西住みほは困っていた、自分が教える立場になったからである。確かに自分はこの中での唯一の経験者だ、しかし人に教えた経験などなかった。果てさてどうすればいいののか…(悩んでてもしょうがない、やるしかないや)そう思いみほは自分の頬を叩き気を引き締めた。目の前を見ると全員が整列している、会長に前に出て今日やる練習を伝えるようにと言われ前へと出る
「こんにちは、西住みほです。今日は初めての練習にあたり私が指示を出します、不束物ですが宜しくお願いしましゅ…」
しまった、最後の最後で噛んでしまった自分の顔が熱くなるのを感じる。が全員それに反応しておらずほっとしたようなガッカリしたような気持ちを抱いた
練習場
練習場に全てのレイバーが集まり練習が始まった、最初は基本中の基本、歩行と走行である
「まずは隊列を組んで一定の速度で歩くことを心がけてください!指揮車もそれに合わせて、1km歩いたら次は一定の速度で走ります!転けそうになってもオートバランサーがあるので大丈夫です!それでは射撃場へ向かいましょう!」
全員が動く中ドーファンが凄まじい土煙を上げてるのを確認した
「ドーファンの方は深く踏み込まず浅く踏み込む様にして下さい!土煙は相手に自分の座標を教えてしまうことになるので!」
そう言うとドーファンは浅く踏み込みこけそうになるが流石は篠原のオートバランスこける事なく立て直した
射撃場
「アトラスやラーダーのような軍事用レイバーは火器システムを起動して的をロックオンしてから撃ってください、ですがロックオンは確実に当たるわけではないのでまずは数発撃ち外れたら少しずらして撃つことを心がけて下さい」
アトラス、サムソンがそれぞれの武器を使い的に当てる
「私達警察用レイバーはまず座席の横にあるレバーを引いて銃を取り出してください、銃を握るまでの動作はオートなので安心して。握ったら的に向かって構えてロックオンします。軍用機とは違いこちらは六発しかないので一撃必中を心がけるように」
そう言うとパイソンの車長、澤梓から通信が入る
『西住先輩、的をしっかり狙ってるんですが何故かブレちゃいます、どうしたらいいんでしょう?』
『恐らくそれはパイソンの前の操縦者が残したデータの蓄積…つまり“クセ”だね』
『クセ…ですか?』
『そう、恐らく前の操縦者は銃をあまり使わないでいざ使うときは撃つのを躊躇ってた人かもね、じゃあ的を狙ったら外れてもいいからすぐ撃つ練習をしてみようか。これでクセの矯正が出来るはず』
『了解です、ありがとうございました』
さて、ドーファンの方はどうか…そう思い的を見ると取り敢えず当たってるだけで着弾位置がバラバラであった、この有様を見てみほはドーファンの車長磯辺典子へ連絡する
『磯部さん、連続で6発撃ってませんか?』
『確かに連続で6発撃ってます!』
『連続で撃つといかにロックオンしたとは言え反動によるズレが生じてしまいます、一発撃ったら少し間を開けて次弾を発射して下さい。』
『分かりました!ですが弾がなくなったけどどうすれば?」
『銃の収納場所に予備弾があります、ドーファンをひざまずかせて磯部さんか河西さんどちらか一人が降りて手動で装填して下さい』
通信を終え今度はみほ達のエコノミーが撃つ、一発ずつ少し間を開けて全弾撃つ。的のど真ん中に全て着弾していた
「冷泉さんすごい…まさか全弾ど真ん中なんて」
「なぁにレイバーの関節を狙うよりは楽勝だ」
改めてみほはこの冷泉麻子という人物が天才かを思い知らされた
そんなこんだで時刻は夕方になり練習が終わった。
ハンガー前
「皆さんお疲れ様でした!昨日の模擬戦の時よりずっといい動きをしてましたね!この調子で頑張っていきましょう!」そう言い今日の練習を締めくくろうとすると桃が口を開いた
「突然だが、明日親善試合を行うことになった。相手は“聖グロリアーナ女学院”だ。よって明日は5時にこのハンガー前に集まれ以上だ」
いきなり試合を告げられ周囲が騒めく。
「ねぇ優花里、聖グロリアーナって何?」
「聖グロリアーナ女学院は特車道の全国大会で準優勝したことがある強豪校です」
「そんな相手と私達戦うんですの…?」
みほは内心焦りを感じた。聖グロはみほがかつて居た学校のライバルでありみほ自身も戦ったことのある相手だ、勝ったとは言え楽な試合ではなかったのを覚えている。
_______今の私達が勝てる、いやまともに戦える相手なのか?
そう思い周囲を見回すと麻子が青ざめていた
「なぁ…明日5時に集まりって言ったよね?それって」
「朝の5時ですよ?それがどうしましたか冷泉殿?」
「みんなすまない、特車道やめる。短い間だが世話になったな」
いきなりの辞退宣言に沙織達が驚き悩んでいたみほも驚く。
「人間、朝の5時に起きられるわけないだろ。起きれる奴は社畜か老人ぐらいだぞ」
「いや、屁理屈こねても起きなきゃダメだから」と沙織が突っ込む
とそれに続いて沙織がこう言う
「やめてもいいけどあんた単位の当てあんの?留年したらおばぁどう言うだろうねぇ」
痛いところを突かれてギクッと麻子は震えた
「おばぁを出すとは卑怯な…それを言っちゃあお終いだぞ沙織。しょうがない留年には変えられないおばぁも怖いしな、撤回しよう。」
渋々麻子が辞めるのをやめ一同はほっと一息ついた。と、そこで電話が鳴り桃から明日の試合についての作戦会議をするので生徒会室にくるようにと連絡が入った。
生徒会室
生徒会室には既にみほ以外の車長が集まっていた。みほが到着したところで会議が始まった。
「いいか、今回相手する聖グロリアーナは連携が得意だ。使用するレイバーもサターン、AVS-98と高機能なレイバーを利用する。我々が使用する鈍足な軍用レイバーでは遠距離でない限り勝ち目がないと思え。そこでだ機動力が高い警察用レイバーを囮に使いキルゾーンに誘い込み軍用レイバーの一斉射撃で殲滅する。」
…甘い、甘すぎる。初心者なら通用する手かもしれないが相手が相手だ。そう考えると杏から考えがあるなら言って見なさいよと言われた、しかし意見を言えと言われても自分が言うなんておこがましい。そう思い断ろうとすると
「西住ちゃんはさ、こん中で唯一の経験者なワケ。私達素人としたら経験者の知恵って奴を拝借したいのよ、変に自分を蔑まないで言って頂戴よ」
そう言われては断れない、みほは自分の考えを語った
「聖グロリアーナは特車道に関してはプロ中のプロです、当然こちらが囮を使うことは予想してるでしょう。となれば裏をかかれて逆包囲される危険性が高いと思います」
そう言うと周囲は成る程、それは盲点だったと言いたいような顔をするが桃は違った
「西住、それは私の作戦が間違ってると言いたいのか?」
「いえ、間違ってるとは言いません。ただリスクが高いと言いたいんです」
「なら西住、お前が指揮をとれ!何か他にいい作戦があるのか?言ってみろ」
まずい、怒らせるつもりはないのに怒らせてしまった。謝らなくては、そう思った瞬間
「河嶋、お前少し頭冷やせ」と冷ややかな声で杏が喋った
「何も西住はお前さんの作戦を完全に否定してる訳じゃない、お前さんの作戦にはあるものが欠けてんだよ」
「”あるもの“と言うと…?』
「失敗した後の作戦さ、まさか河嶋一斉射撃が全弾相手に命中すると思ってんの?」
「いえ…それは」
「だろ?それ以降の作戦が練れない以上ここは西住の意見を採用してお前さんの作戦を完璧なものに仕上げるってわけ。分かった?」
そう言うと杏はこちらに顔を向けた
「てな訳で西住ちゃん、ど〜する?」
「そうですね…一斉射撃を行った後別の場所に退避してそこで散開、あとは各自の行動に任せるというのはどうでしょう?」
「成る程ね、それなら自主性を育てることも出来るしいいんじゃない?てか作戦の是非は西住ちゃんが決めていいんだからね。私は会長だけどここじゃ会長なんて役職は飾りに過ぎないからさ」
これで作戦は決まった。ここで解散しようとすると再び杏に呼ばれた
「西住ちゃん、やっぱり隊長頼めるかな?やっぱり経験者が指揮する立場にいるべきだと思うんだわ」
…私が隊長?自分はそんな器ではないと言おうとする間も無く賛成を求める拍手が行われそれに周囲も同調した。
「そんじゃ西住ちゃん…いや西住隊長宜しく!勝ったら豪華商品干し芋3日分あげるからね〜因みに負けたら今度のお祭りであんこう踊りやってもらうから」
有無を言わさず決定してしまいみほは不安を抱えながら生徒会室を後にするのであった
…あんこう踊りってなんだろう。薄らそう思いながら
______________________________________________________
生徒会メンバー以外が退出し部屋の電気は消され夕日の明かりのみとなった
「しかし会長、何故聖グロリアーナなのですか?」
「そりゃあ、強い相手の方が実力ってのを知れて向上心を育てられるでしょ」
「だったら黒森峰やプラウダでも良かったのでは?」
「最初はそう考えたんだけどさ、黒森峰もプラウダも地理的に遠いのよ。それにああいう強すぎる相手はうちらみたいな弱小校にはナメて本気出さないだろうしね、それじゃあダメなんだ、本気で戦ってくれる相手じゃなきゃ」
「成る程、というわけで茨城にも地理的に一番近く騎士道精神を重んじる神奈川の聖グロを選んだわけですか」
「そういうこと〜」
休憩所前
みほは今回の試合のことについて話謎のあんこう踊りについても話したそうするとみほ以外の全員が青ざめた
「あんこう踊りってマジなの?」
「あんな恥ずかしいことさせられるんですか…?」
「全国的に晒されて一生ネットのオモチャにされますよ〜」
「そんなにあんこう踊りって恥ずかしい踊りなんだ」
「もうこうなったら勝つしかないじゃん!?」
そうだ、勝つしかないのだ。あんこう踊りがどのようなものかは知らないが相当恐ろしいものらしい。私は守る為に戦うんだ、少し意味は違うかもしれないがそう思いみほは己を鼓舞した
「私としては麻子が起きるか不安なんだけどね…」
「それに関しては作戦があるから」
「作戦って何ですか?」
「それはね_____
さて明日は初めての他校との試合だ、このチームで勝てるのか!?
さて、今回はここまでとなります!次回はいよいよ聖グロとの試合…!と行きたいところですが次回は「不肖!秋山優花里のレイバー講座」と称してガールズ&レイバーの世界についての説明などを書きたいと思います。それではご視聴ありがとうございました!