「エイブラハム重装備は9輌」と書きましたが正しくは「5輌」でした。申し訳ありません。2つ目は私の生活が来週からとてつもなく忙しくなるので更新が何時もより遅くなると思われます
それでは本編、どうぞ
掛け声と共に一同は全身した。しばらくするとレイバーの背丈より高い木がある森が見つかりその中に入り静止する。
『カバさんチーム(歴女)の指揮車は右方向の偵察を、アヒルさんチーム(バレー部)は左方向の偵察をお願いします。両チームのレイバーはその場にて待機を』
『了解した!』
『分かりました!』
『ウサギさんチーム(一年)と我々あんこうチームはカメさんチーム(生徒会)を守りつつ前進、先行した小山先輩からの連絡が入り次第アトラスを待機させフラッグ車の迎撃に向かいます』
『ん、りょーかい。しかし西住ちゃん面白いチーム名考えるねぇ、可愛くてそういうの好きだよ』
『それでは各員の健闘を祈ります!』
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西住達が行動してから役3分後。左衛門佐とおりょうが乗る指揮車は当てもない道をひたすら前進していた。
「…しかしもんざよ。このジャケットは熱いぜよ」
「全くだ、冷房ガンガンに効かせてるのに一向に涼しくならん」
「少なくともこんな場所で着るようなものじゃないな、それはそうと敵を発見したら即逃げると言うのはなんかこうしっくりこないぜよ…」
「敵に背を見せて逃げる、武士としてはこの上なく恥ずかしいことではあるが…車じゃあどうにもならんしなぁ」
「そんときゃ頼りになるのは運転手のもんざなんだから頼むぜよ」
「荒っぽい運転になるが…酔うなよ?」
「大丈夫…ん?もんざ一旦止まれ、変な音が聞こえるぜよ」
停止してエンジンを切ると遠くからレイバーの稼働音が聞こえる、おりょうは双眼鏡を取り出し前方を見る。
「通常装備のエイブラハムが4輌か…まぁ90mmチェーンガンの前では殲滅させるのは容易いだろうな」
『此方カバさんチーム、エイブラハム通常装備6輌を確認、これより誘き出す』
誘き寄せるためクラクションを鳴らしたその時後方から鈍い音が聞こえた。重装備エイブラハムがミサイルを撃って来たのだその数5輌
『緊急事態だ!エイブラハム重装備が後方に5輌もいる、囲まれてしまった!』
『カバさんチーム南西から援軍を送ります!』
『了解…!』
「と言ってもこんな弾の嵐の中逃げ切れるのかね…」
「無傷で帰れたら勲章物ぜよ」
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見つかったならまだ理解できる、そういう作戦なのだから。だが囲まれると言うのはどう言う事なんだ、考えられることはただ一つ“囮作戦に気づかれた“という事だ。恐らく先に指揮車を潰して連絡が入らない事を心配して見に来たアトラスを10輌でリンチする気であったのだろう、結果的には不意打ち攻撃が外れて今に到るのだが
『アヒルさんチームは指揮車諸共あんこうに付いてきて下さい!サムソンも私達が使ったルートを使って合流を!ウサギさんチームのラーダーはフラッグ車の護衛を頼みます!』
エコノミーらが指揮車の元へ向かう途中横から軽い音が聞こえ地面を削る。スナイパー装備のエイブラハムによる攻撃だとみほは直感する、さらに通常装備のエイブラハム残り3輌も目視できた。
こちらに対して容赦なく攻撃をしてくるが森の中ということもあり視認性が悪く中々当たらない、反撃しようにもこの距離でこちらの武装は当たっても有効打にはならない。しかし撃たなければ近づかれるのは明白だ、敵レイバーに対して3発ほど撃つ。勿論1発も当たりはしないがこれ以上進行させずにはすんだ
「この森にフラッグ車を除く全てのレイバーを配置か、流石は強豪校思い切った作戦をしてくる。西住さんこりゃちとキツいんじゃないか?あと私の気のせいかもしれんが通信するときなんかノイズが走ってるみたいなんだ、今までそんな事は無かったと思うんだが」
「ここで全輌相手にするのはキツいね…一旦場所を変えて仕切り直す必要があると思う。それとノイズかぁ…森の中だから多分電波が悪いんじゃないかな?レイバーより高い木が生えてる森だからきっとそうだよ」
「そうかなぁ…なんか引っかかるが今はそれどころじゃないか」
そう話した時に後にサムソンが付いてきたのをセンサーで確認するとインカムのスイッチを押す
『カバさんチーム、間もなく合流します。合流後南東に進み包囲網を突破します!』
30秒後カバさんチームの指揮車との合流に成功し南東へと進軍、しかしその先にも2輌先回りして待ち構えていた
また此方の作戦を読まれた…理由は分からないが無理矢理にでもこの2輌を突破するしかない、そこを抜ければ森から脱出し少なくともこの状況を打破することが出来る。
『皆さん一列縦隊になって!足を止めず前に進むことだけを考えてください!』
親善試合の時のようにエコノミーがシールドを構えて先行し3、4発シールドに当たったり肩をかすめる。サブマシンガンでの撃破が不可能としたエイブラハムは体当たりで止めようと此方へ走って向かう。しかし質量とスピードはエコノミーが上だったのでエイブラハムを逆に弾き飛ばした。森の出口が見え光の先には草原が広がる、みほ達は遂にこの危機的状況から1人も撃破されることなく生還を果たしたのだ。相手が逃すまいと撃つが急に発砲が止む、恐らく隊長からこれ以上の深追いは危険と判断し追跡しないよう命令をしたのだろう
ホットして息を吐き大きく吸う、額に汗が滲んでいることに気づきジャケットの袖で拭った。息を整えると喉が渇きを訴え水筒に入った麦茶を半分くらい飲む、よく冷えた麦茶が緊張した体に染み込んでくる。水筒を置きインカムの電源を点ける
『各レイバーは散開してください、ここから巻き返しの時です!』
そう言うとレイバー達は散り散りとなり姿を消した。みほは先程発砲したリボルバーカノンのリロードをするため近くにあった木陰にラーダーと共に行き行きエコノミーを膝立ちの状態にさせる。
ハッチを開けると眩しい光と共に生暖かい空気がまとわりつく、地面に降り立ち麻子にリボルバーを収納している脚部を開けてもらう、空薬莢になった3発を取り出し脚部内にある予備弾を詰めこみリロードが完了した。
敵もしばらくは追って来れないだろうからここで小休憩を取ることにし全員レイバーから降りる
「いや〜危なかったねみぽりん」
「うん、日頃の訓練がなきゃここで全滅してたよ…相手の攻撃も奇跡的に命中しなかったし本当に運が良かった」
「しかし不思議ですね、どうしてあそこまでこちらの行動を読まれたのでしょうか。おおよその作戦内容が予想したとしても誰が何処に動くなんて予想は基本的に無理なはずです、指揮車を使えば私達みたいにこっそり偵察することが可能ですがサンダースは指揮者を持ってません。何度も戦った相手、もしくは何度もこの大会に出場してるならばある程度の予想は可能ですが私達はサンダースと戦うのもこの大会に出るのも初めてです。なのに予想が的中するとはよほどカンが冴えてるんでしょうね…」
「まるでこっちの行動を見られてる感じだったよ…」
瞬間、みほの脳内に閃光が走る。華の言う通り敵はカンが冴えてると最初こそそう考えたが余りにも冴え過ぎているのだ、一回ならばただのカンとスルーすることが出来ただろう。だが2回もこちらの作戦を、行動を読まれ先回りされたのだ偶然としては出来すぎている。みほは何らかの存在が介入してると睨む、ドローンか隠しカメラだと最初は考えたが前者は目立ちすぎるし後者は試合前のレイバーは関係者以外立ち入りを禁止しているスペースに設置しており現地スタッフが警備してるので不可能だ。視覚の情報が無理なら残るは聴覚しかない、盗聴器か?いやそれもあり得ない。行き詰まったその時再び頭の中に電流が走る。無線傍受…!それしかもうあり得ないと考え空を見ると無線傍受するための飛行船型のバルーンが浮かんでるのが見えた試合中継用のドローンより遥か上空にそいつは浮かんでいた。これで通信にノイズが入ったことに合点が行く、カンなんかじゃない、イカサマだったのである
「…?どうしましたみほさん?」
黙りこくるのを不審に思った華が話しかける
「無線傍受する為のバルーンが浮遊してる、どうやらそのせいで筒抜けだったみたい」
「それって反則なのでは?」
「いえ、ルール上ではそのような事は書いてませんね…ルール上は問題ないかと」
「でも無線傍受ってのは正々堂々と戦うことが求められる特車道では恥ずべき手段と言う暗黙の了解があるの。前の学校で試合中に無許可で同じような事をした子がいるんだけど3ヶ月間雑用を命じられたんだよね…」
「つまりそれ程悪い行為って事だね、でもみぽりんここからどうするの?」
「相手がイカサマを使うならそれを利用するまでです!沙織さんの腕を見込んで頼みがあります!」
みほは沙織に自分の考えを伝えた。沙織はその提案に驚くが肯く、小休憩は終わりだ。エコノミーの手にみほと麻子と“沙織”が乗っかりコクピットへと入り電源を立ち上げる。
さあ、反撃開始だ
エコノミーが先程とは別の森へ入りみほは通信を入れる
『全車輌このまま南進しジャンクションまで移動、敵はジャンクションを北上してくるのでそこを挟み撃ちの形で一気に叩きます!』
だが、この指示真っ赤な嘘である。みほが沙織に提案したことそれは「虚偽の命令をでっち上げ相手をコントロールし本物の命令はメールで伝達する」と言うことである
「沙織さんは『ジャンクションを見下ろせる丘にエコノミー、サムソン、パイソンが移動。アヒルさんチームの指揮車はジャンクションにある周辺の木々をロープで束ね茂みに隠れ合図をしたらアクセル全開して土煙を出しながら走行して下さい。ドーファンは指揮車を追うように移動をお願いします。』とメールして下さい」
「分かった…よし送信終わり!私の早打ち技術が役に立つ時が来るなんて思わなかったよ」
「しかし西住さんや、試合中に選手が他のレイバーに乗り換えるってのはアリなのか?」
「試合中での移動に関してはルール上は問題なかったはずです」
丘の上に到着すると茂みに指揮車とホフク状態のドーファンが見えた、既にジャンクションの北上に囮と思われるエイブラハム(通)が5輌、本隊と思われるエイブラハム(重)が西に2輌、東に3輌が見えるのを確認した
『囲まれた、全車輌後退!』
これがアヒルさんチーム移動の合図である、合図と共に指揮車が走り派手に土煙を上げる、続いてドーファンが走り更に土煙を上げる。こんなに土煙を出して気づかない馬鹿はいない、まして強豪校なら尚更である。エイブラハム(重)2輌の視線が土煙の方角を向いたのを確認し通信を再び入れる
『見つかった!全車輌散会!アトラスはそこの茂みに隠れて下さい!』
これで敵はこの茂みにフラッグ車が居て警備するレイバーもいない、そんな美味しい状況にあると誤認するだろう。後は油断してノコノコやってきたところを後ろからズドンだ。
丘の上でサムソンが90mmチェーンガンを構えゆっくりとエイブラハムに照準を定める
「…まだよ、まだまだ… 」
そして敵がとうとう茂みの近くで立ち止まった
「今だカエサル撃てぇ!」
チェーンガンが火を吹きエイブラハムの足にあたる、破壊されたことによりバランスを崩しエイブラハムは倒れる。すかさず更に追い討ちをかけ胴体に当てていく。エイブラハムは倒れると同時に白旗判定が出た
突然の奇襲に驚いた残ったエイブラハムが25mmチェーンガンをでたらめに撃つが当たるわけがない。パイソンがリボルバーで攻撃するが地面をかするだけに終わる、このままではやられると判断したエイブラハムは背中を見せて逃げていった。追撃をしようにもすぐ攻撃可能範囲内を越えてしまったので諦めるしかない
この出来事に観客達は大いに騒ついた。誰しも無名校が一方的に蹂躙される試合を予想していたが最初にやられたのが強豪校だからだ。しかもまぐれで倒したわけではない。計算された上での撃破だ、あのサンダースに対して作戦による戦闘の勝利を果たしたのだ。観客の注目は一気に無名校…大洗女学園へと注がれる。誰もが予想できない試合が今、この瞬間から始まったのだ。
めでたくサンダースのレイバーを倒せたみほ達だがまだ試合は始まったばかり、みほ達は確実に勝利するために再び虚偽の命令をすることを決意する。頑張れみほ!唸れ沙織の早打ち!だがそこにスナイパーとクラッシュバスターが襲いかかる!みほ達は勝てることができるのか!?
次回
「一回戦、白熱してます!」
ターゲットロック、オン!