ガールズ&レイバー   作:恵美押勝

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ど〜も恵美押勝です、いやぁもう10月ですよ早いもんですね。3ヶ月たちゃもう新年…!年取ると時間の流れが凄まじく早くて腰抜かしそうです
さて、今回の話は若干重くなってます。まぁ劇重いと言う訳でもないですが雰囲気がほんの少し「プラウダ戦記」みたいになってるので苦手な方はご注意を
それでは本編をお楽しみください!
レイバー・フォー!!


杏備忘録part2

そんな思い出を振り返りながら食べ続けるのも終わりが来ようとしている、丼に残ったご飯を掻きこみ味噌汁でそれを飲みこんで完食する。手を合わせた後口直しに水を飲んでる最中ケイが話しかけてくる

「ねぇ、アンジー貴方魚を食べにここまで来たわけじゃないでしょ?そろそろ何で貴方が特車道に復帰したのか教えて頂戴」

杏はコップを置き真剣な眼差しでケイを見る

「あぁ、そうだ。それじゃ今から話そうか。私が特車道をやめ、そして何故再び帰ってきたのかを…」

そう言うとリュックからファイルを取り出して一枚の写真を置いた

「…?これって五十嵐先輩じゃない、確か全国大会の後見なくなって確か引退式にも見なかったはず」

「そう、五十嵐真衣…コイツこそ私が特車道をやめた最大の原因だ」

「what!?五十嵐先輩が!?」

「そうだ、話は強化合宿の時まで遡る…」

_______

奴さんは強化合宿で最初に出会った時から嫌な奴だった、顔合わせが終わった後私はアイツに呼び出された

「五十嵐先輩、用事というのは?」

尋ねた瞬間杏の体が持ち上げられた、胸ぐらを掴まれたのだ

「な…何をするんです…!やめて下さいよ!」

「おい、1年…杏だったか?ちょいと強化合宿に参加出来たくらいでいい気になるんじゃないわよ。隊長にどんな媚売ったか知らないけど、アンタみたいな腑抜けた奴が選ばれるなんておかしいのよ」

「酷い偏見ですねぇ…!私は媚を売るとかそういうのは大嫌いなんですよ、あくまでも私は実力で選ばれただけです。隊長もそう仰ってたでしょう…?

わかったらその手、離してくださいよ…!今ならまだ黙っておきますから」

「こんのチビ…!」

乱暴に離され杏は尻餅を突く、ズゴズゴと離れていく五十嵐を見て

よくもまぁあんな乱暴な奴が選ばれたもんだ、さぞかしレイバーも乱暴に操作するんだろうな

と心の中で悪態をついた

この時点では彼女は五十嵐の事を「面倒な奴」としか思ってなかった。だがその考えは直ぐに改めなければいけない事になる

合宿2日目、この日は集団陣形の練習が早朝からあるので杏は早めに起きて更衣室に向かった。入ろうとした時に五十嵐とすれ違いあんな奴でも練習は熱心にするんだな、と思い入室する。大洗は予算がないため無いのだがこの学校には十分なお金があるため選手にはそれぞれヘッドギアが与えられている。着替えた後それを取ろうと保管スペースに向かうも奇妙な事に杏の位置にそれがない、保管スペースの周辺をくまなく探すも見つからない。こうしてる間にも集合時間はどんどん迫ってくる、焦り始めたその時頭の中で嫌な考えが浮かび上がった。

…まさか五十嵐の奴が私のヘッドギアに関係してるんじゃないか、と

まさかね、そこまでの屑では無いでしょ。しかし念のためと言うこともある、仮に恨みとか妬みを感じてる人物の持ち物に何かしらの事をしようと思ったら…

恐る恐る杏は保管スペースにあるゴミ箱を覗いてみた

「…マジかよ」

中にはヘッドギアがあった、間違いなくコレは自分のものだ。

「信じられねぇ…アイツここまでするとはな」

後で追及しようと思うも時間もないので急いで被ろうとしたその時嫌な予感が全身を襲う

ヘッドギアの内側を見るとキラリと光るものがあった、正体を察し冷や汗が出て来る

「…画鋲って、私を殺す気か!?」

杏はその辺のあった細長い棒でヘッドギアの中身を掻き回し接着されてる画鋲を引き剥がす。コロンと出てきたそれは疑いようもなく画鋲であった。

_____ここまでするか、普通。そうまでして私をチームから外したいか、隊長に相談…いや、ダメだそんなことして仮に五十嵐が除隊処分なんかされてみろ。間違いなく本気で殺しにかかって来るぞ…ここは見て見ぬ振りだ。反応さえしなければ奴だってその内諦めるだろうさ、いや諦めてくれなきゃ困る

杏は画鋲を自分のロッカーにしまい込み今度こそヘッドギアを被る。画鋲は取ったはずなのに刺さった気がしてしょうがなかった

集合場所に向かう途中彼女は五十嵐とすれ違う、こっちを見た五十嵐は杏に近づいき彼女の頭をジロジロと見た

「何だ引っかからなかったんだ」

そう言いながらニヤリとした五十嵐に杏は朝の騒ぎはコイツで間違いないと確信し

「何のことです、先輩」

としらばっくれる事にした

「あくまでも惚けるか、まぁ良いさ。今の内に荷物まとめて出て行くんだね。その内絶対後悔するから」

「だから言ったじゃないですか、私が選ばれたのは実力ですって。先輩が想像してる様な事はしてませんよ」

「2年前私達1年生は誰一人として選ばれなかったんだぞ!?それなのに今年の1年に選ばられる奴がいるなんておかしいじゃない!」

その発言に杏はもう我慢出来なかった、言ってることが道理にかなってないからだ。そんな下らない理由の為に逆恨みされていた事に腹が立って仕方がなかった。故に

「一昨年選ばれなかったのは先輩の実力不足ですよ」

と余計な一言を言ってしまう

五十嵐は顔を真っ赤にして訳の分からない事を喚きながら何処かへ走ってしまった

(ハァ~、余計なことしちまった…これじゃ益々恨まれるぞ……)

杏は若干だけ己の行動に後悔したが言いたい事を言ってやれたのでそこまで気にしてはなかった。

 

その日の練習が終わり杏はケイと安斎を自室に招き入れ今日の成果を話し合いノートにまとめた、こうする事で今後の練習や模擬戦などで役に立つからだ。

書き終ええた頃ケイが話しかけてくる

「ねぇ、皆んな合宿もう2日目だけどどうよ?」

「私はブロッケンの操縦担当になったんだけどだいぶ車長の2年の先輩と連携が取れてきた気がするぞ。今日なんか『流石1年で選ばれただけの実力があるわね』って褒められてしまった、杏はどうだ?」

「ん〜?私はねこんな小柄な体で操縦するからもうクタクタだよ、でも車長の3年の先輩はいい人だねぇ。練習終わったらスポドリ奢ってくれてさ、いやぁありがたいのなんのって、ケイはどうよ?」

「私は先輩に操縦のコツとか教えてもらったり逆に私がどんな指揮を今までしてきたかってのを聞かれたから話したりと色んな意見を交換しあって楽しかったわ」

「そ〜かそ〜か皆んな楽しそうで何よりだよ」

杏は先輩達が話の話題になったのでう五十嵐の事を話そうと思ったがその事を話して心配をかけさせ彼女達のメンタルやコンディションに影響が出たら大変だと考え辞めることにした。

時刻は午後9時に差し掛かっていた、明日も朝6時集合なのでここらで解散する事にした。2人を見送った後杏はノートを机に上に置きほんの少しだけパソコンを弄り倒れ込むようにしてベッドで就寝する

 

翌朝も更衣室にあるヘッドギア保管室のゴミ箱にこれ見よがしに杏のが捨てられておりご丁寧に画鋲の数が増えていた

「懲りない人だね〜増えてんのは昨日の当て付けだな?本当のことを言ったまでなのにさ」

そう言いながら着替えようとジャケットに手を伸ばすが万が一と言うこともあるかもしれないので内側を見る事にした

「流石に服までは細工してないか…もし鍵まで開けるぐらいのことしたら本気で病院を勧めようか」

若干大声で毒を吐きながら着替えて集合場所へと向かった、その日は初めて五十嵐に絡まれることなかった。

 

心の中では平常心を保っていてもやはり五十嵐と言う存在は杏にとって深層心理に蝕む癌の様な存在なのだ、故に今日絡まれなかったのはメンタル的にありがたいものだった。おかげでその日は安定したメンタルで練習に臨むことが出来たのだ

夕方になり練習が終わった、いつもならこの日は車長の先輩と一緒に自主練なのだが今日は一言謝り無しにさせてもらう。というのもある目的があるからだ、更衣室に到着し着替えた後ヘッドギアを脱ぐ、そしてヘッドギアの底…つまり頭頂部に小型のカメラを仕込む。これは昨夜注文した商品である

なのだが今日は一言謝り無しにさせてもらう。というのもある目的があるからだ、更衣室に到着し着替えた後ヘッドギアを脱ぐ、そしてヘッドギアの底…つまり頭頂部に小型のカメラを仕込む。これは昨夜注文した商品である

(コイツはあくまで最終手段…万が一何かがあった時のためにしかるべき場所に提出するためだ、願わくばコイツが役に立つ機会が無ければいいんだが…)

蒸れた頭を掻きながら杏は自室へと帰る、鍵を回してドアノブを捻る。だがガコン、と硬い感触が伝わるだけだ。まさか、と思いもう一度捻りドアを引くが結果は変わらない

(私…鍵は閉めたはずだぞ!?なのに一回回して開かないってのは…まさか、まさか!)

鍵をもう一度回して乱暴気味にドアを開ける、自室を見た瞬間杏は全身の血の気が引く音が聞こえた

室内では杏の部屋を荒らしに荒らし卓上にあるノートにまで手をかけようとした五十嵐がこちらをギョッとした目で見てくる

「お…お前!自主練のはずじゃあ…!」

「五十嵐…先輩…!?何してるんですか!?そこ私の部屋…鍵かけた部屋ですよ!」

私の部屋に入ってめちゃくちゃにしてあまつさえノートまで破ろうとしたのか…ピッキングしてまでコイツと言う女は…!

犯罪スレスレなんてものではなく完全に犯罪でしかない行為にもうコイツはダメだと判断し杏はポケットから携帯電話を取り出す

携帯電話を見た瞬間五十嵐の顔が見る見る青くなっていく、無理もあるまい、バレたら除名処分だなんて生温いものじゃない。よくて停学、悪くて退学処分になるからだ。そんなことになったらもう二度と特車道をする事は出来ないだろう。

「もう警察呼びますね、流石にこれはどうかしてるんで」

そう言い携帯電話の画面を五十嵐に向け見せつけるように“1”のボタンをプッシュする

「待ってくれ!警察なんか呼ばれたら私…いやお前も面倒なことになるんだぞ!?」

「関係ない、そんなこと」

再度1のボタンを押す、そして最後のボタンを押そうとしたその時、五十嵐が杏の足に擦り寄ってきた

「すいません…!すいません…!ほんの出来心なんです…!貴方が…1年生で普段おちゃらけてるのに選ばれた事が妬ましくてつい…!本当にすいません…!」

泣きながら釈明する五十嵐を杏は軽蔑の眼差しでしか見ない。もし今の杏が高3の時と同じ精神を保持していたら躊躇いなく最後のボタンを押していただろう、だがこの時の彼女は自分の足に涙を流しながらしがみつく女を見て怒りが消えてしまい寧ろ哀れとしか思えずこんな奴に構う時間が勿体ないと思ってしまったのだ

携帯電話を閉じパタン、と音がする。その音を聞いた五十嵐が顔を上げ目と目が合う

「杏…さん」

「出てけ」

「…はい」

「さっさと出て行け、二度と関わってくるな!」

そう言って掴まれた足をほんの少しだけ後ろに動かすと蜘蛛の子を散らすように自室から出て行った。服が散乱し通帳や印鑑までもが乱雑に床に置かれてるのを見てため息をつく事しか出来なかった

「取り敢えず、作戦ノートは無事だから良しとするか…今は午後6時30分、アイツらがやってくるまであと30分ってとこか、さ〜てお掃除しましょうかね」

ノートを丁寧に机の中に入れ、服などを適当に畳んでタンスの中に入れる。掃除してる間杏の心は虚無に包まれていた

 

また翌日、みたたび保管スペースを覗く、どうやら今日はヘッドギアは弄られてないらしい。流石に懲りたみたいだ。ギアからカメラを取り出してロッカーにしまう、ジャケットも確認するが異常は無かった。久しぶりに晴れやかな気分で身支度を整えることが出来杏は鼻歌を歌いながら集合場所へと向かう、珍しいことに安斎とケイが先に集合しておりこちらを見かけると手を振って来た

「おはようさん、ケイ、安斎。早いじゃないか」

「いやぁ昨日部屋のエアコンが壊れて寝付けなくってさ、早めに起きちゃったのよ」

「おかげでこっちは何時もより10分早く起こされた…いきなり部屋に来るからなケイの奴…」

目を擦りながら安斎が言った。

「も〜たかが10分じゃない〜」

「10分の睡眠は大きいんだぞ…!」

文句を言う安斎を他所にそうだ、とケイが手のひらを叩いた

「ねぇ知ってる?今日の朝、副隊長が発表されるみたいよ」

「え、そうなのか?じゃあお前たちが早起きだったのって…」

「確かいつもの練習試合とかなら副隊長って五十嵐先輩だよな、んまぁ多分このチームも五十嵐先輩なんじゃないか?」

「いやいや分かんないよ〜?私達の中から選ばれたりして!?」

「そんな訳ないだろケイ、1年で選ばれただけが凄いのにその上副隊長に抜擢なんかされちまったら天地がひっくり返るぞ」

と笑い合いながえら3人は集合時間になるまで世間話などをして時間を潰した

 

時間になり凛々しい顔をして隊長が朝礼台に上がってきた。全員が直立不動になりツン、と尖った雰囲気が場を支配する。隊長が周囲を一瞥し口を開く

「諸君、おはよう。この1週間の合宿も今日で3日目、ほぼ半分と言うところだ。さて、小耳に挟んだ人も多いかと思うが…ただ今より夏の全国大会選抜メンバーを率いるセカンドポジション、つまり副隊長を発表する。2日間で諸君ら選抜メンバーの中で私に次ぐ優秀な選手を選んだ、一度しか言わないから心して聞くように…副隊長は、『角谷杏』だ」

杏はどうせ五十嵐が選ばれると思い話半分でしか聞いてなかったが故に突如自分の名前が呼ばれ驚く

____選ばれた…!?私が副隊長に…!?これはなにかの間違いなのでは

驚く杏など目に入らぬかのように隊長が話を続ける

「1年生を副隊長に選び驚きの声もあるだろう、だが彼女には入学したばかりでバラバラだった1年生をまとめ2年生の模擬戦で圧勝する芸当を見せた、すなわち極めて優れたリーダーシップがあると言う事だ。それだけではない、彼女が立てる作戦はいつも2手3手先を読んだもので非常に優れたものであった。そう、リーダーシップだけではなく柔軟な発想を持てる人物という事だ、故にこれは申し分なく副隊長としての資格を持ってると私は考えた。賛同のものは拍手を願う!」

ポンポン、とまばらだった拍手が次第にパチパチと大きな雨音の様な音に変わってくる

杏は口をポカンとさせながらいつもの2人を見る、拍手こそしていたがその顔は正しく「驚愕」を表していた、無理もない。まさか本当にこの3人の中から選ばれるだなんて誰一人として思っていなかったからだ

ふと、我にかえって五十嵐の方を見る

彼女は拍手はしておらず下を向いておりその表情は伺えないがいい感情ではないだろう

(…副隊長に選ばれたのは本当に嬉しい事だし頑張りたい、だが五十嵐…コイツがまた逆恨みをしてこないだろうか、昨日で懲りたとは言えコイツは感情に身を任せるタイプ、妬みのあまり変なことをしなきゃ良いんだが…)

ワナワナと震える五十嵐を見てそう思わずにはいられなかった

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「…とまぁこんな感じだ、私と五十嵐の出会いは」

水を飲見終えコップをテーブルに置く

「まさか五十嵐先輩がそんな人だったなんて…じゃあコレが貴方が特車道を辞めた理由なの?」

「いや、これは前座に過ぎない。本題はこっからさ」

そう言うと杏は再びファイルから写真を2枚枚取り出した

「これは…ブロッケン?しかもこの機体何処かで見た事があるような…」

「これは私が全国大会決勝戦で使ったレイバーだよ、整備班の連中が試合後撮った奴をコピーしてもらったのさ…で重要なのは次の写真だ」

もう一枚の写真はブロッケンの後方の写真である

「このレイバー何かおかしいわね…分かった!ダクトが焦げてるのね!」

「その通り、これは使い込まれた証としての焦げじゃない、このコゲにこそ私が辞めた理由があるのさ」

そう言いながら杏はピッチャーを取りコップに水を注いだ。水に反射する杏の顔はあの時の隊長の様な厳格な表情であった

 




杏さんの過去を書こうとするとどうしても重くなってしまうのなんでだろ〜なんでだろう〜
次回はほんの少しハートフル要素を足したい…!
それではここまでのご視聴ありがとうございました!
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