それでは本編をどうぞ!
みほ達がマグマグ作戦を開始した頃アンチョビ達のレイバーはとある場所に鎮座し待機していた。その最中、彼女は何やら嫌な予感を感じていた。どうも落ち着かず隣にいるレイバーに通信を入れる
『なぁカルパッチョ』
『どうしましたドゥーチェ?』
『デコイを置いて敵を立ち往生させる“マカロニ作戦”だが…上手くいってるのかなぁ?』
『それは上手くいってるんじゃないですか?失敗する要素なんてありませんし』
『普通はそうなんだよ、でも今回の作戦ペパロニに任せてるからさ…』
『あぁ…そういうことでしたか』
ペパロニはアンチョビが特車道を始めるにあたって最初に勧誘した人物である、学園艦をミディで爆走してた所を当時完全にレストアしてなかったハンニバルを使い取り押さえ半ば強引に勧誘したのがきっかけだ、それ以外にもカルパッチョも彼女が勧誘したりと現状アンツィオの選手はほぼ勧誘された人物が中心だがそれはひとまず置いておこう。
ペパロニはレイバーの操縦に関して言えば天才的と言っても過言ではなかった、スポーツカータイプであり操縦が難しいガンバルギーニを僅か三日で己の手足のように使うことがその証明である。だからペパロニの実力は他でもないアンチョビ自身が一番信頼していた、それなのに何故不安なのかと言うと
『あいつ、抜けてる所があるから不安でしょうがないんだよ…!』
『ペパロニは作戦内容忘れたりたまに走りに夢中になって作戦区域から離脱することありましたもんね』
『よく言えば天然、悪く言えばバカだ。今でこそだいぶマシになったが…今日の作戦内容は何度も復唱させたから大丈夫だと思う…いや大丈夫!』
持ち前の上昇思考で己を鼓舞する、そうでないと不安でしょうがないからだ
故に彼女は別のことを考えることにした
____今回の相手、大洗は初めて戦う相手だ。使用してるレイバーは我々よりも強いのが気になる所だがそれ以上に気になるのは隊長である..“西住みほ”だったか、彼女を握手の際見たときとてもではないがあのサンダースを破ったチームを率いる隊長には見えなかった、おっとりとしていてパッとしない感じで隊長としての風格を感じられなかった。彼女が西住流?何故杏は自分自身を隊長とせず彼女を隊長にしたんだ?何か特別な意図があるのか
…それを知るためにもこのマカロニ作戦は絶対成功させなくては、成功させて絶対に勝ってみせる。
レバーを握る手に力が込められる、まだかまだかと気持ちが前のめりなっているのを感じる。一旦落ち着くために深呼吸をしたそして腕時計をチラッと見ると試合開始から20分が経過していた。幾らなんでも遅すぎる、何かしらの動きがあっても良いはずだがそのことを告げる通信は入ってこない。痺れを切らしアンチョビはペパロニに通信を入れることにした
『…おい、マカロニ作戦はどうなってる?』
『すいませんちょっと後にしてもらってイイっすか?』
『何でさ』
『いやぁそれがドーファンに追っかけられてるんですわ、こりゃバレましたねぇ』
どうやらペパロニの話は本当らしく会話の最中に銃声が混じって聞こえる。彼女の言う通り作戦がバレてしまったのだろう、だが能天気に状況を報告するペパロニに対してほんの少しだけカチンと来てアンチョビは思わず頭を掻きながら声を上げた
『「バレましたね」じゃない!ちゃんとデコイ設置したんだろう!?』
『置きましたよ!全部!』
『はぁ〜!?1枚は予備だってあれほど言ったじゃないか!?全備置いたら数合わなくてバレるだろ!なのにお前ときたら…!』
『あ、そっか!いや〜姐さんやっぱ賢いっすね!』
『お前がアホなだけだ!』
と言いアンチョビは通信機の電源ボタンを乱暴に押しチャンネルをカルパッチョに切り替える
『おい、ペパロニがやらかした!出るぞ!恐らく敵はこの近くまで来ている!』
『了解!』
通信を切る時アンチョビはカルパッチョのため息が聞こえた。
分かる、分かるぞその気持ち。まさか今回の試合の肝であるマカロニ作戦をドジるだなんていくらいつものドジだろうと今回はそれが物凄く痛い、試合が終わったらどうしてくれようか。
と呆れと怒りが混じった感情になりながらも彼女は冷静に操縦者に移動先を伝えた。
一方その頃アヒルさんチームはミディ、ガンバルギーニと追いかけっこをしていた。森林地帯とは違い遮蔽物が何もないグラウンドのような場所である
7輌のミディに1輌のガンバルギーニ対ドーファン、相手側が普通のレイバーならば絶対的な不利な状況ではあるがミディに搭載してる武器ではこちらのレイバーは倒せない、しかしこちらは1発さえ当たれば撃破できる。そんな美味しい状況なのだ。だがそう簡単には物事は進まない
「クッソー相手がグラグラ走るから照準がブレる!」
「おまけにこちらも動いてるので尚更ですねキャプテン…」
典子がダメ元でリボルバーカノンを1発撃つが見当はずれな方向へと行ってしまう、その間ミディが集結しなんと後ろ向き走行をし始めながらこちらを攻撃してきた。
8mmチェーンガンが容赦なくドーファンに当たる
「痛てててててててて!めっちゃ攻撃喰らってる!」
「当たってるのは私達じゃなくてこの子ですから!それより向こうが攻撃に夢中になってる今がチャンスです!」
「んなこと言ったって…」
と言い典子は前方の大群に注目する、残弾5発に対してミディの数は7
弾数が足らないのは明白だった。どうしたものかと思った瞬間彼女はある事を思い出した、そしてレバーをグイッと引きリボルバーを収納する
「!?キャプテンなにを!?」
「やだなぁ忍、お前まで忘れたのか?西住隊長が最初に言ってた事を!」
そしてレバーを再度引いて両腕を腰の辺りに回してある物体を掴みそれを前に回してガチャっとスライドさせた
「そうか!こう言う敵が密集してる時は!」
「ライオットガンってね!」
ズドン、と音が鳴り大量の弾が扇状に広がる。いきなりの発砲でろくな回避運動が出来なかったミディ全機に命中した、当たった衝撃でスピンしどんどんドーファンの後ろへと下がっていく
「どうだ!これでウロチョロしてるのは消えたぞ!」
「白旗判定が出てるがどうか見えなかったのでまだ分かりませんよ!」
「まともに喰らってるんだぞ?無事じゃないだろ」
残すはガンバルギーニのみだ、もう一度これを使って確実に倒す。一気に8輌ものレイバーを倒すだなんてこれはバレー部の時代来てるぞ…!復活も夢では無い!
と考えながら前方を見た瞬間目の前が真っ白になった。反射的に手で目を覆い隠す、そして警報音らしき音がコクピット中に響き物体が落ちたような鈍い音も聞こえた。何事かと思い忍は思わず機体を止める、何が起こったかモニターで確かめようとするも焼き付いたように全体が茶色になっておりその役目を果たさなかった。
「…何が起こった忍」
「キャプテン、上の方で視認で確認出来ませんか!?」
「ダメだ、目がチカチカしてぼんやりとしか見えない…!忍は目が見えるんだな?なら機体状況を確認してくれ、どんなのかは知らんが攻撃を受けたことには間違い無いからな」
指示を受けサブモニターをみると〈判定センサーに反応アリ〉との表示があった、詳細を確認するためモニターを操作すると〈左腕破損〉と書かれてある
忍は典子にその事を伝え次に何が落ちたか確認したいが典子の目が頼れない以上自分が見るしか無い、しかし前方にはまだガンバルギーニがいるかもしれない、だが状況を把握しない限りどうも動くことはできないと思い覚悟を決めコクピットを開けようとするとピピピと音がなる
「キャプテン、通信入ってます!」
「分かってる!
『はいこちらアヒルさん…妙子か!今どこにいる!」
『すいません今来ました!直ぐ後ろです!どうしたんですか道の真ん中で止まって!?』
『よく分からん攻撃を受けてな、ちょうど良かった今この周りの状況を教えてくれないか?』
『えぇと…ライオットガンが地面に落ちてます!』
…やっぱりあの音はライオットガンが落ちた音だったのか。これは痛い、例え拾っても片腕だけじゃ衝撃に耐えきれず撃ったこちらが倒れてしまう。それも問題だがもう一つ問題がある、まずはその方が優先だと思い典子は通信を続ける
『前に何かレイバーはいるか?ガンバルギーニとか』
『いや、前方には何もないですね』
『…逃げられたか、すまないが妙子達は先行してガンバルギーニを探してくれないか。まだ奴はそんな遠くには行ってないはずだ』
『分かりました、キャプテンはどうするんですか?』
『ちょいとリロードしてから追っかける、見かけたら連絡入れてくれ』
こうして指揮車は颯爽と走り出し見えなくなった
機体を膝立ちの状態にさせて忍がリロードしに降りる太もも横のハッチを開けて予備弾を一つ取り出しながら話しかける
「キャプテン、目の方は大丈夫ですか?」
「あぁなんとかな、相手が使った武器…あれはカノン砲だな」
「あの新兵器ですか…いざ食らうと痛いもんですね、左腕が壊れちゃいましたしモニターもまだ復旧には時間がかかりそうだし…」
「敵は取り逃してあと6発の銃しか使えないこんな状況だがここからがバレー部根性の発揮どころだ!忍弱気になるなよ!ラスト5秒の逆転ファイト目指していくぞ!」
「最後の言葉の意味がいまいち分かりませんでしたけど…言いたいことは大体分かりました!」
そしてリロードが終わり機体へと忍が戻ると再び通信が入る
「妙子見つかったか!?」
「えぇ、キャプテンがいる場所から70m離れた場所で発見しました!現在も走行中!」
「よし、直ぐに出るぞ!」
「忍!」
「分かってます!」
合図と共にドーファンは駆け出す、銃を固く握りしめて
アヒルさんチームが駆け出す数分前、ウサギさんチームもまた追いかけっこをしていた。少し違うのは前者が追いかける側に対してこちらは“追いかけられる側”であった。先程デコイだと思って発砲したハンニバルに3輌にしつこく追われていた。
『ハンニバルが持ってるチェーンガンって当たれば即死じゃん、しかもそんな奴が3輌も!逃げるしかないでしょ!』
『でも逃げてばかりじゃ…!何とか倒さないと、任せろと見栄を切った以上絶対に…!』
その間にも敵は容赦なく撃ってくる、だがデコボコ道で照準が合わないのか運良く外れてくれた
「危なかった〜!ねぇ梓ちゃんこっから先どうするの!?反撃しようにもこっちは逃げるのに精一杯だよ!」
「ちょっと待って今考えてる!」
確かに香里奈の言う通りこの状況で反撃するのは愚の骨頂だ、反撃しようと転換した瞬間蜂の巣だろう。だがこのまま逃げ続けてもキリがない、そうしてる間に敵の本隊と合流されたらお終いだ。どうすればいい
梓はピンと思いついた
___合流する時西住隊長は『西に転換する』と言ったはず、つまりこちらを追うのを諦めなくてはいけない時がやってくる。その時相手はこちらに背を向けることになるはず、そうなれば勝機が見えるがこれは危険な賭けだ。合流するまでの短い時間で確実に仕留めなくてはいけない。それも3輌!
だけどそれしか方法はない…
意を決して梓はインカムのボタンを押す
『あゆみ、私達はこのまま逃げるよ』
『逃げるったってさっき倒さないとって…!』
『うん、だけど今のままでは手も足も出ない。それは私達が追われる立場にあるから、だけど立場が変われば手が出せる!』
『立場を変える!?そんなことどうやって…あっそっか!』
『そう、逃げ続ければいずれチャンスが訪れる、今は“逃げるが勝ち”だよあゆみ!』
「香里奈、聞いてたでしょ?」
「あい!このままの距離を維持し続ければいいんだね!」
「そう、後ろの攻撃にはこれまで以上に気をつけて。今は逃げることだけ考えればいいから!」
そしてそのまま撃たれてはかわし、撃たれてはかわしを繰り返して走り続け
気づけば森林地帯からアヒルさんがいたようなグラウンド地帯に出ていた、相変わらず後ろからの攻撃が激しいがどうにかして回避する、ふと梓が前に目をやると突然ミディの集団が見えた
まずい、と思いとっさに身構えるが何故かスルーされて気がついた瞬間既に後ろを走り去っていった。あまりの突然の出来事に途方に暮れる梓だったがその思考は突然の揺れで崩される
「香里奈何があったの!?」
「ごめんいきなり前にドーファンが現れて!ほんっとぶつからないのにギリギリだった…!」
そう言われて再度後ろを見ると確かにドーファンが走っていた。一瞬の出来事であったが随分肝が冷えたが再度逃げること集中する。
逃走すること4分ぐらいだろうか、突如ハンニバル達が方向転換を始め西へと向かい始めた
ついに待ち望んでいたチャンスが来たのだ。急いでこちらも転換させて追っかける
『ついにチャンスが来たよ、あゆみ準備は?』
『やっと来たか!いつでも発砲出来るよ!』
『…よし、闇雲に撃っても当たらない、それは敵の攻撃を見て分かったでしょ?』
『うん、つまり立ち止まって落ち着いて撃つんだね』
『そう言うこと、この先の道はアップダウンが激しい坂道だからアップしたところを狙い撃つよ!』
2輌は坂道の頂上で停止させハンニバル達が次の坂道を登るのをじっと待つ。梓はゆっくりと息を吸い標準を合わせるためモニターを注視する
「…ただ当てるだけじゃダメだ、チェーンガンはともかくこっちはリボルバー、胴体に当てても弾かれるから確実に足に当てなきゃ…!」
深く吐きながらレバーを前に倒してミリ調整を行う、気持ち下向きにし弾の速さを考えてほんの少しだけ早く撃とうと考える。いわゆる「偏差射撃」と呼ばれるものだがその時の梓には知るよしも無かった、ただ「こうするべきだ」と試合経験と練習経験で培った梓の脳がそう告げていた。
息を吐き切りピタッと息を止める、そしてとうとうその時はやって来た
___ここだっ!
直感的に判断し梓は力強くトリガーボタンを押す。轟音と共に放たれた弾は線を描き吸い込まれるようにハンニバルの足に当たった。片足が壊れた機体はそのまま倒れて動かなくなった、それは梓だけではなくあゆみ達が狙ったもう一輌のレイバーにも起こっていた。
それらの光景に興奮することもなく次のターゲットを狙うが1輌が既に坂を上り切り下り始めていた
『逃げられた!』
『大丈夫、また追っかけて次のタイミングを狙うよ!』
『梓、倒したレイバーはどうするの?撃破したわけじゃないんだよ?』
『放っておいても大丈夫だと思う、修理する頃にはきっと終わってるだろうから…!それより今はあれを追うことが先決だよ』
『だね!よし、もう一息だ!』
___
ところ変わってこちらはアンツィオサイド、ペパロニのポカをどうにかするためアンチョビはレイバー達を引き連れて動いていた
さてどうしたもんか…ミディ隊が無事だといいんだが…万が一の場合今ここにある4輌だけで敵と戦わねばならんかもしれないな。いや弱音吐いてどうする私!例えそうなったとしても私は勝つぞ!
そう考え事してると前方から音が聞こえた
…ミディか?いやこの駆動音はミディじゃない!まさか…!
アンチョビの予想は的中した、アンチョビ達、みほ達のレイバーがすれ違い互いのコクピットからお互いの顔の表情まで見える距離まで接近していた。ほんの一瞬の出来事だがアンチョビは冷や汗が止まらなかった、慌てて我に帰り指示を出す
『全車停止!敵フラッグ車と隊長車発見!森へ逃げ込め!木に隠れながら応戦するぞ!』
そう言ってアンチョビ達は森へと入る
…カルパッチョのハンニバルを除いて
『サムソンの相手は私は引き受けます!ドゥーチェはフラッグ車を!』
『…分かった、頑張れよ!In bocca al lupo!(幸運を祈る)』
『si(はい)!』
アンチョビが対峙した大洗のレイバー…エコノミー、ラーダー、アトラス、サムソンの中で一番危険なのは高火力を持つサムソンである。それを引き離し少しでもドゥーチェがフラッグ車を倒しやすくするためと言うのがカルパッチョの目的だがもう一つあった
(あの機体に貼られてたカバのパーソナルマーク…間違いない、たかちゃんがチャットでアイコンにしてるものだ!)
そう、サムソンにはカエサルことたかちゃん乗っている。カルパッチョは自分と同じ特車道を選んだ親友の力を見たかったのだ。戦いたくてしょうがなかった、つまりこれは彼女なりのワガママだ。ずっとアンチョビの指示を受けてから行動する彼女は初めて自分の意思で行動を起こしたのだ。それだけ彼女にとってカエサルと言う人間は大切な人なのだ。大切だから故に手合わせしたくなる。そんな思いを載せてハンニバルはサムソン目掛けて突撃する。
そして出会い頭チェーンガンを放った、まるで挨拶をするが如く素早い動作であった
だがその射撃は掠めただけに終わる、ようやく目の前の状況に気がついたサムソンが銃を構える。ハンニバルは後退りしサムソンも後退りをする、両者の間に静寂という名の緊張が走る
そして数秒後サムソンが駆け出した
こうして親友同士の戦いと言う熱い戦いの火蓋が切って落とされたのだった。
3話じゃ終わらんかったよ…アンツィオ戦は情報量が多いからね、しょうがないね。part4で終わらせますんでどうか…どうかお待ちを!
それでは!