもこの秋山優花里、全力で西住殿をサポートします!まずはサンダース戦ですね西住ど…」
みほがぶつぶつ言いながら作戦について考えてるのを見て優花里は呼ぶのを躊躇った。耳を立てると編成がどうのこうのと言う言葉が聞こえた、そうだ編成が分かればきっと西住殿も作戦が立てやすくなるはず。ならば有言実行するのみ、そうと決まれば早速準備だ。優花里はみほに別れを告げ自分の家へと帰っていった
翌日 10:30 学校内校庭
特車道の授業が終わりみほはほんの少し疲れていた。親善試合でハッパかけられたのか今日の練習はいつもより気合いが入っておりドーファンやパイソンの射撃が上達し全弾的のど真ん中に命中していた。サムソンなどの軍用レイバーも桃が乗るアトラス以外は確実に成長しているのが見えた、みほは聖グロとの試合で自分が最高質の原石であるみんなを磨かなくてはと思い今日は親善試合の前とは違い量ではなく質を問う練習をしみんながそれについて行くことが出来て驚いた。1回試合しただけでこの成長ぶりは異様としか受け取れない成長スピードが明らかに黒森峰とは違う。みほはサンダースを倒せる可能性が見えてきた
そう考えてると沙織が声をかけてくる
「ねぇみほ今日優花里さん結局練習に来なかったよね」
「うん、どうしたんだろう昨日は元気だったから病気とは思えないし、連絡とかはしてみた?」
「してみたけど全然だめ、メールは反応ないし電話しようにも電源切ってるみたい。全く何処消えたんだろうね?」
「取り敢えず学校が終わったら優花里さんの家に行ってみようか、ひょっとしたら居るかもしれないしね」
「秋山さんの家って何処でしたっけ?」
「確か理髪店だって前に優花里さんが言ってたよ」
という訳でみほ達は放課後優花里の家へ行くことにしたのであった。
15:00 秋山理髪店前
確かに優花里の言った様に彼女の家は理髪店であった。中をチラリと見るが優花里の姿は見えない、みほ達は意を決して中へ入ることにした中には優花里の両親であろうと思われる人物が居る
「こんにちは〜」
「いらっしゃい…いやどうやら髪を切りに来たってわけじゃなさそうだね」
「私達優花里さんの友達で…」
友達とワードを発した途端優花里の父の目が点になる
「友達ぃ!?優花里の!?」
「はい、私達特車道で知り合ったんです、優花里さん今日学校に来てないのでどうしたのかなって思って」
そう話すも父は自分の娘に友達が出来たことが信じられず慌てふためいておりこちらの話を聞いてなかった。仕方がないので代わりに母親が返事をする
「優花里のお友達ね、あの子今日の朝から居ないのよ」
「え、朝から居ないんですか!?」
「あの子がいきなり居なくなるのはしょっちゅうある事なのよ、多分もうそろそろ帰ってくると思うから優花里の部屋で待つ?」
そう言われてみほ達は二階へ行き優花里の部屋で待つことにした、部屋の中は昨日行った特車喫茶より多いレイバーに関するプラモやリボルバーカノンの空薬莢、97式指揮車に搭載してる無線装置などが所狭しと飾られていた。流石はレイバーマニアの部屋である
「流石は秋山さんですね、すごいグッズの数です」
「うん、レイバーマニアとは知ってたけどここまでとはね」
「この通信機とか絶対高いでしょ…案外優花里って金持ちなのかな?l
「いや単純にそれ以外に金を使ってないからだと思うぞ、マニアってのはそういう人間だからな」
それから10分後くらいだろうか突然窓が開き優花里が入ってくる
「おや、どうしました?皆さんお揃いで」
「どうしたもこうしたもないよ、朝から姿が見えなかったからさ…
と言うか優花里さんその格好は?」
「あぁこれですか、コンビニの制服です」
「そう言うこと聞いてるんじゃないんだけどな…」
「何はともあれ、全員集まったから丁度いいです。実は見せたいものがあって」
そう言うと優花里はリュックサックからSDカードを取り出しそれをビデオデッキに挿入した。
暫くすると画面に「突撃!サンダース大付属高校」と出る
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『どうも秋山優花里です、ここがサンダースですか想像以上の大きさですねぇ。ではこれよりサンダースの制服に着替えて潜入任務を遂行いたします!
あ、ちなみに侵入経路としてコンビニの定期船を利用しどさくさに曲げれる形で侵入しました。いや〜両方ともザル警備で助かりました』
画面は暗転した後に制服に着替えた優花里が映る、途中バレてないか確認するため挨拶したが問題なく格納庫へと入る
『え〜とどれどれ、流石アメリカをリスペクトした学校だけあってSEUSA製のレイバー“エイブラハム”が所狭しと並べられてますね、おやあれはニューヨーク市警に配備された零式の制式タイプ“クラッシュバスター”もあります!これは非常に強力なレイバーですね…まさかこんなレアなレイバーまで持ってるとは流石お金持ち高』
格納庫を撮影し終わりそのまま作戦会議が行われるであろう大きな部屋へと辿り着く
『どうやらここで一回戦の編成や作戦を決めるようです。いよいよ敵の中枢部に侵入します、いやぁドキドキしますね、おっもうそろそろ始まるようです』
壇上には隊長と思われる金髪の女性に副隊長と思われる二名の女性が居た、副隊長の1人がマイクを握る
『ではこれより第一回戦の編成を発表する。エイブラハムスナイパー武装1輌、エイブラハム通常装備8輌、エイブラハム重装備9輌、クラッシュバスター1輌』
『それじゃ次はフラッグ車を決めるよ!OK!?』
そう隊長が言うと周囲の生徒は一斉に手を挙げた
『流石アメリカ式の高校ノリがアメリカンドラマそっくりです。ん、今フラッグ車が決まったようです』
『何か質問がある人は?』
『はい!エイブラハムは通常装備と重装備と言いましたがどのような内容ですか?』
敵の編成が分かっても武装の種類が分からなくてはお話にならない、優花里の質問に隊長が答える
『いい質問ね、通常装備はクラッシュバスターと同じくレイバー用サブマシンガン、重装備は6連層ミサイルポッド、25mmチェーンガンよ』
『フラッグ車をガードする為のレイバーは?』
『ナッシング!』
『敵はこちらの警備用レイバーとは違い軍用レイバーを使用しているとの情報が聖グロとの親善試合で明らかになってますが?』
『1輌で全滅させてあげるわ!』
凄い自信であるそれだけ実力があると言うことか、納得してると副隊長の背の高い方がこっちの顔をジロジロ見る
『…見慣れない顔だな。』
その疑いの声に周囲の視線がこちらに刺さる、不味い状況になった。「転校生なんで」と言う言い訳はここでは通用しない。何故なら転校したばかりの生徒が特車道の試合に出るなんて考えられないことだからだ、何かこの場を切り抜けられる言葉が思いつかないそうこうしてる内に疑いはどんどん強まる
『…所属と階級は?』
『えぇと…第二小隊泉野明巡査です!』
焦ってあまりにも頓珍漢な事を言ってしまった、すぐにバレて優花里は逃げることにする。ここで捕まってしまってはここまでの苦労が水の泡だ、絶対これを西住殿に渡すんだ。その一心で来た道を走り続ける
『バレてしまいましたが有力な情報を入手する事が出来ました!これより帰還致します!』
映像はここで終わった
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「…何という無茶な事を、よく帰ってこれたな秋山さん」
「つかいいの?偵察行為って」
「試合前の偵察行為はルール上全く問題ないんですよ」
そう言い優花里はみほにSDカードを渡す
「西住殿、どうかこれを西住殿の作戦に役立てて下さい、私はこんな事でしかサポート出来ませんが…」
「ううん優花里さん、本当にありがとう!優花里さんのおかげでフラッグ車も判明したし編成もわかった。これで作戦がグッと立てやすくなったよ!」
「しかし無事で良かったよね、もし捕まったら拷問とかが待ってたかもしれないよ〜」
「流石にそれは無いと思うぞ、んで怪我とは無いのか?」
「走った時に転びませんでした?」
「皆さん、心配していただき恐縮です。おかげさまで怪我する事なく帰れました」
「秋山さんの部屋も見れたし謝ることはありませんよ」
「あの実は部屋に友達が入るのって初めてなんですよ…私昔からレイバーが好きでレイバーが友達みたいなものでしたから」
そう言うと優花里は床に置いてあったアルバムを手に取りみんなに見せる
「ご覧の通り友達と写真を撮った写真が一枚もなくて…あ、この時は陸自の総合火力演習の時の写真ですね」
「何でパンチパーマ?」
「癖っ毛が嫌いで、父のパンチパーマがカッコいいって思ってしてたんです。中学はパーマ禁止なんで元に戻したんですけどね」
「…多分優花里が友達居ないのって髪型のせいなんじゃ」
「えぇ…」
「まぁまずは一回戦勝たなきゃお話しにならないな」
「偉そうなこと言ってるけどあんたが一番頑張んなきゃいけないんだよ?」
「…何で」
「明日から朝練だよ」
麻子の顔から血の気が引いてく音が聞こえたよう気がした。
次回から戦闘シーンかぁ…書けるかどうか不安ですが頑張ります!筆者のやる気がボルテージするので宜しければ感想お願いします!
ここまでの御視聴ありがとうございました!